「TSUTAYAの格安スマホ」を展開するトーンモバイルは2015年11月17日、新型スマートフォン「TONE(m15)」を発表した。端末価格は29,800円(税別)で、17日からオンラインストアで販売する。新モデルは、LTEに対応するなど、従来モデルから基本性能を底上げした。本体を箱に置くだけで、不具合を自動修復する「置くだけサポート」など、サポート面も強化した。17日に「二子玉川 蔦屋家電」、18日に「代官山 蔦屋書店」、19日に全国のTSUTAYA12店舗、TONE直営店2店舗で販売する。
LTEに対応したTONEの新型スマートフォン、TONE(m15)
同社は、TSUTAYAなどを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とフリービットが共同出資して今年1月に設立された会社で、スマートフォン(端末)と回線、サービスを一体にしたMVNO(仮想移動通信事業者)サービス「TONE」を展開。TSUTAYAに店舗を構え、「TSUTAYAの格安スマホ」として、認知度を高めたてきた。17日の発表会では石田宏樹社長が「世界一安全安心なスマホサービスを開発した」と語り、TONE(m15)と新しいサービスやサポートを自ら説明した。
TONEは、前身であるfreebit mobileから変わらず、端末は1機種、料金プランも1つと極めてシンプルなサービスなのが特徴だ。複雑化するスマートフォン市場でも、独自の路線を貫いてきた。料金は月額1,000円(税別)。通信速度は500〜600kbpsと低速だが、データ通信量に制限は設けず、ネット動画などを快適に楽しみたい人向けには、1GB当たり300円の「高速チケット」を用意する。
プレゼンテーションをする石田社長。発表会は二子玉川 蔦屋家電で開催された。映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(BTTF)のワンシーンを用いるなど、趣向を凝らしたプレゼンテーションが印象的だった。BTTFではタブレットやテレビ電話などが登場したが、スマートフォンは登場しなかったという
CCCの増田宗昭会長との打ち合わせ資料。今回の新端末および新サービスは、増田会長と何度も話し合いを重ねて生み出したという
TONE(m15)は、LTEに対応したのが大きな強化点だ。バンド1/3/19/21をサポートする。海外メーカー製のSIMフリースマホではサポートするモデルが少ないバンド21をサポートしており、都市部でつながりやすいという。また、TONEの特徴の1つであるIP電話に関しても、LTEに対応することで、通話品質が改善されているという。
本体は、あえて薄くせずに、しっかりとホールドできるようにしたほか、背面をザラザラした質感にすることで、持ちやすさに配慮。持ちやすいフォルムと滑りにくい質感にこだわり、「安心感を醸し出した」(石田社長)。カラーはホワイトの1色のみ。
画面サイズは5.5インチ(720×1280)、CPUは1.3GHz駆動のクアッドコア「MediaTek MT6735」、メモリーは2GB、ストレージは16GB。従来モデル「TONE(m14)」から画面解像度、CPU、メモリー、ストレージともにアップしている。OSは「Android 5.1」。最大32GBまで使えるmicroSDカードスロットも備える。カメラはメインが1300万画素、フロントが500万画素。本体サイズは74.5(幅)×147.9(高さ)×8.6(厚さ)mm、重量は165g。バッテリー容量は3000mAh。
5.5インチの液晶ディスプレイを搭載。額縁が細く、本体の幅は74.5mmに抑えられている
陶器のようなザラザラした質感が特徴の背面
バッテリーパックの取り外しはできないが、SIMカードやmicroSDカードの抜き差しのために、バックカバーは取り外せる
サポート面では、化粧箱に本体を置くと自動修復アプリが起動し、問題を解消してくれる「置くだけサポート」を用意。NFCを活用した機能で、サポートセンターに問い合わせの多いネットワーク関連の問題をチェックする。問題が解決しない場合は、そのままサポートセンターに電話をかけて、オペレーターに相談できる仕組みだ。同機能はTONE(m15)のみの機能だが、別機種ではアプリを使うことで、同様のサポートを利用できるという。「箱は捨てずに、とっておいてほしい」(石田社長)。
箱の中にNFCタグが埋め込まれている
自動修復されるのは、サポートセンターに問い合わせの多いネットワーク関連の機能
このほかにも、遠隔サポートを家族間でできる「家族サポート」も用意。個人情報などが心配でコールセンターに相談できないことを、家族間で解消できる機能だ。サポートする側の知識は必要となるが、パソコンのブラウザーから遠隔でTONEを操作して、問題を解消できる。
また、スマホをなくした際に、パソコンからすぐに現在地を確認できる「TONEを探す」(全機種対応)や、子どもがあらかじめ登録した場所にTONEスマホを持って入ると、保護者に通知する「ジオフェンス」(全機種対応)、心拍数などが測れる「ライフログ」(一部機能はm15のみ)など、新サービスも展開する。TSUTAYAとの連携としては、NFCを活用した「CATCH」を用意。店頭のポスターにかざすだけで、映画の情報や動画などを視聴できる。過当競争になりつつあるMVNO市場の中で、TSUTAYAとの連携や、シンプルな料金プランで独自の立ち位置を確立しつつあるトーンモバイル。通信速度や端末のスペックにこだわるユーザーには物足りないかもしれないが、安心感を重視する子育て中のファミリーや、はじめてスマートフォンを利用するシニア層にとっては、トーンモバイルは注目のMVNOと言えそうだ。
事前登録なしで利用できる「TONEを探す」。遠隔でアラーム音を鳴らしたり、SDカード内のデータを含む端末内の情報を削除したりできる
「家族サポート」は、サポートスタッフのように家族が遠隔でスマホを操作して問題を解決できる機能