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人気の除湿機はどっち? 夏場の衣類乾燥に便利なコンプレッサー式と通年で使いやすいハイブリッド式

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長年家電業界を見てきた価格.com編集長が、価格.comが保有するさまざまなデータと、自身の知識・経験をベースに、家電製品の最新トレンドを解説。今押さえておくべき機能やスペックを紹介しつつ、コスパ、性能、ユーザー評価などの観点から、今買って間違いなしの製品を厳選して紹介する。

第36回は、近年、衣類乾燥機としての利用シーンが増えてきている除湿機の最新トレンドを解説する。

「部屋の除湿」から「衣類乾燥」へと主用途がシフトしつつある除湿機

除湿機の歴史は比較的長く、1967年には国内最初の家庭用除湿機が発売されている。当時進んでいた気密性の高い洋風建築への移行にともなって、室内に湿気が滞留しやすくなり、カビや結露などの現象が増えてきたことへの対応策として、室内の湿気(水分)を除去することが主な目的だった。その後しばらくは、こうした「部屋の除湿」用途で除湿機が使われてきたが、最近の住宅は一定程度の換気機能が備わってきているため、以前ほど、室内の除湿を行う必要性はなくなってきた。そういう背景があって、ここ10年ほどは、除湿機の出荷台数もやや減少傾向にある。

これに代わって、ここ十数年で高まってきたニーズが「(中干し)洗濯物の乾燥」だ。都市部を中心に、洗濯物を部屋の中で干す人が増えてきたのにともない、それをサポートするための製品として、除湿機の除湿性能に注目が集まってきたのだ。もちろん、除湿機には、ヒーターを使った乾燥機や浴室乾燥装置のような強力な乾燥機能は備わっていないが、それでも、洗濯物に風を当てて気化させ、その気化した水分を吸い込んで除湿を行うというサイクルによって、室内干しを十分可能にするだけの力はある。メーカー各社も、最近では除湿機を「衣類乾燥機(衣類乾燥除湿機)」として売り出している部分もあり、除湿機の用途は、従来の「部屋の除湿」から「衣類乾燥」へとシフトしてきていると言ってよい。

【図1】価格.com「除湿機」カテゴリーの閲覧者数推移(過去2年間)

【図1】価格.com「除湿機」カテゴリーの閲覧者数推移(過去2年間)

図1は、過去2年間の価格.com「除湿機」カテゴリーの閲覧者数推移を示したものだ。これを見ればわかるように、除湿機のニーズは、毎年5〜7月くらいの初夏に大きく増加することがわかる。これはちょうど梅雨の時期にあたり、やはり雨が続き湿度が高まる時期に除湿機の需要が高まってくることがわかる。逆に、この時期を外すと除湿機の需要は一気に下がるため、除湿機は今でも「季節家電」という見られ方をしているが、後述するように、衣類乾燥用途では通年で使える製品も増えてきており、除湿機の季節性は徐々に薄まってきている。

除湿方式では、夏場に強いコンプレッサー式と、通年で使えるハイブリッド式が主軸に

ご存じの方も多いと思うが、除湿機には大きく分けて3通りの方式が存在する。1つは、冷蔵庫やエアコンと同様にコンプレッサーと冷媒を使って空気を冷やし、水分を結露させて除去する「コンプレッサー式」。もう1つは、押し入れなどに入れて使う乾燥剤と同じゼオライトという物質を使用して水分を吸湿ローターに固着させ、それを温風で乾かして除湿させる「デシカント(ゼオライト)式」。最後に、この2つの方式をあわせ持った「ハイブリッド式」となる。

このうち、コンプレッサー式とデシカント式は、それぞれ一長一短の特徴がある。コンプレッサー式は、外気の気温が上がる夏場には水分を結露させやすくなるため除湿力が高まるが、逆に外気が低温の冬場は除湿力が落ちてしまう。いっぽうのデシカント式は、温風でローダーを乾燥させるため、気温が低い冬場の除湿力は強いが、ヒーターを使うため部屋が暑くなりやすいので夏場の使用は厳しい面がある。また、消費電力もそれなりに高い。

この2方式のメリット・デメリットを帳消しにできるのがハイブリッド式だ。夏場はコンプレッサー式、冬場はデシカント式と、それぞれの方式を選択あるいは組み合わせて使うことで、年間を通じて高い除湿効果を得ることができる。ただ、共用パーツの少ない2つの方式を内蔵するため、どうしてもボディが大きくなり、価格も高くなってしまうのが欠点だ。このため、ハイブリッド式は、長らくそれほど大きなシェアを持つにはいたらなかった。

【図2】価格.com「除湿機」カテゴリーにおける売れ筋モデルの除湿方式の割合(2024年3月時点)

【図2】価格.com「除湿機」カテゴリーにおける売れ筋モデルの除湿方式の割合(2024年3月時点)

しかし、衣類乾燥が除湿機の主な用途となった今では、状況が変わっている。図2は、価格.com「除湿機」カテゴリーにおける売れ筋モデルの除湿方式の割合を示したものだが、これを見ると、コンプレッサー式が最も人気で約半数の54%を占めるが、次に人気なのはハイブリッド式で約30%を占めている。消費電力が大きく、夏場に使いづらいデシカント式は最近やや人気を落としており、そのシェアは約15%。このことからも、今の除湿機の人気は、夏場に強いコンプレッサー式か、年間を通じて便利に使えるハイブリッド式が中心という状況となっていることがわかる。高価なハイブリッド式がここまで支持されているということは、それだけ、除湿機の衣類乾燥用途としての利用が一般化してきているということだろう。

【図3】価格.com「除湿機」カテゴリーにおける主要メーカーの閲覧者数推移(過去2年間)

【図3】価格.com「除湿機」カテゴリーにおける主要メーカーの閲覧者数推移(過去2年間)

ちなみに、価格.comの「除湿機」カテゴリーにおいて人気のメーカー5社をあげると、パナソニックシャープコロナアイリスオーヤマ三菱電機ということになる。この5社の製品の閲覧者数推移を示したのが図3だが、なかでもパナソニック、シャープがやや強く、ピーク時にはコロナがこれに迫る勢いであることがわかる。

この結果を上述の除湿方式とあわせて見てみると、ひとつ面白いことがわかる。パナソニックは、長年ハイブリッド式を推進してきたメーカーであり、シャープはコンプレッサー式に加えて、最近ではハイブリッド式にも力を入れてきているという背景がある。つまり、いずれもハイブリッド式の除湿機をメインに据えている2メーカーの人気が、価格.com上では高まっているということだ。

さらに、ときおりこの2メーカーと同列の人気となるコロナだが、こちらは基本的にコンプレッサー式を採用する。三菱電機も同様にコンプレッサー式を採用するメーカーであり、このことからもコンプレッサー式の人気は安定して高いことがわかる。なお、アイリスオーヤマについては、コンプレッサー式、デシカント式、ハイブリッド式の3方式をすべて展開しており、総合力で一定の人気を得ている形だ。

以上のことから見ても、今の除湿機のトレンドは、夏場の衣類乾燥・除湿に便利なコンプレッサー式と、通年で使いやすいハイブリッド式が、人気の中心を占めているということがわかるだろう。

人気のハイブリッド式だが、コンプレッサー式との価格差はほぼ倍

【図4】価格.com「除湿機」カテゴリーにおける人気5モデルの閲覧者数推移(過去半年)

【図4】価格.com「除湿機」カテゴリーにおける人気5モデルの閲覧者数推移(過去半年)

図4は、過去半年間における、価格.com「除湿機」カテゴリーの人気5モデルの閲覧者数推移を示したものだ。これを見ると、この半年、頭ひとつ抜けて人気なのは、パナソニックのハイブリッド式のモデル「F-YHVX120」だが、直近ではやや人気を下げている。いっぽう、直近で大きく人気を伸ばしているのは、シャープ「CV-P71」(コンプレッサー式)、「CV-RH140-W」(ハイブリッド式)などだ。いずれにしても、人気の上位は、コンプレッサー式あるいはハイブリッド式で占められている。

【図5】価格.com「除湿機」カテゴリーにおける人気5モデルの最安価格推移(過去半年)

【図5】価格.com「除湿機」カテゴリーにおける人気5モデルの最安価格推移(過去半年)

ただ、この2方式の間には、価格差がかなりあることは注意したい。図5は、上記人気5モデルの最安価格推移を示したものだが、大きく2つのグループに分けられることがわかるだろう。2万円前後で推移しているグループはコンプレッサー式、4万円を超えているグループはハイブリッド式で、その価格差はおよそ2倍かそれ以上となる。上述したように、ハイブリッド式の除湿機は、コンプレッサー式とデシカント式の2つを合わせた構造となっており、それぞれの共有パーツは少ないため、どうしてもそれぞれの方式単体の製品に比べると、価格は2倍くらいになってしまう。年間を通じて便利に使えるのは、ハイブリッド式の大きなメリットだが、価格面では倍くらいになることは覚えておきたい。

いっぽう、コンプレッサー式の除湿機は、およそ2万円前後から買えるものが多く、コストパフォーマンスにはすぐれている。気温が低い冬場に除湿能力が落ちてしまうのが欠点だが、乾燥する冬場には基本的にあまり使わない、または洗濯物も外干しを基本とする、と割り切れるのであれば、主に多湿となる夏期中心に活躍するコンプレッサー式を選ぶというのも賢い手だろう。

なお、最近人気が落ちてきているデシカント式であるが、ヒーターを使う分、コンプレッサー式に比べるとやはり消費電力が増えてしまうのが消費者に敬遠されているようだ。多湿となる夏場に部屋が暑くなるのもデメリットだ。ただし、冬場に比較的湿度が高まるようなシチュエーション、たとえば、雪国の乾燥室のような場所では、デシカント式が威力を発揮する。冬場に結露が多く発生して困っているというようなお部屋でも、デシカント式のほうがより強力に除湿できるので、そこは状況に応じて選んでいただきたい。

コレ買っときゃ間違いない! 価格.com編集長が今注目する除湿機5選

※最安価格とユーザー満足度・評価は、いずれも2024年4月16日 時点のものです。

ハイブリッド式

パナソニック「F-YHVX120」

F-YHVX120

価格.com最安価格:59,000円
発売日:2022年5月11日発売
ユーザー満足度・評価:★4.58(39人)

年間を通じて高い除湿力を発揮できるハイブリッド式を採用したパナソニックの主力モデル。パナソニックはハイブリッド式を長年にわたって推進してきたメーカーであり、同方式の除湿機に関しては他メーカーの一歩先を行っている感がある。2022年の「価格.comプロダウトアワード」でも銀賞を受賞しており、ユーザーからの評価も高い。

定格除湿能力は9.0L/日(50Hz)、10.0L/日(60Hz)で、除湿時の消費電力は225W/245W(50Hz/60Hz)。タンク容量は3.2L。衣類乾燥、除湿、清潔、ケア、省エネ乾燥という5つの運転モードを搭載しており、衣類乾燥モードでは、本体上部のツインルーパーを自在に動かして、幅広い空間に風を送り、約2kgの洗濯物を約75分で乾燥可能としている。また、「ナノイーX 4.8兆」により衣類の生乾き臭を抑制する効果も期待できる。洗濯物が乾くと自動で運転を停止する「カラッとセンサー」も搭載。

なお、後継モデルの「F-YHX200B-W」と、消費電力を従来モデルの3分の1に減らした「エコ・ハイブリッド」方式を採用する「F-YEX120B」が2024年5月に発売予定となっているので、こちらも合わせて検討されたい。

シャープ「CV-PH140」

CV-PH140

価格.com最安価格:37,900円
発売日:2022年3月発売
ユーザー満足度・評価:★4.33(10人)

シャープが2022年に発売したハイブリッド式の除湿機。2023年に後継モデルである「CV-RH140-W」が発売されているが、両モデルの機能差はほとんどないので、現状割安なこちらのモデルのほうがお得だ。

定格除湿能力は11L/日(50Hz)、13L/日(60Hz)で、除湿時の消費電力は275W/295W(50Hz/60Hz)。タンク容量は3.6L。衣類乾燥、除湿、衣類消臭の3モードを備えており、衣類乾燥モードでは、広角ワイドルーバーの使用で広範囲に送風。2kgの洗濯物なら梅雨時で約64分、冬場なら約80分(ともに60Hzの場合)で乾燥可能としている。また、「プラズマクラスター25000」を放出することで、衣類の生乾き臭を抑制する効果も期待できる。なお、ホースを使った連続排水にも対応している。

パナソニックの製品と比べると、本体価格が安いので、コストパフォーマンスは総じて高いと言える。

コンプレッサー式

シャープ「CV-P71」

CV-P71

価格.com最安価格:20,230円
発売日:2022年3月発売
ユーザー満足度・評価:★3.91(17人)

2022年に発売されたシャープのコンパクト型除湿機。定格除湿能力は7.1L/日(50Hz)、6.3L/日(60Hz)で、除湿時の消費電力は175W/190W(50Hz/60Hz)。比較的狭い室内での除湿や衣類乾燥に向いており、2kgの洗濯物を約180分で乾燥可能。幅約30cm、A4サイズほどの設置面積に置け、キャリングハンドルも付いているので、浴室やパウダールームなどに持っていって使う用途に適している。衣類乾燥、除湿、衣類消臭の3モードを備えており、「プラズマクラスター7000」を使った衣類消臭も可能。タンク容量は2.5Lで、連続排水にも対応する。

なお、2023年に発売された後継モデルの「CV-R71-W」もほぼ同等のスペックで、実勢価格も同等クラスなので、あわせて検討されたい。

コロナ「CD-S6323(W)」

CD-S6323

価格.com最安価格:19,800円
発売日:2023年3月発売
ユーザー満足度・評価:★3.80(12人)

2023年に発売されたコロナのコンパクト型除湿機。定格除湿能力は5.6L/日(50Hz)、6.3L/日(60Hz)で、除湿時の消費電力は190W/215W(50Hz/60Hz)。比較的狭い室内での除湿や衣類乾燥に向いており、2kgの洗濯物を約136分で乾燥可能。幅170×奥行き365mmというスリムボディで設置しやすく、キャリングハンドルも付いているので、浴室やパウダールームなどに持っていって使う用途に適している。除湿(標準・自動)、衣類乾燥(速乾・おまかせ)の4つの運転モードを搭載。タンク容量は3.0L。

なお、2024年3月に後継モデル「CD-S6324」が発売されているが、スペック的にはほぼ同等なので、2万円前後で買える本モデルのほうがお買い得感が高い。

三菱電機「MJ-P180VX-W」

MJ-P180VX-W

価格.com最安価格:35,000円
発売日:2023年4月21日発売
ユーザー満足度・評価:★4.63(6人)

三菱電機が2023年に発売したハイパワータイプの除湿機。定格除湿能力は15.5L/日(50Hz)、18L/日(60Hz)で、定格消費電力は330W/390W(50Hz/60Hz)という強力な除湿能力を持ち、7畳の部屋を約19分(60Hz時)で快適な状態にできるという。また、通常、コンプレッサー式は冬場に除湿能力が下がるが、熱交換器の霜取りを行う「おまかせ霜取」と強運転時よりパワフルな「冬モード」の搭載により、室温1度から除湿可能と、冬場でもしっかり利用できるのが特徴だ。もちろん、衣類乾燥もスピーディーで、約6kgの衣類を一気に乾燥可能としている。運転モードは、自動除湿、湿度設定、強運転、弱運転、冬モード、浴室カビガードの6種類を搭載。タンク容量は約4.7Lで、ホースを使った連続排水にも対応する。

なお、後継モデルの「MJ-P180WX」が2024年4月22日に発売予定となっているが、スペックは同程度なので、割安感のある本モデルを選んだほうがお得と言える。

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鎌田 剛(編集部)
Writer
鎌田 剛(編集部)
1996年にソフトバンクにて複数のパソコン情報誌の編集・立ち上げに携わった後、2002年にカカクコム入社。2006年「価格.comマガジン」を創刊。以降、編集長としてメディア運営に携わる。日経MJにてコラム連載、ラジオ出演なども幅広く行う。家電製品アドバイザー資格保持者。
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北島圭介(編集部)
Editor
北島圭介(編集部)
出版社で10数年、編集者として経験を積み、2022年にカカクコム入社。家電製品から文房具など、さまざまな商品を検証するモノ雑誌の編集経験を生かし、価格.comマガジンで生活家電を中心に気になる製品をレビューしている。
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