レビュー

M3搭載「iMac」の万能さがスゴイ! Macデビューにも、家族用にも勉強用にも

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2年半ぶりにアップデートされたアップルのディスプレイ一体型デスクトップ「iMac」。約11.5mmの極薄ボディに最新の「M3チップ」を搭載し、パフォーマンスがアップしました。価格.comの「Macデスクトップ」カテゴリーでは、エントリーモデルが人気売れ筋ランキングで3位(2023年11月26日時点)に入っています。今回は、このエントリーモデルを自宅でしばらく使ってみたのでレビューをお届けします。

「M3チップ」を搭載してパワーアップした最新の「iMac」。今回試したのは8コアCPU・8コアGPU(2ポート)のエントリーモデルで、価格.com最安価格は188,860円から。カラーは「ブルー」

「M3チップ」を搭載してパワーアップした最新の「iMac」。今回試したのは8コアCPU・8コアGPU(2ポート)のエントリーモデルで、価格.com最安価格は188,860円から。カラーは「ブルー」

「M3チップ」しか見どころがないのでは?

「iMac」がフルリニューアルされたのが2年半前の2021年5月。超薄型ボディに「M1チップ」を搭載し、デスクトップでは異例の7色のカラバリが用意されました。そして2年半ぶりにアップデートされた最新の「iMac」は、Macの頭脳であるチップが最新の「M3チップ」にアップデートされました。

先月の発表会の主役は「M3チップ」とそれを搭載した「MacBook Pro」で、「iMac」の説明に割かれた時間はわずかでした。「M3 Pro」や「M3 Max」を搭載したモデルや、噂されていた大画面モデルもなく、高性能なモデルを望んでいた人たちからすると肩すかしだったかもしれません。

デザインやカラーはM1モデルから変わっておらず、「M3チップ」しか見るところがないと思っていましたが、改めて自宅で使ってみると、「iMac」のいいところがたくさん見えてきたので、詳しくレポートしたいと思います。

搭載するチップ以外は、2年半前に発売されたM1モデルとほぼ変わっていません。しかし、「iMac」はそもそもの完成度が高く、幅広い層にすすめられるモデルです

搭載するチップ以外は、2年半前に発売されたM1モデルとほぼ変わっていません。しかし、「iMac」はそもそもの完成度が高く、幅広い層にマッチするモデルです

「M3チップ」のパフォーマンスは?

まずは最新「iMac」の強化点である「M3チップ」のパフォーマンスをチェックしていきましょう。

「iMac」のラインアップは以下の3機種。チップはGPUのコア数で2タイプあり、ストレージの容量が異なります。メモリーとストレージはカスタマイズできます。

チップの選択肢は2つ。違いはGPUのコア数だけでなく、搭載するUSBポートの数にも差があり、意外と大きな違いです

チップの選択肢は2つ。違いはGPUのコア数だけでなく、搭載するUSBポートの数にも差があり、意外と大きな違いです

最新iMacのラインアップ
8コアCPU・8コアGPU、8GBユニファイドメモリー(16GB、24GB)、256GB SSD(512GB、1TB)、198,800円
8コアCPU・10コアGPU、8GBユニファイドメモリー(16GB、24GB)、256GB SSD(1TB、2TB)、234,800円
8コアCPU・10コアGPU、8GBユニファイドメモリー(16GB、24GB)、512GB SSD(1TB、2TB)、262,800円
※価格はアップルストア価格

M1モデルと同様、搭載するチップの違いでUSBポートに差がある点は注意しましょう。8コアGPUのエントリーモデル(2ポートモデルとも言われます)はThunderbolt 4/USB 4ポート×2を搭載するのに対して、10コアGPUの上位モデル(こちらは4ポートモデル)はThunderbolt 4/USB 4ポート×2に加えて、USB 3ポート×2も備わっています。周辺機器をたくさん接続する人は、上位モデルを選んだほうがいいでしょう。もちろん、USBハブやドックで拡張することもできるので、エントリーモデルを選んでも大きな問題にはならないと思います。

付属品にも違いがあります。8コアGPUのエントリーモデルには「Magic Keyboard」と「Magic Mouse」が付属するのに対し、10コアGPUの上位モデルにはTouch ID搭載の「Magic Keyboard」と「Magic Mouse」が付属します。ACアダプターも、上位モデルはEthernet付きと細かな違いがあるので注意しましょう。

8コアCPU・8コアGPUモデルは、USBポートがThunderbolt 4×2のみ。周辺機器をいくつも接続したい人は、8コアCPU・10コアGPUモデルを選びましょう

8コアCPU・8コアGPUモデルは、USBポートがThunderbolt 4×2のみ。周辺機器をいくつも接続したい人は、8コアCPU・10コアGPUモデルを選びましょう

Touch IDは指紋でログインやアップルストアなどでの買い物時の認証が行える便利な機能。Ethernetは、有線LANケーブルをACアダプターに接続できる機能で、本体にケーブルをつなげる必要がなく、見た目がスッキリするのがいいところです。

M3チップのパフォーマンスを定番ベンチマーク「Geekbench 5」で見ていきましょう。比較したのは以前計測した、「M1チップ」(8コアCPU・8コアGPU)搭載の「iMac」と「M2チップ」(8コアCPU・10コアGPU)搭載の「Mac mini」です。

Geekbench 5の結果
M1(iMac) シングルコア1749、マルチコア7628、Compute(Metal)21686
M2(Mac mini) シングルコア1939、マルチコア8911、Compute(Metal)30494
M3(iMac) シングルコア2194、マルチコア10521、Compute(Metal)30484

CPUのコア数は3モデルとも8コアですが、結果は世代を追うごとにシングルコア、マルチコアの両方でスコアが着実にアップしていました。GPUは「M1チップ」とコア数は同じですが、9000ほどの差が出ました。「M2チップ」に比べるとわずかに劣っていますが、「M2チップ」はコア数が10コアなのに対して、「M3チップ」が8コアなので、コア数の差が出ました。逆に8コアGPUでも「M2チップ」の10コア相当の性能が出るとも言え、「M3チップ」のグラフィック性能の高さがうかがえる結果とも言えます。

「M3 Pro」や「M3 Max」という上位チップがあるため、無印の「M3チップ」が目立ちませんが、「M3チップ」でも十分パワーアップしていることが、ベンチマークからわかりました。

「Geekbench 5」のCPUの結果

「Geekbench 5」のCPUの結果

「Geekbench 5」のComputeの結果

「Geekbench 5」のComputeの結果

「iMac」のいいところは?

ノートPC全盛の今、あえてデスクトップの「iMac」を選ぶ理由はどこにあるのでしょうか? 実際に自宅に設置して気づいた、「iMac」のいいところをレポートしていきたいと思います。

(1)設置スペースをとらない

“デスクトップPCは設置場所をとる”というイメージを持っている人は多いでしょう。その点、「iMac」は設置スペース(フットプリント)が狭く、ノートPCよりも狭い場所に置けます。幅と高さは、どうしても必要ですが、いわゆるA4ノートをデスクに置きっぱなしで使っているという人なら、「iMac」に置きかえられるでしょう。後述する6スピーカーを搭載しているので、外付けのスピーカーも不要で、まさにオールインワン。デスクを広く有効活用できること間違いなしです。

難点は画面の向きや角度を変えにくいこと。向きについては、机の材質が木など堅いものであれば、簡単に動かせますが、摩擦があるところだと回転しないので注意。チルトは少しだけできます。

スタンドの設置スペースは、「iPhone 14 Pro」約2台分。高さと幅はノートPCよりもとりますが、デスクを広く使えるのは「iMac」のほうでしょう

スタンドの設置スペースは、「iPhone 14 Pro」約2台分。高さと幅はノートPCよりもとりますが、デスクを広く使えるのは「iMac」のほうでしょう

(2)ディスプレイが大きい

24型(対角は23.5型)の「24インチ 4.5K Retinaディスプレイ」は、物理的なサイズが大きいのはもちろん、4.5K(4480×2520)の高精細かつ高画質です。広い色域をカバーするほか、iPhoneやiPadにも搭載されている「True Tone」(外光によって画面のホワイトバランスを自動で調整する)も搭載されます。

画面が大きいので、Finderを複数開いての作業が快適なのはもちろん、文字を小さめに設定しても読みやすいです。最新の「macOS Sonoma」のウィジェットを配置しても作業スペースを確保できるのもいいところ。

 「24インチ 4.5K Retinaディスプレイ」はデスクトップが広々しており、作業がはかどること間違いなし。動画やゲームも大画面で楽しめます

「24インチ 4.5K Retinaディスプレイ」はデスクトップが広々しており、作業がはかどること間違いなし。動画やゲームも大画面で楽しめます

「macOS Sonoma」のウィジェット。大画面の「iMac」なら常時表示していても、じゃまになりません。また、アプリ起動時には表示がグレーになり、目立ちません(表示方法はカスタマイズ可能)

「macOS Sonoma」のウィジェット。大画面の「iMac」なら常時表示していても、じゃまになりません。また、アプリ起動時には表示がグレーになり、目立ちません(表示方法はカスタマイズ可能)

(3)高音質な6スピーカー搭載、空間オーディオにも対応

「iMac」は音もいいです。本体下部に6つのスピーカーが搭載されており、かなり大きな音が鳴ります。低音も強力で、音楽再生もお手の物。空間オーディオにも対応しており、Apple MusicやApple TV+で対応コンテンツを再生すると、空間オーディオならではの広がり感や分離感を味わえます。Apple TV+の最新作「モナーク:レガシー・オブ・モンスター」は大迫力なので、ぜひ「iMac」で体験してみてください。

空間オーディオの注意点は、画面から離れると、その効果が薄れること。テレビのように離れたところで見たいという人は、「AirPods」などを使うといいかもしれません。

スピーカーはディスプレイの下にあり、机に反射する仕様。スピーカーグリルが見えないのもこだわり

スピーカーはディスプレイの下にあり、机に反射する仕様。スピーカーグリルが見えないのもこだわり

(4)ビデオ会議が高画質

1080pの「FaceTimeカメラ」と本体上部に搭載された3つのマイクで、高画質かつ高音質でビデオ会議ができます。「仕事相手を大きい画面で見たくない」なんて声が聞こえてきそうですが、家族やパートナーとビデオ電話するときは、大画面のほうがいいに決まっています。

「macOS Sonoma」には、「発表者オーバーレイ」「デスクビュー」など仕事などに便利な機能も豊富です。

(5)細部までこだわって作られている

「iMac」は細部にまでこだわって作られています。アップルのほかの製品もそうですが、見えないところを含め、細部までのこだわりが半端ではありません。ケーブル類が同系色なのはもちろん、MagSafeの中まで本体と同じ色に塗装されています。

初めて「iMac」の実物を見る人にとっては、本体の薄さも驚異的でしょう。筆者の家人も「本体はどこにあるの?」と聞いてくるほどです。

普段は見えない、MagSafeの端子の中も本体と同系色にカラーリングされています

普段は見えない、MagSafeの端子の中も本体と同系色にカラーリングされています

約11.5mmの超薄型ボディ。家人も「本体はどこにあるの?」と聞いてくるほど

約11.5mmの超薄型ボディ。家人も「本体はどこにあるの?」と聞いてくるほど

まとめ

新型「iMac」は、ガジェット的にはチップが変わっただけで、見るところが少ないのは確かにその通りです。しかし、実際に使ってみると、1家に1台あると何かと重宝する万能なデスクトップであることを改めて実感しました。設置場所をとらないコンパクトなスタンドと超薄型ボディ、大画面かつ高画質な24型ディスプレイ、空間オーディオに対応する6スピーカー、パワフルな「M3チップ」と隙のないモデルです。

気になる点は、今回試したエントリーモデルはUSB Type-Cが2ポートと少ないこと。多くの周辺機器をつなげたい人は特に注意しましょう。また、人によってはセットのキーボードとマウスの充電端子がLightningというのもちぐはぐさを感じるかもしれません。USB Type-Cポートに変わった「iPhone 15」シリーズに買い替えた人は特にそう思うはず。

円安の影響で価格が高くなったのは残念ですが、仕事にも趣味にも使える万能性は「iMac」の大きな魅力です。もちろん、Macデビューにもピッタリでしょう。個人用だけでなく家族用のパソコンを探している人も、ぜひチェックしてみてください。

三浦善弘(編集部)
Writer / Editor
三浦善弘(編集部)
出版社で月刊誌やWebメディアの編集・記者を経験し、2013年にカカクコム入社。「価格.comマガジン」にて、PCやスマートフォン分野を担当。取材歴は20年以上。現在は「価格.comマガジン」全体を統括する。
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