レビュー
高性能カメラで話題のハイエンドスマートフォン

1.0型センサー搭載の実力は? ソニー「Xperia PRO-I」のカメラ機能をガチ検証

ソニー「Xperia PRO-I(プロ アイ)」は、同社のフラッグシップモデル「Xperia 1 III」の基本スペックをベースに、カメラ機能を大幅に強化したハイエンドスマートフォン。1.0型の大型センサーを搭載し、高性能なコンパクトデジカメに匹敵する高画質な写真・動画を記録できることで話題となっている。本記事では、そんな「Xperia PRO-I」のカメラ機能を徹底レビュー。カメラを専門とするライターならではの厳しい目線でチェックしてもらった。

※本記事は「Xperia PRO-I」の開発中の試作機を使用しています。製品版では仕様が異なる場合もありますので、その点はご了承ください。

充実したカメラ機能を搭載する「Xperia PRO-I」。ちなみに、「Xperia PRO-I」の「I」はイメージング(Imaging)の「I」を表している

充実したカメラ機能を搭載する「Xperia PRO-I」。ちなみに、「Xperia PRO-I」の「I」はイメージング(Imaging)の「I」を表している

「RX100 VII」の1.0型センサーを最適化して搭載。画面のほぼ全域で位相差AFが可能

最初に、「Xperia PRO-I」のメインカメラ機能の基本的な特徴を紹介しておこう。

最大の見どころは、16mm超広角レンズ、24mm広角レンズ、50mm標準レンズ(※いずれも焦点距離は35mm判換算)の3つのレンズのうち、24mmレンズに対して、像面位相差AFに対応する1.0型(1インチ)の大きなイメージセンサーを組み合わせていること。1.0型というのは、ソニーのコンデジ「RX100シリーズ」が採用するセンサーと同じサイズ(約13.2×8.8mm)で、一般的なスマートフォンの1/2.5型(約5.7×4.3mm)などと比べると圧倒的に大きく、ソニーのフラッグシップモデル「Xperia 1 III」の1/1.7型(約7.5×5.6mm)よりもひと回り以上大きい。

センサーが大きいことのメリットは、同じ画素数で比較した場合の画素ピッチが広く、1画素1画素が取り込める光の量が多くなり、より高い画質が得られること。具体的には、「広いダイナミックレンジ」「高感度での低ノイズな画質」「大きなボケ味」といった点がメリットとしてあげられる。

メインカメラとして、上から16mm超広角レンズ、24mm広角レンズ、50mm標準レンズを備えた3つのカメラを搭載。24mmレンズと50mmレンズの間には3D iToFセンサーが備わっている。レンズの大きさを見ても判断できるが、1.0型センサーと組み合わされるのは中央の24mmレンズだ。ハードウェア面では、最新の画像処理エンジン「BIONZ X for mobile」とフロントエンドLSIを搭載しているのもポイントとなっている

メインカメラとして、上から16mm超広角レンズ、24mm広角レンズ、50mm標準レンズを備えた3つのカメラを搭載。24mmレンズと50mmレンズの間には3D iToFセンサーが備わっている。レンズの大きさを見ても判断できるが、1.0型センサーと組み合わされるのは中央の24mmレンズだ。ハードウェア面では、最新の画像処理エンジン「BIONZ X for mobile」とフロントエンドLSIを搭載しているのもポイントとなっている

「Xperia PRO-I」の1.0型センサーは、「RX100シリーズ」の高性能モデル「RX100 VII」が採用した、約2100万画素(総画素)の1.0型センサー「Exmor RS」を最適化したものとなっている。という説明だけだと、「RX100シリーズ」と同等の高画質に期待したくなるというものだが、「最適化」というのがポイントで、「Xperia PRO-I」では1.0型センサーの中央をクロップ(約60%)して、有効約1200万画素で記録する仕様になっている。クロップ部周辺の情報も活用しながら手ブレ補正処理などを行っているようだが、レンズの焦点距離(※同じ24mm相当でもXperia PRO-Iは6.6mm、RX100 VIIは9mm)や記録画素数から計算すると、記録エリアは1.0型に満たない1/1.3型相当(約9.7×7.3mm)というのが正しいところだ。

1/1.3型相当であることをネガティブにとらえる方もいるかもしれないが、センサーをクロップすることによるメリットはいくつもある。大きなところでは、像面位相差AFのカバーエリアが「RX100 VII」よりも広くなっているのが見逃せない。「RX100 VII」の約68%に対して、「Xperia PRO-I」では撮像エリアの約90%で像面位相差AFを利用することが可能となっている。AF関連では、センサーを大型化しながらも「Xperia 1 III」と同様、人物の瞳にピントを合わせ続ける「リアルタイム瞳AF」と、タップでの被写体選択も可能な動体追従機能「リアルタイムトラッキング」にも対応した。

加えて、センサーをフルで使う場合と比べて処理するデータ量が少なくなるため、レスポンスが向上するのもポイントだ。連写は「Xperia 1 III」と同様、AF/AE追従で最高20コマ/秒の高速化を達成。最大60回/秒のAF/AE演算も実現しており、連写中でも高い被写体追従性が得られるようになっている。さらに、ローリングシャッターによる動体歪みを抑える「アンチディストーションシャッター」や、1枚撮影のみになるものの12bit RAW記録にも対応(RAW+JPEG記録も可能)。スマートフォンの薄型ボディながら、基本的なところでは「RX100 VII」とそれほど変わらない機能性を実現しているのだ。

また、画質面でも、画素ピッチは有効約2010万画素・1.0型センサーの2.4μmと変わりないので、解像感とボケの大きさは別として、階調性と高感度画質については、「RX100 VII」譲りであることも押さえておきたい。

24mmレンズは絞り機構を搭載し、F2.0とF4.0からF値を選択できる(左がF2.0、右がF4.0の状態)

24mmレンズは絞り機構を搭載し、F2.0とF4.0からF値を選択できる(左がF2.0、右がF4.0の状態)

この1.0型センサーと組み合わされる24mmレンズは、ガラスモールド非球面レンズを採用した「ZEISS Tessar(ツァイス テッサー)」レンズ。本格的な仕様の広角レンズで、画像周辺部の歪みが少なく、高コントラストでシャープな質感を再現している。また、絞りの切り替え機構が備わっており、F2.0とF4.0の2段階でF値を選択できるのも特徴。これだけの高性能ながらレンズは薄く、スマートフォン本体も約8.9mmの厚さに収まっている。これもクロップによる恩恵のひとつと言えよう。センサーサイズが大きくなるとどうしてもレンズも大きくなってしまうが、クロップにすることでレンズを小さくし、薄型ボディを実現しているのである。

このほかのカメラでは、16mmレンズに有効約1220万画素の1/2.5型センサーを、50mmレンズに有効約1220万画素の1/2.9型センサーを搭載。16mmレンズのF値はF2.2で、50mmレンズはF2.4だ。なお、両レンズは、24mmレンズとは異なり、像面位相差AFや「リアルタイム瞳AF」などには非対応(※「瞳AF」には対応)。RAW記録にも非対応で、連写速度は最高10コマ/秒。対応する感度も24mmレンズのISO100〜12800とは異なり、ISO64〜3200となっている。

スペックを考慮すると24mmレンズは薄い形状に収まっている。上下に配置されたほかの2つのレンズと比べると少し飛び出しているものの、最小限に抑えられている

スペックを考慮すると24mmレンズは薄い形状に収まっている。上下に配置されたほかの2つのレンズと比べると少し飛び出しているものの、最小限に抑えられている

カメラ機能の操作性では、側面に独立したシャッターボタンを搭載しているのが大きな特徴。「RX100シリーズ」と同等のスイッチ部品を用いた本格仕様のボタンだ。製品のリリースページには「半押しでの正確なAF操作を可能にする深いストローク」と書かれているが、実際は、半押しはかなりのフェザータッチで、軽い操作感でAFを動作させることが可能。全押しは少し深さがあり、適度に押した感覚が得られるようになっている。また、画面消灯時でもシャッターボタンを長押しすることで、標準搭載のカメラアプリ「Photography Pro」を起動できるのも便利なところだ。

右側面下部に、独立したシャッターボタンを搭載。本格的な操作感を実現したほか、長押しでカメラアプリ「Photography Pro」を呼び出すこともできる。また、シャッターボタンの横に、設定したアプリを呼び出せるショートカットボタンが備わっている

右側面下部に、独立したシャッターボタンを搭載。本格的な操作感を実現したほか、長押しでカメラアプリ「Photography Pro」を呼び出すこともできる。また、シャッターボタンの横に、設定したアプリを呼び出せるショートカットボタンが備わっている

標準搭載のカメラアプリ「Photography Pro」は、「Xperia 1 III」にも搭載されているもので、プログラムオートやシャッタースピード優先、マニュアル露出、MR(登録した設定を呼び出せるメモリーコールモード)といった本格的な撮影モードを利用できるのが特徴。カスタム設定3種類を含む計9種類のホワイトバランス設定を選べるほか、明るさ・階調を調整するソニーの独自機能「Dレンジオプティマイザー」も用意されている。「BASICモード」以外のモードでは、「RX100シリーズ」や一眼カメラ「αシリーズ」でもおなじみのファンクションメニューのような表示で機能を設定できるので、ソニー製デジカメのユーザーならすぐに使いこなせるはずだ。「AF-ON」機能とAF-Cを組み合わせれば常時AFが動作するようになり、AFとシャッターボタンの動作を別々に行えるのも使いやすいところである。

標準搭載のカメラアプリ「Photography Pro」の画面。画面右下の各種機能が並んでいるところは、ソニー製デジカメではおなじみのファンクションメニューのような表示になっている

標準搭載のカメラアプリ「Photography Pro」の画面。画面右下の各種機能が並んでいるところは、ソニー製デジカメではおなじみのファンクションメニューのような表示になっている

実写作例をもとに画質をレビュー

続いて、「Xperia PRO-I」の24mmレンズ+1.0型センサーの画質について、静止画作例を交えながら詳しくレビューしたい。

詳細は各作例のコメントをご覧いただきたいが、全体的には、若干線が太いのが気になったものの、シャドーからハイライトまで豊かな階調が得られるのと、正確なオートホワイトバランスが好印象だった。スマートフォンのカメラの中には、パッと見の印象を優先して誇張気味の画像処理を行うものもあるが、「Xperia PRO-I」の24mmレンズ+1.0型センサーではそういったことはなく、とても自然なトーンと色を再現してくれる。大きなセンサーによる余裕のある画質といったところで、スマートフォンのカメラ機能としては、より高画質に“写真らしい写真”を撮れるという印象を受けた。

作例1 誇張のない自然な階調が得られる

24mmレンズ、感度:ISO100、シャッタースピード:1/100秒、絞り値:F4.0、ホワイトバランス:太陽光、Dレンジオプティマイザー:オート撮影写真(4032×3024)

24mmレンズ、感度:ISO100、シャッタースピード:1/100秒、絞り値:F4.0、ホワイトバランス:太陽光、Dレンジオプティマイザー:オート
撮影写真(4032×3024)

今回24mmレンズ+1.0型センサーで撮影したものの中でも特に印象に残った写真。カラスが羽ばたいた瞬間をとらえた1枚になるが、シャドーからハイライトまでとても滑らかな階調に仕上がっているのがポイントだ。スマートフォンのカメラ機能の場合、特に輝度差のあるシーンだとシャドーを持ち上げてHDRっぽい画像にしがちで、やや不自然な仕上がりになることも多いが、「Xperia PRO-I」の24mmレンズ+1.0型センサーは違う。コントラスト感を残した、写真として良質な仕上がりにしてくれる。

作例2 レンズ性能が高く逆光に強い

24mmレンズ、感度:ISO100、シャッタースピード:1/1600秒、絞り値:F4.0、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー:オート撮影写真(4032×3024)

24mmレンズ、感度:ISO100、シャッタースピード:1/1600秒、絞り値:F4.0、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー:オート
撮影写真(4032×3024)

逆光で撮影した1枚だが、この写真もシャドーが締まった、写真らしい仕上がりになった。太陽を画面に入れているが、レンズの性能が高く、気になるようなゴースト・フレアはほぼ発生していない。スマートフォンのカメラ機能としては逆光に強いほうではないだろうか。また、この写真はオートホワイトバランスで撮っているが、朝日が昇った時間帯の雰囲気をうまく再現できている。

作例3 色被りなくクリアに仕上げてくれる

24mmレンズ、感度:ISO100、シャッタースピード:1/800秒、絞り値:F4.0、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー:オート<br>撮影写真(4032×3024)

24mmレンズ、感度:ISO100、シャッタースピード:1/800秒、絞り値:F4.0、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー:オート
撮影写真(4032×3024)

青色(青空)と黄色(イチョウ)という補色の関係にある被写体を撮影してみたが、とてもクリアな描写が得られた。こういったシーンの場合、どちらかの色に寄ってしまって青みがかった色合い(もしくはアンバーな色合い)になりがちだが、正確なオートホワイトバランスによって、色被りのないすっきりとした写真に仕上がっている。青空がつぶれることなくトーンが出ているのもすばらしい。

作例4 高性能AF&高速連写でスポーツの撮影にも対応できる

24mmレンズ、感度:ISO100、シャッタースピード:1/2000秒、絞り値:F2.0、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー:オート<br>撮影写真(3024×4032)

24mmレンズ、感度:ISO100、シャッタースピード:1/2000秒、絞り値:F2.0、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー:オート
撮影写真(3024×4032)

レイアップシュートの動作を約40枚連写した中の8コマを並べたもの。ピントは人物に合い続けてくれた

レイアップシュートの動作を約40枚連写した中の8コマを並べたもの。ピントは人物に合い続けてくれた

ほぼ画面全域で像面位相差AFに対応する24mmレンズ+1.0型センサーのAFは“爆速”で、動く人物への追従性も高い。「RX100 VII」と比べてもそん色ないくらいの高性能で、スポーツやダンスなど人物が素早く動くシーンにも対応することが可能だ。追従性にすぐれた高速AFは、被写体距離を瞬時に計算する3D iToFセンサーがAFをサポートしているのも大きな要因なのだろう。この作例はレイアップシュートの一連の動作を連写したものになるが、高速AFと高速連写によって、シュートをする瞬間を確実にとらえることができた。動体撮影で24mmという広い画角をどう生かすのかは難しいところがあるが、この作例では、縦位置構図にして画面にリングを入れることでパースの効いた絵にしてみた。

作例5 日没直後の難しい夜景もキレイに撮れる

24mmレンズ、感度:ISO100、シャッタースピード:1/15秒、絞り値:F2.0、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー:オート<br>撮影写真(4032×3024)

24mmレンズ、感度:ISO100、シャッタースピード:1/15秒、絞り値:F2.0、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー:オート
撮影写真(4032×3024)

日没直後の時間に撮影した夜景作例。この時間帯の空は微妙なトーンと色になるため難しいシーンとなるが、オートホワイトバランスでかなり正確に再現してくれた。F値をF2.0に設定しているが、画像周辺の点光源が極端に流れるような感じはない。レンズの光学性能の高さを感じる1枚だ。

作例6 感度が上がってもノイズが少なく高画質

24mmレンズ、感度:ISO500、シャッタースピード:1/8秒、絞り値:F2.0、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー:オート<br>撮影写真(4032×3024)

24mmレンズ、感度:ISO500、シャッタースピード:1/8秒、絞り値:F2.0、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー:オート
撮影写真(4032×3024)

ショーウィンドウに展示されているミニチュアの車をF2.0で撮影。感度はISO500まで上がっているが、高感度ノイズはよく抑えられている。あわせて、強力な光学式手ブレ補正のおかげで、1/8秒の低速シャッタースピードでもブレのないシャープな画質に仕上がったのもポイント。また、約60%クロップのため1.0型センサー本来のボケ量が得られるわけではないが、ボケの質が滑らかなのも好感が持てる。なお、24mmレンズの最短撮影距離は12cm程度となっている。

作例7 長秒シャッターでもノイズが少ない

24mmレンズ、感度:ISO100、シャッタースピード:30秒、絞り値:F4.0、ホワイトバランス:蛍光灯、Dレンジオプティマイザー:オート<br>撮影写真(4032×3024)

24mmレンズ、感度:ISO100、シャッタースピード:30秒、絞り値:F4.0、ホワイトバランス:蛍光灯、Dレンジオプティマイザー:オート
撮影写真(4032×3024)

カメラアプリ「Photography Pro」では、マニュアル露出時に最長30秒のシャッタースピードを選択できる。本作例では、レンズ前面にゼラチンNDフィルターを工夫して装着し、観覧車のライトアップと車のヘッドライトの光跡をシャッタースピード30秒で記録してみた。長秒シャッタースピード時はノイズが浮いてくることがあるが、24mmレンズ+1.0型センサーでは気になるような画質の劣化は見られない。夜景や星景の撮影にも活用できるクオリティではないだろうか。

あわせて、16mmレンズと50mmレンズで撮影した作例も以下に掲載しておこう。やや彩度が高いところはあるが、24mmレンズの雰囲気に近く、比較的自然な色合いが得られるようになっている。

16mm超広角レンズ作例

16mmレンズ、感度:ISO64、シャッタースピード:1/3200秒、絞り値:F2.2、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー:オート<br>撮影写真(4032×3024)

16mmレンズ、感度:ISO64、シャッタースピード:1/3200秒、絞り値:F2.2、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー:オート
撮影写真(4032×3024)

16mmのワイドな画角を生かすため、手前に被写体(柵)を入れることで奥行感のある絵にしてみた。光の条件がよい時に撮影しているが、思った以上にクリアな画質に仕上がっている。16mmレンズ選択時は、設定メニューの「超広角レンズ補正」にて「画質優先」と「歪み補正優先」のどちらかを設定できるが、この作例は「歪み補正優先」を選択。歪曲収差が抑えられており、周辺まで直線が気持ちよく伸びている。

50mm標準レンズ作例

50mmレンズ、感度:ISO64、シャッタースピード:1/1250秒、絞り値:F2.4、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー:オート<br>撮影写真(4032×3024)

50mmレンズ、感度:ISO64、シャッタースピード:1/1250秒、絞り値:F2.4、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー:オート
撮影写真(4032×3024)

16mmレンズや24mmレンズは画角が広いため、何気なく撮っていると散漫な絵になり、使いこなすのが難しいところがあるが、50mmレンズは自然な画角のため、気軽なスナップで使いやすいのがよい。この作例では若干アンバー気味の色合いになっているが、コントラストが高く、印象的な仕上がりになった。

(参考)1.0型コンデジ「RX100 VII」との画質比較

ここでは、「Xperia PRO-I」の24mmレンズ+1.0型センサーと、同様に1.0型センサーを搭載するコンデジ「RX100 VII」の画質比較を参考までにお届けしよう。

「Xperia PRO-I」と「RX100 VII」の違いを整理しておくと、「Xperia PRO-I」は焦点距離24mm相当(35mm判換算)の単焦点レンズ(F2.0/F4.0の切り替えが可能)と1.0型センサーの組み合わせで、実記録はセンサーサイズの約60%クロップとなる有効約1200万画素。「RX100 VII」は、焦点距離24mm相当〜200mm相当(35mm判換算)に対応する高倍率ズームレンズ(24mm時の開放F値はF2.8)と1.0型センサーの組み合わせで、有効画素数は約2010万画素。

画素数が異なるのと、同じJPEG記録でも圧縮率が大きく異なるため(「Xperia PRO-I」のほうが圧縮率が高い)、さすがに「RX100 VII」のほうが高画質なのは間違いない。ただ、画素ピッチは両者とも2.4μmとなっており、特に高感度撮影において「Xperia PRO-I」が「RX100 VII」の画質にどこまで迫れるのかに注目してほしい。なお、両者はアスペクト比が異なっており、「Xperia PRO-I」は横4:縦3で、「RX100 VII」は横3:縦2。同じ焦点距離24mm相当で比べると、「Xperia PRO-I」は「RX100 VII」と比べて縦に少し長くなる(※横は「RX100 VII」のほうが少し長くなる)。

以下に掲載する画像は、「Xperia PRO-I」と「RX100 VII」を使って同じシーンを焦点距離24mm相当で撮影したものになる。絞り値はF4.0とし、シャッタースピードと感度も両者でそろえている。「RX100 VII」の仕上がり設定「クリエイティブスタイル」は初期設定の「スタンダード」とした。また、「RX100 VII」の切り出し画像は、画像サイズを約1200万画素にリサイズしたものから切り出している。

感度:ISO100での比較

感度:ISO100、シャッタースピード:1/250秒、絞り値:F4.0、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー:オート<br>Xperia PRO-Iの撮影画像<br>RX100 VIIの撮影画像

感度:ISO100、シャッタースピード:1/250秒、絞り値:F4.0、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー:オート
Xperia PRO-Iの撮影画像
RX100 VIIの撮影画像

ピント位置の切り出し画像

ピント位置の切り出し画像

周辺部の切り出し画像

周辺部の切り出し画像

構図に由来する周辺の歪みが出ないように、できる限り水平・垂直を出して撮影しているが、両者とも気になるような歪曲収差は抑えられている。細かいところの描写を見ると、「Xperia PRO-I」はやや輪郭強調が強く、「RX100 VII」のほうが自然な描写に仕上がっている。周辺部については、「Xperia PRO-I」のほうが、わずかではあるがハイライトでの色にじみが抑えられていてシャープな仕上がりだ。ほかのシーンでも何枚か同様のテストをしてみたが、周辺部の画質は「Xperia PRO-I」のほうがわずかに上回る結果になることが多かった。これは、単焦点レンズと高倍率ズームレンズによる性能の違いも大きいと思われる。

画像処理の傾向はとても似ているが、色合いについては、「Xperia PRO-I」はややアンバーで自然な感じで、「RX100 VII」は若干青みが強くなった。なお、「RX100 VII」にはオートホワイトバランスの優先設定が用意されており、初期設定の「標準」から「雰囲気優先」に変えて試してみたが、色合いは特に変化しなかったことを付け加えておこう。写りに大きく影響する人工光源がある場合は違いが出るが、この作例のように、人口光源がなく比較的明るい状況では優先設定による違いはほぼない。

感度:ISO800での比較

感度:ISO800、シャッタースピード:1/50秒、絞り値:F4.0、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー:オート<br>Xperia PRO-Iの撮影画像<br>RX100 VIIの撮影画像

感度:ISO800、シャッタースピード:1/50秒、絞り値:F4.0、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー:オート
Xperia PRO-Iの撮影画像
RX100 VIIの撮影画像

ピント位置の切り出し画像

ピント位置の切り出し画像

周辺部の切り出し画像

周辺部の切り出し画像

この作例では、少しだけ上にあおって撮影している。注目点はノイズ耐性で、「RX100 VII」と比べると「Xperia PRO-I」は暗部でノイズが乗っているものの、かなり健闘していると言えよう。なお、プログラムオートで試した限り、24mmレンズ+1.0型センサーの自動露出は、強力な光学式手ブレ補正を搭載しているため、最長1/4秒までシャッタースピードを遅くする設定になっており、暗いところでも夜の街並みや夜景を取る分にはそれほど感度は上がらない。動体の動きを止めたい場合は別として、多くのシーンはISO800よりも低い感度でカバーできるようになっている。

また、この作例でも、両者で画像処理の傾向が似ていることが読み取れる。細かく見比べれば、「Xperia PRO-I」はややアンバーな仕上がりだ。なお、「RX100 VII」のオートホワイトバランスの優先設定を「雰囲気優先」に変えたところ大きく変化し、赤みの強い色合いとなった。

感度:ISO1600での比較

感度:ISO1600、シャッタースピード:1/30秒、絞り値:F4.0、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー:オート<br>Xperia PRO-Iの撮影画像<br>RX100 VIIの撮影画像

感度:ISO1600、シャッタースピード:1/30秒、絞り値:F4.0、ホワイトバランス:オート、Dレンジオプティマイザー:オート
Xperia PRO-Iの撮影画像
RX100 VIIの撮影画像

ピント位置の切り出し画像

ピント位置の切り出し画像

周辺部の切り出し画像

周辺部の切り出し画像

ISO800の比較と同じシーンで撮影している。さすがにISO1600の高感度になると差がわかりやすくなり、「Xperia PRO-I」は全体的にノイズが乗っている。また、「Xperia PRO-I」は彩度がやや高く、色が濃く出ていて、ISO800までの自然な描写とは少々傾向が異なるようになる。ただ、スマートフォンのカメラ機能としてはノイズ耐性にすぐれるのは確かなところで、スマートフォン内での閲覧やSNS用としてであれば、ISO1600の高感度でも問題ない画質と言っていいだろう。

「Xperia PRO-I」の24mmレンズ+1.0型センサーと「RX100 VII」の画質を比較してみて興味深かったのは、両者で実効感度がほぼ変わりなく、同じシーンを同じ露出値で撮った場合、色合いなど仕上がりの違いは別として、似たような明るさの写真になること。スマートフォンのカメラ機能では、実効感度を低くすることで、ハイライトを残しつつ、シャドーを持ち上げる処理をするものも見られるが(※残念ながら一眼カメラでも同じ処理を行うメーカー・カメラもある)、「Xperia PRO-I」(の特に低感度)ではそういったことはない。このあたりの使用感も一般的なスマートフォンとは異なるところで、一眼カメラやコンデジと似た感覚で露出値を調整できるようになっている。

4K/120p記録に対応。扱いやすい新アプリ「Videography Pro」も搭載

最後に「Xperia PRO-I」の動画撮影についても簡単に触れておこう。

「Xperia PRO-I」は充実した動画撮影機能を搭載しており、24mmレンズ+1.0型センサーでは、4K(3840×2160)動画は24p(23.98p)、30p(29.97p)、60p(59.94p)に加えて、若干画角が狭くなるものの、H.265(HEVC)コーデックでの120p(119.88p)記録にも対応(※16mmレンズと50mmレンズは30pまでの対応)。いずれのフレームレートでもHDR記録を設定することが可能だ。一眼カメラでも高性能モデルに限定される4K/120pハイフレーム撮影を実現しているのは大きな注目点である。

「Xperia PRO-I」を使って4K/120pで記録した動画。24p再生にすることで5倍のスローモーション映像となる

AFも高性能で、「Xperiaシリーズ」として初めて動画撮影時の「瞳AF/オブジェクトトラッキング」に対応。また、24mmレンズには、ソニー独自のアルゴリズムを使って光学式手ブレ補正を強化した「FlawlessEye対応のハイブリッド手ブレ補正」を搭載している。後述する新アプリ「Videography Pro」で試した限り、手ブレ補正が有効なのは4K/30p記録までで、画角も狭くなるが、強力に手ブレを抑えることができた。

また、「Xperia PRO-I」では、動画撮影用の標準アプリとして、「Xperia 1 III」にも搭載された「Cinematography Pro」に加えて、より手軽に動画撮影を楽しめる「Videography Pro」が新たに追加されている。今回、「Cinematography Pro」と「Videography Pro」の両方を初めて使用したが、「Cinematography Pro」は本格的な映像制作用のアプリで、8種類のLookを使えるのが魅力。ただし、再生フレームレートごとの撮影ということもあって扱いがやや難しいところがある。これに比べると、新アプリの「Videography Pro」はシンプルなUIで直感的に操作・設定することが可能。普段使いであれば「Videography Pro」をメインに使ったほうがいいだろう。

新しい動画撮影アプリ「Videography Pro」の画面。AF/MFをワンタッチで切り替えられるほか、ズーム操作も画面上で行える。メニューはボタンがわかりやすく並んでおり、手ブレ補正やスローモーションのオン・オフなどを設定できる

新しい動画撮影アプリ「Videography Pro」の画面。AF/MFをワンタッチで切り替えられるほか、ズーム操作も画面上で行える。メニューはボタンがわかりやすく並んでおり、手ブレ補正やスローモーションのオン・オフなどを設定できる

気になったのは、試作機で試した限り、「Cinematography Pro」と「Videography Pro」で基本的な機能に違いがあること。再生フレームレートを選択できる「Cinematography Pro」は4K/120p動画を最大5倍のスローモーション映像として記録できるいっぽうで、「Videography Pro」ではスローモーション化できるのは4K/60pまでとなっていた。手ブレ補正を有効にできる記録設定も両アプリで異なっていて、使い始めは少々とまどう。「Cinematography Pro」はプロ向け、「Videography Pro」は一般ユーザー向けで、撮影の目的にあわせて機能を差別化したアプリとはいえ、基本的なところはもっと共通化してもよかったのではないだろうか。

もう1点残念なのは、「Cinematography Pro」のLookの話になるが、ソニーのデジタルシネマカメラ「VENICE」で採用されている「s709」の色合い・色彩を再現した「VENICE CS」には対応しているものの、「αシリーズ」の標準的なガンマカーブ「S-Log」に非対応なこと。せっかくの4K/120p記録対応なので、「S-Log」に対応していれば、「αシリーズ」の一眼カメラと組み合わせた際のグレーディングがやりやすく、より活用しやすくなるはずだ。

別売オプションとして、Vlog撮影用のモニター「Vlog Monitor(XQZ-IV01)」を用意。同梱のケーブルで「Xperia PRO-I」と接続することで、アスペクト比16:9の3.5型液晶モニターに「Photography Pro」もしくは「Videography Pro」の撮影画面を表示することが可能。Bluetooth対応のシューティンググリップ「GP-VPT2BT」と組み合わせることで、1.0型センサーでの高画質なセルフィー撮影を楽しむことができる

別売オプションとして、Vlog撮影用のモニター「Vlog Monitor(XQZ-IV01)」を用意。同梱のケーブルで「Xperia PRO-I」と接続することで、アスペクト比16:9の3.5型液晶モニターに「Photography Pro」もしくは「Videography Pro」の撮影画面を表示することが可能。Bluetooth対応のシューティンググリップ「GP-VPT2BT」と組み合わせることで、1.0型センサーでの高画質なセルフィー撮影を楽しむことができる

「Xperia PRO-I」を使って撮影した4K動画をもとに、PCで編集・制作した2分程度の4Kムービー。撮影は、「Xperia PRO-I」とシューティンググリップ「GP-VPT2BT」を組み合わせて手持ちで行っている。簡単なグレーディング(コントラストと彩度の調整)を行ったので撮って出しというわけではないが、シャープネスとノイズに関しての追加処理は行っていない。なお、本ムービーのオーディオには、FLASH☆BEATさん制作のフリー素材『Winter Sign』を使用している。

まとめ 本格的な写真・映像制作に活用できる高機能を実現。4K/120p記録ツールとしても活用できる

以上、「Xperia PRO-I」のカメラ機能についてレビューした。注目の静止画撮影の画質(24mmレンズ+1.0型センサーの画質)については、1.0型センサーのポテンシャルを生かした、自然な階調性が得られるのが最大の特徴だ。高品位な画質はSNS用として使用するだけでは少々もったいなく、本格的な写真制作用に活用してみたいと感じさせるものとなっている。スナップや風景などもいいが、本領を発揮するのは高性能AFを生かしたスポーツやダンスなどのシーンになるだろう。

動画撮影についても、SNS用としてのみ使用するのはもったいないくらいの高機能となっている。4K/120p記録に対応しており、スローモーション映像を生かした本格的な4K映像の制作ツールとして使用することが可能だ。一眼カメラでも現状、4K/120p 記録に対応しているのは一部の高性能モデルに限られており、4K/120p記録ツールとして本機を活用しても面白いだろう。特に、4K/30p・60p記録までの一眼カメラを所有する人にとって、本機の4K/120p記録は魅力的に写るはずだ。

端末の販売価格は198,000円(税込)。けっして安い製品ではないが、「Xperia 1 III」の基本スペックをベースに、ハイレベルな静止画・動画撮影機能を搭載していることを考慮すると妥当な価格と言えるのではないだろうか。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

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