iPhoneユーザーならやっぱりApple Watchを使いたい!けれど、ラインアップやバリエーションが多くてどれを選べばよいのかわからない。そんな悩みを解決すべく、Apple Watchの現行ラインアップをおさらいし、各製品の特徴や、選ぶ際に確認したいポイントを整理。各モデルがどんな人におすすめできるのかまとめました。
なお、価格は、2025年10月時点におけるApple Store(オンライン)の税込価格です。
2025年10月時点のApple Store(オンライン)では以下の6モデルが展開されています。
・Apple Watch SE 3(廉価モデル):2025年9月発売
・Apple Watch Series 11(スタンダードモデル):2025年9月発売
・Apple Watch Ultra 3(アウトドア向けモデル):2025年9月発売
・Apple Watch Nike(ブランドコラボモデル)
・Apple Watch Hermes Series 11(ブランドコラボモデル)
・Apple Watch Hermes Ultra 3(ブランドコラボモデル)
このうち、ブランドコラボモデルである「Apple Watch Nike」はデバイス部分の仕様がスタンダードモデルの「Apple Watch Series 11」とほぼ共通しています。また、Hermesコラボモデルには、「Apple Watch Series 11」をベースにした「Apple Watch Hermes Series 11」と、「Apple Watch Ultra 3」をベースにした「Apple Watch Hermes Ultra 3」の2種類があります。
こうしたブランドコラボモデルの魅力は、専用の文字盤や、こだわりのストラップバンドなので、ここでは情報を端的に整理するためにいったん除外。以降は、現行のApple Watchのラインアップを以下の3種類に絞ったうえで、それぞれのモデルについて概要をチェックしましょう。
・Apple Watch SE 3
・Apple Watch Series 11
・Apple Watch Ultra 3
2025年秋シーズンにおいて、まずチェックすべきなのは、廉価モデルの「Apple Watch SE 3」です。2022年9月に発売された「Apple Watch SE(第2世代)」の後継モデルで、価格は37,800円〜。後述するスタンダードモデル「Apple Watch Series 11」よりも27,000円安いうえ、上位モデルにしか対応していなかった機能が追加されたことで、従来よりもコストパフォーマンスがよくなっています。
「Apple Watch SE(第2世代)」では非対応で、「Apple Watch SE 3」で対応となった機能は以下です。
(1)皮膚温の計測
(2)高速充電
(3)画面の常時表示
(4)ダブルタップジェスチャー(新機能の「手首フリック」も)
(5)Siriのオンデバイス処理
前世代から引き続き利用できない、体調管理に関連するお守り的機能の「血中酸素ウェルネス」や「心電図」、サーフィンなどで活躍する「水温センサー」が不要であれば、最安価な「Apple Watch SE 3」でも概ね上位モデルと同じ使い方ができるので、“「SE 3」で十分”な人も多いでしょう。
ただし、上位モデルと比べて見劣りする仕様もあります。主に注意すべきポイントは3つです。
1つ目は、筐体デザインが若干チープであること。ケース素材は「アルミニウム」のみで、「チタニウム」は選べません。さらに、カラーバリエーションは「ミッドナイト」と「スターライト」の2色のみ。デザインにこだわりたい人の目には惜しい仕様に映るでしょう。
2つ目は、スタンダードモデルの「Apple Watch Series 11」と比べて、ケースサイズや表示領域が少し小さく、最大輝度も1000nitにとどまり、視野角も若干狭いこと。ただし、実際の使用感の差はじっくり比べないとわからない程度ではあるので、気にしすぎる必要はありません。
3つ目は、バッテリー持ちです。「Apple Watch SE 3」は、通常使用でのバッテリー持ちが最大18時間。低電力モードで最大32時間であり、上位モデルと比べると数時間短くなっています。ただし、高速充電に対応しているので、約45分で0%→80%まで、約15分で8時間駆動できます。小まめな充電管理を苦に感じる人は、後述するスタンダードモデルを検討しましょう。
無理なく予算を捻出できるなら、有力候補となるのはスタンダードモデルの「Apple Watch Series 11」です。
ケースサイズは前世代モデルと同様に、42mmと46mmの2種類から選択が可能。ケース素材も、「アルミニウム」と、高級感のある「チタニウム」の2種類から選択できます。価格は、軽くて安価なアルミニウムケースモデルが64,800円〜、チタニウムケースモデルが114,800円〜です。
「Apple Watch Series 11」は、アルミニウムモデルのカバーガラスが強化され、前世代モデルと比べて耐擦傷性能が2倍に。さらに、昨年の前世代モデルから追加されたカラー「ジェットブラック」は、安価なアルミニウムケースでありながらも高級感があります。
いっぽうのチタニウムモデルは、価格こそ上がりますが、よりメタリックな質感で、フォーマルな服装にも合わせやすいのが特徴。堅牢性も高く、カバーガラスには、従来どおり、高い耐擦傷性能と耐亀裂性能を兼ね備えた「サファイアクリスタル」が採用されています。
仕様面のアップデートとしては、バッテリー駆動時間が大幅に伸びたことが重要。具体的には「Apple Watch Series 10」の公称値では通常使用で最大18時間だったところ、「Apple Watch Series 11」では最大24時間まで延びました。これは先述した「Apple Watch SE 3」の最大18時間と比べると6時間も長いです。夜間の睡眠モニタリングなどで活用したり、マラソンやトレッキングなどの長時間のワークアウトを実施したりする際も、バッテリー管理が容易になりました。
機能は、先述した「Apple Watch SE 3」と同様の機能が使えるほか、さらに(1)血中酸素ウェルネスの測定、(2)心電図の測定、(3)水温センサーと水深計などにも対応しています。どれも必須な機能ではないですが、“転ばぬ先の杖”としての健康面のお守り的役割に期待している人や、サーフィンやカヌーなどウォータースポーツで遊ぶ機会が多い人ならば、上位モデルならではのメリットを感じやすいはずです(※ただし、ダイビングでは利用できません)。
なお、本世代からは新たに「高血圧通知」機能をサポート。こちらは、心拍センサーを用いて高血圧の際に起こりがちな兆候を検出し、ユーザーに通知するという機能です。残念ながら発売時点では日本国内で利用できませんが、将来的にアップデートで対応するかもしれないので、引き続き注視しておきましょう。
もし、アウトドアシーンでの活用を想定していたり、とにかくバッテリー持ちを重視したかったりする場合には、最上位のアウトドア向けモデルである「Apple Watch Ultra 3」に注目。2023年秋に発売された「Apple Watch Ultra 2」に置き換わる2年ぶりの新モデルです。ただし、価格は129,800円で、Apple Watchシリーズのラインアップのなかでは群を抜いて高価。人を選ぶ機種ではあります。
Ultraシリーズならではの特徴も多くあります。まず、ケースサイズが49mmと大きく、ディスプレイ面も台座のように盛り上がった形状。また、リューズ状のボタンや、その横にある「サイドボタン」は、ほかの2モデルと比べてやや大きめなので、グローブ装着時でも操作がしやすいです。さらに、「アクションボタン」が備わっており、アプリのショートカット起動などを割り当てられます。
耐久性がすぐれていることもUltraシリーズならではの特徴です。「Apple Watch Ultra 3」は、水深40mまでのレクリエーションスキューバダイビングで利用可能。また、手首に装着時の動作時温度が-20〜55度までをカバーしているため、ウィンタースポーツや寒冷地での利用にも適しています。ちなみに、先述したスタンダードモデルの「Apple Watch Series 11」では、動作時温度が0〜35度に限られるので、使用するフィールドの気温を確認しておきましょう。
なお、前世代モデルからアップデートしたポイントとしては、
(1)バッテリー持ちが強化
(2)衛星経由の緊急SOSに対応
の2点が見逃せません。
元々仕様表に記載されているバッテリー持ち時間は、前世代モデルの「Apple Watch Ultra 2」でも最大36時間、低電力モードで最大72時間と長めでした。しかし、最新の「Apple Watch Ultra 3」では、最大42時間、低電力モードで最大72時間となっており、通常使用時のバッテリー持ちが6時間も長くなっています。先述したスタンダードモデルの「Apple Watch Series 11」の最大24時間と比べると、18時間も差があり、1泊2日程度のカジュアルな登山やトレッキングにも対応しやすくなっています。
そして、衛星経由の緊急SOSに対応しているため、モバイル通信が使えないエリアでも、緊急通報サービスを利用できます。あわせて既存機能の「サイレン」も使えるため、緊急時のお守りとしても期待できます。なお、衛星経由の緊急SOSに関する対応状況や利用条件、料金、挙動などについての詳細は、本稿では割愛します。
Apple Watchの購入を検討する際には「GPSモデル」と「GPS+Cellularモデル」について選択する必要があります。
GPSモデルとは、Apple Watch単体でモバイル通信が利用できない機種のことをさします。つまり、外出時など、ペアリングしたiPhoneを持っていないと、Apple Watchで通話を行ったり、メッセージを送受信したりすることはできません。
対するGPS + Cellularモデルとは、専用の通信プランを契約すれば、Apple Watch単体でもモバイル通信が利用できる機種のことをさします。この場合、外出時にペアリングしたiPhoneを携行していなくとも、Apple Watch単体でメッセージの送受信や緊急通報の発信などの機能が利用できます。
ただし、GPS + Cellularモデルのほうが高額であり、専用の通信プランを契約するために別途月額の維持費も発生する点は留意しておきましょう。
なお、上述してきた3モデルについて、「Apple Watch Ultra 3」はGPS + Cellularモデルのみが用意されています。「Apple Watch SE 3」と「Apple Watch Series 11」は、GPSモデル、またはGPS + Cellularモデルを選択できます。
もし選択に迷うのであれば、基本的にはGPSモデルで問題ないでしょう。
最後に、購入したいApple Watchを絞り込む手順を、簡単におさらいしておきます。
まず、日常の運動管理やヘルスケア管理が基本用途になるのならば、コストパフォーマンスの高い「Apple Watch SE 3」からチェックしましょう。重要な機能である「ダブルタップジェスチャー」や「常時表示ディスプレイ」「皮膚温計測」「高速充電」などにも対応したので、過去のスタンダードモデルから数世代ぶりに機種変更を検討する場合でも十分に満足できるはずです。
ただし、デザインやカラーバリエーション、バッテリー持ちの長さなどにこだわりたい場合には、スタンダードモデルの「Apple Watch Series 11」を選ぶ必要があります。予算を鑑みつつ、「SE 3」と比較検討してみるとよいでしょう。ブランドコラボモデルのバリエーションも選べます。
そして、やや特殊ですが、登山やウィンタースポーツ、ダイビングなど過酷な環境でアウトドアスポーツを楽しみたい場合には、「Apple Watch Ultra 3」がおすすめです。ただし、筐体が大きくエッジのあるデザインなので、日常の健康管理が目的だとすれば、やや不向きな点も理解しておきましょう。
これらの機種を絞り込んだうえで、「SE 3」や「Series 11」の場合には、最終的にウォッチ単体での通信機能が必要かどうかで、GPSモデル、またはGPS + Cellularモデルかを判断します。そして、自分の好きなカラーやバンドの組み合わせを探っていきましょう。