イベントレポート

室内機の分解に大人も夢中! ダイキン「おとなのエアコン分解」イベントを見てきた


ダイキンが、9月15、16、22日に室内機を分解できるイベント「おとなのエアコン分解」を開催。各回定員は10名でしたが、参加申し込み開始早々に満席となったほどの人気っぷりとのこと。その様子を見てきました!

分解の前にエアコンの仕組みをお勉強

「おとなのエアコン分解」は、ダイキンが2013年から毎年、小学3〜6年生を対象に開催しているイベント「めざせ!空気博士 エアコン分解」の大人版。家族または複数人の友達と1台の室内機を分解する子ども版に対し、大人版は基本的にひとりで1台を分解できるのがポイントなようです(2人で参加された方は2人で1台の場合もあり)。各テーブルにはすでに室内機とドライバーや軍手が置かれており、すぐにでも分解に取りかかりたいところですが、まずはエアコン冷房の仕組みを知るための講義がスタート!

参加者はやはり男性が多い! 筆者が取材した回には、ご夫婦で参加された2名の女性がいらっしゃいました

参加者はやはり男性が多い! 筆者が取材した回には、ご夫婦で参加された2名の女性がいらっしゃいました

エアコンには室内機と室外機があり、その間を行き来している冷媒が熱を運ぶことで部屋の空気を冷やしたり、温めたりします。ここで、先に知っておいてもらいたいのが熱と気体の性質。熱は多いところ(熱いところ)から少ないところ(冷たいところ)に移動し、空気はたくさん入れる(圧縮)と熱が上がり、その空気を一瞬で出す(膨張)と温度が下がるという性質があります。

室内機と室外機はパイプでつながっており、その中を冷媒が循環しています

室内機と室外機はパイプでつながっており、その中を冷媒が循環しています

この、熱と気体の性質を利用しているのがエアコン。冷房運転をスタートすると冷たくなった冷媒が室内機の熱交換器にたどり着き、熱交換器が氷のように冷却され、周囲の空気から熱を集めます。その熱は冷媒に伝わり、少し温かくなった冷媒は室外機へと移動。ただ、この状態で室外機から外へ放出するためには熱さが足りません。そこで、温度差を生じさせるために冷媒を圧縮することで、室外機の熱交換器を外の空気よりも熱くし、冷媒が運んできた熱を外へと放出するのです。

室外機の内側をぐるりと囲んでいるのが熱交換器。熱交換器の中にある銅製のパイプの中を冷媒が通っています

室外機の内側をぐるりと囲んでいるのが熱交換器。熱交換器の中にある銅製のパイプの中を冷媒が通っています

フェルトっぽい布に包まれた中にあるのが、エアコンの心臓部と言われる圧縮機(コンプレッサー)。ここで冷媒を圧縮することで高温にします。この熱くなった冷媒が熱交換器の温度を上げ、外気に熱を放出

室外機の中を見る機会はなかなかないので、参加者は興味津々。どこで圧縮させるの? と講義で聴いたことを早速問いかけるなど、いろいろな質問が飛び交いました

室外機の熱交換器に熱をうばわれた冷媒は、少し温度が低くなった状態となっています。この冷媒が室内機に戻り、室内機の熱交換器を冷やすのですが、今のままでは凍らせるほどの冷たさには達していません。そこで、行われるのが膨張。パイプに設けられた膨張弁を開くことで一気に空気を押し出し、冷媒の温度を下げるのだそう。このようなことを繰り返すことで、エアコンは室内を涼しくしてくれるのです。

冷媒を圧縮、膨張させることによって熱を移動させているのがエアコンの仕組み。この仕組みが「ヒートポンプ」という技術です。なお、暖房運転時は冷房と逆のパターンに。室内機側の熱交換器を熱く、室外機側を冷たくすることで暖かい風を部屋の中に放出します

このようにエアコンは室内と室外との温度差を利用して室外機から熱を放出しており、その際に多くの電力を消費します。そのため、夏場は室外機を直射日光からさえぎってあげるとムダな排熱の効率が落ちず、ムダな電力もかからなくなるのでベストなのですが、室外機を板などで囲ったり、吹出口に立てかけるように物を置いたりするとパワーダウンしてしまうので注意が必要。日陰を作る時には、吹出口をふさがないように気をつけましょう。

通常の状態では、室外機の吸い込み温度は29℃で、消費電力は210Wですが……

通常の状態では、室外機の吸い込み温度は29℃で、消費電力は210Wですが……

吹出口の前に物を置いてしまうと、温度と消費電力は一気に上昇。物を置いてから1分程度しか経過していませんが、吸い込み温度は37℃で、消費電力は252Wにまで上昇してしまいました

室内機を分解してみよう!

エアコンの仕組みを聞いたあとは、いよいよ室内機の分解です。参加者が分解している様子を撮影すればいいと思っていたら、なんと、取材陣にも分解用の室内機が用意されていました! バリバリの文系なうえ、図工の授業では切ってはいけないところを切って怒られ、家庭科の授業では親と先生にすべて作業されてしまうくらい不器用な筆者に分解なんてできるのか!? と不安いっぱいです。

フィルターの自動お掃除機能を搭載したCシリーズを分解します

フィルターの自動お掃除機能を搭載したCシリーズを分解します

パネルを外すと、フィルターの自動お掃除を行った際のホコリを溜めておくダストボックスが現れます

パネルを外すと、フィルターの自動お掃除を行った際のホコリを溜めておくダストボックスが現れます

ダストボックスに装備されているブラシがフィルターのホコリを掻き取り、ボックス内に蓄積。約10年間分のホコリを溜めておけるので、フィルターの掃除はエアコンにおまかせし、10年に1度、ダストボックスに溜まったホコリを捨てるだけでOKです

次に取り外すのは、フィルター。目の細かいフィルターでホコリの侵入をブロックします

次に取り外すのは、フィルター。目の細かいフィルターでホコリの侵入をブロックします

フィルターは自動お掃除を行うため、ロール状になっています。フィルター自体を巻き取るように回転させ、ダストボックスに付いているブラシで汚れを取るのが自動お掃除の仕組み

エアコン内に侵入してきたウイルスやカビ菌を分解・除去するストリーマーユニットも搭載。2本の針から強力な酸化作用を持つ高速電子が生み出されます

続いて、ルーバーを取り外し、どんどんエアコンを解体していきます

ここまで何も工具なしで分解してきましたが、いよいよドライバーの出番。ドライバーでネジを外し、外側の枠を取り外します

外側の枠の下には、フィルターの自動お掃除を行うためのユニットが。このユニットでフィルターを巻き取るのだそう

ここまでくるとエアコンの中身という感じになり、参加者のテンションもどんどんアップ! 熱交換器をぺたぺたと触っていますが、本来は鋭利なので触ると危険。今回は、触っても手が切れないようにビニールが巻かれています

熱交換器は何百枚ものアルミの板で構成されており、そのアルミの板を一面に広げると6畳くらいの大きさになるのだそう

その後、電装品ボックスを外し、中身を開封

その後、電装品ボックスを外し、中身を開封

中にはエアコンの頭脳であるプリント基板が! ここで、最適な運転モードを判断したり、温度をコントロールしたりします

最後に熱交換器とファンを取り外します

最後に熱交換器とファンを取り外します

ファンの側部には磁石が装備されており、この磁石を使ってファンを回転させています

ファンの側部には磁石が装備されており、この磁石を使ってファンを回転させています

これで室内機の分解は完了! みなさん各パーツを真剣に観察したり、写真を撮ったりととても楽しそうでした

これで室内機の分解は完了! みなさん各パーツを真剣に観察したり、写真を撮ったりととても楽しそうでした

取材終了後、筆者も同じように分解してみたところ、とても簡単だったので「自宅のエアコンを分解して掃除できるのでは!?」と思っていたのですが、今回は分解しやすいようにしてあるので、家のエアコンの場合、分解できたとしても元に戻せなくなるかもしれないということでした

よく考えれば、外すネジが着色されていました。分解が簡単だった理由のひとつであることは間違いありません

よく考えれば、外すネジが着色されていました。分解が簡単だった理由のひとつであることは間違いありません

そして、分解が楽勝だった大きな要因は配線がカットされていたこと。つながっていないから、取り外すだけで分解できたのです

このイベントに参加した人の中には、筆者と同じように室内機を自分で分解して掃除したいと思っていた人もいたそう。しかし、実際は熱交換器で手を切るおそれがあり、配線もあるため、自分で行うのはなかなか難しいとのこと。また、上位機種になるとさらにネジの本数が多くなることもあるので、室内機の内部の掃除は業者に依頼したほうがいいということでした。

最新エアコンを体験!

楽しい解体を体験したあと、ダイキンのショールーム「フーハ東京」で最新エアコンの快適さを体感するミニツアーが開催されました。体験したのは、最上位モデル「うるさら7」と10年前のエアコンとの冷房運転の違い。どちらも設定温度28℃で、身体に直接風が当たらないようにルーバーの角度は上に向けているのですが、10年前のエアコンはそれでも冷風が身体に当たります。「(10年前のエアコンは)このまま当たっていたら寒くなりそう」という声も聞こえてきたほど、気流の違いにみなさん驚いていました。

「うるさら7」の冷房運転は、天井に沿って気流をまわして部屋を快適にするような制御ができるので、長時間冷房運転していても風による不快感を低減できます

さらに、このコーナーでは冷房運転中のエアコンから出たドレン水が溜められていました。ドレン水とは、空気を冷やす際に出る結露を集めたもの。ドレン水がたくさん出るということは除湿がしっかり行われていることの証明でもあります

朝から昼までで溜まったドレン水を比べてみると、「うるさら7」のほうが3倍ほど多い! 「うるさら7」には設定温度に達しても、快適な湿度をキープできるように除湿を行う「プレミアム冷房」が搭載されているので、これだけたくさんのドレン水が出たよう。湿度が低ければ設定温度が少し高めでも快適なので、省エネにもつながります

「フーハ東京」には、湿度の違いで体感がどのように変わるのかを体験できる部屋も用意されているので、みんなでその部屋にも入ってみました

中には、室温はほぼ同じで、湿度が23%ほど違う部屋が2つありました。湿度が43.6%の部屋は快適ですが、66.2%の部屋に入ると「うわ、暑い」とみんなの顔がしかめっ面になるほど不快さがハンパない! 同じ温度でも湿度が高いと快適にはならないことが実感できました

このように快適さが格段に向上している最新エアコンですが、年々、室内機の厚みが増していることも気付かれたでしょうか。実は、省エネ性能を高めるためには熱交換器を大きくする必要があり、その結果、室内機は年々前に張り出すような形状になっているのだと言います。

熱交換器が大きくなると風の当たる面積が広くなるため、効率的に冷暖房できるようになるのだそう。1997年のエアコン(室内機)も当時は省エネ性能が非常に高いモデルでしたが、最新のエアコンの熱交換器と比べると明らかに大きさが違います

エアコンが張り出すような形をしていたら、比較的省エネ性能の高いモデルであるというように見極めることもできるとのこと

エアコンの消費電力は20年間で約50%、10年間で約20%削減されているそうなので、古いモデルを使い続けているより、買い替えたほうが快適さを得られるうえ、電気代も抑えられるのでお得です

なお、「おとなのエアコン分解」は、これまでダイキンの会員に限定して案内されており、今回のように一般の方に向けて開催されるのは初めて。次回以降の開催はまだ決定していませんが、参加者の楽しそうな反応を見ていると次も行われそうな気がします。分解目的だけでも楽しいので、次回があれば参加してみてはいかが!?

中村 真由美(編集部)

中村 真由美(編集部)

モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。アウトドアからオタク系まで意外と幅広くイケちゃいます。

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