2026年に入り、製品ラッシュが続いているカテゴリーのひとつが「スマートグラス」です。ひと口にスマートグラスと言っても、音声通話や音楽再生を主目的としたモデル、カメラを内蔵して写真や動画を撮影できるモデル、視界内に情報を表示できるディスプレイ搭載モデルなど、その方向性はさまざまです。
なかでも、現代のAIスマートグラス市場を広げた代表的な存在と言えるのが、MetaとRay-Banが共同展開する「Ray-Ban Meta」です。これまで日本市場には投入されていませんでしたが、2026年5月21日より第2世代モデル「Ray-Ban Meta(Gen 2)」が日本でも販売開始されました。今回は、この「Ray-Ban Meta(Gen 2)」の実機レビューをお届けします。
日本で販売開始された「Ray-Ban Meta(Gen 2)」。直販価格は73,700円(税込)〜
スマートグラスと呼ばれる製品は、スマートフォンと連携し、音声通話、音楽再生、通知確認、撮影、情報表示、AIアシスタントなどの機能のいくつかを、メガネ型デバイス側で扱えるようにしているのが共通した特徴です。
ただし、製品によって搭載機能と用途は大きく異なっています。現時点では、大まかに分けると下記のような4つの製品タイプが存在します。
・音声通話・音楽再生型:「HUAWEI Eyewear」など
・カメラ搭載型:「Ray-Ban Meta」など
・ディスプレイ搭載型:「Even G2」など
・カメラ+ディスプレイ搭載型:「Rokid スマートAIグラス」など
「音声通話・音楽再生型」の「HUAWEI Eyewear」は、音声通話や音楽再生を主目的とした、普段使いしやすいオーディオグラス。「カメラ搭載型」の「Ray-Ban Meta」は、カメラとAIアシスタントを組み合わせ、目線そのままの撮影や音声操作が行えるモデルです。「ディスプレイ搭載型」の「Even G2」は、カメラとスピーカーを省き、情報の画面表示に絞ることでプライバシー性を重視したモデルとなっています。
これは「Even G2」。プライバシーを尊重してカメラを搭載しなかったことはわかりますが、スピーカーだけでも搭載してほしかったところです
こうした割り切った製品があるいっぽうで、「カメラ+ディスプレイ搭載型」の「Rokid スマートAIグラス」は、カメラ、スピーカー、マイク、ディスプレイ、AIアシスタント機能をすべて搭載する、現時点での「全部入り」に近い多機能モデルです。
ただし、一概に機能が多いほうがよいというわけではありません。たとえば、「カメラ搭載型」については、撮影時のプライバシーに対する懸念も指摘されています。また、機能を増やすほど価格が高くなり、重量も増し、バッテリー駆動時間も短くなる傾向がある点にも注意。最終的には、カメラ、音声、ディスプレイ、AIアシスタントを統合したタイプが主流になると筆者は予想していますが、その統合はこれから数年にかけて、段階的に進んでいくものと考えられます。
ここで、参考までに今回例に挙げた4製品の価格や重量、バッテリー駆動時間を比較してみましょう。
OWNDAYS×HUAWEI Eyewear 2
価格:32,800〜37,800円(税込)
重量:約29.5〜32.5g(レンズ抜き)
動作時間:最大11時間(音楽再生時)
Ray-Ban Meta(Gen 2)
価格:73,700円〜(税込)
重量:約51〜53g
動作時間:最大8時間
Even G2
価格:99,800円(税込)
重量:約36g(レンズ込み)
動作時間:通常使用で4日間
Rokid スマートAIグラス
価格:109,890円(税込)
重量:約49g
動作時間:通常使用で約8〜10時間
※価格は2026年6月18日時点。バッテリー駆動時間は各メーカーが公表している使用条件に基づくもので、測定条件は製品ごとに異なります
それでは話を戻しましょう。まずは「Ray-Ban Meta(Gen 2)」の基本スペックを解説していきます。
本製品は、「カメラ搭載型」のAIスマートグラスです。装着者から見て左側に12MPの超広角カメラを搭載しており、静止画は3024×4032ドット、動画は3K Ultra HD(30fps)/1080p(60fps)/720p(120fps)で撮影できます。
なお、装着者から見て右側にあるカメラのように見える円形のパーツはLEDインジケーター。写真撮影時には1回点灯し、動画撮影時には点滅を繰り返すことで、周囲の人に撮影中であることを知らせます。
装着者から見て左にあるのが12MPの超広角カメラ、右にあるのがLEDインジケーター
撮影機能を重視した本製品は、容量32GBのストレージを搭載しており、写真は1000枚以上、30秒動画は100本以上を保存できるとされています。
オーディオ機能としては、アーム部分にオープンイヤースピーカーを内蔵。またカスタム5マイクアレイを搭載しており、左右のアームにそれぞれ2基、ノーズパッド付近に1基のマイクを備えています。コンパクトなメガネ型デバイスに5つのマイクを搭載しているのは、風切り音や周囲のノイズを抑えつつ、音声コマンドや通話音声をより高精度に取得するためだと思われます。
オーディオ機能としては、オープンイヤースピーカーとカスタムアレイマイクを内蔵しています
本製品のラインアップは、サングラスモデルがWayfarer(税込73,700円〜)、Skyler(税込73,700円〜)、Headliner(税込73,700円〜)の3スタイル。度付きレンズ対応のオプティカルモデルとしてBlayzer Optics(税込82,500円)とScriber Optics(税込82,500円)が用意されています。
今回レビューしているWayfarerはスタンダードとラージの2種類のサイズを選択できます。筆者は頭囲が64cmと大きいため、スタンダードはやや小さく、ラージでジャストフィットでした。Ray-Banストアなどの直営店では試着もできるので、購入時にはサイズを確かめることを推奨します。
※左がスタンダード/右がラージ
ヒンジ間:131mm/137mm
レンズ縦幅:41mm/44mm
レンズ横幅:50mm/53mm
ブリッジ幅:22mm/22mm
テンプル長:150mm/155mm
重量:51g/53g
筆者のように頭囲が大きい人にとっては、特にヒンジ間の寸法が重要だと思われます
これはWayfarerのスタンダードを装着したところ。側頭部にやや圧迫感があります
Wayfarerのスタンダードの実測重量は50.82g
パッケージには、本体、充電ケース、クリーニングクロス、リファレンスガイドが同梱されています。バッテリー駆動時間は1回の充電で最大8時間、スタンバイ状態では最大19時間。フル充電したケースを併用すれば、最大48時間使用できると謳われています。
同梱品一覧
充電ケースに入れれば、自動的に本体が充電されます
接続方式はWi-Fi 6とBluetooth 5.3をサポート。対応OSはiOS 15.2以降、Android 10以降とされており、スマートフォンとの接続には専用アプリ「Meta AI」を使用します。
専用アプリ「Meta AI」はiOSとAndroidに対応。ファームウェアアップデートにも使用する必須アプリです
実際に本製品を使ってみて、AI機能については発展途上という印象を受けました。「この部屋に何人いる?」と尋ねた際には、「立っている人が●人、座っている人が●人」と、想定以上に詳しい答えが返ってきたことがありました。しかし、そのいっぽうで「中国・深センの今日の天気を教えて」と聞いても、なぜか北京の天気しか教えてくれません。
また、「いま私はどこにいる?」と尋ねると、「現在地を知るには、ブラウザで位置情報へのアクセスを許可する必要があります。」と返答されました。しかし、OSと「Meta AI」、さらにFacebookの位置情報設定まで確認しましたが、すべて有効になっていました。「Ray-Ban Meta(Gen 2)」は5月21日に発売されたばかりであり、現時点ではまだ調整不足なのかもしれません。
いずれもソフトウェアに起因する問題です。今後数か月単位でアップデートが重ねられれば、「Meta AI」の精度や使い勝手が向上する可能性は十分にあるでしょう。
「Meta AI」との会話の記録はアプリ側で確認できます
カメラ画質は想定以上にいいというのが率直な感想。静止画は3024×4032ドット、動画は最大3K Ultra HD(30fps)で撮影できますが、どちらも自然な発色で、露出も適正。夜間撮影時の白飛びも比較的抑えられています。
最短撮影距離は正確には不明ですが、50cmぐらいまで寄って撮影しても、ピントはほぼ合っていました。さすがに街灯だけの暗い夜道では、暗くノイズの多い写真や動画になりましたが、少なくとも1万〜2万円クラスのスマホよりは画質がいいと感じました。
下の作例ぐらいの画質で撮れるのであれば、旅行などのプライベート用途はもちろん、筆者の仕事で言えば、プロジェクターで投影されたスライドや展示物の撮影も十分にこなせそうです。
12MPの超広角カメラを搭載
本製品にはオープンイヤースピーカーが採用されています。音質は抜けがよく、バランスもよいと感じました。ただし、最大音量はやや小さめですね。駅のホームや街中の喧騒では、音楽はともかく、「Meta AI」の回答が聞き取りにくいと感じることがありました。
また、これはオープンイヤースピーカーの宿命とも言えますが、音漏れはかなり大きめです。音楽を自然に楽しめるレベルまで音量を上げると、隣に立っている人であれば歌詞を聞き取れるほどです。昨今は骨伝導イヤホンの音質も向上していることから、この手のAIスマートグラスには、骨伝導タイプのほうが相性がよいと個人的には考えています。
左右にオープンイヤースピーカーを内蔵
駅のホームで「Meta AI」の回答などを聞きたいときには、このように手で覆うと、かなり大きく聞こえるようになります
記事執筆時点(2026年5月下旬)では、「ライブ翻訳」は日本語に対応していませんが、発表会では6月のアップデートで追加予定とアナウンスされています。また、現状では「Meta AI」の日本語での応答にぎこちなさが残るものの、この点も今後のソフトウェアアップデートによって改善されると思われます。
Ray-BanとMetaが共同開発したAIスマートグラスだけに、装着感は非常に自然です。カメラとディスプレイを搭載する「Rokid スマートAIグラス」と比べると機能は限られるものの、写真や動画の撮影に加え、自然言語で「Meta AI」を利用できます。日常の風景を手軽に記録したい人にとっては、十分に実用的で、価格も比較的安く、装着感にも優れたAIスマートグラスと言えるでしょう。
6月のアップデートで「ライブ翻訳」に日本語が追加予定