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なぜコロナの暖房器具が断トツで選ばれているのか!? “電気代高騰”だけじゃない人気の理由

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長年家電業界を見てきた価格.com編集長が、価格.comが保有するさまざまなデータと、自身の知識・経験をベースに、家電製品の最新トレンドを解説。今押さえておくべき機能やスペックを紹介しつつ、コスパ、性能、ユーザー評価などの観点から、今買って間違いなしの製品を厳選して紹介する。

第52回は、寒い冬の必需品である暖房器具について、今シーズンの最新トレンドを解説したい。

ここ数年では最も需要が高まりそうな暖房器具市場

【図1】価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーの閲覧者数推移(過去3年)

【図1】価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーの閲覧者数推移(過去3年)

寒い時期に活躍するヒーターやストーブなどの暖房器具は、当然のことながら、冬の到来とともに需要が急増するカテゴリーである。図1は、価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーの過去3年間における閲覧者数推移を示したものだが、毎年秋口の9月くらいから需要が上がり始め、寒さが厳しくなる12月(年によっては1月)にピークを迎える。春を迎える3月くらいには需要も完全にピークアウトすることから、その需要期はまさに冬期だけに限定されている、典型的な季節家電と言っていい。なお、エアコンにも暖房機能は付いているが、エアコンの場合は夏に需要のピークを迎えることから、主に冷房としての需要が強く、暖房器具とはほぼ逆の動きをしている。

【図2】価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーの閲覧者数推移(過去半年)

【図2】価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーの閲覧者数推移(過去半年)

今シーズンの暖房器具の初動を見てみよう。図2は、ここ半年の「ヒーター・ストーブ」カテゴリーの閲覧者数推移を示したものだが、やはり9月末くらいから徐々に需要が上がり始め、11月初旬にいったん下がる場面もあるものの、全体としては寒くなるにつれ右肩上がりで需要が高まっている。今年は11月上旬まではなかなか気温が下がらず、暖房器具もあまり必要ないという感じだったが、11月下旬から一転して急激に寒くなり、12月に入ると、全国的に例年よりも気温が低い日々が続いている。そうした状況を反映してか、今年の同カテゴリーの11月の閲覧者数は、昨年よりは若干低いものの、例年よりは若干高め。12月に入ってからもその数は増加の一方であることから、おそらくここ数年ではいちばん需要が高まるのではないかと見られる。

電気代高騰で、電気系よりも燃焼系の暖房器具が人気の中心

【図3】価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーの売れ筋製品におけるタイプ別割合(2024年11月時点)

【図3】価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーの売れ筋製品におけるタイプ別割合(2024年11月時点)

暖房器具とひとくちに言っても幅広い製品タイプがあるが、価格.com上ではどんなタイプの製品が売れているのだろうか。図3は、価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーの売れ筋製品におけるタイプ別割合を示したグラフだが、こちらを見ると、石油ファンヒーターがいちばん人気で25.65%を占めている。2位は、電気系のセラミックファンヒーター、3位が石油ストーブ、4位がガスファンヒーターとなっており、電気系のストーブ・ヒーターではない燃焼系の暖房器具が売れ筋の中心となっていることがわかる。

実は、数年前までは電気系の暖房器具のほうが人気が高く、燃焼系が人気を勝ち得てきたのは、ここ数年の話。昨今の電気料金の高騰によりランニングコストが高くなった電気系の暖房器具よりも、同じくらいのランニングコストでも温まり方が断然強い燃焼系の暖房器具のほうに人気がシフトしてきているのだ。もちろん、そこまで厳しい寒さでなければエアコン暖房でしのぎ、プラスアルファの電気系暖房は不要という人も増えていそうだが、いずれにしても、電気系の暖房器具が一時期よりも不人気になっていることは間違いない。

メーカー別では、幅広い製品ラインアップと高コスパのコロナが頭ひとつ抜けた存在

【図4】価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーにおける主要メーカー別閲覧者数推移(過去半年)

【図4】価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーにおける主要メーカー別閲覧者数推移(過去半年)

図4は、価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーにおける主要メーカー別の閲覧者数推移(過去半年)を示したものだが、メーカー別で見ると、コロナが断トツの首位で、2位以下は混戦模様という感じになっているのがわかる。コロナがここまで高い人気を誇っているのは、上記のように、同社が広く展開する石油ファンヒーターが人気になってきていることに加え、「コアヒート」シリーズのような電気ストーブや、昔ながらの対流型石油ストーブなど、さまざまな製品ジャンルを展開している点があげられる。もちろん、人気の中心は石油ファンヒーターだが、競合他社の製品に比べてランニングコストが低いことと、取り扱いがしやすいことなどで、市場シェアを徐々に伸ばしており、この点が大きく人気の高さにも寄与しているものと考えられる。

【図5】価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーにおける人気製品別の閲覧者数推移(過去半年)

【図5】価格.com「ヒーター・ストーブ」カテゴリーにおける人気製品別の閲覧者数推移(過去半年)

なお、2位グループの中でも人気が高めのダイソンは、「羽根のない扇風機」こと「エアマルチプライアー」シリーズの中で温風ヒーター機能を持った製品が根強く人気。同シリーズは、夏は扇風機としても使えるので、年間を通じて需要が落ちにくいのも特徴的で(図5参照)、寝室や子ども部屋などに置いておき1年を通じて使う人も少なくない。

このダイソンと2位を争っているダイニチは、やはり石油ファンヒーターがメインの商材。コロナとはライバル関係にあるが、同社の製品は燃焼パワーが高く、起動も速いことから、寒冷地を中心に人気がある。ただ、電気代のランニングコストがコロナよりもかかるため、昨今の電気代高騰によってやや分が悪くなっているが、個別の製品で見ると、かなりいい勝負をしている(図5参照)。

さらにその次点となる日本エー・アイ・シーは、「アラジン」ブランドの暖房器具を販売しているメーカー。昔ながらの対流型ストーブ「アラジンストーブ」も一部で人気だが、それよりも現在の同社のメイン商材は、独自のグラファイトヒーターを採用した電気ストーブだ。わずか0.2秒で立ち上がり、遠赤効果も加えながら効率的に温める同社のグラファイトヒーターは、そのレトロなデザインや、価格の安さなどもあって、電気系ストーブの中では圧倒的な人気を維持している(図5参照)。

このように、2024年末〜2025年初頭にかけての今シーズンは、石油ファンヒーターを中心とした燃焼系の暖房器具が人気の中心となっており、なかでもコロナがやや飛び抜けた存在となっている。ただ、そのほかのジャンルでも、手軽に利用できるダイソンや日本エー・アイ・シーなどの電気ストーブ・ヒーターが根強い人気を維持しており、高騰する電気代を気にしつつも、適材適所で最も効率のよい暖房器具を使い分けるというスタイルが一般的になってきているようだ。

※当記事のデータは、「価格.com DataCompass」を使って作成しています。
価格.com DataCompass」とは、価格.comのビッグデータを基に購入検討ユーザーの動向を分析できる法人向けのマーケティングサービスです

コレ買っときゃ間違いない! 価格.com編集長が今注目する暖房器具5選

※最安価格とユーザー満足度・評価は、いずれも2024年12月16日 時点のものです

日本エー・アイ・シー「Aladdin AEH-G408N(G)」

AEH-G408N

価格.com最安価格:7,228円
発売日:2023年9月
ユーザー満足度・評価:★4.90(15人)
タイプ:電気ストーブ

わずか0.2秒で立ち上がるグラファイトヒーターを採用した「アラジン」ブランドの電気ストーブ。スリムな一灯管タイプで設置しやすく、遠赤効果と反射熱で効果的に温める。200Wと400Wの2段階で出力を調整可能。どちらかと言えば小さめの部屋の暖房に適した製品で、音も静かなので寝室にも置きやすい。レトロチックなデザインも人気の理由だ。

コロナ「FH-G3224Y(W)」

FH-G3224Y

価格.com最安価格:14,647円
発売日:2024年8月下旬
ユーザー満足度・評価:★4.50(2人)
タイプ:石油ファンヒーター

価格.comでいちばん人気のコロナの石油ファンヒーター最新モデル(主に9畳用)。独自のポンプ噴霧式バーナーで自己燃焼熱を利用して灯油を気化するという方式のため、電気代を抑えられ、弱燃焼時では11Wとランニングコストが低いのが特徴。操作系もシンプルで液晶表示もわかりやすく、オンタイマー/オフタイマーともに搭載する。手を汚さずに給油が可能な「よごれま栓」も使いやすい。

ダイニチ「FW-3224NC(W)」

FW-3224NC

価格.com最安価格:13,780円
発売日:2024年8月27日
ユーザー満足度・評価:★4.00(1人)
タイプ:石油ファンヒーター

灯油を電気ヒーターで温めることで気化をうながす、ブンゼン式バーナーを採用するダイニチ「ブルーヒーター」の最新モデル(主に9畳用)。構造上どうしても電力消費量が大きめになるが、その立ち上がりの速さと、安定した大火力燃焼には定評があり、寒冷地での使用を中心に愛好者も多い。室温変化に合わせて燃焼をセーブする「ecoおまかせモード」も搭載。手を汚さずに給油が可能な「ワンタッチ汚れんキャップ」も便利だ。

リンナイ「SRC-365E」

SRC-365E

価格.com最安価格:20,275円
発売日:2019年6月28日
ユーザー満足度・評価:★4.69(47人)
タイプ:ガスファンヒーター

2019年の発売ながら安定した人気を維持し続けるロングセラーのガスファンヒーター(都市ガス用。適用畳数11畳)。使用にはガスコンセントからホースでガスを供給する必要はあるが、それさえクリアできれば、灯油のように給油の必要もなく、ボディもコンパクトでかつ燃焼系ならではの高火力が得られるとあって、愛好者は多い。室温に合わせて燃焼をセーブする「気くばりエコ機能」や、60/45/30/15分から選択できるおやすみタイマーを搭載するなど機能性も十分だ。

トヨトミ「KS-67H」

KS-67H

価格.com最安価格:21,400円
発売日:2015年8月12日
ユーザー満足度・評価:★4.50(23人)
タイプ:対流式石油ストーブ

昔ながらの対流型石油ストーブ。2015年の発売ながら、電気代の高騰や、万が一の災害対策グッズとしても、最近その価値が見直されている。構造はシンプルだが、燃焼の火力も強いため、木造17畳/コンクリート24畳まで対応する。着火は電子点火で、そのための単2乾電池2本を使用する。天板にやかんを載せて、加湿器代わりに使えるのも便利だ。

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2025/02/14 19:00
鎌田 剛(編集部)
Writer
鎌田 剛(編集部)
1996年にソフトバンクにて複数のパソコン情報誌の編集・立ち上げに携わった後、2002年にカカクコム入社。2006年「価格.comマガジン」を創刊。以降、編集長としてメディア運営に携わる。日経MJにてコラム連載、ラジオ出演なども幅広く行う。家電製品アドバイザー資格保持者。
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北島圭介(編集部)
Editor
北島圭介(編集部)
出版社で10数年、編集者として経験を積み、2022年にカカクコム入社。家電製品から文房具など、さまざまな商品を検証するモノ雑誌の編集経験を生かし、価格.comマガジンで生活家電を中心に気になる製品をレビューしている。
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