Googleは2021年10月20日に最新スマートフォン「Pixel 6」「Pixel 6 Pro」を発表しました。Google初の独自プロセッサーを搭載し、言語処理、機械学習、カメラが大幅に強化されるなど、見どころが満載です。
Google初の独自プロセッサー「Google Tensor」を搭載する「Pixel 6」「Pixel 6 Pro」
どちらも128GBと256GBの2モデルがラインアップされており、「Pixel 6」の128GBモデルが74,800円、256GBモデルが85,800円。「Pixel 6 Pro」の128GBモデルが116,600円、256GBモデルが127,600円(いずれも税込価格)。本日20日より予約開始で、発売は10月28日です。Google公式ストアでSIMフリー版が販売されるほか、「Pixel 6」がauとソフトバンクから、「Pixel 6 Pro」がソフトバンクから販売されます。
Googleの「Pixel」シリーズは、従来からサイズ違いの2モデルがラインアップされていましたが、2020年10月に発表された「Pixel 5」は1サイズのみ。また、「Pixel 4」まではGoogleの最新技術を駆使したプレミアムな機能が売りのハイエンドスマートフォンでしたが、「Pixel 5」はスペック、カメラについて大きなアップグレードはなく、どちらかというとコストパフォーマンスの高いミドルハイ機という位置づけでした。
しかし、今回発表された「Pixel 6」と「Pixel 6 Pro」は、2つの異なるサイズがラインアップされ、さらに、新しいテクノロジーがこれでもかと詰め込まれており、ハイエンドモデルと呼ぶにふさわしいスマートフォンになっています。
外観は、これまでのポップなテイストを残しつつも、非常にユニークなデザインへと一新されました。背面は、トップとカメラ、ボトムの3つに分けられ、トップとボトムに異なる配色を施すカラーになりました。特に、カメラは黒い帯のようにデザインされた部分に横1列に並べられ、Googleはこれを「カメラバー」と呼んでいます。
「Pixel 6」はStormy Black、Sorta Seafoam、Kinda Coralの3カラーがラインアップ
「Pixel 6 Pro」はStormy Black、Cloudy White、Sorta Sunnyの3カラー
両モデルともに背面は「Corning Gorilla Glass 6」を採用したガラス製になり高級感がアップ。前面のディスプレイには、耐傷性の高い「Corning Gorilla Glass Victus」を採用。ボディは、IP68等級の防塵、防水性能を備えます。
「Pixel 6」は、6.4インチ(フルHD+:2400×1080)の有機ELディスプレイを搭載するいっぽうで、「Pixel 6 Pro」はわずかに大きい6.7インチ(QHD:3120×1440)の有機ELディスプレイを搭載します。
2モデルのディスプレイは、サイズや解像度の違いだけでなく、リフレッシュレートも、「Pixel 6」が最大90Hz駆動、「Pixel 6 Pro」が最大120Hz駆動対応と違っています。また、「Pixel 6 Pro」のみ、省電力性の高いLTPOに対応する有機ELディスプレイを採用しており、コンテンツに応じて10〜120Hzの間でリフレッシュレートが調整されます。これ以外にも、「Pixel 6」はフラット、「Pixel 6 Pro」はディスプレイの両サイドが曲面になっている、という違いがあります。
「Pixel 6」(左)はフラットなディスプレイで、両サイドにベゼルあり。「Pixel 6 Pro」は両サイドが曲面になっていて、ベゼルがほとんど見えず、スタイリッシュに見えます
両モデルともに本体には指紋認証センサーを備えていませんが、新しく画面内指紋認証システムを搭載。従来のフロントカメラによる顔認証には対応していません。
「Pixel 6 Pro」のロック画面。時刻の下あたり、指紋のマークが表示されているとことに画面内指紋認証センサーを備えます
インパクト大の「カメラバー」は、Google独自の「Google Tensor」というユニークなプロセッサーを搭載していることに加え、カメラのスゴさを強調するデザインアイデンティティをアピールすべく、今までにないデザインになったとのことです。
背面から突起するカメラバー
専用ケースは、「Pixel 6」と「Pixel 6 Pro」でそれぞれのカラーを施した半透明のデザイン
なお、サイズと重量は、「Pixel 6」が74.8(幅)×158.6(高さ)、8.9(厚さ)mm、207g。「Pixel 6 Pro」が75.9(幅)×163.9(高さ)×8.9(厚さ)mm、210g。どちらも大画面搭載の大型スマートフォンとなり、これまでの片手で操作できるコンパクトなスマートフォンというイメージはなくなりました。
「Pixel 6」「Pixel 6 Pro」の核となるのは、Google初の独自プロセッサー「Google Tensor」です。本プロセッサーの開発は「Pixel 3」のころからスタートしており、AIのエンジニアと連携して機械学習のモデルを作成し、開発に生かしているとのことです。
開発に4年かかったという「Google Tensor」
CPUは2+2+4の8コア、GPUは20コア構成で、3Dゲームも快適にこなす性能を備えると言います。また、Googleのデータセンターで使用されている「TPU(Tensor Processing Unit)」をモバイル向けにカスタマイズして実装。これにより、言語処理や音声認識、画像処理がオンデバイスで実行でき、その処理速度、精度も飛躍的に向上したとしています。
「Google Tensor」を搭載する「Pixel 6」と「Pixel 6 Pro」は、現行モデルの「Pixel 5」と比較してパフォーマンスが80%向上。ただ、「Pixel 5」自体の処理性能は他社製のハイエンド機と比べてやや低かったため、「Google Tensor」の処理性能が現行のハイエンド機と比べて高いと言われると、やや疑念が残るところです。
しかし、Googleは同プロセッサーを特定のコンポーネントに向けて最適化するのではなく、総合的なパフォーマンスや効率性を考えて作られており、新たな可能性を広げるプロセッサーをゴールとしています。これらは、ベンチマークのスコアでは計測できないものとのことです。
言語処理、そして音声認識に関する新機能は、「アシスタント音声入力」「リアルタイム翻訳」「文字起こし」の3つです。
「アシスタント音声入力」は、キーボード「Gboard」で利用できる機能。音声での文字入力に加えて、「送信(メッセージの送信)」「消去(最後の文章の削除)」「停止(音声入力の停止)」などの音声コマンドが可能になりました。また、音声入力した単語をタップすることで、サジェストから別の単語を選んだり、音声での再入力にも対応。「ハートの絵文字」「笑顔の絵文字」と話しかけることで、絵文字の音声入力も可能になっています。
キーボード「Gboard」で利用できる「アシスタント音声入力」
「リアルタイム翻訳」は、チャットアプリやGoogleアシスタントにおいて、双方向で文字や音声を指定した言語に翻訳してくれる機能です。チャットアプリでは、入力したテキストがリアルタイムで翻訳されて、画面上に表示されます。こちらは、LINE、Twitter、インスタグラム、Facebookメッセンジャー Liteなどで利用が可能です。Googleアシスタントでは、「翻訳して」と話しかけると、リアルタイム翻訳モードが起動し、話者の会話を指定した言語に翻訳してくれます。
「リアルタイム翻訳」の利用例。左が翻訳前、右が翻訳後の画面になります
「文字起こし」は、アプリ「レコーダー」で利用できる機能で、これまでの英語に加えて日本語が追加されました。これは会議の議事録などで活用できそうです。
ついに日本語に対応した「レコーダー」の文字起こし。もうスマホやノートPCでメモを取る時代は終わるのかもしれません
セキュリティに関しては従来機に搭載されていたエンタープライズグレードの「Titan M」を強化した「Titan M2」チップを新しく搭載。今までで最も安全なPixelになっているとのことです。
また、端末のプライバシー設定を一括で管理できる「プライバシーダッシュボード」や、セキュリティに関する機能を一括で管理できる「セキュリティハブ」が追加。これまで見つけにくかった機能へのアクセシビリティが向上しています。
セキュリティ関連の機能を一括で管理できる「セキュリティハブ」
次は、「Pixel 6」「Pixel 6 Pro」のカメラをチェックしましょう。カメラのスペックは、両モデルともに5000万画素の広角カメラ(1.31インチセンサー、F1.85)と1200万画素の超広角カメラ(F2.2)をメインカメラに搭載。これに加え「Pixel 6 Pro」のみ、4800万画素のペリスコープ望遠カメラ(F3.5、光学ズーム4倍)を備えます。
つまり、「Pixel 6」はデュアルカメラ、「Pixel 6 Pro」はトリプルカメラと、2モデルには差異が設けられています。
「Google Tensor」により強化されたカメラ
望遠カメラのない「Pixel 6」はソフトウェア処理で画質の劣化を防ぐ超解像ズーム最大7倍に対応。いっぽうの「Pixel 6 Pro」は、望遠カメラの光学4倍ズームに加えて、超解像ズーム最大20倍に対応します。
フロントカメラは「Pixel 6」が800万画素(F2.0)で、「Pixel 6 Pro」が1110万画素(F2.2)となっており、前者は視野角84°、後者は94°と、ワイドな画角で撮影することが可能です。
両モデルのメインカメラは、「トップショット」「ポートレート」「ポートレートライト」「超解像ズーム」「デュアル露出補正」「Live HDR+」など、従来機で好評だった機能を引き続き備えています。大きく進化したのは、「Google Tensor」により画像処理機能が向上、高速化され、「消しゴムマジック」「モーションモード」「顔フォーカス」「リアルトーン」という新機能が追加された点です。
「消しゴムマジック」は背景に映り込んだ人物やモノなどを、その名の通り消すことができる機能です。消すオブジェクトを自動で提案してくれるほか、手動でオブジェクトを選択して消すことが可能。この機能は「Pixel 6」と「Pixel 6 Pro」で利用できるほか、今後、過去の「Pixel」シリーズでも展開される予定とのことです。
「消しゴムマジック」の適用前(左)と適用後(右)。背後に映っていたシルクハットの男性がキレイに消えています
「モーションモード」は、「アクションパン」と「長時間露光」という2つの撮影モードが利用できます。「アクションパン」は、すばやく動く被写体を検知し、その背後にボケ効果を加えて躍動感のある写真を撮影できるモードです。
「アクションパン」は動いている被写体の背後にボケ効果を付与する撮影モード
「長時間露光」は、光の動きなどの軌跡を映し出し、印象的な写真が撮れるモード。こういった写真は、一眼レフカメラでも撮影するのが難しく、これがスマートフォンで、かつ、簡単に撮影できるようになったのは、にわかには信じられないレベル。こちらの「モーションモード」は、「Pixel 6」と「Pixel 6 Pro」にのみ提供されます。
「長時間露光」を使えば幻想的な写真が撮影可能
「顔フォーカス」は、顔のブレを補正してくれる機能。「リアルトーン」は、どのような肌の色も機械学習を活用することで自然に再現してくれるというもので、撮影モードというよりはカメラに装備されたスキントーンのアルゴリズムという感じです。
「顔フォーカス」の適用前(左)と適用後(右)。顔以外のブレはそのままに、顔のブレはきっちり補正してくれます
「リアルトーン」により自然な肌の色を再現。ほかのスマートフォンとブラインドテストを行ったところ、「Pixel 6」はスキントーン、明るさ、色の豊かさなどさまざまなディテールを最も表現できていると評価されたとのこと
動画機能については、メインカメラが最大4K/60FPSで両モデル共通。フロントカメラは、「Pixel 6」が最大1080p/30FPS、「Pixel 6 Pro」が最大4K/30FPSの録画に対応します。
最後に、上記では紹介しきれなかったその他の機能やスペックについて解説し、2モデルの違いをまとめましょう。
バッテリー容量は「Pixel 6」が4614mAh、「Pixel 6 Pro」が5003mAh。両モデルともにUSB PD 3.0の充電に対応しており、対応の充電器(別売)を利用することで最大30W、約30分で50%の充電が可能です。
急速ワイヤレス充電にも対応しており、第2世代「Pixel Stand」を利用することで「Pixel 6」が最大21W、「Pixel 6 Pro」が最大23Wでのワイヤレス充電が可能です。なお、本体に電源アダプターは付属しません。
通信は、「Pixel 6」が5GのSub6に、「Pixel 6 Pro」が5GのSub6とミリ波に対応。両モデルの対応バンドは以下の通りです。
Pixel 6
GSM/EDGE:850、900、1800、1,900MHz
UMTS/HSPA+/HSDPA:1/2/4/5/6/8/19
LTE:B1/2/3/4/5/7/8/12/13/14/17/18/19/20/25/26/28/29/30/32/38/39/40/41/42/46/48/66/71
5G Sub-6:n1/2/3/5/7/8/12/14/20/25/28/30/38/40/41/48/66/71/77/78
Pixel 6 Pro
GSM/EDGE:850、900、1800、1,900MHz
UMTS/HSPA+/HSDPA:1/2/4/5/6/8/19
LTE:B1/2/3/4/5/7/8/12/13/14/17/18/19/20/25/26/28/29/30/32/38/39/40/41/42/46/48/66/71
5G Sub-6:n1/2/3/5/7/8/12/14/20/25/28/30/38/40/41/48/66/71/77/78
5G ミリ波:n257/n258/2260/n261
このほか、両モデルともにeSIMに対応。ストレージ拡張用のmicroSDカードには対応していません。Felicaポートを搭載し「おサイフケータイ」には対応。また、今後5年間のセキュリティアップデートが保証されています。
最新ガジェットとゲームに目がない雑食系ライター。最近メタボ気味になってきたので健康管理グッズにも興味あり。休日はゲームをしたり映画を見たりしています。