スマホとおカネの気になるハナシ

ドコモ新料金プラン徹底解説 「MAX」「ポイ活」「mini」の乗り換えはお得か?

スマートフォンやモバイル通信とお金にまつわる話題を解説していく「スマホとおカネの気になるハナシ」。今回は、NTTドコモの新料金プラン「ドコモ MAX」「ドコモ ポイ活 20」「ドコモ mini」などを前プランと比較。変更したほうがお得な場合の条件に迫ろう。

※本記事中の価格は税込で統一している。

NTTドコモが発表した新料金プランを解説。ドコモユーザーはプラン変更するべきか?

NTTドコモが発表した新料金プランを解説。ドコモユーザーはプラン変更するべきか?

他社に先駆けて発表された物価上昇時代のドコモ新料金

前回取り上げた「home 5G」で料金値上げを打ち出したNTTドコモだが、同社は2025年4月24日にも再び、料金に関する新たな施策を打ち出している。それはスマートフォン向けの新料金プラン「ドコモ MAX」「ドコモ mini」などを2025年6月5日より提供すると発表したことだ。

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2025/04/21 11:00

2023年6月から現在まで、NTTドコモの料金プランは大容量の「eximo」と、オンライン専用で主に中容量をカバーする「ahamo」、そして小容量かつ低価格の「irumo」の3つのプランと、いわゆる“ポイ活”の要素を追加した派生プランから構成されていた。だが、今回の新料金プラン提供によって今後、「ahamo」以外はすべて新プランに移行する。

NTTドコモは2025年4月24日に「ドコモ MAX」など複数の新料金プランを発表。2025年6月5日以降、「ahamo」以外の料金プランはすべて入れ替えとなる

NTTドコモは2025年4月24日に「ドコモ MAX」など複数の新料金プランを発表。2025年6月5日以降、「ahamo」以外の料金プランはすべて入れ替えとなる

「ドコモ MAX」は1,000円以上の値上げ。ただし「DAZN for docomo」がセット

では、新しい料金プランにはどのように変化したのだろうか。まずは「eximo」の後継となる大容量の「ドコモ MAX」だが、こちらは月当たりの通信量が1GBまでの場合5,698円、1〜3GBまでの場合6,798円、3GB以上はどれだけ使用しても8,448円で利用できるプランとなる。通信量に応じて料金が3段階で変わる点は変わらないが、「eximo」が4,565円(1GBまで)から7,315円(3GB以上)であっただけに、各段階いずれも1,133円値上げされた。

ただ、NTTドコモは、値上げした料金を複数の付加価値でカバーし、「ドコモ MAX」の魅力を高めることに力を入れている。なかでも最大の付加価値が「DAZN for docomo」を無料で利用できることだ。

「DAZN for docomo」はスポーツの映像配信サービス「DAZN」のNTTドコモ版のようなもので、その内容はDAZNの「DAZN STANDARD」とほぼ同じ。それゆえ月額料金も4,200円と高いのだが、「ドコモ MAX」を契約すればその「DAZN for docomo」がセットで付いてくる。

それゆえスポーツに関心の高い「DAZN」利用者であれば、「DAZN for docomo」に4,248円とサブブランド並みの月額料金を追加するだけで、使い放題のデータ通信が利用できるだけにお得感は非常に高い。

「ドコモ MAX」の利用者は「DAZN for docomo」が追加料金不要で利用可能。月額4,200円のサービスだけに、その料金がセットになると考えればお得感は非常に高い

「ドコモ MAX」の利用者は「DAZN for docomo」が追加料金不要で利用可能。月額4,200円のサービスだけに、その料金がセットになると考えればお得感は非常に高い

「ドコモ MAX」では国際ローミングが月間30GBまで無料に。複数の割引サービスも用意

「ドコモ MAX」にはいくつかの付加価値サービスが用意されている。具体的には、「Amazonプライム」や映像配信の「Leminoプレミアム」を最大6か月間、ポイント還元や割引などによって実質無料で利用できる。「ahamo」と同様、国際ローミングが月間30GBまで無料で利用できるようになった点も、海外への渡航が多い人には魅力となるだろう。

さらに、「ドコモ MAX」は従来プランと同様、複数の割引サービスを適用することで安くできる仕組みも用意している。しかし、割引の数が多く、内容もかなり複雑だ。なかでも大きく変化したのが「dカードお支払割」で、料金を会費有料の「dカード GOLD」以上で支払うと月額550円割り引かれるが、会費無料の「dカード」で支払うと月額220円引きに減少してしまう(終了日未定のキャンペーンで当面はどのカードで支払っても月額550円引き)。

それに加えて「ドコモ MAX」には、従来なかった2つの割引が追加されている。ひとつは「ドコモでんき」のセット契約で適用される「ドコモでんきセット割」(月額110円引き)。もうひとつは契約期間に応じた「長期利用割」なのだが、こちらは契約年数10年以上で月額110円引き、20年以上で月額220円引きと、割引額の割に適用に必要なハードルがかなり高い。

それら3つの割引と、従来からの「みんなドコモ割」(3回線以上で月額1,210円引き)と「ドコモ光 セット割/home 5G セット割」(月額1,210円引き)をすべて適用すれば、月額料金は2,398〜5,148円にまで引き下げられる。とはいえ、これらをフルに適用できる人はかなり限られるだろう。

「ドコモ MAX」の概要。すべての割引を適用すれば5,148円でデータ通信が使い放題となるが、その条件を達成するには3回線以上の家族回線や「dカード GOLD」以上での支払い、20年以上の長期契約などが必要で、これまで以上にハードルが高い

「ドコモ MAX」の概要。すべての割引を適用すれば5,148円でデータ通信が使い放題となるが、その条件を達成するには3回線以上の家族回線や「dカード GOLD」以上での支払い、20年以上の長期契約などが必要で、これまで以上にハードルが高い

ハードルは高いが実質2,948円まで料金を下げられる「ドコモ ポイ活 MAX」

「ドコモ MAX」には、派生プランとして「eximoポイ活」の後継になる「ドコモ ポイ活 MAX」も用意される。月額料金が11,748円の固定制で、「dカード」「d払い」での支払いや「マネックス証券」での積立によりポイントを多く獲得できる点などは、「eximoポイ活」と共通している。

ただ、「ドコモ MAX」がベースとなったため、「DAZN for docomo」が無料で利用できるなどの付加価値サービス、そして一連の割引サービスなどは「ドコモ MAX」と共通している。それゆえ割引を最大限適用し、“ポイ活”によって還元される最大5000ポイントを料金に反映させれば、月額料金は実質2.948円にまで引き下げられる。だが、それをフルで達成するハードルはかなり高い。

「ドコモ ポイ活 MAX」の概要。従来の「eximoポイ活」などと同様に、「dカード」「d払い」での決済などでより多くポイントが付与され、月額料金を安くできるが、その条件をすべて達成できる人は多くなさそうだ。

「ドコモ ポイ活 MAX」の概要。従来の「eximoポイ活」などと同様に、「dカード」「d払い」での決済などでより多くポイントが付与され、月額料金を安くできるが、その条件をすべて達成できる人は多くなさそうだ。

割引を駆使できれば割安になる中容量向け新プラン「ドコモ ポイ活 20」

NTTドコモは大容量の「ドコモ MAX」以外にもいくつかの新料金プランを発表しており、そのひとつが「ドコモ ポイ活 20」だ。これは通信量が20GBまでであれば月額7,898円、それを超過すると月額9,570円で使い放題になる、完全新規の中容量に位置するプランだ。

率直に言えば中容量のプランとしてはかなり高額だ。だが、長期利用割以外の割引サービスは「ドコモ MAX」と共通しており、“ポイ活”プランだけにdカードやd払いでの支払いなどでポイントが貯まりやすい仕組みも用意している。それゆえ、すべての割引と最大2500ポイントの還元によって、20GBまでであれば実質的に月額2,068円、それを超えても月額3,740円と、中容量の一般的なプランよりは割安で利用できるようだ。

「ドコモ ポイ活 MAX」と「ドコモ ポイ活 20」の比較。「ドコモ ポイ活 20」は店頭で契約できる中容量の完全新規プランとなり、他社サブブランドと比べ月額料金は高いがポイント還元で実質料金が安くなる仕組みだ

「ドコモ ポイ活 MAX」と「ドコモ ポイ活 20」の比較。「ドコモ ポイ活 20」は店頭で契約できる中容量の完全新規プランとなり、他社サブブランドと比べ月額料金は高いがポイント還元で実質料金が安くなる仕組みだ

4プランから2プランに整理された低容量向け「ドコモ mini」も値上げ

もうひとつの新プランが「ドコモ mini」で、こちらは「irumo」の後継となる小容量・低価格をカバーする。ただ、「irumo」は0.5GB/3GB/6GB/9GBの4つのプランが用意されていた。しかし、「ドコモ mini」では4GBプラン(月額2,750円)と10GBプラン(月額3,850円)の2つに減少。通信量が1GB増えているとはいえ、月額料金だけを見れば「irumo」の3GBプラン(2,167円)や9GBプラン(月額3,377円)よりも高額だ。

なお、こちらも割引サービスが用意されており、「irumo」と同じ「ドコモ光 セット割/home 5G セット割」と「dカードお支払割」、そして新たに「ドコモでんきセット割」が追加されている。すべて適用すると4GBプランで月額880円、10GBプランで月額1,980円と安く利用できるのだが、最大限の割引を得るには「ドコモでんき」の契約が必要なうえ、低価格プランにもかかわらず「dカードお支払割」ではdカード GOLD以上の利用が求められる。安く利用するハードルがかなり上がったことは間違いないだろう。

小容量の「ドコモ mini」の概要。現行の「irumo」と比べると通信量がやや増えたものの、プラン自体は半減しているうえに各種割引の適用ハードルも高くなっている

小容量の「ドコモ mini」の概要。現行の「irumo」と比べると通信量がやや増えたものの、プラン自体は半減しているうえに各種割引の適用ハードルも高くなっている

値上げで囲い込みが強化されたが、付加価値に惹かれるかで評価が割れる

ここまで触れてきた新プランの内容を振り返ると、大容量の「ドコモ MAX」で「DAZN for docomo」を無料で利用できるなど、高い付加価値を提供し魅力は高まった。いっぽうで、割引サービスが大幅に増え内容が複雑となり、ほかのサービスとのセット契約による“縛り”が厳しくなった印象を受ける。それに加えて加えて小容量の「ドコモ miniはプラン」が減少し、サービス自体の魅力が落ちてしまっただけに、賛否は大きく分かれるようだ。

そもそも、なぜ新料金プランがこのような構成になったのか? NTTドコモが「irumo」などの低価格プランを広げて契約数を増やす戦略を転換し、自社サービスを多く利用する優良顧客の獲得・維持を重視して収益を高めることに重きを置くようになったからだろう。スポーツに興味がない人からは「DAZNはいらないから安くしてほしい」との声も少なからず上がりそうだ。だが、そうした人たちは唯一プラン変更がなされず、シンプルさを維持している「ahamo」や「ahamo大盛り」を利用してほしいのが、NTTドコモの考えのようだ。

ただ、店頭でのサポートがない「ahamo」が自分の使い方にマッチしないのであれば、今後料金プランを選ぶうえではこれら新プランの契約を視野に入れる必要がある。そこで多くのNTTドコモユーザーが気にしているのは、現在のプランから新プランに移行する必要があるのか? だ。その際、とりわけ「ドコモ MAX」への移行の場合、やはり「DAZN for docomo」が最大の判断基準になるだろう。

先にも触れたように、「DAZN for docomo」の料金が含まれていると考えれば、「ドコモ MAX」の月額料金は非常にお得なので大いに移行すべきだ。ただ、そうでなければ、月額料金が上がっているし割引も複雑なので魅力は大きく落ちる。「DAZN」が不要で、なおかつ「eximo」やその前の「5Gギガホ プレミア」といった大容量プランを契約しているのであれば、現行プランを維持するのが得策だろう。

「ドコモ MAX」は、「DAZN for docomo」を月額無料で利用できることが最大の価値。スポーツ観戦に興味がある・なしで評価が分かれそうだ

「ドコモ MAX」は、「DAZN for docomo」を月額無料で利用できることが最大の価値。スポーツ観戦に興味がある・なしで評価が分かれそうだ

なお、「irumo」の契約者については、「ドコモ mini」で通信量はやや増えるが割引が複雑になるだけに、新プランへ移行するメリットはあまりない。既存のプランで通信量が足りないのであれば、6月までにより上位のプランへ移行するか、他社サブブランドへの転出も考えてもよいのではないだろうか。

競合他社の値上げも時間の問題

最大手のNTTドコモが新しい料金プランを打ち出したことで、競合他社もそう遠くないうちにNTTドコモと同様、優良顧客を重視するべく大容量プランの値上げと高付加価値化、そして低価格プランの縮小を進めてくる可能性が大いに高まった。

それだけに消費者の側も携帯電話料金を抑えたいのであれば、特定の携帯会社のサービスに依存して割引を最大限適用するか、それとも低価格のサービスを駆使して料金そのものを節約するかの、二択が求められることを覚悟しておいたほうがよさそうだ。

佐野正弘
Writer
佐野正弘
福島県出身。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。
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田中 巧(編集部)
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田中 巧(編集部)
通信を中心にしたIT系を主に担当。Androidを中心にしたスマートデバイスおよび、モバイルバッテリーを含む周辺機器には特に注力している。
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