ワコムは2022年9月28日、液晶ペンタブレット(液タブ)の新モデル「Cintiq Pro 27」を10月12日に発売すると発表した。4K表示対応の26.9型液晶ディスプレイを搭載したプロ向けのフラグシップモデル。カスタマイズ性を重視した新しいペン「Pro Pen 3」が付属する。ワコムストア価格は481,800円(税込)。
「Cintiq Pro 27」と別売の「Cintiq Pro 27 Stand」
「Cintiq Pro 27」は26.9型のディスプレイを搭載する液晶ペンタブレット。プロのクリエイターの声を反映して作られた、ワコム史上最高のこだわりを結集したというフラグシップモデルだ。
ディスプレイは3840×2160の4K解像度で、10億7374万色の表示に対応。DCI-Pカバー率98%、Adobe RGBカバー率99%と業界の基準となる色域を広くカバーする。また、リフレッシュレートを120Hzに高め、これまでよりも滑らかな書き心地を実現しているという。そのほか、HDRガンマへの対応、Pantone認証とPantone SkinTone認証を取得するなど、高品質なディスプレイを搭載している。
23.6型の「Cintiq Pro 24」や31.5型の「Cintiq Pro 32」は、手を置くスペースとしてベゼルを太めにしているが、「Cintiq Pro 27」では4辺いずれも約20mmと細くなった。これにより「Cintiq Pro 24」とほぼ同じサイズ感を実現。狭いテーブルの上などにも設置できるという。
ベゼルが約20mmの狭額縁設計の「Cintiq Pro 27」。26.9型の液晶ディスプレイは4K表示とリフレッシュレート120Hzに対応する
付属のペンは新しい「Pro Pen 3」。好みのペンは人それぞれなので、カスタマイズ性を重視し、豊富なカスタマイズパーツが同梱される。このパーツを入れ替えることで、グリップの太さ、サイドスイッチの数、ペンの重心を好みにカスタマイズ可能。カスタマイズは全部で36通りにものぼる。
芯の遊びが小さくなった「Pro Pen 3」
下が「Pro Pen 2」、上が「Pro Pen 3」。「Pro Pen 3」のほうが細くて軽い
カスタマイズパーツで太さや重心、サイドスイッチをカスタマイズできる
ペン先は「Pro Pen 2」と比べ、より細くシャープなデザインに変更され、描画時にペン先が見やすくなっている。また、リフレッシュレート120Hz対応に伴い、遅延の低下や滑らかさも改善したという。
なお、「Cintiq Pro 27」は「Pro Pen 3」だけでなく、「Pro Pen 2」「Pro Pen」も利用できる。
本体の両側にはグリップ型の「ExpressKey」を搭載。ディスプレイ側面に手を添えればフィットするグリップ型で、自然にショートカットを操作できるという。操作性では、マルチタッチ機能、オンスクリーンショットカット、ペンジェスチャーなど制作の効率向上をサポートする機能が盛り込まれている。タブレットドライバーもUIを一新した。
グリップ型の「ExpressKey」
別売のスタンドとして、「Cintiq Pro 27 Stand」を用意。13°〜77.5°の間で角度調整ができるのに加え、時計回り、反時計回りにそれぞれ20°回転できる。縦向きにすることはできず、縦向きで利用したい場合は別売のモニターアームなどを使わなければならない。
別売の専用スタンド「Cintiq Pro 27 Stand」。ワコムストア価格は72,380円(税込)
後ろ側の大きなレバーを下げるとロックされる
本体の上部と側面には、1/4インチネジ(UNC)を計4つ搭載する。別売の拡張テーブルや、ペントレイやカメラ、マイク、LED照明などのアクセサリーを取り付けられる。
上部の1/4インチネジに取り付けられる拡張テーブル(別売)。キーボードや資料などを置ける。これもクリエイターの要望に応えたものだ
外部インターフェイスは、映像入力がUSB Type-C、HDMI、Mini DisplayPortの3系統。USBがUSB Type-CとUSB-A、それに電源ポートを備える。DisplayPort Alt mode対応のパソコンなら、USB Type-Cケーブル1本で接続可能だ。
パッケージはサステナビリティに配慮したエコデザイン。FSC認定の包装材を使用している
「ペンギン・ハイウェイ」「泣きたい私は猫をかぶる」を手がけ、「雨を告げる漂流団地」(劇場公開中&Netflixで独占配信中)が公開中のスタジオコロリドのアニメーション監督の石田祐康氏が「Cintiq Pro 27」を試した。
ガジェット好きの石田監督は「Cintiq Pro 24」を利用中で、以前からワコムの液晶ペンタブレットを愛用していたという。石田監督が注目したのは新しい「Pro Pen 3」。
「鉛筆のように細くて軽いペンが好みで、Pro Pen 3はワコムのペンとしては一番細くて軽いので使いやすいです。昔ペン先が見えるように魔改造して、使えなくなったことがありまして(笑い)。なので、Pro Pen 3はペン先が見やすくなったのもうれしいですね。26.9型の大きな画面は、キービジュアルなどポスターのような大きなイラストを描くときによさそうですよね」と語った。
石田監督は鉛筆のように細くて軽い「Pro Pen 3」を高く評価していた
「雨を告げる漂流団地」のキービジュアルに筆を入れる石田監督。表面は「Cintiq Pro 16」に近く滑らかな書き心地だそう
石田監督が「Cintiq Pro 27」で描いたイラスト
ワコムの井出信孝社長。「Cintiq Pro 27」は、営業やデザイン、コールセンターなどいろいろな部門から募ったメンバーで開発した第1弾製品とのこと。開発も「ワコム工房」という新しい取り組みの元、ワンチームで進めたという