シャオミのサブブランドであるPOCOから、ミッドハイレンジのスマホ「POCO X7 Pro」が登場。同ブランドならではの圧倒的なコスパモデルの詳細を、いち早くお届けしよう。
※本レビューは、検証機のため、仕様や表示などが異なる可能性があります。
シャオミ「POCO X7 Pro」、市場想定価格は8GB/256GBモデルが49,980円(税込)、12GB/512GBモデルが59,980円(税込)、2月12日発売
多くのガジェット系YouTuberがグローバル版の第一報を取り上げて以降、国内版リリースの噂が絶えなかった「POCO X7 Pro」が、グローバル版とほぼ同様のスペックにて2月12日に正式リリースを迎えた。
結論から言ってしまうと、同ブランドならではの圧倒的なコスパはもちろん健在。5万円前後の価格でありながら、ゲーム&エンタメ性能はハイエンドクラスだ。カメラはそこそこの及第点といったところで、日本市場でニーズの高いFeliCaには非対応。対応バンドがn79非対応のため、ドコモ系SIMでは、5Gエリアが狭くなるかもしれない。
ブラック、グリーン、イエローの3カラーが展開
ディスプレイは6.67インチの有機EL(2712×1220)を採用し、重量は約195g。バッテリー容量は6000mAh、90Wの急速充電にも対応している。インカメラは2000万画素(F2.2)、防水防塵等級はIP68と最高基準を満たしているうえ、手が濡れていても操作可能なウェットタッチパネルまで備えている。
背面カメラは5000万画素(F1.5)と800万画素(超広角)のデュアルカメラを搭載。センサーサイズは1/1.95インチながらも、暗所撮影に定評のある「SONY IMX882」イメージセンサーを採用している。カメラの気になる凹凸は、2mmほどと昨今にあってはわりと控えめな印象だ。
背面カメラの凹凸は控えめ
同梱物は、充電器とUSB Type-Cケーブル、シリコンケースとSIMピンといたってシンプル。ストラップホールは本体側にあり、SIMカードトレイは2枚のnanoSIMカードに対応。SDカードは残念ながら非対応となっている。
同梱するシリコンケース
SIMカードトレイは表裏に1枚ずつnanoSIMカードを設置できる
POCOは、エントリー&ミドルレンジの端末をメインに、圧倒的なコストパフォーマンスを武器とするシャオミのサブブランドであるが、本モデル「POCO X7 Pro」は、すべての機能がおしなべて高水準で、ゲームやエンタメ性能に特化した印象だ。
まずはSoCから見ていこう。本機には「MediaTek Dimensity 8400-Ultra」が搭載された。端末の性能と電力効率を最大化すべく、これまでは同社製ハイエンドにあたる9000番台のみに採用されたオールビックコア設計を、8000番台では初めて採用することとなった。
「Arm Cortex‑A725」プロセッサーを8基、AI機能を司るNPUも最新の第8世代となる「MediaTek NPU 880」を搭載
ディスプレイ輝度は近年のシャオミ系ハイエンドモデル同様に最大3200nitsと現状トップクラス
もちろんディスプレイ性能も申し分ない。最大リフレッシュレートは120Hz、同じくタッチサンプリングレートも480Hzと、現代のゲーミング環境に準拠しているのがわかる。
そこで、定番ベンチマークテストアプリ「AnTuTu Benchmark」で測定してみたところ、検証機環境では、約161万ポイントとなり、GPUスコアは約55万ポイント。「Dimensity 8300-Ultra」搭載の前世代「POCO X6 Pro」と比べ、総合で30万ポイントほど向上していることが確認できた。あくまで検証機での結果であり、実機での数値とは異なる可能性があるため、参考程度に留めていただきたい。
「AnTuTu」のベンチマーク結果
続いては、実際のゲームプレイに関する所感をざっと記していく。
テストしたタイトルは「原神」。冒頭から60分ほどプレイしてみた結果、端末の温度上昇はほとんど気にならず概ね40度前後をキープ。バッテリーは約14%消費した。最も負荷のかかるフレームレート優先のカスタム画質を選択していることを考えれば、ハイエンド並みの高性能をうたっても特に問題ないと言えるだろう。
フレームレート優先のカスタム画質を選択。より負荷がかかるシーンでも最低59FPSから最大94FPSまで確認できた
高負荷な設定でゲームプレイをしたが、ディスプレイ感度、発熱、バッテリー消費量の妙味はまさにフラッグシップクラスと言ってよい。さらに、好感が持てたのが音の立体感だ。これだけ省スケールなデュアルスピーカーでありながら、Dolby Atmosならではの立体音響をしっかり味わえるチューニングも特筆に値する。
「Poco X7 Pro」には、Android 15をベースとしたカスタムOS「Xiaomi HyperOS 2.0」が採用されている。実はこのOS、中国国内版ではすでに生成AIによる文書生成やリアルタイム文字起こしなどが可能であり、本機のリリースに合わせ「日本語仕様にローカライズされた生成AIが実装されるのでは?」との憶測が飛び交っていたものの、お借りした検証機にはまだ実装されていなかった。とはいえ、リアルタイムではないにしても独自開発のAI機能はなかなかによくできている。UIも非常に直感的だ。
検証機のOSバージョンは2.0.7.0。今後のアップデートでリアルタイムAI機能への対応にも期待したい
「メモ」アプリでは入力した文章をAIによって要約、指定した言語に自動翻訳できる。定番翻訳アプリ「Deep L」と比較すると、速度、精度ともにやや劣るものの必要十分な印象を受けた。
「メモ」アプリのテキストを、AIによって要約、翻訳できる
「レコーダー」アプリでは、録音した音声の文字起こしが可能なうえ、先の「メモ」アプリ同様にテキスト化された文章を要約、翻訳できる。
Androidスマホでは、いまや標準装備となったGoogle謹製のAI「Gemini」やCMでもおなじみの「かこって検索」など、各種便利機能も併用できるため、シャオミ独自のAI機能と、どちらを使うかはユーザー次第となる。とはいえ、現段階では、画像から不要なオブジェクトや人物を削除する「AI消しゴム Pro」はじめ、速度、精度ともにGoogle側に一日の長があることは否めない。
「Poco X7 Pro」背面のデュアルカメラは、約5000万画素(標準)と、800万画素(超広角)の二眼仕様。メインカメラのみ、光学式手ブレ補正(OIS)に対応し、1/1.95インチの大型イメージセンサー「SONY IMX882」を搭載している。
上が標準カメラ、下が超広角カメラ。サイドにLEDライトが配置されている
カメラアプリでは、超広角0.6倍(35mm換算の焦点距離15mm、以下同)、1倍(23mm)、光学2倍ズーム(50mm)の3段階が用意されており、さらに、デジタルズームは10倍まで撮影可能だ。同じ画角でそれぞれ検証してみた。
まずは段階テストから。こちらは1倍
続いて2倍
超広角の0.6倍。画質がやや眠く、赤みが強い印象
「ポートレート」モードや「夜景」モードといったAI機能も装備され、ボケ感などのチューニングもかなり自然な印象を受けた。また、カメラアプリの「プロ」モードを使えば、マニュアル撮影も可能だ。
後ろボケの作例
前ボケもなかなかの表現力。ハイエンドモデルとも遜色ない仕上がりを楽しめる
「PRO」モードでは、ホワイトバランス、 露出時間、シャッタースピード、ISO感度などを任意で調整可能
前世代モデル「POCO X6 Pro」からのアップデートにとどまることなく、他社製フラッグシップモデルと遜色ない機能と快適性をこれでもかと詰め込んだ「POCO X7 Pro」。いまや通勤通学に欠かせないFeliCaへのこだわりさえ捨てられれば、文句なしに“買い”と言えるミッドハイレンジモデルである。