睡眠モニタリングを使いたいが、スマートウォッチを着けて寝たくない……。そんな人にこそ注目してもらいたいのが、健康モニタリング用のセンサーを搭載した指輪型デバイスの“スマートリング”です。なかでも、月額料金が不要であることから話題を集めているZepp Health「Amazfit Helio Ring(アマズフィット ヘリオリング)」の使い勝手や装着感をレビューします。
Zepp Health「Amazfit Helio Ring」、公式サイト販売価格は49,900円(税込)、2024年10月10日発売
健康モニタリングを行うデバイスと言えばスマートウォッチですが、それに代わる新しいモニタリングデバイスとして登場したのが、指輪型の“スマートリング”です。徐々に参入メーカー、ブランドが増えるなか、スマートウォッチで人気の「Amazfit」から、「Amazfit Helio Ring」(以下、Helio Ring)が登場しました。
「Helio Ring」はリングの内側に、心拍センサーや温度センサー、そして手汗を感知してストレスレベルを測定する皮膚電気活動(EDA)センサーを搭載しており、それらセンサーが測定したデータから健康状態を自動でモニタリング。その結果はスマートフォン用の公式アプリ「Zeppアプリ」にて確認できます。
心拍センサーなどはすべてリングの内側に搭載されています
リングの内側は、プラスチック製の樹脂でコーティングされており、指で触るとセンサーの凹凸を感じますが、装着した際は気になりません。10ATMの防水性を備えているので、運動中の汗はもちろん、入浴時もそのまま着けられます。充電中以外は基本的に装着したまま過ごしていましたが、違和感はありませんでした。
充電にかかる時間は、メーカーの公称値によると、フル充電まで約1時間40分。1回の充電で4日間駆動するとのこと。充電器は、突起にリングをはめるだけのシンプルな構造で、日中のすき間時間にサッと充電できます。レビューを行った約2週間の間に、充電切れを気にすることもなかったです。
専用充電器の突起に差すだけで、充電が開始されます
実は、スマートリングは月額料金が必要な場合が多いのですが、「Helio Ring」は月額料金が不要です。高度な睡眠サポート機能を使えるオプションとしてのサブスク「Zepp Aura」も用意されていますが、健康モニタリングをする程度であれば契約する必要はなさそう。ランニングコストがかからないことは、スマートリングを選択するうえで、魅力的なポイントと言えるでしょう。
ここからは、「Helio Ring」の健康モニタリングに関する機能をレビューしましょう。本機には、数値を確認するためのディスプレイがなく、スマホアプリ「Zeppアプリ」にてデータを確認する必要があります。
モニタリングできる健康指標は、心拍数、血中酸素レベル、ストレスレベル、睡眠の質、月経周期追跡と充実しており、一般的なスマートウォッチで測定できる健康モニタリングの指標とほぼ同じ内容でした。
さらに、健康指標には「Zeppアプリ」独自のものとして、「レディネス」があります。「レディネス」は、先に触れたさまざまなモニタリング結果を統合・分析し、ユーザーの健康状態を100点満点でスコア化する機能です。このスコアを裏付けるモニタリング数値も細かく確認ができるのですが、指標は把握できないほど多く、単純な数値の加減ではない、複雑な“分析”に基づく結果であることがうかがえます。
筆者は、毎朝起きると、この「レディネス」のスコアを見て、体調や回復具合をチェックすることが日課となりました。
毎朝「レディネス」のスコアを見て、回復状態をチェック
「レディネス」の基になったモニタリングデータも確認可能
「レディネス」のスコア算出にも深く関係する睡眠モニタリングも、詳細なデータを測定可能。睡眠時間はもちろん、深い眠り、浅い眠り、REMといった睡眠中の質の変化も確認できます。また、週単位や月単位といった長い期間での変化はグラフでチェックできます。
睡眠スコアの分析結果から、アドバイスも受け取れます
ちなみに、多くのスマートウォッチには、健康モニタリングとは別に、運動中のデータを測定する「ワークアウト」機能が搭載されていますが、「Helio Ring」には搭載されていません。ただし、歩数や活動消費カロリーといった値は測定されているので、本格的なスポーツ測定はできませんが、健康指標としての活動量は確認できます。
「Helio Ring」は、チタン合金製で重量は約4g。サイズは、USサイズでの8号、10号、12号が用意されており、日本での指輪のサイズとは異なるため注意が必要です。
筆者が着用していた10号の外径は、実測値で約25mm、厚さは2.6mmと、一般的な指輪に比べると、いくぶん大きいですが、普段の生活でじゃまに感じることはありませんでした。
大柄な男性である筆者は、サイズ10(日本での20号)がフィット
デザインは、表面に細かなドット柄が刻印されているだけとシンプルなので、ビジネススーツからカジュアルまで幅広いスタイルに対応可能。カラーバリエーションがないのがちょっと残念ですね。
リングの表面にはドット柄が刻印されています
マニュアルによる着用のルールが2点あります。
(1)人さし指に着けること
(2)「I」の目印を手のひら側に向けて着けること
左右の指定はなく、筆者は利き手ではない、左手の人さし指がぴったりでした。
リングに記された「I」の目印を手のひら側に向けて装着
「Helio Ring」は、「Amazfit」のスマートウォッチと併用することで、運動データなどを統合した、より正確なデータを測定・分析できます。今回は、ちょうど手元にあった最新スマートウォッチ「Amazfit T-Rex 3」と一緒に使用してみました。
スマートリングとスマートウォッチを併用してみました
「Helio Ring」のみでの測定時と、スマートウォッチ併用時では、「疲労レベル」の項目に数値が表示されていたり、運動量を表す数値「PAI」がリングのみでの着用時よりも正確に記録されていたりとデータの精度が向上した印象です。運動などのデータをトラッキングするのが得意なスマートウォッチと併用すると、より高精度な健康モニタリング、ワークアウトのトラッキングが可能ということでしょう。
「Helio Ring」だけでは数値が取得できなかった「疲労レベル」などは、スマートウォッチを併用することで数値を記録できるようになりました
運動指標である「PAI」も測定できるように
「Helio Ring」と「Amazfit」のスマートウォッチを両方使ってみたところ、運動時は、「Amazfit」のスマートウォッチをメインに、「Helio Ring」をサブとして併用することで、正確な運動データを測定できると感じました。また、睡眠時は、「Helio Ring」のみを着用すれば、時計ストラップの締め付けを気にせず、快適に眠れます。これまで、スマートウォッチを装着したまま寝ても気にならなかったのですが、いざ「Helio Ring」に切り替えると、時計とリングの着用感の大きな違いから、睡眠モニタリングはリングが断然快適だなと感じました。
初めて指輪型の“スマートリング”を使用してみましたが、「Helio Ring」で測定できるデータの多彩さ、精度の高さに驚かされました。ただし、サイクリングやランニングといった運動のデータを測定したい筆者にとっては、「Helio Ring」のみでは、確認したいデータが足りませんでした。もし、ウェアラブルデバイスを使う目的が、運動データの取得ではなく、健康モニタリングだけなのであれば、「Helio Ring」だけでも十分。また、着用時の負担の少なさは、じゃまにならない快適な睡眠をもたらしてくれるでしょう。