レビュー

小さくて静かでパワフル!「Mac Studio」&「Studio Display」レビュー

アップルからデスクトップの新モデル「Mac Studio」が登場した。「Studio」という名前の通り、高いパフォーマンスを求めるクリエイターやミュージシャン、プログラマーなどのニーズに応えるコンパクトかつ超高性能なマシンだ。Macのデスクトップの中では、「iMac」や「Mac mini」よりもパワフルで、「Mac Pro」よりリーズナブルでコンパクトという、既存モデルにはなかったセグメントの製品と言える。短い時間だが、「Apple M1 Maxチップ」を搭載したMac Studioと一緒に発売された27インチの5Kディスプレイ「Studio Display」を試せたので、ファーストインプレッションをお届けしたい。

Mac StudioをStudio Displayと組み合わせて試した

Mac StudioをStudio Displayと組み合わせて試した

「Mac mini」2.6台分と背は高いがコンパクトなボディ

まずは外観からチェックしていこう。Mac Studioの本体サイズは19.7(幅)×19.7(奥行)×9.5(高さ)cm。Mac miniと設置面積は同じだが、高さはMac miniの2.6台分とやや背が高い。この高さ分は、ほぼ排熱システム分と考えられる。重量は今回試したM1 Maxモデルが2.7kg、上位版のM1 Ultraモデルが3.6kg(M1 Ultraモデルはヒートシンクが銅製なのでその分重い)。1.2kgのMac miniと比べると、M1 Maxモデルでも倍以上重い。

内部のスケルトン画像。本体の上部には排熱システムの巨大なファンが組み込まれている。底面から吸気し、背面から排気する仕組み。動作中は背面から静かに風が吹き出ている(アップルのホームページより)

内部のスケルトン画像。本体の上部には排熱システムの巨大なファンが組み込まれている。底面から吸気し、背面から排気する仕組み。動作中は背面から静かに風が吹き出ている(アップルのホームページより)

80%再生アルミニウムを使用したボディは、アップルらしいシンプルでミニマムなデザイン。天面にアップルのロゴがある以外、装飾らしい装飾はない。背面に小さな丸い電源ボタンがあり、オンにすると前面の小さなLEDが白く光るくらいだ。利用時は見えない底面にMac Studioという文字が大きく彫り込まれている。

化粧箱は「Power Mac G4 Cube」を思い出させる形状

化粧箱は「Power Mac G4 Cube」を思い出させる形状

「14インチMacBook Pro」(2021年モデル)と並べてみた。Mac miniよりも高さはあるが、コンパクトなので机の上や下、棚などいろいろなところに置けそうだ

「14インチMacBook Pro」(2021年モデル)と並べてみた。Mac miniよりも高さはあるが、コンパクトなので机の上や下、棚などいろいろなところに置けそうだ

底面にMac Studioという文字が彫り込まれている。ゴム足は滑り止めというより、本体を簡単に動かせるようにするために滑りがいい。背面に電源ボタンがあるので、動かすことを想定した配慮なのかもしれない

底面にMac Studioという文字が彫り込まれている。ゴム足は滑り止めというより、本体を簡単に動かせるようにするために滑りがいい。背面に電源ボタンがあるので、動かすことを想定した配慮なのかもしれない

Macなのに外部インターフェイスが豊富

今回試したM1 Maxモデルは前面に転送速度が最大10GB/sのUSB-Cポートが2基(M1 Ultra版はThunderbolt 4ポートが2基)、それにフルサイズのSDXCメモリーカードスロット(UHS-II)が搭載されている。SDXCメモリーカードスロットがあるのは、写真や動画を扱うクリエイターにはありがたいはず。

背面はM1 MaxモデルもM1 Ultraモデルも共通で、転送速度が最大40GB/sのThunderbolt 4ポートを4基、USB-Aポート(転送速度最大5GB/s)を2基、10Gbのイーサネット、HDMI(2.0)、3.5mmのヘッドホンジャックを備える。3.5mmヘッドホンジャックと電源ボタンは前面にあったほうがよかったが、前述の通り本体を簡単に動かせるので、置き方にもよるだろうが不便には感じなかった。これだけ充実した外部インターフェイスを備えるMacは久しぶりに見た。多くの周辺機器を接続したいパワーユーザーには心強いモデルと言えるだろう。

M1 Maxモデルは前面にUSB-Cポート(転送速度最大10GB/s)を2基、SDXCメモリーカードスロット(UHS-II)を備える。USB-Cポートはジャストサイズなのか、抜き差し時に少し力を必要だった。逆に抜けにくいとも言える

M1 Maxモデルは前面にUSB-Cポート(転送速度最大10GB/s)を2基、SDXCメモリーカードスロット(UHS-II)を備える。USB-Cポートはジャストサイズなのか、抜き差し時に少し力を必要だった。逆に抜けにくいとも言える

背面には4基のThunderbolt 4ポートやイーサネット、2基のUSB-A、HDMI(2.0)、3.5mmヘッドホンジャックと外部インターフェイスがぎっしり

背面には4基のThunderbolt 4ポートやイーサネット、2基のUSB-A、HDMI(2.0)、3.5mmヘッドホンジャックと外部インターフェイスがぎっしり

M1 Maxでも十分パワフル! さらに上の選択肢もあるのがスゴイ

続いてパフォーマンスをチェックしていきたい。今回試したMac Studioのスペックは以下の通り。上位版のM1 Ultraモデルではないが、M1 Maxモデルのオプションで、チップ、メモリー、ストレージを強化したモデルだ。アップルストア価格は381,800円(税込、2022年3月24日時点)。

チップ:Apple M1 Maxチップ(10コアCPU、32コアGPU、16コアNeural Engine)
メモリー:64GBユニファイドメモリー
ストレージ:2TB SSD
アップルストア価格:381,800円(税込)

CPUの性能を測定する定番ベンチマークアプリ「CINEBENCH R23」の結果はシングルコアが1537、マルチコアが12359。以前試した、8コアCPU・7コアGPUのM1を搭載する「MacBook Air」のシングルコアが1493、マルチコアが7278だった。シングルコアの差わずかだが、マルチコアでは10コアCPUのM1 Maxを搭載したMac Studioのほうが2倍に迫るスコアを記録した。10コアCPU・16コアGPUのM1 Proを搭載した「16インチMacBook Pro」はシングルコアが1532、マルチコアが12319と、同じ10コアCPUということでほぼ同じスコアだった。

CINEBENCH R23の結果

CINEBENCH R23の結果

同じく定番ベンチマークアプリの「Geekbench 5」の結果はシングルコアが1774、マルチコアが12845。こちらも前述のM1 Proを搭載した16インチMacBook Proとほぼ同じ結果だった。違いはコア数の違うGPUだ。Geekbench 5のConpute(Metal)の結果は32コアGPUのMac Studioが68562、16コアGPUの16インチMacBook Proが41995と大きな差が見られた。M1 Proのすごさもわかったが、グラフィック性能を重視する作業にはMac Studioのほうが向いていると言えそうだ。

Geekbench 5のCPUの結果

Geekbench 5のCPUの結果

Geekbench 5のCompute(Metal)の結果。コアの数だけ性能は上がるようで、16コアGPUのM1 Proよりも、32コアGPUのM1 Maxのほうが高いスコアを記録した

Geekbench 5のCompute(Metal)の結果。コアの数だけ性能は上がるようで、16コアGPUのM1 Proよりも、32コアGPUのM1 Maxのほうが高いスコアを記録した

上位モデルのM1 Ultraは2つのM1 Maxチップをつなげたもの。「Ultra Fusion」アーキテクチャと呼ばれ、2つのチップは2.5TB/sの帯域幅でつながっている。試していないので、何とも言えないが、コア数が純粋に倍になるので、M1 Maxよりも高いパフォーマンスを期待できるだろう。

実利用でもM1 Maxのパフォーマンスの高さを体感できた。映像編集アプリ「Final Cut Pro」では、最大9ストリームの8K ProResビデオ再生が可能。M1 Ultraモデルではその倍の18ストリームになるのだから驚異的だ。写真編集アプリ「Lightroom」も数百枚の写真を引っかかることなくプレビューでき、プリセットの一括適用も超高速。UHS-II対応のSDXCメモリーカードからのデータの取り込みもスムーズだった。アプリ開発ソフト「Xcode」でも何台ものiPhone、iPadを同時にシミュレーションでき、アプリ開発を加速させてくれるだろう。クリエイターやプログラマーの高い要求に十分応えられるモデルと言える。

Final Cut Proで8K動画を使って簡単な編集をしてみたが、プレビューが高速でストレスなく映像編集ができそうだ。メディアエンジンを搭載している効果も大きいと思われる。4K動画やフルHD動画なら、さらに軽快に扱えるだろう

Final Cut Proで8K動画を使って簡単な編集をしてみたが、プレビューが高速でストレスなく映像編集ができそうだ。メディアエンジンを搭載している効果も大きいと思われる。4K動画やフルHD動画なら、さらに軽快に扱えるだろう

Lightroomでの写真の現像もサクサク。数百枚の写真を瞬時に表示でき、写真選択をスムーズに行える

Lightroomでの写真の現像もサクサク。数百枚の写真を瞬時に表示でき、写真選択をスムーズに行える

Xcodeでは同時に多くのシミュレーションが可能

Xcodeでは同時に多くのシミュレーションが可能

Mac Studioは強力な排熱システムにより、高いパフォーマンスを長時間発揮できるのがポイント。高負荷な作業を長時間行う人には、MacBook ProよりもMac Studioのほうが向いているだろう。また、ベンチマーク中やFinal Cut Proでの作業中に動作音が全然しないのも特筆すべき点だ。M1 Maxのすぐれた電力効率に加え、大きな排熱システムを搭載していることも大きいのだろう。常にファンは回転しており、背面から風は出ているが、音はしないのだ。「Logic Pro」で音を録音するときもMac Studioの静かさはありがたいはず。

さらに、高いパフォーマンスを求めるなら、Mac StudioのM1 Ultraモデルもあり、モジュール式の「Mac Pro」もある。Mac ProのM1チップ化も予想されるので、M1チップからスタートしたMacの高性能化はまだまだ続くと思われる。

「センターフレーム」対応、高画質&高音質「Studio Display」

最後に、Mac Studioと一緒に発表されたStudio Displayをチェックしていこう。アップルから比較的購入しやすいディスプレイが登場するのは久しぶり。購入しやすいとはいえ、アップルストア価格は標準ガラスモデルが199,800円(税込)から、映り込みの少ないNano-textureガラスモデルが242,800円(税込)からと、なかなかいい値段はする。それでも582,780円(税込)からの「Pro Display XDR」よりもだいぶ安いのも事実。

今回試したのは傾きを調整できるスタンド搭載Studio Display。標準ガラスモデルだが、映り込みはかなり抑えられている。ディスプレイの下にStudio Displayがすっきり収まるのもポイント

今回試したのは傾きを調整できるスタンド搭載Studio Display。標準ガラスモデルだが、映り込みはかなり抑えられている。ディスプレイの下にStudio Displayがすっきり収まるのもポイント

背面はシンプルなデザインで、中央にアップルのロゴが配置されている。Pro Display XDRのような格子模様ではない

背面はシンプルなデザインで、中央にアップルのロゴが配置されている。Pro Display XDRのような格子模様ではない

表示品質は文句なし。27インチ5KのRetinaディスプレイは、文字はシャープで、写真や動画をリッチな色で映し出してくれる。HDRには対応していないが、P3の広色域をカバーし、600ニトという輝度も自宅で使う分にはまったく不満はなかった。Pro Display XDRの1600ニトと比べたら暗いが、十分すぎる明るさだ。9種類のリファレンスモードがあり、写真や動画などユーザーの扱うコンテンツに合わせた環境を構築できる。

表示品質のほかに感動したのがサウンドとカメラ。6つのスピーカーが組み込まれており、空間オーディオにも対応する。「Apple Music」で空間オーディオ対応の楽曲を再生すると、後ろからもはっきりと音が聞こえてくる。3つのマイクも搭載されており、ビデオ通話もクリアな音で参加可能だ。

スピーカーが組み込まれているため、厚みは2cmほどある

スピーカーが組み込まれているため、厚みは2cmほどある

カメラは1200万画素の広角カメラが組み込まれており、「iPad」でおなじみの「センターフレーム」が使える。自動で画面内(中央)に人を収めてくれる機能で、画面の前で動きながら話すようなビデオ会議時などに非常に便利だ。「Face Time」はもちろん、「Webex」や「Zoom」でも利用できる。カメラの画質は5Kディスプレイなのか、少しだけ粗く見えるときはあるものの、ビデオ会議やビデオ電話には十分な画質だった。

Studio Displayには「A13 Bionicチップ」が組み込まれており、これらの機能を実現している。「Hey Siri」も利用可能で、ディスプレイの輝度調整などが音声でできる。

Mac Studioと相性抜群のStudio Displayだが、気になる点もある。入力がThunderbolt 3ポートの1基しかなく、HDMIやDisplayPortがないのだ。電源ボタンや入力切り替えのボタンはなく、接続した機器を見てソフトウェアで制御される。そのため入力を切り替えるには物理的にケーブルを差し替えるしかない。スタンドも注意が必要だ。傾きだけ調整できるスタンドでは高さを調整できない(その代わり、ディスプレイの下にMac Studioをすっきり設置できる)。高さを調整した場合は、+44,000円で傾きと高さを調整できるスタンドを最初に選ばなければならない。

入力はThunderbolt 3(USB-C)ポート1基(一番右)。96Wのホスト充電も可能で、MacBook Proも余裕で充電できる。3基のUSB-3ポートは周辺機器、ストレージ、ネットワーク接続用(転送速度は最大10GB/s)

入力はThunderbolt 3(USB-C)ポート1基(一番右)。96Wのホスト充電も可能で、MacBook Proも余裕で充電できる。3基のUSB-3ポートは周辺機器、ストレージ、ネットワーク接続用(転送速度は最大10GB/s)

傾きを調整できるスタンドは、−5°〜+25°で傾きを調整できる。軽い力で傾きは変えられる。高さを調整したい場合は、「傾きと高さを調整できるスタンド」をオプションで選択する必要がある。1mのThunderboltケーブル(写真右)が同梱される

傾きを調整できるスタンドは、−5°〜+25°で傾きを調整できる。軽い力で傾きは変えられる。高さを調整したい場合は、「傾きと高さを調整できるスタンド」をオプションで選択する必要がある。1mのThunderboltケーブル(写真右)が同梱される

Studio Displayと互換性があるのはmacOS Monterey 12.3以降を搭載した以下のMacおよびiPadOS 15.4以降を搭載したiPad Pro(第3世代以降)、11インチiPad Pro、iPad Air(第5世代)。MacBook Proにつなげて大画面で作業できるのはもちろん、27インチiMacと接続してデュアルディスプレイ環境を構築するなど使い方はいろいろだ。

Studio Displayと互換性のあるMacとiPad(アップルのホームページより)

Studio Displayと互換性のあるMacとiPad(アップルのホームページより)

14インチMacBook Pro(2021年モデル)と接続

14インチMacBook Pro(2021年モデル)と接続

iPad Air(第5世代)と接続

iPad Air(第5世代)と接続

iPad Air(第5世代)とはユニバーサルコントロール(ベータ版)でつなげることも可能。Mac Studioのマウスを使って、iPad Air(第5世代)内の画像をMac Studioにコピーしている様子

iPad Air(第5世代)とはユニバーサルコントロール(ベータ版)でつなげることも可能。Mac Studioのマウスを使って、iPad Air(第5世代)内の画像をMac Studioにコピーしている様子

Windowsパソコンでも動作するか試してみた。結論から言うと、映像はもちろん、マイクもスピーカーもカメラも普通に使えた。「センターフレーム」と「Ture Tone」は動かなかったが、Windowsパソコンでもここまで動けば十分かもしれない。

互換性はないが、Windowsパソコンでも問題なく動作する。入力切り替えがないので、MacとWindowsの両方で使う場合はThunderboltケーブルを差し替えなければならない

互換性はないが、Windowsパソコンでも問題なく動作する。入力切り替えがないので、MacとWindowsの両方で使う場合はThunderboltケーブルを差し替えなければならない

まとめ

Mac Studioはコンパクトかつパワフルなデスクトップだ。今回試したM1 MaxモデルでもCPUとGPUのパワーの高さを存分に味わえた。ゲーミングPCなど高性能なPCは動作音がどうしても気になるが、Mac Studioは高負荷な作業も静かにこなしてくれるのが印象的だった。上位モデルのM1 Ultraのパワーがどれだけなのか気になるが、M1 Ultraモデルのアップルストア価格は499,800円(税込)からと価格もウルトラだ。それに対してM1 Maxモデルのアップルストア価格は249,800円(税込)からと、比較的購入しやすい価格設定となっている。

Studio Displayは、入力が1ポートとクセはあるが、Mac Studioとの相性は抜群。一緒に購入して「27インチiMac」のように使うのもありだ。Mac StudioとStudio Displayは、27インチiMacからの買い替え用として十分すぎるパワーと表示クオリティを備えている。

三浦善弘(編集部)

三浦善弘(編集部)

ガジェットとインターネットが好きでこの世界に入り、はやいもので20年。特技は言い間違いで、歯ブラシをお風呂、運動会を学芸会、スプーンを箸と言ってしまいます。お風呂とサウナが好きです!

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