キーボードは、キーピッチが実測19mmで、かなり余裕のあるレイアウトだ。キーストロークも1.6mmあり、ソフトな打ち心地。打鍵音は静かだが、少しペタペタするのが気になった。細かい点だが、ディスプレイの輝度を調整するFnキーがない点は意外と不便に感じた。Fn+Del(輝度上げ)とFn+Backspace(輝度下げ)で調整できるが、普通の人はなかなか気付かないのではないだろうか。タッチパッドは反応が悪いと言われているが、それほど悪いとは感じなかった。確かに少し反応が悪いと感じるときもあったが、ガラス製で滑りがよく、追従性も悪くない。
キーボードには、バッテリーも内蔵されている。バッテリー駆動は最大12時間動画を再生できるというのが公称値だ。これはキーボードとドッキングしたときの数値で、ディスプレイ部分(タブレット)単体では1/4ほどの約3時間で、かなり短めだ。外に持ち出すときは、キーボードが必須となるだろう。ただし、キーボード込みの重量は約1.5kg(GPU非搭載モデルが約1516g、GPU搭載モデルが約1579g)と、モバイルノートPCとしては重量級となる。
ディスプレイが13.5型とモバイルノートPCとしては大型の部類に入るため、キーボードも余裕のある配置だ。キーピッチは19mm。アイソレーションタイプで打ちやすいが、少しペタペタした打鍵感だ
バックライトを搭載するが、明るい場所だとキーボードと同じ色に光るので、逆に見えにくくなってしまうのが難点
キーストロークは1.6mm(公称値)。かなり深めで、打鍵感も好印象
ディスプレイが130度前後までしか開かないので、膝の上だと少々使いにくそうだ
今回試したGPU搭載モデルの重量は実測で1570gだった(公称値は約1579g)
バッテリー1がキーボード側、バッテリー2がディスプレイ部分(タブレット)。ドッキング時はキーボード側のバッテリーを優先して利用する仕組みで、ディスプレイ部分(タブレット)のバッテリーは温存される
外部インターフェイスはキーボード側に搭載されている。USB3.0端子×2、Mini Display Port×1、SDメモリーカードスロットを備える。タブレット側にはヘッドホン出力端子があるだけ。SurfaceConnectと呼ばれる充電用端子は、ディスプレイ部分(タブレット)側と本体側の両方に搭載されており、どちらに電源アダプターを接続しても、ディスプレイ部分(タブレット)側から充電される仕組みだ。ドッキング時は、キーボード側のバッテリーを優先して使用し、ディスプレイ部分(タブレット)のバッテリーは温存される。こうすることで、バッテリーが残っている状態でディスプレイ部分(タブレット)を取り外して使えるのだ。
右側面にはMini Display Portと充電用端子を搭載。ディスプレイ部分(タブレット)にはヘッドホン出力端子を備える
左側面にUSB3.0端子×2、SDメモリーカードスロットを備える。フルサイズのSDメモリーカードスロットなので、デジカメから写真を取り込む際にアダプターが不要なのが便利だ
電源アダプターは磁石でしっかりと固定できる。電源アダプターにはUSB端子があり、スマホなどをいっしょに充電できる
スペックを見ていこう。Surface Bookは、搭載するCPUの種類、メモリーとストレージの容量の違いで以下の4モデルをラインアップする。
Core i5/8GBメモリー/128GBのSSD(GPU非搭載)
Core i5/8GBメモリー/256GBのSSD
Core i7/8GBメモリー/256GBのSSD
Core i7/16GBメモリー/512GBのSSD
CPUはSkylakeこと第6世代Coreプロセッサーを採用する。マイクロソフトはSurfaceに搭載するCPUの型番を公開していないが、今回試した最上位モデルはCore i7-6600Uを搭載していた。そのほか、SSDはNVMe対応の高速なタイプ、メモリーも8GBか16GBとハイスペックモデルにふさわしい仕様だ。注目すべきは、専用のグラフィックスチップ(GPU)を搭載していること。最近はCPU内蔵のグラフィックス処理機能(グラフィックアクセラレーターや統合グラフィックスと呼ばれる)が高性能化しており、専用のGPUを搭載するモデルは、ゲーム用のモデルかワークステーション系に限られている。日常使いではまったく不要なGPUだが、3DゲームやCADといったクリエイティブな用途では威力を発揮するので、そうした用途に使いたい人にとっては貴重なモデルと言えそうだ。
ただ、このGPUは注意点がいくつかある。まず、GPUを搭載するのは、Core i5/8GBメモリー/256GBのSSDを搭載したモデルより上の機種で、入門モデルはGPUを搭載しない。また、GPUはキーボード側に搭載されているので、ドッキング時でないとGPUパワーは利用できない。タブレットとして使う場合はCPU内蔵のグラフィックスを利用する仕組みだ。さらに、このGPUが動作しているときは、ディスプレイ部分(タブレット部分)を本体から取り外せず、指定のアプリケーションを終了しなければならない。
今回試したのはCore i7/16GBメモリー/512GBのSSDを搭載した最上位モデル
マイクロソフトがNVIDIAと共同開発した「GeForce GPU」を搭載。型番はない。性能的には統合グラフィックスよりも上だが、デスクトップPC用のGPUよりは劣る
「Crystal DiskMark 3.0.4 x64」と「同 5.1.2 x64」(ひよひよ氏作)の結果。NVMe対応SSDだけに、読み込み、書き込みともに高速だ
パソコンの総合性能を測定するFuturemarkの「PCMark 8」(Home accelerated)のスコア
NVIDIAのGeForce GPUを使うか、CPU内蔵の統合グラフィックスを使うかは基本的にパソコン任せでOKだが、特定のアプリケーションを利用するときにGeForce GPUを利用するように選択することも可能
Delキーの横のキーがディスプレイ部分(タブレット)の取り外しボタン。このボタンを押すと、ガチャンとロックが外れる音がし、取り外しが可能となる仕組みだ
GPUを利用しているアプリケーションがあると、「取り外しの前に解決してください」というアラートが表示され、対象のアプリケーションを終了しないと、キーボードから取り外しできない
取り外しできると下のように「取り外しできます」という文字が表示される。接続すると上のように「接続済み」という文字が表示される
Surface Bookが登場したことで、現行のSurfaceシリーズは、Surface Pro 4、Surface 3を含め3つのモデルが出そろった。Surface BookはGPUパワーが必要なクリエイターやハイアマチュア向け、Surface Pro 4はバランスのとれたオールマイティーな1台、Surface 3は携帯性に特化したモデル――3モデルが上手に住み分けできているので、用途に合わせて選びやすい。悩むとしたら、Surface Pro 4の上位機種とSurface Bookだろうか。高性能なSurfaceを探している人にとっては、どちらにするか迷うところだろう。
Surface Bookは完成度は非常に高いが、難点は重いことだろう。日本市場ではモバイルノートPCで1.5kgは重すぎる。もちろん、持ち歩けないということではないが、持ち歩き用ならSurface Pro 4を選んだほうがよさそうだ。GPUパワーが必要な作業を外で行いたいクリエイターにとっては有力な選択肢になるが、それ以外のユーザーにとってはSurface Bookのパワーを持てあますことになるに違いない。Surface Bookは、ハードウェアの完成度が高く、スペックも最高峰、使い勝手も少しクセはあるが許容できる範囲で、星取表を作れば、多くの星を獲得するはずだ。「究極の一台」と言うだけに、出し惜しみ感もない。その分、価格もプレミアムだが、スペックやハードウェアの完成度を考えれば妥当ではないだろうか。