2023年7月上旬にNTTドコモとソフトバンクから発売される、シャープ製Androidスマートフォンのフラッグシップモデル「AQUOS R8 pro」。前モデル「AQUOS R7」と同様、ライカカメラ社が監修した高画質なメインカメラを搭載するのが大きな特徴だ。
ここでは、前モデルと比較しながら「AQUOS R8 pro」のメインカメラの進化点を詳しくレビューしよう。
左が「AQUOS R8 pro」で、右が前モデルの「AQUOS R7」。ボディサイズは両モデルでほぼ共通。背面の表面処理が異なっていて、「AQUOS R8 pro」はより滑らかな仕上がり。メインカメラのレンズ周りに放熱用の大きなリングを搭載するのも「AQUOS R8 pro」のデザイン上の特徴だ
まずは、「AQUOS R8 pro」のメインカメラのスペックをまとめておこう。
撮像素子とレンズの組み合わせは、前モデル「AQUOS R7」と同じ。撮像素子にスマートフォンとして最大の大きさである1インチ(1.0型)のCMOSセンサーを、レンズに焦点距離19mm相当(35mm判換算)/絞り値F1.9の超広角レンズ「SUMMICRON 1:1.9/19 ASPH.」を採用している。
「AQUOS R8 pro」のメインカメラは、前モデルと同じく、1インチCMOSセンサーと超広角レンズ「SUMMICRON 1:1.9/19 ASPH.」の組み合わせだ。レンズ周辺に配置された大きなリングは、「サーモマネジメントシステム」という新しい放熱処理システムによるもの。SoCとカメラユニットからの熱をリングに誘導することで効率的な放熱を実現する新機構だ
撮像素子の有効画素数は約4720万画素。4つの画素をひとつの画素として処理することで高画質化を図るピクセルビニング(画素混合)に対応しており、「ハイレゾ」モードを除くすべての撮影モードで、静止画は約1180万画素(3968×2976、有効画素数の1/4)で記録される。
ズームは、レンズのスペックそのままの焦点距離19mm相当を「0.7倍」、クロップと画素補間を行う焦点距離24mm相当を「1.0倍」として扱う仕様。最大で6.0倍ズームに対応し、2.0倍ズーム以降はピクセルビニングを行わず、約4720万画素センサーの中央部を使って画像処理・記録を行う。このあたりの仕様も「AQUOS R7」とまったく同じだ。
AF(オートフォーカス)は全画素で像面位相差AFが可能。1画素に8つのフォトダイオードを持つ高速・高精度な「Octa PD AF」にも対応している。
カメラアプリは基本的に前モデルの操作性を継承している。撮影画面では、タップしてフォーカスポイントを指定したり、AEマークをドラッグして露出決定のポイントを変更したりできる。画面上のアイコンをタッチすることで「オートHDR」と新機能「オートナイト」のオン/オフを切り替えられるようになったのが便利
基本的なデバイスや機能は前モデルと共通だが、「AQUOS R8 pro」のメインカメラは、600種類以上の光源を判定し、より正確なオートホワイトバランスを実現する「14chスペクトルセンサー」を新たに搭載している。被写体判定の精度も向上しており、屋内の照明下や夕景など色再現が難しいシーンでも自然な色合いで撮影できるようになった。
レンズの右側に、600種類以上の光源を判定する「14chスペクトルセンサー」を搭載。レンズの左側には、ポートレートモード専用の測距用センサー(有効約190万画素)が備わっている
「AQUOS R8 pro」はSoCに高性能な「Snapdragon 8 Gen 2」を採用し、処理速度が向上しているのも見逃せない。メインカメラでは、「Snapdragon 8 Gen 1」を採用する前モデルと比べてHDR撮影の処理速度が約40%向上。HDRで15コマ/秒の高速連写も可能だ。
撮影機能では、夜の撮影に適した静止画撮影モード「ナイト」に「星空」と「花火」を追加。オート設定での静止画撮影モード「写真」には、暗いシーンを自動判別する「オートナイト」機能が追加されている。AF関連では、人物に加えて犬・猫の検出にも対応するようになった。
新たに「星空」専用のモードを搭載(左)。犬・猫の検出機能も追加された(中央)。画像処理によって背景を大きくぼかした写真に仕上げる静止画撮影モード「ポートレート」はぼかし具合と美肌効果のレベルを調整できる
レンズフィルターの装着に対応するのも「AQUOS R8 pro」の特徴。エレコムおよびLOOFから発売される専用ケースを使用すれば、NDフィルターやPLフィルターなど市販のレンズフィルターをメインカメラのレンズに装着できる
ここからは、同じ被写体を撮影した比較作例を用いて、「AQUOS R8 pro」と「AQUOS R7」のメインカメラの画質の違いをレポートしよう。
結論から言うと、「AQUOS R8 pro」はオートホワイトバランスの精度が大きく向上し、屋内・屋外を問わず、より正確な色で撮れるようになっている。さらに、HDR処理の精度がよくなっているのもポイントで、より幅広いシーンで前モデル以上に高画質な撮影が可能だ。
AQUOS R8 pro、ズーム:0.7倍、感度:ISO314、シャッタースピード:1/100秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、オートHDR:オフ
撮影写真(3968×2976、2.6MB)
AQUOS R7、ズーム:0.7倍、感度:ISO381、シャッタースピード:1/100秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、オートHDR:オフ
撮影写真(3968×2976、2.8MB)
左が「AQUOS R8 pro」で、右が「AQUOS R7」
窓からの自然光に加えて、色温度の異なる複数の照明がある屋内で撮影した人物作例。「オートHDR」をオフにし、オート設定で撮っている。
「AQUOS R8 pro」「AQUOS R7」ともに人物を検出し、人物写真用の画像処理が行われている(と思われる)が、色の仕上がりは大きく異なる。「AQUOS R8 pro」は適度にアンバーで、屋内の雰囲気がうまく再現されている。「AQUOS R7」は青味がかった仕上がりだ。
AQUOS R8 pro、ズーム:0.7倍、感度:ISO275、シャッタースピード:1/100秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、オートHDR:オン
撮影写真(3968×2976、2.5MB)
AQUOS R7、ズーム:0.7倍、感度:ISO398、シャッタースピード:1/100秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、オートHDR:オン
撮影写真(3968×2976、2.9MB)
左が「AQUOS R8 pro」で、右が「AQUOS R7」
比較作例1と同じ状況で、「オートHDR」をオンにして撮影した人物作例。「AQUOS R8 pro」は、窓の部分などの白飛びを抑えながら全体的に自然な色が得られている。「AQUOS R7」は、「AQUOS R8 pro」と比べると、HDR処理が強いせいか写真としてやや不自然な印象を受ける。
AQUOS R8 pro、ズーム:0.7倍、感度:ISO50、シャッタースピード:1/612秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、オートHDR:オフ
撮影写真(3968×2976、3.7MB)
AQUOS R7、ズーム:0.7倍、感度:ISO50、シャッタースピード:1/297秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、オートHDR:オフ
撮影写真(3968×2976、3.9MB)
左が「AQUOS R8 pro」で、右が「AQUOS R7」
この作例は、「オートHDR」をオフにしてオート設定で撮影している。注目してほしいのは写真のコントラスト感で、「AQUOS R8 pro」は、適度にメリハリを付けつつ、とても自然な雰囲気の写真に仕上がっている。「AQUOS R7」はコントラストも輪郭強調も強い印象。このあたりの画像処理の違いはスペックではわからない部分である。
スマートフォンのディスプレイで見る分には両者の違いはそれほど気にならないかもしれないが、PCモニターやテレビに表示すると違いがよくわかる。「AQUOS R8 pro」は緻密で自然な仕上がりの写真に、「AQUOS R7」は線が太く誇張している写真に見える。
AQUOS R8 pro、ズーム:0.7倍、感度:ISO50、シャッタースピード:1/710秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、オートHDR:オン
撮影写真(3968×2976、3.8MB)
AQUOS R7、ズーム:0.7倍、感度:ISO50、シャッタースピード:1/397秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、オートHDR:オン
撮影写真(3968×2976、4.4MB)
左が「AQUOS R8 pro」で、右が「AQUOS R7」
比較作例3と同じ状況で「オートHDR」をオンにして撮影している。「AQUOS R8 pro」はハイライトの伸びを抑えつつ、シャドー側も少し起こしており、よりフラットなトーンの写真に仕上がった。「AQUOS R7」は極端なHDR処理によって輪郭がかなり太くなっている。
AQUOS R8 pro、ズーム:0.7倍、感度:ISO50、シャッタースピード:1/710秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、オートHDR:オン
撮影写真(3968×2976、3.8MB)
AQUOS R7、ズーム:0.7倍、感度:ISO50、シャッタースピード:1/397秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、オートHDR:オン
撮影写真(3968×2976、4.4MB)
左が「AQUOS R8 pro」で、右が「AQUOS R7」
窓から外光が入る室内で撮影。「オートHDR」はオンにしている。色温度の低い照明があるためか「AQUOS R7」はそちらに引っ張られてやや青味が強くなった。「AQUOS R8 pro」はややアンバー気味なものの、その場の雰囲気をうまく表現できている。
なお、「AQUOS R8 pro」と「AQUOS R7」は自動露出の制御が異なっており、この作例に限らず、同じ被写体を撮り比べると「AQUOS R8 pro」のほうが低感度もしくは低シャッタースピードになることがほとんどだった。それでいて「AQUOS R8 pro」のほうが明るく仕上がることが多いのが面白い。両者は根本的な画像処理が異なっていると言えよう。
AQUOS R8 pro、ズーム:1.0倍、感度:ISO50、シャッタースピード:1/205秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、オートHDR:オン
撮影写真(3968×2976、2.8MB)
AQUOS R7、ズーム:1.0倍、感度:ISO50、シャッタースピード:1/172秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、オートHDR:オン
撮影写真(3968×2976、3.0MB)
左が「AQUOS R8 pro」で、右が「AQUOS R7」
その場の雰囲気の再現が難しい夕景を撮影した作例。「オートHDR」はオンにしている。「AQUOS R8 pro」「AQUOS R7」のどちらもきれいに撮れているが、色の傾向は異なっている。
「AQUOS R8 pro」は夕陽のオレンジを強調しつつ、日没間際の少しくすんだ空の色も見事に表現できている。「AQUOS R7」は明るい仕上がりなのはよいのだが、コントラストが少し強い。夕景の再現性という点では、「AQUOS R8 pro」に軍配が上がる。
AQUOS R8 pro、ズーム:1.0倍、感度:ISO3829、シャッタースピード:1/50秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、オートHDR:オン
撮影写真(3968×2976、3.8MB)
AQUOS R7、ズーム:1.0倍、感度:ISO2368、シャッタースピード:1/33秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、オートHDR:オン
撮影写真(3968×2976、4.1MB)
左が「AQUOS R8 pro」で、右が「AQUOS R7」
この作例は街灯の色に注目してほしい。「AQUOS R8 pro」は少しグリーン寄りで、目で見た雰囲気に近い感じに仕上がった。「AQUOS R7」はマゼンタが強く、色の正確性では少し落ちる印象を受ける。
AQUOS R8 pro、ズーム:1.0倍、感度:ISO1600、シャッタースピード:1/38秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、オートHDR:オン
撮影写真(3968×2976、3.6MB)
AQUOS R7、ズーム:1.0倍、感度:ISO1600、シャッタースピード:1/20秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、オートHDR:オン
撮影写真(3968×2976、3.9MB)
左が「AQUOS R8 pro」で、右が「AQUOS R7」
ISO1600の高感度で夜景を撮り比べてみたが、「AQUOS R8 pro」と「AQUOS R7」で高感度ノイズの量に大きな差はないようだ。いずれも、1インチセンサーとピクセルビニングによって、高感度でもノイズの少ない画質を実現している。
色については、「AQUOS R8 pro」はすっきりとした仕上がり。「AQUOS R7」は少しグリーンがのっている。
AQUOS R8 pro、ズーム:1.0倍、感度:ISO100、シャッタースピード:1/100秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、オートHDR:オン
撮影写真(3968×2976、1.9MB)
AQUOS R8 pro、ズーム:2.0倍、感度:ISO162、シャッタースピード:1/100秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、オートHDR:オフ
撮影写真(2976×3968、2.4MB)
AQUOS R8 pro、ズーム:0.7倍、感度:ISO412、シャッタースピード:1/100秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、オートHDR:オフ
撮影写真(3968×2976、2.5MB)
AQUOS R8 pro、ズーム:0.7倍、感度:ISO64、シャッタースピード:1/1225秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、オートHDR:オフ
撮影写真(3968×2976、2.5MB)
AQUOS R8 pro、ズーム:1.0倍、感度:ISO64、シャッタースピード:1/1167秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、オートHDR:オフ
撮影写真(3968×2976、2.9MB)
AQUOS R8 pro、ズーム:0.7倍、感度:ISO50、シャッタースピード:1/3204秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、オートHDR:オフ
撮影写真(3968×2976、2.7MB)
AQUOS R8 pro、ズーム:0.7倍、感度:ISO50、シャッタースピード:1/162秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、オートHDR:オフ
撮影写真(3968×2976、2.9MB)
AQUOS R8 pro、ズーム:0.7倍、感度:ISO800、シャッタースピード:1/29秒、絞り値:F1.9、ホワイトバランス:オート、オートHDR:オフ
撮影写真(3968×2976、2.9MB)
メインカメラ以外の部分についても触れておこう。
「AQUOS R8 pro」はディスプレイの性能にもこだわっており、前モデル「AQUOS R7」と同じく、WUXGA+(2730×1260)表示に対応する約6.6インチの有機ELディスプレイ「Pro IGZO OLED」を搭載。1〜240Hzの可変リフレッシュレート、10億色の色表示、最大コントラスト2000万:1、ピーク輝度2000nitといったスペックを持つ高性能なディスプレイだ。
「AQUOS R8 pro」では、スペックを落とさずに、「AQUOS R7」と比べてブルーライトを約50%抑制したのがトピック。ゲームプレイや動画視聴を長時間楽しんでも目が疲れにくくなっている。
実際のディスプレイの表示は、「AQUOS R8 pro」と「AQUOS R7」で少し変化している。ブルーライトをカットしているのが大きいのだろうが、初期設定だと「AQUOS R8 pro」は「AQUOS R7」に比べて少し赤味が強い。キャリブレーションを取ったPCモニターと見比べてみると、写真を表示する限りでは、「AQUOS R7」のほうが色の再現性は正確な印象を受ける。
以下に、「AQUOS R8 pro」と「AQUOS R7」のディスプレイの色の違いを示した画像を掲載する。ディスプレイの設定は初期設定のままとし、両モデルで同じ写真データを表示している。
同じ写真データを表示すると「AQUOS R8 pro」のほうが赤味が強くなった
最後に、「AQUOS R8 pro」の各種ベンチマークアプリの結果をレポートしよう。
「AQUOS R8 pro」は、先述したとおり、SoCを「AQUOS R7」の「Snapdragon 8 Gen 1」
から「Snapdragon 8 Gen 2」に変更している。12GBのメモリー容量と256GBのストレージ容量は「AQUOS R7」と同じだが、メモリーはLPDDR5からLPDDR5Xに、ストレージはUFS 3.1からUFS 4.0にアップグレードされている。こうした基本スペックをチェックするだけでも、「AQUOS R7」から処理性能が向上していることが予測できる。
今回は、「AQUOS R8 pro」と「AQUOS R7」の両モデルで、「AnTuTu Benchmark V10」「Geekbench 6」「3DMark Wild Life Extreme」「AI Benchmark」といったベンチマークアプリを試してみた。
結果は、アプリや評価項目にもよるが、「AQUOS R8 pro」は「AQUOS R7」に比べて1.2〜1.6倍高いスコアを叩き出した。「AnTuTu Benchmark(Ver.10)」の総合スコアが130万台、「3DMark Wild Life Extreme」が2700台、「AI Benchmark」が2000台という値からも、その性能の高さが読み取れるはずだ。
「AnTuTu Benchmark V10」の総合スコアが1389721、「Geekbench 6」のシングルコアが2061/マルチコアが5524/GPUが8781、「3DMark Wild Life Extreme」が2762、「AI Benchmark」が2009
「AnTuTu Benchmark V10」の総合スコアが928546、「Geekbench 6」のシングルコアが1721/マルチコアが3784/GPUが5583、「3DMark Wild Life Extreme」が2080、「AI Benchmark」が1598
この性能の高さは写真撮影でも体感できる。具体的には、HDR処理の待ち時間が大幅に短縮されている。「AQUOS R7」では撮影後に待ち時間が発生し、続けて撮影できないときがあるが、「AQUOS R8 pro」はそういったことはなく、次々とストレスなくシャッターが切れる。
発熱については、ベンチマークアプリを動作させた限り、大きなカメラリングを放熱に利用する「サーモマネジメントシステム」によって、わずかではあるが「AQUOS R8 pro」のほうが抑えられている印象。シャープの計測によると、「AQUOS R8 pro」では、前モデルと比べてボディ表面温度は最大約8度、熱発生量は最大約30%低下しているとのことだ。
「AQUOS R8 pro」は、レンズ周辺のリングを放熱に利用する「サーモマネジメントシステム」を新たに搭載。リングは高さが抑えられているので、使っていてその存在が気になることはないだろう(画像下の左が「AQUOS R8 pro」で、右が「AQUOS R7」)
ボタンやインターフェイスは「AQUOS R7」を踏襲。右側面にボリュームキーと電源キーを搭載している
今回の検証では、「AQUOS R8 pro」のメインカメラは、色再現性が大幅に向上していることがわかった。「14chスペクトルセンサー」搭載の効果は期待以上で、屋内の照明下だけでなく、自然光下でもより正確な色で撮れる。
さらに、HDR処理の精度が向上し、より自然な仕上がりになったのも見逃せない。スマートフォンにありがちな誇張した画像処理ではないのがよいところで、目の肥えた一眼カメラユーザーも納得できるクオリティーだと思う。
メインカメラに関して欲を言えば、せっかくの高画質なので、「スタンダード」「ビビッド」「ナチュラル」といったような仕上がり設定のプリセットがほしい。HDRも効果レベルを段階的に選択できるようになると、さらに画質を追い込みやすくなる。操作性では、半押し操作が可能な、独立したシャッターボタンを追加してほしいところ。
「AQUOS R8 pro」は、「AQUOSシリーズ」の1インチセンサースマホとしては3世代目だが、前モデルから着実な進歩を遂げている。「Snapdragon 8 Gen 2」の搭載によって基本性能が向上しているので、ゲームプレイや動画視聴でも活躍するだろう。
端末価格は、2023年6月28日時点ではまだ発表されていないが、おそらく税込で20万円は下らないのではないだろうか。安い製品ではないものの、高画質なカメラを搭載するハイエンドスマートフォンへの買い替えを考えているなら、選択肢に入れておいて損はないはずだ。
なお、シャープは、写真家の安珠さんが「AQUOS R8 pro」で撮影した作品集「安珠×AQUOS R8 pro ギャラリー」を公式サイトにて公開している。「AQUOS R8 pro」のメインカメラのポテンシャルが感じられる作品が多数掲載されいているので、ぜひ一度チェックしてほしい。
AQUOS公式サイト「安珠×AQUOS R8 pro ギャラリー」
フィルム一眼レフから始まったカメラ歴は、はや約30年。価格.comのスタッフとして300製品以上のカメラ・レンズをレビューしてきたカメラ専門家で、特にデジタル一眼カメラに深い造詣を持つ。フォトグラファーとしても活動中。