長年家電業界を見てきた価格.com編集長が、価格.comが保有するさまざまなデータと、自身の知識・経験をベースに、家電製品の最新トレンドを解説。今押さえておくべき機能やスペックを紹介しつつ、コスパ、性能、ユーザー評価などの観点から、今買って間違いなしの製品を厳選して紹介する。
第12回は、手のひらサイズのコンパクトボディで、片手で楽に使えることから人気を呼んできている「小型ハンディマッサージャー」について解説する。
突然だが、皆さんは「ハンディマッサージャー」という製品をご存じだろうか。読んで字のごとく、手に持ってマッサージを行うマッサージ器全般を指すこともあるが、ここ数年で人気となっているのは、ひと昔前のやや大きめのサイズの製品ではなく、手のひらに収まるほどコンパクトな製品だ。これらを指して、狭義で「ハンディマッサージャー(ハンディガン)」などということもあるが、紛らわしいので本稿ではこれらを「小型ハンディマッサージャー」と呼ぶことにしたい。
「小型ハンディマッサージャー」のメリットは、ズバリ本体が小型・軽量であることだ。最近人気のモデルでは、重量はわずか200〜300g台しかなく、そのほとんどが手のひらに収まるほどのコンパクトさだ。これだけ小型・軽量なので、片手で楽に持つことができ、マッサージ中に手が疲れたりする心配はほとんどない。ひと昔前のハンディマッサージャーの場合、ボディが大きく重いため、肩こりを緩和しようと使っているうちに、もう片方の肩がこってしまうなんてことも起こりえたが、「小型ハンディマッサージャー」なら、そんな心配は無用と言っていい。特に、体力の落ちてきたシニア層が使うのには、メリットが大きいと言える。
さらに、これだけボディがコンパクトだと、手軽に持ち出して利用することも可能だ。電源は充電式が多く、カバンなどにもサッとしまえるほどの小ささなので、手軽に職場などに持っていき、空き時間などでこった身体をマッサージするといった利用も十分行える。しかも、小さいのに意外にパワフルで、多くの製品が最大3000回/分程度の振動と、6〜7mm程度のストロークを実現しているので、従来型のハンディマッサージャーとさほど遜色なく利用することができるはずだ。実勢価格も1万円〜2万円台と比較的手ごろなので、母の日などのプレゼント用途にもいいだろう。
価格.comの「マッサージ器」カテゴリーでは、さまざまなマッサージ器(マッサージチェアは除く)をまとめて扱っているので、小型ハンディマッサージャーがどのように注目されているのかは今ひとつわかりづらい。いくつかのデータから、ひも解いてみよう。
【図1】価格.com「マッサージ器」カテゴリー掲載製品のタイプ別シェア
図1は、価格.com「マッサージ器」カテゴリーに掲載されている製品の、タイプ別シェアだ。これを見ると、「ハンディマッサージ」が約32%、次いで「フットマッサージ」が約29%となっており、この2つで半数以上を形成している。ただし、この「ハンディマッサージ」の中には、従来型の比較的大型のものから、今回紹介している小型のものまでが含まれるので若干注意が必要だが、現状のトレンドが小型モデル中心になっていることを合わせて考えると、小型ハンディマッサージャーがいちばん人気と言っても過言ではなさそうだ。
【図2価格.com「マッサージ器」カテゴリーの閲覧者数推移(過去3年間)
【図3】価格.com「マッサージ器」カテゴリーにおける小型ハンディマッサージャー主要メーカーの閲覧者数推移(過去2年間)
図2は、価格.com「マッサージ器」カテゴリーの、過去3年の閲覧者数を示したもの。全体としてはほぼ横ばいだが、2020年5月くらいに突出した時期がある。これは、コロナ禍が始まった最初のころでもあり、在宅時間が長くなり、運動不足などからマッサージ器が一時的に人気になったものと考えられる。この特異点を除けば、ほぼ横ばいで推移している。これだけを見ると、それほど盛り上がってきているような感じはしないが、図3に示した、小型ハンディマッサージャーを主に手がける主要メーカーの過去2年の閲覧者数推移を見ると、むしろこの2年で伸びてきていることがわかってくる。なかでも、ドリームファクトリーと創通メディカル2社の伸びが大きいが、この2社はまさに小型ハンディマッサージャーを主力製品としているメーカーだ。
【図4】価格.com「マッサージ器」カテゴリーにおける小型ハンディマッサージャー主要モデルの閲覧者数推移(過去2年間)
さらに、コロナ禍の3年で、より小型のハンディマッサージャーが登場すると、従来型の製品から小型ハンディマッサージャーへのシフトが起こる。図4は、過去2年における価格.com「マッサージ器」カテゴリーでの小型ハンディマッサージャー主要モデルの閲覧者数推移を示したものだが、今も人気のモデルが2021年後半くらいから人気となり始め、2022年にはかなりその人気が定着してきたことがわかる。今や、ハンディマッサージャーの主戦場は、手のひらサイズの小型モデルになっていることが理解できるだろう。
このように、約3年間続くコロナ禍の中で、マッサージ器はさまざまな変遷を遂げてきたことがわかる。コロナ禍が始まった当初は、慣れない在宅勤務や外出自粛にともなう運動不足で、フットマッサージャーやそのほかのマッサージ器が注目されていたが、徐々に、さまざまな部位をケアできるハンディマッサージャーの人気が高まり、さらにボディが大幅に小型化された小型ハンディマッサージャーが登場すると、こちらが人気の中心となってきた。家の中だけでなく、持ち出して使うこともできる小型ハンディマッサージャーは、今後もマッサージ器市場を牽引する存在として人気を維持していくことが予想される。
※最安価格とユーザー評価は、いずれも2023年4月18日 時点のものです。
価格.com最安価格:12,800円
発売日:2022年4月14日発売
ユーザー評価:★4.53(6名)
220gと超軽量かつコンパクトなため、片手で楽々使える小型ハンディマッサージャー。コンパクトでも、最大約3000回/分の振動と7mmのストロークで、ケアしたい個所をパワフルに刺激する。基本仕様のフラットヘッドのほか、顔回りなどのデリケートな個所にも使えるソフトブラシアタッチメントと、足裏や手のひらなどピンポイントで刺激するポイントアタッチメント、腕やふくらはぎを挟むようにして使えるワイドアタッチメントの3種類のアタッチメントが付属し、さまざまな用途で活用できる。動作モードは、弱/中/強とフェイス用の4種類。アイスブルーやローズピンクなど、カラフルな5色のカラバリ展開も特徴的だ。
価格.com最安価格:12,000円
発売日:2020年12月11日発売
ユーザー評価:★4.40(5名)
「ハンディガン」の先駆者「MYTREX REBIVE」の小型版。2020年の発売ながら、今も人気が高い。その理由は、約370gの軽量ボディながら、最大約3000回/分の振動と7mmのストロークに加えて、約13.5kg相当という耐圧力を実現していること。高性能モーターを搭載し、ケアしたい個所にしっかりアプローチしてくれる。平形、円柱形、緩衝形、球形、U字形と、付け替えて使える便利なアタッチメントが5種類付属するのも特徴で、顔を含む全身のさまざまな個所を好みの方法でケアすることが可能だ。動作モードは、1600回/分のレベル1から3000回/分のレベル5までの5段階。
価格.com最安価格:10,500円
発売日:2022年2月1日発売
ユーザー評価:★4.34(8名)
上記「MYTREX REBIVE MINI MT/BY-RBM20B」をさらに小さくした小型ハンディマッサージャー。約265gという軽量ボディながら、最大約3000回/分の振動と7mmのストロークに加えて、約9.5kg相当という耐圧力を実現するパワフルさが特徴だ。付属するアタッチメントは、円柱形、緩衝形、球形、U字形の4種類。「MINI」同様、5段階の動作モードを搭載する。カラーバリエーションはパープルやグリーンなど6色展開。女性のバッグなどにもサッと入れられて持ち出せる。
価格.com最安価格:14,800円
発売日:2021年11月25日発売
ユーザー評価:★4.39(4名)
「ルルド」ブランドでさまざまなマッサージ器を展開するアテックスの小型ハンディマッサージャー。手のひらに収まる約250gのコンパクトボディながら、最大約3200回/分の振動と6mmのストロークを実現。動作モードは約800回/分〜約3200回/分の計4段階となる。特徴的なのは、球形、丸平形、砲弾形、U字形の4種類のアタッチメントに加えて、一般的には別売扱いとなる専用アームが付属すること。これを付けることにより、背中や脇腹など、手の届きにくい場所にも楽々アプローチできる。
価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。