EcoFlow Japanの「River 3 Max Plus」は、286Whのポータブル電源本体(上部)と、572Whの拡張バッテリーをケーブルレスで拡張できる、ユニークなポータブル電源。着脱して使えるので、持ち運びに便利で使い勝手がよい
コロナ禍以降のアウトドアブームを追い風に、一気に普及が進んだポータブル電源だが、最近は、災害対策の観点から購入する人が増えている。しかし、いかに災害対策と言っても、高価で重量のある大容量モデルを購入するのにはためらいがある 、という声があるのも確か。そこで今回は、手軽に持ち運べるポータブル電源として、拡張バッテリーを着脱できるEcoFlow Technology Japan「RIVER 3 Max Plus」に注目。実際に使用した感想をレポートしよう。
ポータブル電源を選ぶときに重要なのが、どんな使い方をするのかをイメージしておくことだろう。災害時に家族が過ごすための家庭用バックアップ電源として導入するなら、停電が復旧するまで最低限の生活家電が使えるバッテリー容量1000Wh以上のモデルを選びたい。
しかし、普段はスマートフォンやパソコンなどの電力源としてポータブル電源を使い、停電時にはカセットコンロを併用する使い方をするなら、本体がコンパクトで持ち運びに便利な 1000Wh以下のモデルを選んだほうが、手軽に使えるため使用頻度も多くなる。今回注目した「RIVER 3 Max Plus」は、そんなニーズに応える製品だ。まずは製品の構成や仕様をチェックしていこう。
「RIVER 3 Max Plus」のポータブル電源本体にあたる「RIVER 3 Plus」は、バッテリー容量が286Whで、高耐久なリン酸鉄リチウムイオン電池を採用。本体サイズは234(幅)×232(奥行)×146(高さ)mmで、デスクや棚の上などにも設置しやすいコンパクトサイズだ。しかも、重量が約4.7kgと軽量で、本体上部のハンドルを持てば、片手で軽々と運べる。
「RIVER 3 Max Plus」のポータブル電源本体は、バッテリー容量286Whの「RIVER 3 Plus」として販売されている
「RIVER 3 Max Plus」には、電源ケーブルのほか、ポータブル電源から給電用のUSBケーブルやDCケーブルが付属する
「RIVER 3 Plus」の出力端子は、AC出力ポートが前面に1つと背面に2つで、合計600W出力に対応。独自技術の「X-Boost」により、瞬間的に900Wの出力にも対応する。USBポートは、USB Type-Aポートが2つ(各ポート最大12W、合計24W)、USB Type-Cポートが1つ(最大100W)、DC出力ポートが1つ(最大126W)だ。
ポータブル電源本体「RIVER 3 Plus」の前面部分。DCポート、液晶ディスプレイ、USBポート、AC出力ポートを備える
「RIVER 3 Plus」の背面にはAC出力ポート2つを装備。その上部には、左からAC入力ポート、ソーラー/シガーソケット入力ポート、USB Type-B UPS通信ポートを装備。また、写真では見えないが、本体の底部にエクストラバッテリーとワンタッチで着脱できる接続端子を備えている
操作方法は極めて簡単。本体前面の下側にある電源ボタンを押すと、液晶ディスプレイとUSBポート下のLEDが点灯し、USB出力ポートが使用できるようになる。なお、AC出力ポートやDC出力ポートを使用するときは、それぞれのポートの下にあるボタンを押して出力をオンにする必要がある。AC出力ポートなどは電力が大きいため、安全上の配慮だろう。
そのほか、本体前面の下側に大型のLEDライトを搭載。本体前面左下のボタンを押すと、ライトの明るさ調整(弱/強)と、SOSの点滅が可能だ。
572Whのバッテリーを内蔵する専用エクストラバッテリー「EB580」がセットになっている
「RIVER 3 Max Plus」に付属する専用エクストラバッテリー「EB580」は、本体部分の「RIVER 3 Plus」とケーブルレスで着脱できるのが大きな特徴。本体部分の「RIVER 3 Plus」を「EB580」の上に重ねて載せて、接続端子とつなげるだけでバッテリー容量を拡張できる。
「EB580」は、天面に「RIVER 3 Plus」と接続するための端子を備えており、「RIVER 3 Plus」を上に載せてこの端子に接続するだけで、ケーブルレスでバッテリー容量を拡張できる
また、「EB580」には572Whのバッテリーが内蔵されているが、USB Type-Cポート(140W出力)を1つ備えており、「RIVER 3 Plus」と接続しなくても、「EB580」からスマートフォンなどの外部機器へ給電できる。
「EB580」の出力端子はUSB Type-Cポート1つだが、専用エクストラバッテリー単体で給電できるのは便利だ
「RIVER 3 Max Plus」はコンパクトなので、デスクのそばなどに置いてスマートフォンやノートPCを充電するのにも便利だ。しかも、「RIVER 3 Plus」を取り外して持ち運べるので、移動先にACコンセントがない場合でも、持ち運び用の電源として手軽に使用できる。
就寝前にスマートフォンを使い、そのまま充電したくなることもあるかもしれないが、こうした場合は、「RIVER 3 Plus」をベッドサイドに設置して使うとよいだろう。持ち運びがしやすいので、屋内を移動して家電や電子機器を使う場合にも大きなメリットになる。
「RIVER 3 Plus」は定格出力が600Wのため、大型家電や電気ケトルなどに給電するのには不向きだが、キャンプや車中泊向けの小型扇風機や照明器具なら十分に動作する。電気毛布を長時間使いたい場合は、「EB580」を接続して拡張すればよく、使い方の自由度が高い。
試しに、マグカップでお湯を沸かしたり調理したりできる定格消費電力275Wのエレコム「マグカップ型電気なべ COOKMUG」に給電したが、湯沸かしやスープの調理も問題なくできた。
AC出力ポートから定格消費電力275Wの「マグカップ型電気なべ COOKMUG」に給電して湯沸かしや調理をしてみた。デスクの上のちょっとしたスペースを使って湯沸かしができ、アツアツのまま飲めるのは便利だった
ポータブル電源本体「RIVER 3 Plus」と専用エクストラバッテリー「EB580」は、接続端子でしっかりと固定されるのでグラグラすることもない。「RIVER 3 Plus」だけなら約4.7kgと軽いので片手で持ち運べる
「RIVER 3 Max Plus」でもうひとつ注目したいのが、UPS(無停電電源装置)機能だ。デスクトップPCやNAS、ストレージ機器などを「RIVER 3 Max Plus」に常時接続しておけば、停電(ブレーカーダウン)が発生した場合でも、わずか10ms(0.01秒)で電源の供給をバッテリーに切り替えられるので、パソコンなどに保存したデータを失わずに済むのだ。
UPS機能を利用すれば、停電発生時も、Wi-FiルーターやONU(光回線終端装置)の電源を1日程度はオンのままで維持できるので、その間にインターネットから情報を取得したり、知人や親族などに連絡したりできるだろう 。
「RIVER 3 Max Plus」はバッテリー容量286Whのポータブル電源本体「RIVER 3 Plus」と、容量572Whの専用エクストラバッテリー「EB580」がセットになっている。
このモデルでユニークなのは、ポータブル電源本体と専用エクストラバッテリーをケーブルレスで着脱できるので、約4.7kgの軽量なポータブル電源本体のみを持ち運んで使えるだけでなく、エクストラバッテリーに接続し、858Whのポータブル電源としても使えること。使い方の自由度が高いのが魅力であり、ユニークな発想が面白い。
ちなみに、同シリーズには、バッテリー容量286Whの専用エクストラバッテリーを着脱して572Whの中型ポータブル電源としても使用できる「RIVER 3 Max」もラインアップされている。専用エクストラバッテリーを手軽に着脱して使えるポータブル電源に魅力を感じるが、バッテリー容量はそこまで気にしないという人は、バッテリー容量以外は共通の「RIVER 3 Max」を選ぶのもよいだろう。