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すぐに実践できるエアコンの節電・節約方法と省エネエアコン選びのポイント

地球温暖化による気候危機は、自然環境や私たちの暮らしにさまざまな影響や被害を及ぼし始めています。地球温暖化の原因となるCO2は家庭からも排出されており、その約半分が電気の使用にともなうものと言われています。

家庭で「省エネ」に取り組み、CO2を削減することは、最も身近な地球温暖化対策です。大切なことは、無理をせず、賢く省エネすること。ここでは、家電の中でも消費電力の割合が大きい「エアコン」の節電術を紹介します。

すぐに実践できるエアコンの節電テクニック

夏季・冬季ともに、多くの電力を消費するエアコンですが、外気温と設定温度(室温)の差が大きいときほど電力消費が増えます。そのため、冬場のほうが消費電力は高くなります。エアコンを節電するには、「外気温と室温の差を小さくすること」を意識しましょう。

夏は室内温度を28度目安に

夏に冷房を使用する際、室内を冷やしすぎるとむだな電力を消費します。無理のない範囲で室内温度を上げましょう。冷房使用時の目安は28度です。

■こんなに省エネ!
外気温度31度のとき、エアコンの冷房設定温度を27度から1度上げた場合
省エネ効果 30.24kWh
CO2削減量 14.8kg
家計のお得 約940円の節約    
※エアコン=2.2kW、使用時間=9時間/日の場合、省エネ数値は年間
※参考:経済産業省エネルギー庁「家庭でできる省エネ〜無理のない省エネ節約〜」より

冬の暖房時は室温20度を目安に

冬は外気温と室温の差が大きいため、夏よりもエアコンの消費電力が増えます。極端にエアコンの温度設定を高くせずに、適温設定を心掛けましょう。室温の目安は20度です。

■こんなに省エネ!
外気温度6度のとき、エアコンの暖房設定温度を21度から20度にした場合
省エネ効果 53.08kWh
CO2削減量 25.9kg
電気代   約1,650円の節約
※エアコン=2.2kW、使用時間=9時間/日の場合、省エネ数値は年間
※参考:経済産業省エネルギー庁「家庭でできる省エネ〜無理のない省エネ節約〜」より

定期的にフィルター掃除を

フィルターが目詰まりすると本来の性能が発揮されないため、月に1〜2回は掃除をしましょう。掃除をする際は、フィルターを外し、表面に付いたホコリを掃除機でていねいに吸い取ります。汚れがひどいときは、水を張ったバケツなどに液体の中性洗剤を少し入れてつけ置きし、洗浄しましょう。十分に水ですすぎ、日陰でよく乾かしてから取り付けてください。なお、フィルターの自動掃除機能が付いているエアコンもあります。

■こんなに省エネ!
フィルターが目詰まりしているエアコンとフィルターを清掃したエアコンの比較
省エネ効果 31.95kWh
CO2削減量 15.6kg
電気代   約990円の節約
※エアコン=2.2kW、使用時間=9時間/日の場合、省エネ数値は年間
※参考:経済産業省エネルギー庁「家庭でできる省エネ〜無理のない省エネ節約〜」より

こまめな「電源のオン/オフ」は逆効果!

エアコンは起動時に電力を多く消費するため、こまめに電源のオン・オフを繰り返すと節電には逆効果です。連続で使用する場合は、「自動運転機能」(機種によって名称が異なる)を利用しましょう。室内が設定した温度に達すると、あとは温度をキープする少ない電力消費で済みます。

また、ダイキン工業の調べでは「日中は35分、夜は18分までの外出なら、エアコンをつけっぱなしにしたほうが電気代が安い」という結果が出ています。「日中30分程度の外出なら気にしなくてよい」という目安と言えそうですが、どんな場合でも「つけっぱなし」がよいとは言えないので要注意。「つけっぱなし」と「こまめな電源のオン/オフ」は、気温や時間帯によって使い分けるようにしましょう。

風向は、暖房時は下向き、冷房時は水平に!

暖かい空気は天井に向かって上昇しやすく、冷たい空気は床に下りてくるため、暖房時は風向を下向きに、冷房時は水平にすると、効率よく冷暖房できます。画像のように冷房、暖房どちらの場合も、扇風機やサーキュレータを併用するとより効果的。天井や床にたまった暖気や冷気を循環させることができます。なお、サーキュレーターを使用した冷暖房の効率化については、以下の記事で詳しく解説しています。

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2024/06/13 14:49

室外機の周りに物を置かないこと

室外機は、冷媒を使って室内の熱を屋外へ逃がし、冷気を作る重要な役割を担っています。室外機の空気がうまく流れないと、冷房効果は約17%、暖房効果は約25%下がると言われています(※)。また、室外機が高温になると消費電力が増えます。室外機は風通しのよい場所に設置し、日陰を作るなどして直射日光から守ると、節電効果が上がります。

※参考:家庭の省エネハンドブック2023

帰宅したら、まず窓を開けて部屋の換気を

帰宅時、部屋の中が外よりも暑いと感じたら、まず窓を開けて室内の熱気を外に逃がしましょう。熱を逃してからエアコンの運転を開始すると、むだな電気を使わず効率的に部屋を冷やすせます。また、冷房、暖房ともに「必要なときにだけ使用する」ことが基本です。夏の夕方など、窓を開けて換気をしたほうが快適に過ごせる場合は、エアコンをオフにしましょう。

■こんなに省エネ!
●設定温度28度で、冷房の使用を1日1時間短縮した場合
省エネ効果 18.78kWh
CO2削減量 9.2kg
電気代   約580円の節約
*エアコン=2.2kW *省エネ数値は年間

●設定温度20度で、暖房の使用を1日1時間短縮した場合
省エネ効果 40.73kWh
CO2削減量 19.9kg
電気代   約1,260円の節約
*エアコン=2.2kW *省エネ数値は年間

省エネ製品に買い替えよう

最新のエアコンは省エネ性能にすぐれているため、買い替えることで大きな節電効果が得られます。一般財団法人家電製品協会によると、2022年のエアコンは2012年のモデルと比べ、消費電力が15%削減されるというデータが出ています。10年以上使っているエアコンを見直すと節電効果は抜群です。最新の省エネ性能をチェックして、自宅に最適なエアコンを探しましょう。

製品価格だけでなく、ランニングコスト(年間電気代)にも注目!

同一メーカーで適用面積が同じ製品同士なのに、価格差が大きいものがあります。価格の幅が大きいと、つい本体価格に目を奪われがちですが、上位機種ほど省エネ性能が高く、年間のランニングコストが下がります。

たとえば、ダイキンの14畳向けエアコンの上位機種は、普及機種よりも本体価格が50,000円ほど高いですが、年間電気代は約13,000円安くなっており、本体価格と年間電気代の合計金額が4年を境に逆転します。また、上位機種は「自動熱交換機洗浄」などの高性能な洗浄機能を備えており、エアコンのクリーニング回数も少なくなるため、メンテナンスコストも抑えられます。エアコン購入時には、省エネ性能に着目し、ランニングコスト(年間電気代)を意識してみるとよいでしょう。

●ダイキン14畳エアコン(2023年モデル)の比較
※1 2024年2月の実勢価格
※2 1kWh=27円として算出

上位機種 
うるさらX S403ATRP-W
本体価格:157,000円※1
年間電気代:28,800円※2

普及機種 
S403ATEV-W
本体価格:107,000円※1
年間電気代:41,700円※2

●本体価格の差
上位機種(157,000円)―普及機種(107,000円)=差額50,000円

●ランニングコスト(年間電気代)の差
普及機種(41,700円)―上位機種(28,800円)=差額12,900円

●4年目のトータルコスト
上位機種=157,000円+(28,800円×4年)=272,200円
普及機種=107,000円+(41,700円×4年)=273,800円

ダイキン14畳のエアコン2機種(普及機種と上位機種)は、本体価が約5万円違いますが、ランニングコストの差で約4年後にはトータルコストが逆転します。

省エネ性能を示す「統一省エネラベル」をチェック

省エネ法では、家電などの省エネ基準を定めています(トップランナー制度)。「統一省エネラベル」は、製品の省エネルギー性能をわかりやすくラベルで表示したもの。エアコンの省エネ性能を示す「統一省エネラベル」は、製品の省エネルギー性能を多段階評価点と星の数で表しています。また、「省エネルギーラベル」と、東京の外気温度を前提に算出した「年間の目安電気料金」、エアコン燃費を示す「APF(通年エネルギー消費効率)」なども表示されています。

なお、2022年10月にラベルの見直しが行われ、これまで製品の省エネ基準達成率に応じて星の数を決めていたものから、省エネ性能そのもの(kWh/年・lm/wなど)を評価基準に変更。評価基準に対する達成率(多段階評価比率)から多段階評価点を算出し、多段階評価点の高い順に5.0〜1.0までの41段階の数字と★の数で表示しています。これにより、機器や区分が異なる場合でも比較がしやすくなりました。エアコンのカタログや製品本体などには、省エネ性能がラベルでわかりやすく表示されているので、製品を選ぶ際の目安として、しっかりと確認しましょう。

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エアコン選びの基本

エアコンは、家の構造や部屋の広さ、使用目的など、条件を考慮して選ぶことが大切です。10畳の部屋に6畳用のエアコンを設置するなど、「使用する部屋の畳数」と「エアコンの適応畳数」が合っていないものを選んでしまうと、省エネエアコンであっても消費電力が上がってしまいます。

部屋の広さで選ぶ

エアコン選びで大切なことは、設置する部屋の大きさに適したものを選ぶことです。適応畳数が合っていなければ、ハイスペックな省エネモデルでも節電効果が下がってしまいます。メーカーの公式サイトやカタログには、畳数の目安が表示されているので、しっかりと確認しましょう。

●畳数の目安の確認方法

メーカーサイトやカタログなどに記載の最小値は木造(南向き・和室)の場合、最大値は鉄筋アパート(南向き・洋室)の場合の適応畳数を示しています。画像の場合、暖房時は木造なら8畳、鉄筋なら10畳、冷房時は木造なら8畳、鉄筋なら12畳の部屋に向いていることを表しています。暖房時の「8〜10畳」は、8〜10畳の部屋に適応するという意味ではないので注意しましょう。

設置場所とコンセントの形状をチェック

せっかくエアコンを購入したのに「自宅に取り付けられなかった……」というトラブルを回避するために、室内機や室外機の大きさと設置場所、コンセント形状の3点を事前に確認しておくことが重要です。

●室内機の場所

室内機を設置するには、天井まで7cm以上、左右は5cm以上、下はおおむね10cm程度のスペースが必要です。このスペースを確保したうえで、それに合ったサイズの製品を選ぶようにしましょう。

●室外機の場所

室外機の設置では、前方25cm以上、後方5cm以上、左右10cm(配管を受ける側は30cm)以上のスペースが必要です。購入前に、このスペースが確保できるかを確認しておきましょう。

●コンセントの形状は、電圧と形状により4種類

エアコン専用のコンセントは100V用(15A、20A)と200V用(15A、20A)など4種類あります。プラグの形状も異なるので、設置する部屋のコンセントの形状を必ず確認しておきましょう。

ライフスタイルに合った機能をチェック

部屋の空気をきれいに保つ「空気清浄機能」や効率よく部屋全体に空気を行き渡らせる「気流制御」、お手入れの手間が省ける「自動お掃除機能」など、最新のエアコンにはさまざまな機能が搭載されています。

リビング、寝室、子ども部屋など、使う場所によっても必要な機能は変わりますが、ここでは特に注目したい3つの機能を紹介します。

●アレルギー対策にも◎「空気清浄機能」

ホコリや花粉、カビ・細菌などの物質をフィルターや電気の力で集じんし、空気を浄化する機能。単体の空気清浄機と同程度の空気清浄力を備えたエアコンもあります。

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●家族の団らんにも最適「AI自動運転」

「AI自動運転」とは、AIが外気温の変化や1人ひとりの体感温度などを先読みして、運転を自動でコントロールする機能のこと。人が暑い・寒いと感じる前に室温を調整したり、各家庭に合った最適な設定を学習したりするため、省エネにつながります。

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●遠隔操作も可能「スマートフォン対応」

専用アプリをダウンロードしたスマートフォンやタブレットをリモコンとして使える機能です。外出先から電源のオン/オフや、室内・外気温の確認もできます。なお、別売部品の購入や、専門業者による工事・設定が必要になることもあります。

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無理なく、楽しく、節電に取り組みましょう!

環境のためにも家計のためにも積極的に行いたい「節電」ですが、手間がかかるわりに効果が低いとやる気が削がれてしまいます。また、手間やストレスが増えて“快適な生活”を失ってしまっては意味がありません。節電のポイントは、効果の高いことから優先して取り組むこと。そして、無理なく習慣化することです。日々の節電がおっくうなら、エアコンを省エネモデルに買い替えるだけでもよいでしょう。あまりストイックになりすぎず、楽しみながら節電に取り組んでみてください。

価格.comマガジン編集部
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価格.comマガジン編集部
パソコン・家電からカップ麺に至るまで、何でも自分で試してみないと気が済まないオタク(こだわり)集団。常にユーザー目線で製品を厳しくチェックします!
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北島圭介(編集部)
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北島圭介(編集部)
出版社で10数年、編集者として経験を積み、2022年にカカクコム入社。家電製品から文房具など、さまざまな商品を検証するモノ雑誌の編集経験を生かし、価格.comマガジンで生活家電を中心に気になる製品をレビューしている。
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