レビュー

Core Ultra搭載! 軽くて高性能、大容量バッテリーのフラッグシップVAIO「VAIO SX14-R」

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

2024年11月にVAIOから発売された「VAIO SX14-R」は、VAIOシリーズのフラッグシップモデルに位置づけられる製品で、インテルのCPU「Core Ultra」を搭載し、重さ1kgを切る軽量ボディと長時間のバッテリー持続時間を実現しています。今回はそのうちの「VAIO SX14-R 2024年11月発売モデル ※以下VAIO SX14-R」をレビューしていきます。

VAIO「VAIO SX14-R」279,800円(税込、価格.com最安価格。以下、ページ内のすべての情報は2024年12月13日時点のもの)、2024年11月8日発売。今回の試用機のOSはWindows Proでした

VAIO「VAIO SX14-R」279,800円(税込、価格.com最安価格。以下、ページ内のすべての情報は2024年12月13日時点のもの)、2024年11月8日発売。今回の試用機のOSはWindows Proでした

「VAIO SX14-R」はビジネスユースに最適な高性能モバイルノート

さっそく「VAIO SX14-R」について実際に使ってみた印象をまとめました。

「VAIO SX14-R」ってどんなパソコン?

・軽くてバッテリーが長持ちする高性能モバイルノートPC
・安曇野FINISHによる高い信頼性はビジネス利用にもよい
・所有する喜び、使う喜びを感じさせてくれる美しいデザイン

■VAIO「VAIO SX14-R」筆者による評価チャート

評価チャートについて
・実際に製品を使用して、価格.com「ノートパソコン」カテゴリーのユーザーレビューと同じ評価項目で点数を付けました。
評価項目:満足度、デザイン、処理速度、グラフィック性能、拡張性、使いやすさ、持ち運びやすさ、バッテリー、画面、コストパフォーマンス
点数:5点満点(標準点は3点)
・製品カテゴリーや価格を考慮して評価しています。ノートパソコンとしての絶対的な評価ではありません。
・本記事を執筆した筆者による個人的な評価です。評価は個人によって変わりますので、あくまでも参考程度にとどめてください。
価格.com「ノートパソコン」カテゴリーのユーザーレビュー一覧

デザインや処理速度は非常にすぐれており、満足度もトップクラスです。グラフィック性能は単体ビデオチップ搭載製品にはかないませんが、内蔵GPUの世代が新しくなり、3D描画性能がかなり向上しています。

拡張性も有線LANやUSB3.1 Gen1(USB3.0)Type-Aポート×2基、USB4 Type-C(Thunderbolt 4対応)ポート×2基、HDMI出力ポート、ヘッドセット端子を搭載しており、モバイルノートPCながら十分高いと言えるでしょう。

また、バックライトや「Copilotキー」も備えていて、使いやすさも高得点。バッテリー持続時間も実際に計測してみましたが、公称を上回る約12時間27分もの動画連続再生が可能でした。液晶もアスペクト比16:10になり、縦方向の解像度が増えています。完成度の高いハイエンドモバイルノートPCで、今回の試用機構成の実売価格は約28万円。「Microsoft Office Home and Business 2024(43,980円。税込、価格.com最安)」が付属することを考えても安くはありません。コストパフォーマンスは標準的と言えるでしょう。

それ以外の詳細な特徴は、次項以降のレビューをご確認ください。

「VAIO SX14-R」を詳しくチェック

ここからは「VAIO SX14-R」について実際触った感触などより詳しくレビューしていきます。

そもそもVAIOって何?

VAIOは元々ソニーが行っていたパソコン事業を引き継いだVAIO株式会社によるパソコンブランドです。設計から製造、サポートまでを自社で行うほか、重要な製造工程を長野県安曇野市にある本社工場で行っており、品質に定評があります。「VAIO SX14-R」は、14.0型ワイドディスプレイシリーズ中のハイエンド軽量に該当します。

「VAIO SX14-R」は画面サイズが14.0型ワイドディスプレイのシリーズ中でハイエンドかつ軽量が特徴です

「VAIO SX14-R」は画面サイズが14.0型ワイドディスプレイのシリーズ中でハイエンドかつ軽量が特徴です

「VAIO SX14-R」は「SX14」をベースにしつつ内部の設計を一新

VAIOの個人向け製品ラインアップは、ハイエンド、アドバンスト、スタンダードの3つに分けられますが、「VAIO SX14-R」が属するSXシリーズはハイエンドに位置づけられる高性能モデルです。

同じく14.0型ワイド液晶を搭載した「VAIO SX14」をベースとした製品で、VAIOシリーズとして初めてNPU搭載CPUとなる「Core Ultra」を搭載したことが特徴です。内部の設計もデザインも一新されています。「Core Ultra」の中でもパフォーマンスの高いHシリーズを採用し、独自技術の「VAIO TruePerformance」により、CPUの性能を最大限に引き出しています。ただし、2023年発売の初代「Core Ultra」なので、Copilot+ PCの要件は満たしていません。

CPUやメモリー、ストレージ容量などの選択が可能ですが、試用機はCPUとして14コア/18スレッドの「Core Ultra 5 125H」が搭載されていました。また、メモリーは16GB、ストレージは512GBという仕様になっています。

天面と底面に熱可塑性カーボンファイバープレートを採用し、堅牢性を犠牲にすることなく約999g(最軽量構成時)の軽量コンパクトボディを実現しています。

試用機の重量は実測で997gでした

試用機の重量は実測で997gでした

ボディカラーは個性的ながらインテリアになじむ「ディープエメラルド」など4色+特別仕様から選べ、液晶を開くとキーボードに傾斜が付くチルトアップヒンジの採用など使い勝手にもこだわっています。

液晶を開くとキーボードに傾斜が付くチルトアップヒンジを採用

液晶を開くとキーボードに傾斜が付くチルトアップヒンジを採用

キーボードは全87キーで、配列も標準的です。バックライト付きなので暗いところでも高い視認性を実現しています。キータッチも良好で、剛性感も高く、快適にタイピングが行えます。また、右の「Ctrl」キーの隣に「Copliot」キーが用意されています。前述したように「Copliot+ PC」ではないのですが、NPUを搭載していますので「AI PC」の要件は満たしています。

キーボードは全87キー。右「Ctrl」キーの隣に「Copilot」キーが用意されています

キーボードは全87キー。右「Ctrl」キーの隣に「Copilot」キーが用意されています

画面:アスペクト比16:10の液晶ディスプレイは作業しやすく目にやさしい

ベースモデルの「VAIO SX14」は、フルHD(1920×1080)または4K(3840×2160)の14.0型ワイド液晶を搭載していましたが、「VAIO SX14-R」では、アスペクト比が16:9から16:10になり、WUXGA(1920×1200)またはWQXGA(2560×1600)から選択できるようになりました。

今回の試用機には、WUXGA液晶が採用されていましたが、非光沢仕上げで目にやさしく、発色やコントラストなども優秀です。フルHD液晶に比べて縦の解像度が120ドット分高くなっていますので、Excelなどでの作業時にも便利です。また、直販モデルではタッチパネル対応高解像度液晶も選択可能です。

アスペクト比16:10のWUXGA液晶を搭載します

アスペクト比16:10のWUXGA液晶を搭載します

長野県安曇野市のVAIO本社で製造の最終工程を行っていることも特徴です。VAIOはこれを「安曇野FINISH」と呼んでおり、高い品質と信頼性を誇っています。

使いやすさ:「伝わるオンライン会議」のためのさまざまな機能を搭載

昨今は、ハイブリッドワークが主流となり、オンライン会議の重要性が向上しています。そこで「VAIO SX14-R」は、「伝わるオンライン会議」のためのさまざまな機能を搭載しています。

3つのマイクであらゆるシチュエーションで快適にオンライン会議が可能

「VAIO SX14-R」では、3つのマイクを搭載し、またオンラインの会話モードを「プライバシーモード」「会議室モード」「プライベートモード」「標準モード」の4つから選べるようになりました。モードによりカメラの画角も最適化されます。AIノイズキャンセリング機能も強化され、対面の声を拾わずに正面の声だけを集音できるようになっています。

より聞こえやすくなったスピーカー

スピーカーボックスの容量を増やし、低音の音質が改善しています。音圧も大きくなり、より相手の声が聞こえやすくなりました。

カメラ性能も向上、プライバシー配慮も

約921万画素の高画質カメラを搭載しています。「HDR明るさ補正」や「ピクセルビニング」により、逆光や暗い場所でも高画質でオンライン会議が可能です。物理的なプライバシーシャッターも備えているので、操作を間違えて映したくない自分の顔を映してしまうことも防げます。一時的に離席する際のカメラ一時停止機能もあります。

オンライン会話設定キーを搭載

オンライン会議に関する設定を一括で変更できる「VAIOオンライン会話設定」ツールと、「VAIOオンライン会話設定」をワンタッチで呼び出せるオンライン会話設定キーを搭載しているので、マイクやカメラなどの設定が見つからないといったこともありません。

オンライン会議に関する設定を一括で変更できる「VAIOオンライン会話設定」

オンライン会議に関する設定を一括で変更できる「VAIOオンライン会話設定」

F12キーの右がオンライン会話設定キー

F12キーの右がオンライン会話設定キー

拡張性・バッテリー:インターフェイスも充実、バッテリー持続時間も長い

インターフェイスも充実しており、有線LANやUSB3.1 Gen1(USB3.0)Type-Aポート×2基、USB4 Type-C(Thunderbolt 4対応)ポート×2基、HDMI出力、ヘッドセット端子を搭載。最新のWi-Fi 7にも対応しています。USB4 Type-C(Thunderbolt 4対応)ポートが左右に配置されているのも便利です。

「VAIO SX14-R」の左側面。USB4 Type-C(Thunderbolt 4対応)ポートとUSB3.1 Gen1(USB3.0)Type-Aポートが用意されています

「VAIO SX14-R」の左側面。USB4 Type-C(Thunderbolt 4対応)ポートとUSB3.1 Gen1(USB3.0)Type-Aポートが用意されています

「VAIO SX14-R」の右側面。ヘッドセット端子、USB3.1 Gen1(USB3.0)Type-Aポート、HDMI出力、有線LAN、USB4 Type-C(Thunderbolt 4対応)ポートが用意されています

「VAIO SX14-R」の右側面。ヘッドセット端子、USB3.1 Gen1(USB3.0)Type-Aポート、HDMI出力、有線LAN、USB4 Type-C(Thunderbolt 4対応)ポートが用意されています

ACアダプターは65W仕様ですが、コンパクトで軽いので(ケーブル込みで実測194g)、本体と一緒に持ち運ぶことも苦になりません。

バッテリーは最大約10.5時間の連続動画再生が可能とされています。実際に、「VAIOの設定」でCPUとファンのバッテリー駆動時の設定を「標準」にし、バッテリー節約設定をオフにした状態で(液晶輝度はちょうど真ん中)、無線LAN経由でYouTubeのフルHD解像度の動画を連続再生したところ、公称時間を上回る12時間27分もの長時間再生が可能でした。バッテリー持続時間は、非常にすぐれていると言えるでしょう。

バッテリー持続時間のテスト条件

バッテリー持続時間のテスト条件

システムの電源とバッテリーの設定はこのようにしました

システムの電源とバッテリーの設定はこのようにしました

処理速度:Core Ultra 5の十分な処理能力を実感できる

筆者は2022年7月に発売された「VAIO SX14」(Core i7-1260P搭載)を所有しているため、パフォーマンスを比べてみました。

まず、CPUの処理能力を計測する「CINEBENCH 2024」の結果を見てみましょう。「VAIO SX14-R」は、マルチコア性能が618、シングルコア性能が99となりました。それに対し2年前に発売された「VAIO SX14」では、マルチコア性能が421、シングルコア性能が91で、シングルコア性能はあまり変わっていませんが、マルチコア性能は約1.47倍に向上しています。

今回試用した「VAIO SX14-R」は、「Core Ultra 5 125H」を搭載したモデルですが、2年前の製品とはいえCore i7を上回る性能を実現しているのはすばらしいと思います。「VAIO SX14-R」には上位の「Core Ultra 7 155H」を搭載した製品もあるので、そちらはさらに高い性能が期待できます。

CINEBENCH 2024の結果。左が「VAIO SX14-R」で、右が「VAIO SX14」

CINEBENCH 2024の結果。左が「VAIO SX14-R」で、右が「VAIO SX14」

次に内蔵GPUの性能を検証するために「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」(以下ファイナルファンタジーXIVベンチマーク)を実行してみました。フルHD解像度/フルスクリーンモード/標準品質(ノートPC)という条件で計測したところ、「VAIO SX14-R」はスコア7503で「やや快適」という評価になったのに対し、「VAIO SX14」はスコア5637で「普通」という評価になりました。

Core Ultraは内蔵GPUのアーキテクチャが一新され、「Intel Arc Graphics」を搭載しています。ゲーム向けの製品ではありませんが、3D描画性能もかなり向上していることがわかります。

「VAIO SX14-R」の「ファイナルファンタジーXIVベンチマーク」の結果

「VAIO SX14-R」の「ファイナルファンタジーXIVベンチマーク」の結果

「VAIO SX14」の「ファイナルファンタジーXIVベンチマーク」の結果

「VAIO SX14」の「ファイナルファンタジーXIVベンチマーク」の結果

【まとめ】特にオンライン会議の多いビジネスマンやモバイルワーカー向き

「VAIO SX14-R」は、VAIOシリーズのフラッグシップモデルだけあり、高い性能と携帯性を両立させた、非常に完成度の高いモバイルノートPCです。価格はやや高めなのですが、それだけの価値はある製品と言えるでしょう。デザインや細部の仕上げもすばらしく、所有し、使うことの喜びを感じさせてくれます。

特にオンライン会議を快適に行うための機能が充実しています。そのため自宅以外のカフェやコワーキングスペースなど、どのような場所でも快適に仕事をこなしたいビジネスマン、あるいはバッテリー持続時間を重視するモバイルワーカーに特に向いた製品です。

石井英男
Writer
石井英男
PC/ITライター歴30年超。 PC/ITに関するテクノロジーの解説や製品レビューなどをメインにPC雑誌やWeb媒体などで多数執筆。 最近はAIや量子コンピューター、STEM教育などの分野についても、積極的に取材・執筆を行っている。プロダクトやサービスの導入事例の取材・執筆の経験も豊富。近著として、「ビジネス教養として知っておくべきAI」(ソシム刊)がある。
記事一覧へ
柴田崇志(編集部)
Editor
柴田崇志(編集部)
モノ雑誌で10年弱編集を経験した後、カカクコムに入社。前職ではAV家電やカメラを中心に幅広い製品を担当。スペックからわかりづらい製品の違いをわかりやすく説明したいです。
記事一覧へ
記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
SPECIAL
ページトップへ戻る
×