久しぶりにiPhoneを買い替えようと思ったときには、豊富なラインアップのなかからどのモデルを選ぶか判断しなくてはいけません。特に、2025年春には、「iPhone SE」が終売し、新しく「iPhone 16e」が追加。さらに、同年秋には大画面版であった「Plus」シリーズが追加されず、新シリーズの「iPhone Air」が登場するなど、大きな変化がありました。
そこで本記事では、現行のiPhoneのラインアップをおさらい。各機種のポイントを整理しつつ、それぞれどんな人におすすめできる機種なのかを、改めてまとめました。
2025年10月時点において、iPhoneシリーズの最新ナンバリングは「17」です。ただし、Apple Store(オンライン)では、1世代前の「16」も併売されており、ラインアップとしては以下の7モデルが並びます。
・iPhone 17:2025年9月発売、6.3インチ、A19チップ、eSIMのみ
・iPhone 17 Pro:2025年9月発売、6.3インチ、A19 Proチップ、eSIMのみ
・iPhone 17 Pro Max:2025年9月発売、6.9インチ、A19 Proチップ、eSIMのみ
・iPhone Air:2025年9月発売、6.5インチ、A19 Proチップ、eSIMのみ
・iPhone 16e:2025年2月発売、6.1インチ、A18チップ
・iPhone 16:2024年9月発売、6.1インチ、A18チップ
・iPhone 16 Plus:2024年9月発売、6.7インチ、A18チップ
本記事では、上記のモデルに絞って、解説していきましょう。なお、表記する価格はApple Store(オンライン)での販売価格になります。
画面サイズ:6.3インチ
CPU:A19
ストレージ:256/512GB
背面カメラ:4800万画素広角/4800万画素超広角
フロントカメラ:1800万画素(センターフレーム対応)
カラー:ブラック/ホワイト/セージ/ミストブルー/ラベンダー
2025年秋モデルとして登場した「17」シリーズと「Air」は、物理的なSIMカードに非対応の"eSIMオンリー”な端末となりました。eSIM対応の通信キャリアは充実していますが、現在物理的なSIMカードを使っている場合は、eSIMへの変更手続きが必要になります。
もし、こうしたeSIMオンリーな仕様が問題なければ、最有力候補となる一台が「iPhone 17」です。チップセットは「A19」を搭載。価格は129,800円〜(256GB、税込、以下同)となっています。
「iPhone 17」は、従来のProシリーズに採用されていたディスプレイの仕様が降りてきたことがトピックです。具体的には、ディスプレイサイズが「iPhone 16」よりも若干大きい6.3インチになり、リフレッシュートは最大120Hzに対応。かつ常時表示もサポートしました。屋外での最大輝度も、従来の2000nitから3000nitまで明るくなっています。
さらに、チップセットを最新世代の「A19」に刷新したことも相まって、バッテリー持ちが従来世代よりも大幅に延びたことが見逃せません。たとえば、ストリーミングでのビデオ再生時間の公称値は、「iPhone 16」で最大18時間だったのに対し、「iPhone 17」では最大27時間と、9時間も延びています。
また、ストレージの最小容量が256GB〜と増えており、「iPhone 16」よりもストレージ容量を気にすることが減りそうです「iPhone 16」と比べると、その単純な価格差(1.5万円)以上に体験の差が生じやすいため、eSIM化に大きな問題がないのであれば、確実に「iPhone 17」を選択したほうがお得感があります。
なお、ほかにもアップデートした内容は多くあります。背面の超広角カメラが従来の1200万画素から、メインカメラと同じ4800万画素まで高解像度化したこと。前面カメラが縦向きに持ったまま横長の比率で撮影をできるよう進化したこと、などは特に魅力的な変化です。また、ディスプレイ表面に関しては、従来の3倍の耐擦傷性能を誇る「Ceramic Shield 2」が採用されたことも把握しておきましょう。
後述するProシリーズとの差異として押さえておきたいのは、
(1)望遠カメラの有無
(2)USB Type-Cポートのデータ伝送速度
(3)LiDARスキャナの有無(3Dスキャンなど)
(4)マイクのクオリティの差
(5)プロフェッショナル向けの撮影機能の有無
(6)放熱機構の差
などです。
画面サイズ:6.3インチ
CPU:A19 Pro
ストレージ:256/512GB/1TB
背面カメラ:4800万画素広角/4800万画素超広角/4800万画素望遠
フロントカメラ:1800万画素(センターフレーム対応)
カラー:シルバー/コズミックオレンジ/ディープブルー
スタンダードモデルの「iPhone 17」が万人受けしやすい特徴を充実させた半面、上位モデルの「iPhone 17 Pro」はよりプロ志向の撮影機器としての印象を強めています。搭載するチップセットはGPUなどが強化された「A19 Pro」。価格は179,800円〜(256GB)となっています。
「iPhone 17 Pro」は、4800万画素の望遠カメラを備えたことがポイント。光学ズームの倍率自体は、従来モデルの5倍から、4倍へと下がっていますが、イメージセンサーが高解像度になったことで、解像感を保ったまま2倍ズームを加えることが可能。合計して4倍×2倍=8倍の望遠撮影ができるようになっています。
また、撮影関連機能に関しても、「スタジオ品質の4マイクアレイ」を搭載することや、「ProRes RAW」「Apple Log 2」「Genlock」などの専門的な動画撮影のフォーマットや機能にも対応。動画撮影に携わる人にとっては朗報でしょう。
なお、「iPhone 17 Pro」の筐体は、従来のチタニウムではなく、放熱性の高いアルミニウムに変更。内部にもiPhoneシリーズでは初搭載となる放熱部材のベイパーチャンバーを搭載しています。こうした冷却システムへの注力によって、長時間の動画撮影や、ゲームプレイでも、安定した動作を維持しやすくなっていることも見逃せません。
そのほか、USB Type-Cが最大10Gbpsの高速データ転送に対応しており、有線接続でデータを吸い出しやすいこと、LiDARセンサーがあるのでAR関連機能を正確に使えることなどもスタンダードモデルと差別化されやすいポイントとして押さえておきましょう。
画面サイズ:6.9インチ
CPU:A19 Pro
ストレージ:256/512GB/1TB/2TB
背面カメラ:4800万画素広角/4800万画素超広角/4800万画素望遠
フロントカメラ:1800万画素(センターフレーム対応)
カラー:シルバー/コズミックオレンジ/ディープブルー
映像作品を制作するための撮影機材として使うのならば、画面サイズが大きい6.9インチの「iPhone 17 Pro Max」も検討候補に入るでしょう。価格は194,800円(256GB)〜。カラーバリエーションは先述した「iPhone 17 Pro」と同じです。
大画面ゆえに撮影したデータを確認しやすいことに加え、バッテリー持ちとストレージの最大容量の3点がポイントです。
バッテリー持ちの公称値は、ストリーミングでのビデオ再生に関して、「iPhone 17 Pro」が最大30時間であるのに対して、「iPhone 17 Pro Max」はさらに5時間長い最大35時間です。
また、ストレージの選択肢としては、「iPhone 17 Pro」でも選択できる256/512GB/1TBの3サイズに加えて、2TBモデル(329,800円)も選択可能。高額ですが、長尺のビデオ撮影をする場合には、重要な選択肢となるでしょう。
画面サイズ:6.5インチ
CPU:A19 Pro
ストレージ:256/512GB/1TB
背面カメラ:4800万画素広角
フロントカメラ:1800万画素(センターフレーム対応)
カラー:スカイブルー/ライトゴールド/クラウドホワイト/スペースブラック
スマートフォンとしての基盤をカメラ周りに寄せることで、スリムな筐体を実現した新しい選択肢「iPhone Air」。厚さは「iPhone 17」よりも2.31mm薄い、5.64mm。初代モデルということで製品名にナンバリングは付いていません。
ディスプレイサイズは6.5インチ、搭載するチップセットは「A19 Pro」、価格は159,800円(256GB)〜となっており、ちょうど「iPhone 17」と「iPhone 17 Pro」の間に位置するような特徴を備えます。
注意点は、デザインを重視している半面、一部仕様が妥協されているということです。たとえば、背面カメラは4800万画素のメインカメラのみを備えており、超広角カメラは非搭載、マクロ撮影が行えません。また、「空間写真/ビデオ」「シネマティックモード」での撮影も非対応です。
また、バッテリー持ちについても、ストリーミングでのビデオ再生時間の公称値が「iPhone 17」で最大27時間なのに対して、「iPhone Air」は最大22時間に限られます。ただし、「iPhone 16」の最大18時間よりも長くなっています。別売りのMagSafe対応薄型モバイルバッテリー「iPhone Air MagSafeバッテリー」(15,800円)を併用して、使用可能時間を延ばすこともできます。
スペック面では「iPhone 17」に見劣りする部分がありますが、新モデルならではの新鮮味やデザインへのこだわりを楽しむには最適なチョイス。ここ数年、iPhoneにワクワクしなかったという人ならば、検討してみる価値がありそうです。
画面サイズ:6.1インチ
CPU:A18
ストレージ:128/256/512GB
背面カメラ:4800万画素広角
フロントカメラ:1200万画素
カラー:ブラック/ホワイト
なるべく安いiPhoneに買い替えたい場合、まず検討したいのが「iPhone 16e」です。
「iPhone 16e」は、従来の「iPhone SE」シリーズに置き換わるように、2025年春に登場したモデル。iPhoneのラインアップのなかでは廉価モデルという位置づけで、その価格は99,800円〜と、現行のiPhoneシリーズでは最も安いモデルです。
チップセットは、スタンダードモデルである「iPhone 16」と同じ「A18」を搭載。メモリーの容量や、GPUの性能差はあるものの、日常利用ならばまったく問題ないでしょう。アップルの生成AI「Apple Intelligence(アップルインテリジェンス)」や、AAAタイトルのゲームにも対応している点もポイントです。
注目しておきたいのは、最小ストレージがSE時代の64GBから128GBへと増量し、かつストリーミングでのビデオ再生時のバッテリー持ちが最大10時間から最大21時間まで延びたこと。従来のSEシリーズと比べると、初心者でもストレージや充電の工夫なしで使いやすい機種に進化しています。
背面カメラは、メインカメラのみですが、その解像度は4800万画素と高く、センサーの中央部のみを駆使した擬似的な光学ズームにも対応。シングルカメラではあるものの、解像感を維持したままで2倍の望遠撮影が可能です。ただし、超広角撮影はできません。
もちろん「iPhone 16e」は、ほかの機種シリーズと比べて見劣りする部分もあります。たとえば、「iPhone 16e」の画面サイズは、「iPhone 16」と同じく6.1インチですが、上部にノッチがある「iPhone 14」時代のデザインです。
また、側面の物理ボタンについても、「アクションボタン」は備えているものの、「カメラコントロール」は非搭載(※検索機能の「ビジュアルインテリジェンス」はアクションボタンから使えます)。そして、Qi規格のワイヤレス充電には対応しているものの、「MagSafe」には対応しておらずワイヤレス充電速度は遅めです。
画面サイズ:6.1インチ
CPU:A18
ストレージ:128/256/512GB
背面カメラ:4800万画素広角/1200万画素超広角
フロントカメラ:1200万画素
カラー:ブラック/ホワイト/ピンク/ティール/ウルトラマリン
前述したとおり2025年秋モデルは、eSIMのみの対応となってしまいました。もし、物理的なSIMカードを継続して使いたい場合には、2024年秋モデルの「iPhone 16」が機種変更先の有力候補となります。
「iPhone 16」の価格は、114,800円(128GB)〜。発売当時から1万円値下がりし、買いやすくなっています。
「iPhone 16」が搭載するチップセットは「A18」。「Apple Intelligence」や、AAAタイトルのゲームアプリのプレイもサポートしている点は、先述の「iPhone 16e」と同様です。
いっぽう、先述した「iPhone 16e」との重要な差分が4つあります。
1つ目は、端末側面に「カメラコントロール」ボタンを備えていること。カメラアプリ内で独自の操作方法に対応しているほか、同ボタンの長押し操作によって画像検索機能の「Visual Intelligence(ビジュアルインテリジェンス)」を起動できるため、アクションボタンの挙動を他の機能に割り当てられます。
2つ目は、背面カメラで超広角やマクロの撮影ができること。レンズ構成は、メイン(4800万画素)+超広角(1200万画素)というデュアル仕様。「iPhone 16e」同様に、メインカメラがイメージセンサー中央の1200万画素を使った擬似的な光学2倍ズームに対応したうえで、さらに超広角カメラによる超広角撮影やマクロ撮影もサポートしています。
3つ目は、ディスプレイについて。パンチホール型のインカメラにUIが連動する「Dynamic Island」が採用されていること。輝度は、通常時で最大1000nit、屋外利用時のピーク輝度で2000nitになっており、「iPhone 16e」の最大800nit/HDR視聴時1200nitと比べると、直射日光下でも画面が見やすいのがメリットです。
4つ目は、MagSafeに対応していること。磁力で固定する対応の周辺機器が使えるほか、ワイヤレス充電に関しては最大25Wでの充電が可能です。先述の「iPhone 16e」では、Qi規格の最大7.5W充電までしか対応していないので、ワイヤレス充電の充電速度にはしっかりとした差があります。
画面サイズ:6.7インチ
CPU:A18
ストレージ:128/256/512GB
背面カメラ:4800万画素広角/1200万画素超広角
フロントカメラ:1200万画素
カラー:ブラック/ホワイト/ピンク/ティール/ウルトラマリン
「iPhone 16 Plus」は、「iPhone 16」と同等のスペックを備えながら、ひとまわり大きな6.7インチの大画面を備えた一台。タイトなズボンのポケットに収納したままだと、座りにくさを感じるサイズなので、スマホリングやショルダーストラップなどを使用するのがおすすめです。
価格は、発売当初よりも1万円下がって、129,800円(128GB)〜。最新の17シリーズではPlusモデルが選べないため、なるべく安価に大画面モデルを入手したい場合の候補となります。
こちらもA18チップを搭載しており、AAAタイトルのゲームプレイが可能。App Store(オンライン)に展開されているAAAタイトルの数もまだまだ限定的ではありますが、長期的な視野で考えれば、大画面を生かしてゲーム機として楽しんでいくポテンシャルを秘めています。
なお、「iPhone 16」とも共通する特徴ですが、無線LAN通信規格として最新の「Wi-Fi 7」をサポートしていることもポイント。対応のWi-Fiルーターがある場合には、より高速な通信環境の恩恵を受けられ、大容量のデータも素早くダウンロードできるでしょう。
「Plus」ならではの特徴として、バッテリー持ち時間が「iPhone 16」よりも少しだけ長いことがあげられます。たとえば、「iPhone 16」が最大18時間のビデオ再生(ストリーミング)に対応するのに対し、「iPhone 16 Plus」では最大24時間のビデオ再生(ストリーミング)が可能です。ただし、最新の「iPhone 17」ではより大幅にバッテリー持ちが向上していることもあり、バッテリー持ちを目当てに「Plus」を選択するメリットはさほどありません。
「iPhone 17」シリーズと「Air」の最小構成は256GBからで統一されています。
もし、通常のスマートフォンとして使う想定であり、2年前後のサイクルで機種変更を繰り返す運用スタイルならば、最小構成の256GBがあれば十分でしょう。旅行時に動画を頻繁に撮影するとしても、クラウドストレージや外付けSSDへのバックアップを行えば、十分にやりくりできると思います。ゲームアプリも1タイトルあたりの容量が数GB程度ですので、よほどのタイトル数を同時にプレイするようなことがなければ、ストレージが足りずに困ることはありません。
ストレージは自分に合ったものを選びましょう
また、同じ機種を4〜5年以上使い続けるという人でも、ストレージの管理を小まめに行えるのであれば、256GBでも十分対応はできると思います。ただし、クラウドや外付けSSDなどへのバックアップが面倒だという人や、最新ゲームをいくつも遊ぶ人などは256GBを選択しておくと、ストレスなく使い続けられるでしょう。
いっぽう、毎日のようにホームビデオを撮影して、iPhoneで長編動画の編集まで行いたいような人であれば、512GBや1TBなどの大容量モデルも選択肢の候補に入ってくることになります。
アップルでは、初期不良などで返品された製品を、点検・整備したうえで「認定整備済製品」としてやや安価に販売する仕組みを用意しています。これまでMacやiPadなどが取り扱われていましたが、2023年2月からiPhoneも登場。バッテリーや外装が新しいものに交換された状態で提供されています。新品として販売されているインチ落ち製品以外にも、こうした選択肢があることを覚えておきましょう。
認定整備済品をチェックするメリットは、過去世代の上位モデルのiPhoneが、安価に手に入る可能性があることです。ただし、認定整備済品は、在庫数が限られており、購入できるかどうかは早い者勝ちで決まります。気になる製品が見つかった際には、早めの決断を心掛けましょう。
また、価格.comではiPhoneの中古端末のラインアップもチェックできます。新品では高くて手が届かないという人は、こうした中古端末も視野に入れつつ、比較検討してみるとよいでしょう。