円安や半導体の高騰で、スマートフォン全体が値上がりしています。そのいっぽうで、性能や機能を見直すことで低価格を追求したものも増えており、2万円台の製品でも特徴的な製品が選べます。
本特集では、「格安だけど十分なスペックを持つ最新スマホ」として、2万円台の製品から7機種(「AQUOS wish」シリーズ2機種を含む)をセレクトしました。
※本記事で紹介する端末は、2022年1月以降に発売されかつ、2023年5月下旬時点での価格.comの最安価格が2万円台のSIMフリースマホ、あるいは、特定の条件なら2万円台か、それ以下で購入できる通信事業者のスマートフォンです。
※本記事中の価格は税込で統一しています。
値上がり傾向が続く近ごろのスマートフォンを見ると、2万円台というのは相当に割安です。「それだけ安いと、さすがに制約が多いのでは?」と考えてもおかしくありません。しかし、この価格帯の製品は、ここ数年で急速にスペックが向上しており、多くの人が日常的に使うのに十分な実力を備えています。
まずは、最新の2万円台スマートフォンがどういった機能を持っていのかを解説しましょう。
鉄道やバスなどの料金の支払いに使用できる「モバイルSuica」「モバイルPASMO」のほか、「楽天Edy」「iD」「WAON」「nanaco」「QUICPay」といった、おサイフケータイを使ったサービスを利用するには、スマートフォン本体に無線インターフェイス「FeliCa(フェリカ)」が搭載されている必要があります。2万円台の製品は、1万円台と比べて、この「FeliCa」を備えるものがぐっと増加します。
おサイフケータイは利用できるお店が豊富。操作も簡単なのでQRコード決済が普及している現在でもスマホ決済の有力な手段です
この価格帯のスマートフォンは、防水対応のものも増えてきます。防水に対応していれば、雨の中や水回りで使う場合にも安心です。ただし、一口に防水といっても、性能には差があり、水没に耐えられるのはIPX7またはIPX8等級だけとなっています。防水にこだわるならこの点は確認しておきたいところです。
また、浴室で使うことも想定されますが、浴室は石けんや温水といった特殊な条件が重なるので、浴室での使用が明記されたものを選ぶのが無難でしょう。
防水ボディは珍しくありませんが、水没まで耐えられるかが性能を見分けるうえでのポイントです
最近は2万円台のスマートフォンでも5G対応機が増えてきました。5Gは、従来の4Gと比べると、データ通信の速度が速いため、ダウンロードがスムーズで、高品質な動画の視聴にも適しています。また、5Gの対応エリアは近ごろ急速に拡大しており、都市部では自宅で5Gを使える場合が増えています。料金面でも大手通信事業者のプランは4Gと5Gで差はありません。
登場から3年ほど経過した5G。最近はサービスエリアが広がり、利用料金も低下しています。5Gの導入には適したタイミングと言えるでしょう
このように、最新の2万円台のスマートフォンは、おサイフケータイや防水、5Gなどに対応するものが多くなっています。基本的な性能を見ても、SNSでのコミュニケーションや、Webでの調べ物、動画・音楽の再生といった“日常使い”が目的なら十分なレベルです。よりスムーズな動作や高画質なカメラが必要といったこだわりが薄ければ、大きな不満は感じないでしょう。
モトローラのミドルレンジ向け「g」シリーズとしては最も安価な4Gスマートフォン。6.5インチのディスプレイは、1.5倍速の90Hz駆動と576Hzの高速タッチサンプリングレートに対応しており、滑らかな画面スクロールや切れのよい操作が可能です。
さらに、ステレオスピーカーを備えるほか、バーチャルサラウンド技術の「Dolby Atmos」に対応するなど、2万円台としては高いサウンド性能を誇るのも特徴。約5000万画素のメインカメラは4個のサブピクセルをひとつにまとめるピクセルビニングに対応することで、暗い場所でも鮮やかな撮影が行えます。
ソフトバンクおよびワイモバイルで扱われている5G対応のエントリースマートフォン。コストパフォーマンスにすぐれる製品ですが、特に、フルHD+表示に対応した有機ELディスプレイを採用するのがポイント。上位モデルに匹敵するような高精細で、液晶とはひと味違う鮮やかな画面表示が魅力です。
さらに、IPX5/7等級の防水や、おサイフケータイといった、日本で重視される機能にもしっかり対応。用途を選ばずに使える1台と言えるでしょう。
ワイモバイル専売の5Gスマートフォン。搭載される6.5インチの液晶ディスプレイは、HD+表示にとどまりますが、このクラスとしては破格の120Hzの倍速駆動に対応しています。ハイエンドモデルに匹敵する、残像感の少ないスクロールが可能です。また、ステレオスピーカーに加えて「Dolby Atmos」にも対応しており、対応コンテンツで迫力のあるサウンドを楽しめます。
ボディはIP52の防塵・防滴仕様に対応しているほか、おサイフケータイにも対応しており、機能性も十分と言えます。
Orbicは、アメリカのスマートデバイスメーカー。「Orbic FUN+ 4G」は、そのOrbicが日本市場初参入モデルとして投入する価格重視の4Gスマートフォンです。その特徴は、SIMフリーの2万円代の製品としては比較的高めなIP54の防塵・防滴性能を備えていること。
Androidの標準操作をベースに、さらにシンプルさを追求した操作性も魅力です。エントリー機ですがミドルレンジ向けSoC「Snapdragon 680」や4GBのメモリーを搭載することで、一定レベルの性能を確保しているのもポイントと言えます。
日本におけるオッポの人気を定着させた「OPPO Reno A」シリーズの2022年モデル。次世代モデル「OPPO Reno9 A」が登場したことで、本機は、エントリーレベルにまで値下がりが進行しています。
機能面では、日本市場専用モデルとしておサイフケータイやIP68の防塵・防水性能を備えるうえ、90Hzの1.5倍速有機ELディスプレイを採用するなど、総じてそつのない高い性能を誇ります。また、長期間使い続けた際のパフォーマンス低下を抑える独自の「システム劣化防止機能」を搭載するのも特徴です。
「AQUOS wish2」「AQUOS wish」は、ミドルレンジ機「AQUOS sense」シリーズの特徴を受け継ぎながら、さらなる低価格を追求した5G対応モデル。IPX5/7等級の防水性能と耐衝撃性能を持つタフネスボディで、一定の条件下であれば浴室での使用も可能なことが明記されています。シンプルな操作性も特徴で、設定を最小限に抑えたカメラアプリ「Camera Go」などを搭載。おサイフケータイにも対応しています。
「AQUOS wish2」と「AQUOS wish」は、ボディやディスプレイの仕様といった基本部分は共通ですが、搭載されるSoCの種類が異なります。「AQUOS wish2」のほうが処理性能は約3割、グラフィック性能も2割ほど高性能。OSも1世代新しいAndroid 12が使われています。
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