レビュー

10万円切りの最上級ロボット掃除機は本当に“使えるのか”!? 猫のいる自宅に導入してみた

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現在のロボット掃除機のトレンドと言えば、以下の3つがあげられます。

・強力な吸引+加圧&高回転水拭きモップのW清掃
・モップ洗浄+温風乾燥付きの全自動クリーニングステーション
・障害物を検知して回避

最新ロボット掃除機の便利さをフルに享受するには、やはりこういった機能が欲しいのですが……そのすべてを満たすモデルとなると、どうしても20万円前後のハイエンドモデルを選ばざるをえません。

しかし、先日発売されたアンカーの新フラグシップ機「Eufy X10 Pro Omni」(以下、「X10 Pro」)は、これらの機能全部盛り+独自機能付きで何と税込10万円を切るという衝撃プライス! ロボット掃除機業界がかなりザワつく事態なんです。むしろミドルクラスとしてもお安めと言える価格だけに、本当にハイエンドモデルに匹敵する性能があるのか? は気になるところ。そこで実際に自宅で試用して、確認してみました。

2024年2月末に発売された高コスパなロボット掃除機「Eufy X10 Pro Omni」

2024年2月末に発売された高コスパなロボット掃除機「Eufy X10 Pro Omni」

最強クラスの吸引性能と、壁ギリギリまで攻めるエッジモードが魅力!

「X10 Pro」のスペックでまず目を引くのが、最大吸引力8,000Paという数値。これは現時点でロボット掃除機最強クラスといって間違いありません。特にペットを飼っている家庭のカーペットでは、この吸引力が非常に重要な要素です。毛足の奥に入り込んだ微細なゴミやペットの毛なども、この吸引力ならしっかり取ってくれるはず。

ロボット掃除機としてはとても強力な吸引性能。カーペットを検知すると自動的にさらにパワーアップして、細かなホコリもしっかりと除去します

ロボット掃除機としてはとても強力な吸引性能。カーペットを検知すると自動的にさらにパワーアップして、細かなホコリもしっかりと除去します

ということで、ひとまず全自動クリーニングステーションとあわせて設置し、清掃スタート。

部屋のタイプや頻度に合わせて掃除方法を自動的に選択する「スマートモード」では、フローリングでは控えめに、カーペットを検知すると自動的にパワーを上げて吸い取ってくれます(専用アプリ「eufy Clean」で自由に設定可能)。

タイミング的に我が家の猫がそろそろ換毛期ということで、カーペットのそこらじゅうに抜け落ちた細かな毛が落ちているんですが、毛足の奥にまで入ってかき出すメインブラシ+強力吸引の組み合わせで、「X10 Pro」が通った後はちょっと感心するぐらいにきれいでした。

ブラシはラバーと毛のハイブリッド型。かき出す性能が高そうです

ブラシはラバーと毛のハイブリッド型。かき出す性能が高そうです

対して、フローリングやクッションフロアで重視したいのは、どちらかというと吸引力よりも水拭きのパワーでしょう。

もちろんホコリや毛ゴミなども落ちてはいますが、それよりも足の皮脂汚れや、微細な汚れが踏みつけられて床板にこびりついたもの、キッチンの油はねなど、拭き取りたい汚れのほうが圧倒的に目立ちます。

さらに、この時期は外から持ち込まれた花粉が床に落ちていることも多いですが、放置したままだと、歩くたびに舞い上がって吸い込んでしまうことも。これも吸引掃除するよりは、水拭きでしっかりと拭き取ったほうが確実に除去できるというわけ。

外から入った花粉で微妙にべったり&ザラザラしていた床も、パワフルな加圧式の水拭きによってスッキリ!

外から入った花粉で微妙にべったり&ザラザラしていた床も、パワフルな加圧式の水拭きによってスッキリ!

よく見ると円形ではなく五角形のモップ。モップ同士のすき間を小さくして、拭き残しを減らす仕組みです

よく見ると円形ではなく五角形のモップ。モップ同士のすき間を小さくして、拭き残しを減らす仕組みです

「X10 Pro」は、毎分180回転+各1kgの加圧式デュアルモップを搭載。つまり、モップを床に押し付けながら拭き取るという、人の手で雑巾がけをするような水拭きが可能です。

実際にモップで水拭きした部分に手で触れてみると、明らかにサラッとした手触りに。これはべた付き汚れがしっかり拭えた証拠と言えるでしょう。

ちなみに、モップリフト機能(カーペットを検知すると自動でモップを12mm引き上げる)も当然付いているので、カーペットが濡れてしまう心配はほぼありません。

カーペットの上では、モップがカーペットに触れないように自動的にリフトアップ

カーペットの上では、モップがカーペットに触れないように自動的にリフトアップ

水拭きに関してもうひとつあげておきたいのが、「X10 Pro」の独自機能のひとつ「エッジモード」です。

このモードがオンのときに壁を検知すると、にじり寄るように本体をスイングさせて壁に近づき、壁面まで約1cmというギリギリまで攻めた水拭きをしてくれるというもの。

本体ごとモップをスイングさせつつ前進し、汚れが溜まりやすい壁際もきれいに拭き上げる「エッジモード」

本体ごとモップをスイングさせつつ前進し、汚れが溜まりやすい壁際もきれいに拭き上げる「エッジモード」

一般的にロボット掃除機は壁際の清掃を苦手としているんですが、汚れは実は壁側に寄りがち。その点、「X10 Pro」の同モードはその手間を減らしてくれる、かなり有効な機能だと感じました。あと、にじり寄る様子がちょっと生き物っぽくてかわいいのもポイント。

ただし、「エッジモード」がオンだと、その分清掃時間が延びてしまいます。アプリからは部屋やエリアごと、さらに掃除パターンによってもモードのオン/オフが可能なので、たとえば日常的な掃除では汚れの強いキッチンのみオンに、週に1度のしっかり掃除では全体をオンにする、といったやり方が効率的かも。

本体前面にカメラとLEDライト(暗所用)を搭載。ちょっと驚くぐらい正確に障害物を認識・回避します

本体前面にカメラとLEDライト(暗所用)を搭載。ちょっと驚くぐらい正確に障害物を認識・回避します

進行方向にUSBケーブルをわざと落としてみましたが、手前で認識してスーッと回避しました

進行方向にUSBケーブルをわざと落としてみましたが、手前で認識してスーッと回避しました

清掃に関してもうひとつ感心したのが、障害物検知の効率のよさ。

独自の「AI.Seeシステム」で床に落ちているもの(ケーブルやスリッパなど)100種類以上を認識することで、効率よく障害物を避けていきます。

実際に清掃中に眺めていても、家具や壁に軽くコツと当たることはあるんですが、落ちているものを踏んだり引きずったりするようなケースはほとんどなし。もう人間が操縦していると錯覚するぐらいの印象です。

我が家のようにモノが床に散乱しているような環境では、これはかなりありがたい機能と言えるでしょう。

いかにメンテナンスフリーかがロボット掃除機選びのポイント

ロボット掃除機を導入するのは、「掃除という家事の手間から解放されたいから」にほかなりません。つまり、掃除がラクになったとしても、ロボット掃除機のメンテナンスやケアに手が掛かるようでは導入の意味がない、ということ。

清掃後にモップを洗浄・温風乾燥中。音は非常に静かで、熱の漏れもありません

清掃後にモップを洗浄・温風乾燥中。音は非常に静かで、熱の漏れもありません

「X10 Pro」が掃除を終えてクリーニングステーションに戻ってくると、自動的に掃除機本体からゴミの収集、モップの洗浄/乾燥、本体への水拭き用給水がスタート。最近のハイエンドモデルは、モップの温風乾燥が基本ですが、もちろん「X10 Pro」も45度の温風乾燥。すばやく乾かすことで雑菌やカビの繁殖を抑えて、生乾き臭もしません。

また、浄水/汚水タンクはステーションと一体構造で、コンパクトさと十分な容量の確保を両立させているのはウマい工夫だなと感じました。

タンクは写真のようにステーションからそのままカポッと分離可能。手前が浄水タンク、奥が汚水タンクです

タンクは写真のようにステーションからそのままカポッと分離可能。手前が浄水タンク、奥が汚水タンクです

ステーション内のゴミ収集紙パック。取り出すときにシャッターが上がって、細かなホコリが舞い散らない仕組み

ステーション内のゴミ収集紙パック。取り出すときにシャッターが上がって、細かなホコリが舞い散らない仕組み

ステーションのゴミタンクは、一般的な環境で大体2か月はゴミ捨てが不要とのこと。現時点ではまだそこまで試せていませんが、ひとまずそれぐらいケアレスでいられるというのはありがたい情報と言えそう。

またもうひとつありがたいのが、独自の「毛がらみ除去システム」。これはゴミ収集時にメインブラシを前後に回転させ、ブラシにからみ付いた毛髪やペットの毛、綿ゴミの繊維などを内蔵のクシでほぐして除去する機能です。

ブラシの下に見えている銀色のギザギザが、毛がらみ除去用のクシ。頑固に絡んだ長い毛もほぼ確実(除去率99.7%)にほぐして吸い取ります

ブラシの下に見えている銀色のギザギザが、毛がらみ除去用のクシ。頑固に絡んだ長い毛もほぼ確実(除去率99.7%)にほぐして吸い取ります

ブラシにからんだ毛の密度が上がると吸引性能が落ちたり、故障の原因になったりすることも。これまでは毛をいちいちハサミで切るなど人の手でケアしなければいけなかったんですが、これもステーション任せでOKというわけ。すでにロボット掃除機を使ったことのある人なら、「あー、それ欲しかったヤツ!」と言うこと間違いなしでしょう。

本体ボタンは左から「スポットモード/チャイルドロック」「電源」「ステーション復帰」。「スポットモード」は特定のエリアをピンポイントで清掃するモードです

本体ボタンは左から「スポットモード/チャイルドロック」「電源」「ステーション復帰」。「スポットモード」は特定のエリアをピンポイントで清掃するモードです

専用アプリからは、清掃エリア/部屋の指示や、立ち入り禁止ゾーンも設定できます

専用アプリからは、清掃エリア/部屋の指示や、立ち入り禁止ゾーンも設定できます

【まとめ】“初めてのロボット掃除機”にぴったり!

実際にしばらく運用してみた印象としては、「本当にこれで10万円以下!?」という感じ。ハイエンドモデルに劣るところはほぼなく、逆に細かな工夫や独自機能はよくできているものばかりでした。もちろん、清掃性能もパワフルかつ隅々までしっかりと行き届いているので、正直「もうこれ買っちゃえばいいじゃん」としか思えません。

価格・機能・性能の兼ね合いを考えると、ロボット掃除機を初めて導入したいと考えている人の“最初の1台”としてもおすすめできそうです。

きだてたく
Writer
きだてたく
最新の機能派文房具から雑貨・ファンシー系のオモシロ文房具まで、何でも徹底的に使い込んでレビューする文房具ライター。雑誌・WEBで文房具の最新情報や使いこなし記事を執筆するほか、文房具の楽しさを伝えるトークライブやワークショップなども全国各地で精力的に行う。最近は掃除機業界にも進出中!
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牧野裕幸(編集部)
Editor
牧野裕幸(編集部)
アイテム情報誌「GetNavi」や映像エンタメ情報誌「DVD&Blu-rayでーた」(当時)の編集者を経て「価格.comマガジン」へ。スティック&ロボット掃除機、コーヒーメーカー、扇風機、電動歯ブラシ、電気ケトルなどの白物家電のほか、AV機器や加熱式タバコを担当しています。LOVE, LINKIN PARK.
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