長年家電業界を見てきた価格.com編集長が、価格.comが保有するさまざまなデータと、自身の知識・経験をベースに、家電製品の最新トレンドを解説。今押さえておくべき機能やスペックを紹介しつつ、コスパ、性能、ユーザー評価などの観点から、今買って間違いなしの製品を厳選して紹介する。
第33回は、今まさに需要が伸びている「花粉症対策」に有効とされる、空気清浄機の最新トレンドについて解説しよう。
今シーズンの空気清浄機のトレンドについては、需要が高まり始める昨年11月の時点で解説記事を掲載した。その時点でも、加湿機能を搭載しないコンパクトモデルが人気となっているということをお伝えしたが、花粉シーズンまっただ中の3月上旬時点では、その傾向がますます強くなってきている。
価格.com「空気清浄機」カテゴリーの人気売れ筋ランキングの上位顔ぶれ(2024年3月5日時点)を見ると、2位・シャープ「FU-R50」、3位・ダイキン「ACM55Z-W」、4位・象印「PU-SA35」、6位・シャープ「FU-RC01」と、ベスト5中の3製品、ベスト10中の4製品が「加湿なし」のモデルとなっており、この半年で加湿なしモデルがかなり人気を高めていることがわかる。もちろん、初冬の時期に空気清浄機を求める人は、冬場の乾燥対策として加湿機能ありのモデルを選ぶ傾向が高く、春先に求める人は、花粉症対策を第一にあげる傾向が高いという違いはあると思うが、ここ数年でこれほど春先に加湿なしモデルの人気が高まったことはなく、今年の春がある意味ターニングポイントとなった感が強い。
【図1】価格.com「空気清浄機」カテゴリーにおける売れ筋ランキングベスト5の製品の閲覧者数推移(過去6か月)
図1は、価格.com「空気清浄機」カテゴリーにおける売れ筋ランキングベスト5の製品の閲覧者数推移を示したものだ。なお、ベスト5のうち、上記の2位・シャープ「FU-R50」、3位・ダイキン「ACM55Z-W」、4位・象印「PU-SA35」は加湿なしモデル、1位・シャープ「KC-R50」と5位・シャープ「KI-NS40」が加湿ありモデルとなる。これを見ると、2月の中旬くらいから、加湿なしモデル3製品の閲覧数が上がってきていることがわかる。1位の「KC-R50」や、5位の「KI-NS40」も同様の時期に動きは出てきているが、前者はむしろ秋口の人気のほうが高く、後者は販売価格の大幅な値下がりによって人気を得たが、すでに終息気味だ。このことからも、花粉対策製品として、加湿なしのシンプルな空気清浄機がこの時期に人気を高めていることがわかってくるだろう。
【図2】価格.com「空気清浄機」カテゴリーにおける主要5メーカーの閲覧者数推移(過去6か月)
ちなみに、同期間における主要5メーカー別の閲覧者推移を示した図2を見てみよう。これを見ると、空気清浄機の需要ピークは初冬の11月であり、どのメーカーもそれ以降は徐々に数字を下げていっているが、本格的な花粉シーズンが始まる2月以降で見ると、シャープ、ダイキン、Airdogの3社がやや数字を戻している。実はこの3社、上述の加湿なしモデルを比較的広く展開しているメーカーであり、やはりこの時期に動く花粉対策の製品としては、加湿なしの空気清浄機のほうが強いことがうかがえる。逆に、かつてはシャープ、ダイキンとともに3大メーカーとして知られてきたパナソニックは、直近での製品ラインアップが代わり映えせず、加湿機能なしのモデルも1製品を展開するのみという状況で、シャープ、ダイキンとの差が広がってきている。
※最安価格とユーザー満足度・評価は、いずれも2024年3月5日 時点のものです。
価格.com最安価格:16,860円
発売日:2022年9月発売
ユーザー満足度・評価:★4.00(1人)
対応畳数23畳のシンプルな空気清浄機。幅383×奥行209×高さ540mmのコンパクトボディだ。シャープの製品では一般的な、背面から吸って、上方からはき出すエアフローで、プレフィルター、脱臭フィルター、静電HEPAフィルターの3つのフィルターで空気を清浄化する。「プラズマクラスター7000」を搭載し、空気中の花粉やホコリを除電しつつ、効率よく集じんするという。最新モデル「FU-S50-W」も発売されているが、大きな機能変更はないため、本モデルのほうがお買い得。
価格.com最安価格:33,000円
発売日:2022年10月発売
ユーザー満足度・評価:★4.81(7人)
ダイキンの空気清浄機のボトムを担う、加湿機能なしのシンプルな空気清浄機。加湿機能を搭載しないことでボディをスリム化でき、幅270×奥行270×高さ500mmというコンパクトサイズを実現した。対応畳数は25畳。ターボモードで最大5.5㎥/分の風量を発生し、強力に部屋の空気を循環させ、花粉やホコリなどを吸い込む。エアフローは、下部左右に設けられたプレフィルター部から空気を吸い込み、下から上に向けて縦方向に設置されたTAFUフィルター(静電HEPAフィルター)と脱臭フィルターを通して、上面から空気をはき出す方式。ダイキン独自の「ストリーマ」を搭載しており、フィルターでとらえた物質を除菌・分解することが可能だ。
価格.com最安価格:14,624円
発売日:2022年9月1日発売
ユーザー満足度・評価:★5.00(4人)
魔法瓶や炊飯器などでおなじみの象印が手掛けるシンプルな空気清浄機。同社は近年、シンプルデザインの家電製品を多く手掛け、人気を得ているが、本機もその流れに沿ったシンプルでコンパクトな空気清浄機だ。幅370×奥行125×高さ455mmのコンパクトボディで、特に奥行きの短さは群を抜いている。最大風量は3.4㎥/分で、対応畳数は16畳ということから、どちらかと言えば、個室や寝室などでの利用に向いている。エアフローは、パンチングデザインの前面から吸い込んで、上部からはき出す方式。フィルターは集じん+脱臭が一体となったフィルターで、交換目安は約2年。モーターにDCモーターを採用し、静音かつ低消費電力なのも特徴だ。
価格.com最安価格:11,760円
発売日:2022年9月発売
ユーザー満足度・評価:★4.19(4人)
対応畳数6畳のコンパクトな空気清浄機。直径190×高さ330mmのコンパクトな筒型ボディで、置き場所に困らないのが特徴。納戸やクローゼット、玄関先などに置くのにも適している。搭載フィルターは集じん+脱臭一体型フィルターで、交換目安は約1年と短めな点は注意だ。「プラズマクラスター7000」を搭載し、消臭などにも期待できる。運転モードは強、中、弱の3段階だが、センサーによる自動切り替えには非対応なので、自分で設定する必要がある。
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