知って役立つ家電の○○な機能

除湿機の「ハイブリッド方式」にこんな違いがあったなんて! パナソニックは“熱”を再利用して節電

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パナソニックのハイブリッド式除湿機

何となく知ってはいるものの、実はよくわかっていない家電の機能はありませんか? この連載では家電ライター歴10年以上の筆者が実際に体験して「これはいい!」と思った、または興味を引かれた機能や構造を超簡単に説明。その機能や構造を搭載している製品も紹介するので、家電選びに役立つはずです。

今回は、ハイブリッド式除湿機の中で、ちょっと特殊な仕組みを採用しているパナソニックの「ハイブリッド式」について紹介します。

「エコ・ハイブリッド式」ではなく「ハイブリッド式」?

パナソニックのハイブリッド式と言えば、2024年発売の除湿機に新しく採用された「エコ・ハイブリッド式」が気になりますよね。ですが、今回紹介するのは既存の「ハイブリッド式」。今さら? と思う人もいるかもしれませんが、エコ・ハイブリッド式について調べていたところ、ハイブリッド式も他メーカーとは異なる仕組みだったんです。(次回、エコ・ハイブリッド式を紹介します!)

日本の除湿機市場にハイブリッド式除湿機が登場したのは2005年のこと。その最初のハイブリッド式除湿機を発売したのが、パナソニック(当時は「ナショナル」ブランド)です※写真は2005年に発売された「F-YHA100」

日本の除湿機市場にハイブリッド式除湿機が登場したのは2005年のこと。その最初のハイブリッド式除湿機を発売したのが、パナソニック(当時は「ナショナル」ブランド)です
※写真は2005年に発売された「F-YHA100」

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2024/06/02 07:00

そもそも除湿機は、どうやって除湿しているの?

空気中に含まれる水分(水蒸気)の量は、空気の温度によって変わります。夏はジメジメして、冬は空気が乾燥するように、空気の温度が高いほど、たくさんの水分を抱え込むことが可能。除湿機は、この空気の温度と水分の関係を利用し、空気中の湿気を水に変える「結露」という現象を使って除湿します。

たとえば、湿度の高い暑い日に、冷たい水を入れたコップを置いておくとコップの周りが水滴でビショビショになりますよね。これは、冷たい水を入れたコップの周りが部屋の空気より冷え、コップ周辺の空気が抱えきれなくなった湿気が水に変化(結露)するため。除湿機は、「湿った空気を冷やして結露させ、水として排出する」ことを繰り返し、部屋の空気中の湿度を下げています

除湿機は結露という現象を使って除湿する

一般的な除湿方式の仕組みを知ろう

さっそく、パナソニックのハイブリッド式を紹介したいところですが、“違う点”をお伝えするには、先に一般的な除湿機の除湿方式を理解しておく必要があります。代表的な3つの除湿方式「コンプレッサー式」「デシカント式」「ハイブリッド式」を順に見てきましょう。これらの除湿方式をすでに理解している人は、パナソニックのハイブリッド式まですっ飛ばしてOKです!

●コンプレッサー式

エアコンの「除湿運転」と同じ仕組み。圧縮すると熱くなり、膨張させると冷たくなる「冷媒」が、本体内部にある「冷却器」を冷たくし、「放熱器」を温めます。そして、室内のジメジメした空気が冷却器を通過することで結露。水滴となってタンクに溜まります。

コンプレッサー式除湿機の「コンプレッサー」とは、冷媒を圧縮する「圧縮機」のこと

コンプレッサー式除湿機の「コンプレッサー」とは、冷媒を圧縮する「圧縮機」のこと

気温の高い時期でも、コンプレッサーで冷却器はキンキンに冷えるため、たっぷり結露させることが可能。冷却器を通った空気は冷たいですが、熱い「放熱器」を通過するので、乾いた空気は温かくなって放出されます。

部屋の空気と冷却器の温度差が大きければ大きいほどたくさん結露するので、コンプレッサー式の除湿力は室内温度によって大きく変動。暑い時期はたくさん除湿でき、寒い日は除湿性能が著しく低下しやすいため、「コンプレッサー式は冬に弱い」と言われます。

●デシカント式

乾燥剤(デシカント素子)のフィルターに、空気中の湿気を吸わせます。ただし、乾燥剤には吸収できる水分量の限界があるため、乾燥剤に吸収した水分をヒーターで熱して水蒸気に変化。水蒸気が「常温の空気」と熱交換することで冷やされて結露し、水となってタンクに溜まります。

乾燥剤は円形で、ぐるぐる回転しながら除湿。この部分は「乾燥ローター」や「除湿ローター」などと呼ばれます

乾燥剤は円形で、ぐるぐる回転しながら除湿。この部分は「乾燥ローター」や「除湿ローター」などと呼ばれます

一年中、除湿性能は変わりませんが、室温が高い時期の除湿量はコンプレッサー式のほうが上。また、ヒーターを使う分、電気代が高く、コンプレッサー式よりも室温が上がるため、夏場、人が過ごす部屋で使うと快適性が損なわれる可能性があります。

●ハイブリッド式

1台の除湿機に、コンプレッサー式とデシカント式の2つの仕組みを搭載しています。空気中の水分を冷却器で結露させ、さらに乾燥剤でも吸収。冷却器での除湿能力が低下する時期には、冷却器で除湿し切れなくても乾燥剤がカバーするので一年中安定した除湿ができます。

熱交換器を搭載したハイブリッド式もあります

熱交換器を搭載したハイブリッド式もあります

乾燥剤で吸収した水分はヒーターで水蒸気にし、冷却器(製品によっては熱交換器)へ送られます。キンキンに冷えた冷却器を使うので、水蒸気を常温の空気で冷やすデシカント式よりハイブリッド式のほうが、この工程でも高い除湿力を発揮。もちろん、室温が高い時期はヒーターを使わないので、電気代を抑えられます。

パナソニックのハイブリッド式は“捨てていた熱”を使うから省エネ

いよいよ、ここからが本題。パナソニックのハイブリッド式がほかとは“違う”ところを紹介します。

上にある一般的なハイブリッド式の図を見てください。本体内に吸い込まれた空気が「冷却器」→「乾燥剤」→「放熱器」の順番で通過します。ところが、パナソニックのハイブリッド式は「放熱器」からスタート。一般的なハイブリッド式と「冷却器」と「放熱器」の順番が逆なんです!

パナソニックのハイブリッド式の仕組み
パナソニックのハイブリッド除湿機で除湿する流れ

「除湿する流れ」を見ると、放熱器が最初にあっても除湿できることはわかりましたが、“あえて最初に配置する理由”がわからない……。ということで、パナソニックに聞いてみたところ、ヒーターの消費電力を減らすのがいちばんの目的とのこと。室温が低いときは乾燥剤に吸収された水分を蒸発させるためにヒーターを使いますが、放熱器で空気が温まる(予熱する)ことでヒーターをフルパワーで使わなくても済むので電気代を抑えられるそう。

放熱器で予熱することでヒーターの出力を抑える

放熱器が最初にあるメリットは、ほかにもあります。

放熱器が最初にあるメリット1

ヒーターの消費電力を抑えることができると前述しましたが、これは、ヒーターを使わない時期にも恩恵があります。ヒーターを使用しない場合、乾燥剤に吸収した水分は自然に蒸発するだけですが、パナソニックのハイブリッド式は、放熱器を通過した高温の空気が蒸発のスピードを促進。ヒーターを使わない時期でも、乾燥剤で吸収できる水分量の上限に達することがないので、しっかり吸収させ、除湿できます。

放熱器が最初にあるメリット2

「そもそも除湿機は、どうやって除湿しているの?」で説明したように、空気の温度が高いほどたくさんの水分(水蒸気)を抱え込むことができます。パナソニックのハイブリッド式はヒーターのオン/オフに関わらず、放熱器を通過した高温の空気が、乾燥剤が吸収した水分を蒸発させるということは、高温の空気が水蒸気を含んでさらに高湿になるということ。その高温・高湿の空気をキンキンに冷えた冷却器で冷やして結露させるので、除湿量はたっぷり。放熱器で先に空気を温めておくことで、乾燥材を使った除湿も、冷却器を使った除湿も高い能力を発揮します。

ちなみに、冷却器を通過した冷たく乾いた空気が放熱器を通らないので、冷たい空気が出るのでは? と思われた方がいるかもしれませんが、答えは「NO!」。放熱器を通過した温かい空気の一部が、冷却器で除湿された冷たい乾いた空気と合流するため、ほかの除湿機と同じように温かい乾いた空気が放出されます。

パナソニックのハイブリッド式除湿機を紹介

今回紹介した仕組みを採用したパナソニックのハイブリッド式除湿機(2024年発売モデル)は、4.5人分くらいの部屋干しの洗濯物を1回で乾かせるパワフルモデル「F-YHX200B」と、洗濯物の真下に置いて乾かせるコンパクトモデル「F-YHX90B」の2機種がラインアップされています。

定格除湿能力(50Hz,60Hz)はパワフルモデル「F-YHX200B」が15L/日,17L/日、コンパクトモデル「F-YHX90B」が6L/日,6.5L/日※除湿・強モード時。室温27度、相対湿度60%を維持したときの1日あたりの除湿量

定格除湿能力(50Hz,60Hz)はパワフルモデル「F-YHX200B」が15L/日,17L/日、コンパクトモデル「F-YHX90B」が6L/日,6.5L/日
※除湿・強モード時。室温27度、相対湿度60%を維持したときの1日あたりの除湿量

洗濯物の乾き具合をセンサーで確かめ、乾いたタイミングで自動停止する「カラッとセンサー」、衣類乾燥の後は部屋の除湿運転に切り替え、洗濯物への湿気戻りを防ぐ「カラッとキープモード」など、快適な除湿や衣類乾燥のための機能やモードを搭載。部屋干し臭の抑制(※1)、洗濯物に残った界面活性剤の成分の抑制(※2)、「衣類ケアモード」時に衣類に付着した花粉の抑制(※3)や臭いの脱臭(※4)などに効果を発揮する「ナノイーX(48兆)」も搭載しています。

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(※1)【試験機関】近江オドエアーサービス(株)【試験方法】40〜50代の男性3名。新品バスタオルを用いて「風呂上がり後に使用→洗濯脱水→ナノイーと衣類乾燥運転」を10回繰り返し。別の新品バスタオルを用いて「風呂上がり後に使用→洗濯脱水→自然乾燥」を10回繰り返し。臭気強度表示法による検証【部屋干し臭抑制の方法】ナノイー放出と、衣類乾燥運転(衣類乾燥・速乾モード)【対象】洗濯後の衣類【試験結果】ナノイーと衣類乾燥0.81、自然乾燥1.5 第09-0731号。
(※2)【試験機関】(一財)化学物質評価研究機構【試験方法】6畳の実験室において、吹出口から40cmの位置で、布に付着させた界面活性剤を定量分析【抑制の方法】除湿・強モード【対象】SDS(ラウリル硫酸ナトリウム)、LAS(アルキルベンゼンスルホン酸塩)【試験結果】3時間で90%以上分解452-20-A-1104(SDS)、452-21-A-0390(LAS)
(※3)吹き出し口から約40cmでの約6時間後の効果です(スギ花粉での検証)。※実際の効果は衣類の素材、形状などによって異なります。 【試験機関】パナソニック(株)プロダクト解析センター【試験方法】布に付着させたアレル物質をELISA法で測定【抑制の方法】「ナノイー」放出(ケア・衣類モード)【対象】花粉(スギ)【試験結果】6時間で99%以上抑制 No.1V332-170508-F03。
(※4)吹き出し口から約40pでの約12分後(タバコ臭)、約60分後(ペット臭、体臭・枕の頭皮臭、焼肉臭)または約2時間後(生乾き臭)の効果です。※実際の効果は衣類の素材、形状などによって異なります。 【試験機関】パナソニックホールディングス(株)プロダクト解析センター【試験方法】6畳の実験室において、吹出口から40cmの位置で、6段階臭気強度表示法による検証【脱臭の方法】<タバコ臭>ナノイー放出(ケア・衣類モード)<生乾き臭>ナノイー放出(衣類乾燥・速乾モード)【対象】付着したタバコ臭、生乾き臭(トリエチルアミン)【試験結果】<タバコ臭>ナノイーX:12分で臭気強度2.2低減No.1V332-170424-N01<生乾き臭>ナノイー:120分で臭気強度1.0低減(ナノイー:No.1V332-171004-K02)、【試験機関】(株)環境管理センター【試験方法】6畳の実験室において、吹出口から40cmの位置で、6段階臭気強度表示法による検証【脱臭の方法】ナノイー放出(ケア・衣類モード)【対象】〈ペット臭〉布に付着したイソ吉草酸臭〈体臭・枕の頭皮臭〉布に付着したノネナール臭〈焼肉臭〉布に付着した焼肉臭【試験結果】〈ペット臭〉60分で臭気強度2低減H04613100200DA〈体臭・枕の頭皮臭〉60分で臭気強度1低減H04613100200DA〈焼肉臭〉60分で臭気強度1.5低減H107346001001DA。

倉本 春
Writer
倉本 春
パソコン雑誌編集者からドッグカフェオーナーという、異色の経歴を経た家電ライター。家電を活用することで、いかに家事の手を抜くかに日々頭を悩ませている。
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中村真由美(編集部)
Editor
中村真由美(編集部)
モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。気づけば15年以上、生活家電の情報を追い、さまざまな製品に触れています。
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