2023年6月22日に、ワイモバイル、楽天モバイル、MVNO各社から発売された、オッポのミドルレンジスマートフォン「OPPO Reno9 A」。コストパフォーマンスの高さで人気の前モデル「OPPO Reno7 A」で好評だったデザインや機能を継承した、着実な性能が期待できる注目製品だ。前モデルからの強化点をまとめよう。
人気の「OPPO Reno A」シリーズの最新モデル「OPPO Reno9 A」が登場
「OPPO Reno9 A」は、日本におけるオッポの主力スマートフォン「OPPO Reno A」シリーズの最新モデル。同シリーズは、比較的手ごろな価格ながら多くの人が満足できる性能を搭載しており、コストパフォーマンスの高さから価格.comでも人気の高い製品だ。
本機のボディサイズは約74(幅)×160(高さ)×7.8(厚さ)mm、重量は約183gで、前モデルの「OPPO Reno7 A」と比べると幅が0.6mm、厚さが0.2mmそれぞれ大きく、高さは0.3mm小さくなった。ただ、サイズの変更はいずれも1mm以下なので、ほぼ同じとも言える。なお、重量については後述するガラス素材の背面を採用したこともあって8g増加した。
デザインは好評だった前モデルを踏襲しており、シンプルで清潔感のあるものだ。細かな砂のような独特の感触が魅力の表面加工「OPPO Glow(オッポ・グロー)」も変わっていない。機能面を見ても、おサイフケータイに引き続き対応するほか、IP68の防塵・防水対応もそのままだ。背面パネルは従来のポリカーボネートからガラスに変更され、感触が少し硬質になり、質感が上がった。
背面パネルの素材をポリカーボネートからガラスに変更。質感の向上が図られている
左が新モデルの「OPPO Reno9 A」で、右が前モデルの「OPPO Reno7 A」。カメラ周辺やロゴの位置などよく似ている。「OPPO Reno9 A」では、背面の一部がガラスの素材を生かした光沢仕様になっているになった
ディスプレイは2400×1080のフルHD+表示に対応した約6.4インチの有機ELを引き続き使用している。90Hzのリフレッシュレート、180Hzのタッチサンプリングレート、600nitの最大輝度など細かな性能も変わっていない。
サウンド機能を見ても、モノラルスピーカーにヘッドホン端子を組み合わせる点も前モデルと同じだ。ただ、この1年でエントリー機でもステレオ対応のものが増えており、サウンド性能には少々物足りなさを感じる場合はあるかもしれない。
有機ELディスプレイを引き続き搭載。輝度やリフレッシュレートなどの詳細も変わっていない
「OPPO Reno9 A」は、OSに、Android 13ベースの「ColorOS 13」をプリインストールしている。「ColorOS 13」では、アイコンのサイズが2×2となる大型フォルダーの採用や、通知メニューの改良といった操作性の改良が行われているのが特徴だ。なお、「ColorOS 13」は、前モデル「OPPO Reno7 A」でも先日配布が始まっている。
内部を見ると、ColorOS 13の新機能としてスマートフォンの動作を安定させ、電力の消費削減に効果のある「DCE(Dynamic Computing Engine)」機能を新たに搭載したことに注目したい。オッポによると、この機能によって前モデルから数パーセントの消費電力の削減が期待できるとのことだ。
前モデルで搭載され好評だった「システム劣化防止機能」も継続して搭載しており、これと「DCE」を組み合わせることでさらなるシステムの安定化が期待できるだろう。スマートフォンの買い替えサイクルが伸びている昨今、ソフトウェアの経年劣化は無視できない。この点で本機はほかにはない強みを持っていると言えるだろう。
「ColorOS 13」は、フォルダーアイコンの面積を拡大して、中のアイコンを直接起動できる機能を搭載する(左画面)。通知画面は利用頻度の高いWi-FiやBluetoothのアイコンが大型化された
「OPPO Reno9 A」は、SoCに前モデル「OPPO reno7 A」と同じ「Snapdragon 695 5G」を継続して採用している。
SoCは、処理性能、グラフィック性能、通信性能、カメラの画像処理などスマートフォンの基本的な性能を受け持っているため、本機の性能は前モデルと同じと見なせる。ただし、搭載されるメモリーは6GBから8GBに増量されている。
メモリーが増えることによる一般的な効果としては、バックグランドで動作するアプリが自動終了されにくく、アプリの切り替えを快適に行えることがあげられる。オッポでは、本機の8GBのメモリーによって、バックグランドで動作し続けるアプリの数が前モデルより10%増えるとしている。
検証で、仮想メモリーをオフにしたうえで2個のゲームアプリ(「原神」とそのほかのゲームアプリの組み合わせ)を並行で起動してみたが、動作が維持されることは心もち増えた。ただ、前モデルでもメモリー容量は十分だったし、仮想メモリー機能で増設も行えるので、増設された容量2GBが決定的な違いをもたらすとは言いにくい。むしろ、将来登場する次世代のColorOSの要求スペックが上昇した場合に備えたものととらえたほうがよいのかもしれない。
初期状態で8GBの実メモリーに加えて4GBの仮想メモリーが割り当てられている
本機のベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク(バージョン9.x)のスコアは402380(CPU:123339、GPU:101493、MEM:70276、UX:107272)だった。いっぽう、前モデル(ColorOS 12)の総合スコアは382147(内訳、CPU:118672、GPU:98534、MEM:60562、UX:104379)。メモリーに関係する「MEM」の値が10000ほど伸びており、メモリー増設の効果があったように見える。また、「CPU」や「GPU」の値もわずかに伸びており、システムの最適化が進んだようだ。
「AnTuTuベンチマーク」の計測結果。左は本機、右は前モデルのもの。メモリーの性能を示す「MEM」のスコアが伸びており、メモリー増設の影響が読み取れる
参考として、最新バージョンの「AnTuTuベンチマーク(10.x)」のスコアを掲載する
カメラ機能を見ると、「OPPO Reno9 A」は、約4800万画素の広角カメラ、約800万画素の超広角カメラ、約200万画素のマクロカメラの組み合わせのトリプルカメラを採用している。これも前モデル「OPPO Reno7 A」の仕様をそのまま引き継いでいる。
新旧モデルでSoCが共通のため画像処理の過程も同じだが、新モデルは、「AIカラーポートレート」という新機能を搭載しているのが異なる。背景はモノクロに、被写体の人物はカラーに仕上げるという、ユニークな機能だ。
新機能の「AIカラーポートレート」は、背景をモノクロに、人物をカラーにすることで被写体をよりくっきりと引き立てることができる
メインカメラの構成は、前モデルと同じ。画像処理を行うSoCも共通のため、基本的な画質は同じだ
以下に、「OPPO Reno9 A」で撮影した静止画の作例を掲載する。断り書きのない限り、広角カメラを使用している。いずれの作例も、初期設定のまま、シャッターを押すだけのカメラ任せで撮影を行った。
日中の風景。青空に浮かぶ雲を際立たせた画像処理で、夏空の雰囲気を強調したような写真に仕上がっている。周辺まで画質は比較的安定している
撮影写真:4000×3000、3.75MB
明暗差の大きな構図を標準カメラで撮影。オートHDRが外の景色と建物の中、両方の明るさをバランスよく保っている
撮影写真:4000×3000、2.9MB
上と同じ構図を超広角カメラで撮影。全体的なトーンを維持している。また明暗差の処理も良好で、こちらも使いやすいカメラと言えるだろう
撮影写真:3264x2448、1.7MB
左が「OPPO Reno9 A」で、右が「OPPO Reno7 A」。ハードウェアが共通のため、前モデルと解像感や全体の色調に大きな違いはないようだ。ただ、手前の街路の明るさが異なるなど、部分的により落ち着いた処理に変更されている
撮影写真(左):4000×3000、2.4MB
撮影写真(右):4000×3000、2.7MB
内蔵されるバッテリーは4500mAhで、ワイモバイルの公表している数値は、連続通話時間約1950分(FDD-LTE)、連続待ち受け時間が約440時間だ。なお、この数値は前モデルから変わっていない。検証に際してゲームは行わず、SNSや動画閲覧を主体として1日に3時間程度の利用ペースで3日+αのバッテリーが持続した。
充電性能は、18WのUSB PD規格の急速充電に対応しており、手元の時計で計測したところ、ほぼ2時間でフル充電が行えた。なお、製品パッケージに充電器は同梱されないので別途用意する必要がある。
通信性能は、nanoSIMカードスロットを2基備えるほか、eSIMにも対応している。そのうち2個のデータ(プロファイル)をアクティブにするDSDV機として利用できる。なお、5Gの対応周波数帯はn3/28/41/77/78で、NTTドコモが使用しているn79には対応していない。そのため、NTTドコモの5Gでは対応エリアや通信速度に制約がある。
いっぽう、4Gについては国内4キャリアに広く適合しており、いずれのSIMを組み合わせても通信性能を十分に発揮できるだろう。
最後に、「OPPO Reno9 A」と前モデル「OPPO Reno7 A」の2023年6月26日時点での販売価格をまとめておこう。
「OPPO Reno9 A」のオッポ公式オンラインショップにおける価格は46,800円(税込)。いっぽう、「OPPO Reno 7 A」は44,800円(税込)でその差はわずか2,000円だ。この価格差でメモリーが2GB増えるので、公式オンラインショップでは、「OPPO Reno9 A」は割安な印象を受ける。
ただし、量販店での販売価格を見ると、前モデルの安さが目に付く。前モデルの価格.com最安価格は27,500円(税込)にまで値下がりしている。通信事業者の中には前モデルに大幅な割引を実施しているところも現れており、ワイモバイルでは回線契約とセットなら条件次第で18,000円台(税込)で購入できる。いっぽう、「OPPO Reno9 A」は発売から間もないこともあり、価格.com最安価格は公式オンラインショップとそう変わらない40,000円台前半(税込)にとどまっている(いずれも2023年6月26日時点における価格)。
新モデルを選ぶか、格安の前モデルを選ぶかは判断が難しいところだが、「OPPO Reno9 A」は、メモリー容量が6GBから8GBに増えたほか、ボディの質感も向上している。円安や半導体高騰などの値上がり要因がありながら、価格の上昇を最小限にとどめているのは間違いなく、前モデルと同様に人気を集めそうだ。
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