長年家電業界を見てきた価格.com編集長が、価格.comが保有するさまざまなデータと、自身の知識・経験をベースに、家電製品の最新トレンドを解説。今押さえておくべき機能やスペックを紹介しつつ、コスパ、性能、ユーザー評価などの観点から、今買って間違いなしの製品を厳選して紹介する。
第27回は、寒い冬場の必需品、ヒーター・ストーブなどの暖房器具について解説する。
12月に入り、日本列島にもいよいよ本格的な冬の寒さが訪れてきた。この時期、気温が低くなってくるにしたがって需要が増加するのが、暖房器具である。最近は、住宅の気密化が進んでおり、都市部などを中心にエアコン暖房だけで冬を過ごすという方も多いだろうが、寒冷地などを中心に、今もエアコンだけでは用が足りず、さまざまな暖房器具を駆使して冬場を乗り切っているというご家庭も多いことだろう。そうした方の買い替え用途として、毎年この時期になると、価格.comの「ヒーター・ストーブ」カテゴリーの閲覧者も一気に増加する。
【図1】価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーにおける閲覧者数の推移(過去2年)
図1は、過去2年における同カテゴリーの閲覧者推移を示したものだが、毎年寒くなってくる10月後半くらいから年末くらいにかけて閲覧者が急増し、その後、1月くらいを境にピークアウトしていく様子が見て取れる。もちろん、この傾向はその年の冬の気温変化と密接に関係しており、早めに寒くなった年は早めに、遅めの年は遅めにピークの山が現れる。
【図2】価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーにおける閲覧者数の推移(過去3か月)
図2は、今年2023年の「ヒーター・ストーブ」カテゴリーの閲覧者数推移を示したもの。今年は11月前半までかなり温かい日々が続いたため、閲覧者が増えてきたのは11月中旬くらいと、例年に比べてもスロースタートとなった。その後の伸びも今ひとつといった感じだが、今後急激に寒さが厳しくなってくると、駆け込み需要的なものが伸びてくるのではないかと推測する。
【図3】価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーにおける製品種別の割合(2023年12月5日時点)
なお、価格.com上でどんな暖房器具が売れているのかを示したのが図3だ。これを見ると、割合でいちばん多いのは「石油ファンヒーター」で約26%、約9%の「石油ストーブ」と、約8%の「ガスファンヒーター」を加えると約43%となり、燃焼系暖房だけで4割を超える割合となっていることがわかる。これに対して電気系の暖房は、「セラミックファンヒーター」が約12%、「ファンヒーター(電気系)」が約9%、そのほか「グラファイトヒーター」「シーズヒーター」(いずれも約5%)などを加えても3割程度となっている。約27%を占める「そのほか」の中には、そのほかの電気系暖房が多く含まれるので、これを考慮すると、灯油・ガスなどを使った燃焼系暖房と、電気系暖房はほぼ半々の割合で人気があると言ってよさそうだ。
同カテゴリーの売れ筋ランキングの上位製品の顔ぶれを見ても、上位ベスト10中4製品が燃焼系、6製品が電気系となっており、その人気はほぼ拮抗していると言っていい。ただ、今年は電気代が高騰していることもあり、電気系暖房の伸びが今ひとつ鈍い印象だ。比較的価格高騰が抑えられている灯油やガスを使った燃焼系暖房のほうが、基本的な火力が強いこともあり、ここ数年底堅い人気を維持している。
【図4】価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーにおける主要5メーカーの閲覧者数推移(過去1年)
では、価格.com上では、どんなメーカーの暖房器具が人気なのだろうか。図4を見ると、頭ひとつ抜ける形で人気が高いのはコロナだ。コロナは、石油ファンヒーターなどの燃焼系暖房と、「コアヒート」シリーズに代表される電気系ヒーターの両方をラインアップし、いずれも人気があることから、安定した人気の高さを誇っている。
2位以下は僅差となるが、ダイソンは独自の「羽根のない扇風機」こと「エア・マルチプライアー」シリーズの、ヒーター搭載機が年間を通じて一定の人気を誇っており、デロンギはほぼオイルヒーターのみのラインアップにも関わらず、人気が高い。とはいえ、この2社は前述の電気代高騰の影響で、現状は昨年ほどの人気とはなっていない。
また、ダイニチは、主に石油ファンヒーターのみのラインアップとなるが、ライバルのコロナと比べるとやや出足が鈍い。というのも、ダイニチの石油ファンヒーターが採用する「ブンゼン式」という燃焼方式は、灯油を電気ヒーターで一度温めてから燃やすため、火力は強く、立ち上がりも早い半面、どうしても消費電力が大きくなりがち。その点が、今年は特に敬遠されているのかもしれない。
最後のダイキンだが、これまでは主に電気ストーブの「セラムヒート」シリーズ中心の展開だったものが、今年は、ファンヒーターと電気ストーブとを組み合わせた新モデル「ハイブリッドセラムヒート」を発売し、これが話題となっているため、単独5位に浮上している。こちらも電気代はそこそこかかると思われるが、新基軸の暖房であることと、デザイン性などにもすぐれているため、富裕層などをターゲットに人気を博しているものと思われる。
【図5】価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーにおける人気トップ5製品の閲覧者数推移(過去1か月)
図5は、価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーにおける、直近での人気トップ5製品の閲覧者数推移を示したもの。これを見ると、もともと底堅い人気のあった石油ファンヒーターのコロナ「FH-G3223Y(W)」や、ガスファンヒーターのリンナイ「SRC-365E」、ダイソン「Dyson Hot + Cool AM09 WN N」の人気が若干落ちてきているのに対し、加湿セラミックファンヒーターのシャープ「HX-RK12-W」や、前述のダイキン「ハイブリッドセラムヒート」などの人気が徐々に上がってきているのがわかる。このように、急激に寒くなってくるこの時期には、手軽に暖を取れる電気系ヒーターが駆け込み需要的に人気を増す傾向がある。今年の場合は、電気代高騰の影響でどこまで需要が伸びるかわからないが、今後電気系暖房の人気が少しずつ上がってくることは予想される。
【図6】価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーにおける人気トップ5製品の最安推移(過去1か月)
なお、これらの製品の実勢価格には大きな開きがある。一般的には、個室で利用する暖房器具の場合、1万〜2万円台で購入できる製品が人気で、図6を見るとわかるように、コロナ「FH-G3223Y(W)」、リンナイ「SRC-365E」、シャープ「HX-RK12-W」などはこの範疇に入っている。これに対して、多機能が売りのダイソン「Dyson Hot + Cool AM09 WN N」は3万円台、今年初登場の新モデルであるダイキン「ハイブリッドセラムヒート」に至っては、6万円台という高価な製品となっている。コストパフォーマンスという面で考えれば、前者のほうが圧倒的に高いが、高額製品にも一定の需要があることから、今や暖房器具にもデザイン性や機能性がある程度求められていることが推察される。
※最安価格とユーザー評価は、いずれも2023年12月5日 時点のものです。
価格.com最安価格:13,939円
発売日:2023年8月下旬発売
ユーザー評価:★4.58(3人)
石油ファンヒーター、対応畳数:木造9畳、コンクリート12畳
人気のコロナ製石油ファンヒーターのベーシックモデル。しっかりした基本性能を持ちながらも、独自のポンプ噴射式バーナーの採用により電気代が少なくて済むのが大きな特徴で、弱燃焼時では11Wという省電力を実現している。灯油の消費を抑えるセーブモードも搭載しており、最大火力を60%に抑えて運転することも可能。なお、通常点火では55秒かかるが、高速な7秒点火にも対応する。給油時に手が汚れにくい「よごれま栓」も高評価だ。
価格.com最安価格:24,450円
発売日:2023年8月23日発売
ユーザー評価:★4.45(2人)
石油ファンヒーター、対応畳数:木造15畳、コンクリート20畳
コロナと並ぶ、石油ファンヒーターの大手メーカー、ダイニチの石油ファンヒーター。灯油を燃焼前にヒーターで温めるブンゼン式という燃焼方式を採用することによって、点火が早く、暖まりのスピードも速いのが特徴。本モデルの場合、約40秒で着火し、暖房出力は最大1.23kWにも及び、コンクリート洋室の場合20畳の広さの部屋を素早く暖めることができる。ただしヒーターを使う分、消費電力はやや多めで、小出力時でも80Wかかる。部屋の暖まり方を重視する方に向いた製品だ。
価格.com最安価格:18,950円
発売日:2019年発売
ユーザー評価:★4.65(32人)
ガスファンヒーター、対応畳数:木造11畳、コンクリート15畳
都市ガスを使ったガスファンヒーターのロングセラーモデル。石油ファンヒーターと比べると、ガスコンセントさえ近くに用意できれば給油なども必要なく、タンクがない分ボディも小型化できる。それでいて火力は最大4.07kW(13Aの場合)とかなり高く、部屋中を素早く温めることが可能だ。消費電力も18Wと低いが、ガス代も昨今高騰しているので、ランニングコストは見極めが必要になるだろう。導入時のハードルは高めだが、使ってみるとかなり便利な暖房器具と言える。
価格.com最安価格:15,339円
発売日:2022年9月発売
ユーザー評価:★4.71(3人)
加湿セラミックファンヒーター、対応畳数:木造6畳、コンクリート8畳
電気でセラミックを発熱させ、ファンで足下中心に温風を送り届けるセラミックファンヒーター。立ち上がりが早く、ボディも小型化できるのがメリットで、本機もかなり小型に仕上がっている。ユニークなのは、加湿機能を備えている点。約3.1Lの水タンクを備え、最大650mL/時という加湿量で、暖房と同時に加湿(気化式)を行う。フィルターを清潔に保てる自動洗浄機能を備えるほか、プラズマクラスター機能も搭載しているので、お部屋の空気清浄も行える、1台3役の製品だ。個室の暖房にちょうどよい製品だろう。
価格.com最安価格:16,800円
発売日:2022年8月下旬発売
ユーザー評価:★5.00(2人)
遠赤外線電気ヒーター、対応畳数:記載なし
首振りタイプの反射式電気ストーブとして人気のコロナ「コアヒート」シリーズ。そのスリムボディの製品が本機だ。最大900Wの遠赤塗装BC(ブラックセラミック)コーティングシーズヒーターを搭載し、遠赤外線の効果によって前方をしっかり温める。最大70度の首振り機構も搭載しているので、リビングなどで、エアコン暖房と合わせて補助暖房として使うのもよいだろう。温度調節は10段階。自動的にヒーターの出力を下げた省エネ運転ができる「ecoモード」も備える。
価格.com最安価格:9,998円
発売日:2023年9月発売
ユーザー評価:★--(0名)
遠赤グラファイトヒーター、対応畳数:木造4.5畳、コンクリート7畳
わずか0.2秒で即発熱する遠赤グラファイトヒーターを採用したアラジンブランドの首振りタイプの反射式電気ストーブ。最大1000Wの大出力で遠赤外線効果により前方をしっかり温める。首振り機構を備えるほか、ヒーター部を縦横に回転できる機構も持っており、さまざまな角度で利用できる。操作部はダイヤル中心のレトロデザイン。室内温度が22度に達すると自動でパワーセーブしてくれる「ecoモード」も備える。
価格.com最安価格:22,991円
発売日:2015年8月発売
ユーザー評価:★4.52(20名)
対流型石油ストーブ、対応畳数:木造17畳、コンクリート24畳
電気代高騰のほか、電気が使えない、いざというときの防災用品としても近年見直されている対流型の石油ストーブ。その代表格とも言える本製品は、最大6.66kWの大火力を実現した製品だ。コンクリート洋室では24畳まで対応可能で、広いリビングでも利用可能。燃費はよいとは言えないが、360度じんわりと温めてくれるため、部屋が暖まりやすい。天板にやかんなどを置いておけば、加湿機代わりにもなる。着火に乾電池を使う以外は電気を使わないので、屋外や納屋、ガレージなどに持ち出して使えるなど、利便性も高い。
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