横折りタイプのスマートフォンとして注目のGoogle「Pixel 10 Pro Fold」と「Galaxy Z Fold7」。どちらもフォルダブルスマホとしての完成度は高いですが、両者それぞれ注力しているポイントが異なり、基本機能や使い勝手、そしてAI機能などが異なります。今回はこの2製品に具体的にどのような違いがあるのか、そしてそれぞれどのようなユーザーにおすすめなのか、比較して検証してみました。
「Pixel 10 Pro Fold」(左)、「Galaxy Z Fold7」(右)
まず、携帯性については数値で比較しましょう。「Pixel 10 Pro Fold」と「Galaxy Z Fold7」のサイズ・重量は下記のとおり。大きく違いを体感するのは厚さと重量で、オープン状態では1mm、クローズ状態では1.9mm、後者のほうが薄く、43g軽いです。携帯性は「Galaxy Z Fold7」のほうが上ですね。
Pixel 10 Pro Fold
オープン 155.2(高さ)×150.4(幅)×5.2(厚さ)mm
クローズ 155.2(高さ)×76.3(幅)×10.8(厚さ)mm
重量 258g
カメラ部飛び出し 実測3.65(厚さ)mm
Galaxy Z Fold7
オープン 158.4(高さ)×143.2(幅)×4.2(厚さ)mm
クローズ 158.4(高さ)×72.8(幅)×8.9(厚さ)mm
重量 215g
カメラ部飛び出し 実測5.74(厚さ)mm
ただし、カメラ部飛び出しが「Pixel 10 Pro Fold」は実測3.65mm、「Galaxy Z Fold7」は5.74mmと、前者のほうが薄いです。保護ケースはカメラ部もカバーする構造になっているので、装着すると少なくとも薄さというアドバンテージを「Galaxy Z Fold7」は失うことになります。
オープン時は「Pixel 10 Pro Fold」(上)のほうが「Galaxy Z Fold7」(下)よりも1mm厚くなっています
クローズ時は厚さ「Pixel 10 Pro Fold」(上)のほうが、「Galaxy Z Fold7」(下)よりも約2mm厚くなります
実測重量は「Pixel 10 Pro Fold」(左)が259.0g、「Galaxy Z Fold7」(右)が217.0g(どちらもSIMカードを抜いた状態で計測)
どちらのモデルもオープンした状態で握り込むのはキツいですね。オープン状態では左側面と下面を支える形で保持するのがラク。揺れる満員電車などで長時間持つのであれば、スマホリングなどを装着しておきたいところです。
いっぽう、クローズした状態であれば、どちらの機種もしっかり片手でホールドできます。満員電車などではクローズ状態で使えば、無理にスマホリングを取り付ける必要はありません。
オープン時だと、どちらも片手持ちは無理があります
クローズ時の幅は、どちらも片手でしっかりホールドできるサイズに収まります
ヒンジについてはどちらも無段階調節可能。開閉もスムーズです。しいて言えば、「Galaxy Z Fold7」のほうがヒンジの剛性が高く感じられました。しかし、交互に開け閉めしなければ体感できないほどのわずかな差です。ちなみにヒンジの耐久性は、「Pixel 10 Pro Fold」は「10 年以上の折りたたみ動作にも耐える」、「Galaxy Z Fold7」は「50万回の開閉に耐える」と謳われています。
耐久性については使い方にも大きく左右されますし、パーツの個体差、組み立て精度によっても変化します。少なくとも一般的な使い方であれば問題ない耐久性を両機種とも備えていますが、不用意な扱い方をすればストレート端末よりもあっけなく壊れてしまう可能性があることは知っておきましょう。
フォルダブルスマホ最大の売りは画面の見やすさ。両製品ともそこは譲れないポイントということで、画面サイズ自体はほぼ同等です。ただし、ディスプレイの細かなスペックに違いがあり、スペック面では「Galaxy Z Fold7」のほうがほんのわずかに上です。ただし、文字の見やすさ、情報量という点では両者にほぼ差はないと言えます。
Pixel 10 Pro Fold
オープン 8インチ有機EL(2076×2152、373PPI)
クローズ 6.4インチ有機EL(2364×1080、408PPI)
Galaxy Z Fold7
オープン 8インチ有機EL (1986×2184、369PPI)
クローズ 6.5インチ有機EL (2520×1080、422PPI)
クローズ時は「Pixel 10 Pro Fold」(左)のほうが横に長く、「Galaxy Z Fold7」のほうが縦に長くなっています
オープン状態で比較しても、両機種に大きな差はありません
ただし、実際の視聴において、意外な差となったのがインカメラのパンチホール。どちらの端末も、より大きな画面で動画を視聴するためには端末を90度回転させる必要があります。
しかし、そうすると「Galaxy Z Fold7」のパンチホールがコンテンツの映像にかぶってしまうのです。電子書籍リーダー「Kindle」でも見開きで読もうとすると、同様にパンチホールが絵にかかってしまいますね。まあ気にしすぎと言えなくもないですが、下記の画像を許容できるかどうか確認しておきましょう。
より大きな画面で映像コンテンツを鑑賞したり、電子書籍リーダー「Kindle」で漫画を見開きで読もうとすると、「Galaxy Z Fold7」(右)ではパンチホールがじゃまになります(※漫画は鈴木みそ氏「ナナのリテラシー1」より)
折り畳みスマホ登場当初からの欠点とされていたのがメインディスプレイの折り目。しかし有機ELディスプレイとヒンジ機構の進化により、登場当初よりもかなり目立たなくなっています。それでも両機種を比較してみると、折り目がより目立たないのは「Galaxy Z Fold7」です。
「Pixel 10 Pro Fold」(左)、「Galaxy Z Fold 」7(右)
カメラ構成はどちらも広角、超広角、望遠、フロントカメラ、カバーカメラと同じ。ただし、メインカメラについては、「Pixel 10 Pro Fold」が4800万画素広角(F1.7)、「Galaxy Z Fold7」が2億画素広角(F1.7)と画素数が大きく異なります。ただし、違いが出るのはあくまでも最大解像度で撮影したとき。デフォルトの設定で撮影した場合にはほとんど差は出ません。
しかし、今回「超解像ズーム」で撮影した際には、「Pixel 10 Pro Fold」のほうが良好な結果を得られました。倍率自体は「Pixel 10 Pro Fold」のほうが低いのですが、くっきりとキレイに写っています。「Galaxy Z Fold7」は今回の状況ではぼやけていました。
なお、どちらも生成AI技術によって補間された画像であり、実際のものとは異なっている可能性が高いという点には注意が必要。特に小さく映っている文字や数字などは、誤って生成される場合があるので、気を付けましょう。
上は「Pixel 10 Pro Fold」(広角カメラ、1倍)、下は「Galaxy Z Fold7」(広角カメラ、1倍)
上は「Pixel 10 Pro Fold」(望遠カメラ、光学5倍)、下は「Galaxy Z Fold 」7(望遠カメラ、光学3倍)
上は「Pixel 10 Pro Fold」(望遠カメラ、超解像ズーム20倍)、下は「Galaxy Z Fold7」(望遠カメラ、超解像ズーム30倍)
処理能力を決定づけるプロセッサーについては、「Pixel 10 Pro Fold」が「Google Tensor G5」、「Galaxy Z Fold7」が「Snapdragon 8 Elite for Galaxy」を搭載しています。「AnTuTu Benchmark V11」の総合スコアは「Pixel 10 Pro Fold」が1505256、「Galaxy Z Fold7」が3065650。ベンチマークスコアでは約2倍の差がありますね。
また、ゲーム「原神」をプレイしてみると、グラフィック設定が「Pixel 10 Pro Fold」は「中」、「Galaxy Z Fold7」は「高」に設定されました。この原因は「Google Tensor G5」がPowerVR系のGPUに切り替わっており、最適化が十分に進んでいないためだと考えられます。
とはいえ、普段使いの用途や、一般的なアプリケーションを使うのであれば「Pixel 10 Pro Fold」でもまったく問題なし。デフォルト設定される画質が低くなりますが、3Dゲームをプレイできないわけではありません。
これから最適化が進んだのちに、どのくらいのパフォーマンスとなるかは未知数ですが、少なくとも現時点でゲームを主目的に最新フォルダブルスマホを購入するのであれば、「Galaxy Z Fold7」がおすすめとなります。
「AnTuTu Benchmark V11」の総合スコアは、「Pixel 10 Pro Fold」(上)が1505256、「Galaxy Z Fold7」(下)が3065650
バッテリー容量は、「Pixel 10 Pro Fold」が5015mAh、「Galaxy Z Fold7」が4400mAh。つまり「Pixel 10 Pro Fold」のほうがバッテリー容量は約14%多いわけです。
ディスプレイ輝度100%、音量50%でYouTube動画を2時間連続再生したところ、バッテリー残量は「Pixel 10 Pro Fold」が81%、「Galaxy Z Fold7」が86%となりました。単純計算でバッテリー残量0%までであれば、「Pixel 10 Pro Fold」は約10.5時間、「Galaxy Z Fold7」は約14.3時間動作することになります。
これは、ピーク輝度が「Pixel 10 Pro Fold」は3000nit、「Galaxy Z Fold7」は2600nitと異なるためと思われます。最大輝度に設定しているので、ピーク輝度が高い「Pixel 10 Pro Fold」のほうがバッテリー駆動時間は短くなった可能性が高いです。
なお、Pixel 10シリーズから、Google版MagSafeともいうべき「Google Pixelsnap」が登場。「Google Pixelsnapケース」、「Google Pixelsnap充電器」、「Google Pixelsnapリングスタンド」、「Google Pixlesnap充電器」などがリリースされており、マグネットで簡単、確実に端末を接続し、充電可能となりました。「Pixel 10 Pro Fold」も本機能に対応しているので、「Galaxy Z Fold7」に対する優位点と言えます。
AI機能については、各メーカーがしのぎを削っている機能であり、両機種にも多くのAI機能が搭載されています。少しややこしいのが、Android OS標準の機能として搭載されているAI機能のほかに、Pixel、Galaxyシリーズにそれぞれ独自に実装されているAI機能があることです。
AIアシスタント「Gemini」、画面共有でGeminiとやり取りできる「Gemini Live」、画像・テキスト・動画から詳細情報を調べられる「かこって検索」はどちらの機種でも利用可能。写真の撮影テクニックをアドバイスしてくれる「カメラコーチ」、必要な情報を自動的に提案する「マジックサジェスト」はPixelシリーズ、Webサイトなどのテキストを要約・翻訳してくれる「ウェブアシスト」、ユーザーごとに最適化された情報を厳選表示表示する「Now Brief」はGalaxyシリーズだけの独自機能です。
AI機能を総括すると、カメラユーザーに役立つ機能が多いのがPixelシリーズ、ビジネス向けの機能が豊富なのがGalaxyシリーズと言えるでしょう。
写真の撮影テクニックをアドバイスしてくれる「カメラコーチ」はPixelシリーズの独自機能
必要な情報を自動的に提案する「マジックサジェスト」はPixelシリーズの独自機能
ウェブサイトなどのテキストを要約・翻訳してくれる「ウェブアシスト」はGalaxyシリーズの独自機能
ユーザーごとに最適化された情報を厳選表示する「Now Brief」
なお写真に写り込んだ通行人などを消去するAI画像編集機能は、Pixelシリーズには「消しゴムマジック」、Galaxyシリーズには「フォトアシスト」として搭載されています。今回同じ画像から人物を削除してみましたが、「Galaxy Z Fold7」のほうが人物を削除した箇所に、生成AIによって自然に画像を生成できました。また下記のように多くの人物が写っている状況でも、「Galaxy Z Fold7」ではフルオートで人物を自動選択可能です。AI画像編集機能の使い勝手は「Galaxy Z Fold7」のほうが上回っていることは間違いありません。
元画像
上が「Pixel 10 Pro Fold」の「消しゴムマジック」、下が「Galaxy Z Fold7」の「フォトアシスト」で人物を消去した画像
両機種を総括すると、ハードウェアとしての完成度は甲乙つけがたいものの、パフォーマンス、特にゲーム用途では「Galaxy Z Fold7」のほうが現時点では上です。カメラ性能は画素数としては「Galaxy Z Fold7」のほうが勝っていますが、望遠端でのキレイさでは「Pixel 10 Pro Fold」のほうに軍配が上がりました。AI機能はGoogleがAndroidとしての根幹機能を提供しつつ、サムスンが独自機能を追加しているという印象です。
いっぽう、端末価格はというと、価格.comでは「Galaxy Z Fold7」が249,800円〜、「Pixel 10 Pro Fold」が194,999円〜(いずれも256GBモデル。1月7日時点での.com最安価格)となっており、比較にならないほどの価格差が生じています。
そのため、ゲーム重視であれば「Galaxy Z Fold7」がベストですが、それ以外の用途に活用する折り畳みスマホが欲しいのであれば、「Pixel 10 Pro Fold」のほうが圧倒的にコスパが高くなっています。
なお、高価な折り畳みスマホをなるべく格安SIMで運用すると、月額の支払い料金が安くなり節約できます。興味がある人は以下の格安SIM関連の記事もご覧ください。