レビュー

性能、品質、価格のすべてが“そこそこ”なのがイイ「dtab Compact d-52C」

スマートフォン、タブレットにはいろんな画面サイズの製品が存在しますが、意外と選択肢が少ないのが8インチ台のタブレットです。スマホが大型化している現在では、ちょっと中途半端なサイズと敬遠する人が多いのかもしれません。しかし、個人的にはA5判、B6判の書籍に近く、手になじむ好みのサイズです。

そんな中、ドコモから2023年3月3日に5G対応の8.4インチAndroidタブレット「dtab Compact d-52C」が登場しました。5G通信可能なタブレットとしては、64,790円(公式サイトの実売価格。税込)と比較的手の届きやすい価格です。さっそく、本製品の使い勝手、パフォーマンスなどをチェックしてみました。

ドコモ/レノボ・ジャパン「dtab Compact d-52C」をレビュー

ドコモ/レノボ・ジャパン「dtab Compact d-52C」をレビュー

8インチ帯で珍しいミドルレンジクラスの基本スペック

「dtab Compact d-52C」はOSに「Android 12」を、SoCにクアルコム「Snapdragon 695」を採用。メモリーは4GB、ストレージは64GBを搭載。メモリーカードスロットが用意されており、最大1TBのmicorSDXCメモリーカードでストレージを増設可能です。

ディスプレイは約8.4インチのWUXGA TFTカラー液晶(1920×1200)を搭載。サウンド面ではDolby Atmos対応のステレオスピーカーを内蔵しています。

カメラは背面に約800万画素(F2.2)を、前面に約800万画素(F2.0)を搭載。LEDフラッシュが内蔵されており、暗所でも撮影が可能です。

通信機能は5G、4G(LTE)、Wi-Fi 5(11ac)、Bluetooth 5.1をサポート。また有線インターフェイスとしてUSB Type-C(USB 2.0)、イヤホンジャックが用意されています。なおSIMはeSIMのみに対応。物理的なSIMカードは装着できません。

本体サイズは約129(幅)×201(高さ)×8.3(奥行)mmで、重量は約318g。5000mAhのバッテリーを内蔵しており、4G(LTE)接続時の連続待ち受け時間は約510時間。IPX3相当の防水性能と、IP5X相当の防塵性能を備えています。

8インチのAndroidタブレットとしては、レノボ・ジャパンから「Lenovo Tab M8」が直販価格18,810円(税込)、NECから「Lavie T8」が直販価格33,800円(税込)で販売されています。しかし、どちらもWi-Fiモデル。また両機種とも画面解像度が1280×800ドットと低く、背面カメラが約500万画素、前面カメラが約200万画素と画素数にも差があります。また、基本スペックも「dtab Compact d-52C」とは差異があります。

「dtab Compact d-52C」は「Lenovo Tab M8」の約3.4倍、「Lavie T8」の約1.9倍の価格設定ですが、5G通信も可能。価格差を納得できるだけの基本スペック、機能性を備えていると言えるでしょう。

ディスプレイは約8.4インチ。HDRには非対応です

ディスプレイは約8.4インチ。HDRには非対応です

本体背面はPMMA(Poly Methyl Methacrylate)という透明性と耐衝撃性にすぐれる透明樹脂でカバー。カラーは今回のミスティーブルーのほかにストームグレーも用意

本体背面はPMMA(Poly Methyl Methacrylate)という透明性と耐衝撃性にすぐれる透明樹脂でカバー。カラーは今回のミスティーブルーのほかにストームグレーも用意

ステレオスピーカーは上面と下面に配置

ステレオスピーカーは上面と下面に配置

メモリーカードスロットには最大1TBのmicroSDXCメモリーカードを装着可能。eSIM専用モデルなので、物理SIMカードは利用できません

メモリーカードスロットには最大1TBのmicroSDXCメモリーカードを装着可能。eSIM専用モデルなので、物理SIMカードは利用できません

AnTuTu Benchmarkの総合スコアは最新ハイエンド機の約28%相当

「dtab Compact d-52C」が搭載する「Snapdragon 695」はミドルレンジクラスのSoC。メモリー(RAM)は4GB、ストレージ(ROM)は64GBと少なめです。というわけでまずは気になるベンチマークスコアからチェックしてみましょう。

定番ベンチマーク3本を実施したところ、「AnTuTu Benchmark」の総合スコアは359052、「Geekbench 6」のMulti-Core Scoreは2034、「3DMark」のWild Lifeは1214を記録しました。記事執筆時点のAnTuTu Benchmarkのランキングトップが「Snapdragon 8 Gen 2」を搭載する「RedMagic 8 Pro+」で、スコアは1304235。つまりdtab Compact d-52Cはその約28%相当のスコアということになります。ベンチマークの「スコア」では、最新ハイエンド機とは大差があることは確かです。

「AnTuTu Benchmark」の総合スコアは359052、「Geekbench 6」のMulti-Core Scoreは2034、Single-Core Scoreは901、「3DMark」のWild Lifeは1214

「AnTuTu Benchmark」の総合スコアは359052、「Geekbench 6」のMulti-Core Scoreは2034、Single-Core Scoreは901、「3DMark」のWild Lifeは1214

なおスタミナ性能については、ディスプレイ輝度とボリュームを50%に設定してYouTube動画を2時間連続再生したところ、バッテリー残量は100%から82%に減りました。つまりバッテリー残量0%まで同条件で連続再生した場合は、単純計算で11時間6分動作することになります。5000mAhのバッテリーを搭載しているだけに、一般的な使い方であれば外出先で継ぎ足し充電をする必要はなさそうですね。

3Dゲームを実用的な速度でプレイ可能、カメラ画質も問題なし

実際に使ってみると、「dtab Compact d-52C」は実用上十分な速度で動作します。3Dバトルロイヤルゲーム「NEW STATE Mobile」をインストールしてみましたが、起動には約40秒とやや時間がかかるものの、実際にゲームが始まればスムーズにプレイ可能。特にコマ落ちなども体感することはなかったです。そして約8.4インチと画面が大きいので、スマホよりも断然プレイしやすかったですね。

画面が大きいので索敵しやすく、画面上のボタンも押しやすいです。4本指プレイでも操作しやすそうです

画面が大きいので索敵しやすく、画面上のボタンも押しやすいです。4本指プレイでも操作しやすそうです

今回、「NEW STATE Mobile」は上記設定でプレイしました。特に画質を下げる必要はなかったです

今回、「NEW STATE Mobile」は上記設定でプレイしました。特に画質を下げる必要はなかったです

いっぽう、カメラのスペックも最新スマートフォンの上位機には及びませんが、実際に撮れる写真はなかなかのクオリティーです。背面カメラ、前面カメラともに室内灯下で明るく、自然な発色で撮影できます。強い色に引っ張られるような現象も発生しません。

超広角や望遠カメラを搭載していないので最新のトリプルカメラほどの自由度はありませんが、メモ代わりに留まらず、SNSに投稿できるレベルの写真を撮影可能です。

カメラは背面に約800万画素(F2.2)、前面に約800万画素(F2.0)を搭載。前面カメラのほうが明るいレンズが使われています

カメラは背面に約800万画素(F2.2)、前面に約800万画素(F2.0)を搭載。前面カメラのほうが明るいレンズが使われています

背面カメラの作例

背面カメラの作例

約8.4インチのWUXGA TFTカラー液晶ディスプレイ(1920×1200ドット)については細かなスペックは公表されていませんが、Webページだけでなく、映像コンテンツや漫画などを鑑賞するのに十分な画質を備えています。

しいて不満点をあげるとすればHDRコンテンツの表示、再生に対応していないこと。Dolby Atmosに対応したステレオスピーカーがなかなかよいサウンドを聴かせてくれるので、映像面でもついつい欲張ってしまいますね。

輝度や色域、コントラスト比などの細かなスペックは公表されていませんが、発色に癖はなく、鮮やかな表示が可能なディスプレイです

輝度や色域、コントラスト比などの細かなスペックは公表されていませんが、発色に癖はなく、鮮やかな表示が可能なディスプレイです

1920×1200(16:10)の画面比率は1920×1080(16:9)よりもコミックを読むのに適しています(鈴木みそ氏「ナナのリテラシー」より)

1920×1200(16:10)の画面比率は1920×1080(16:9)よりもコミックを読むのに適しています(鈴木みそ氏「ナナのリテラシー」より)

HDR非対応なので、当然のことながらYouTubeやNetflixなどでHDRコンテンツは選択肢として表示されません

HDR非対応なので、当然のことながらYouTubeやNetflixなどでHDRコンテンツは選択肢として表示されません

「そこそこ」なのがよいという堅実派におすすめの1台

仕事柄ハイエンドスマホのレビューを書くことが多いこともあって、最初に「dtab Compact d-52C」のベンチマーク結果を見たときはパフォーマンスに不安を感じました。しかし、ゲームをプレイしたり、カメラをテストしたり、またYouTubeやNetflixで映像コンテンツを視聴したりする中で、処理速度やクオリティーに物足りなさを感じることはありませんでした。

価格は64,790円(税込)と8インチ台のWi-Fiタブレットなどと比べると高めですが、23か月目に端末を返却する「いつでもカエドキプログラム」であれば、1,451円×23回で総負担額は33,374円で済みます。性能、品質、価格のすべてにおいて、「そこそこ」なのがよいという堅実な人に、「dtab Compact d-52C」は強くおすすめできる1台です。

ジャイアン鈴木

ジャイアン鈴木

レビューした製品を高確率で買ってしまう物欲系ITライター。守備範囲はPC、スマホ、VRがメイン。ゲーム、デジタルトイも大好き。最近サバゲにはまっています。愛車はスイフトスポーツで、断然マニュアル派です。

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