「ダイソン」と聞けば、ほとんどの人がサイクロン式掃除機を連想し、残りの人がファンレス扇風機を思い出す、みたいなイメージではないでしょうか。
そんなダイソンから2026年3月に発売されたのが、ダイソンのロボット掃除機としては4代目の「ダイソン Spot+Scrub Ai」です。
ぶっちゃけ、ダイソン=ロボット掃除機と考える人はおそらくほとんどいないはずで、むしろ「え、ダイソンってロボット掃除機なんて出してた?」と驚かれるかも。
先代の「ダイソン 360 Vis Nav」からは3年ぶりとなるこの新ロボット掃除機は、ダイソン初となる水拭き+吸引のW清掃機能を備えたモデルです。そう聞くと、ちょっと今さらと言うか、“周回遅れ”を感じてしまうかもしれませんが……、実のところ周回遅れどころか、いかにもダイソンの掃除機らしい、ゴミや汚れを極限まで逃さない工夫が数多く組み込まれた製品に仕上がっていました。
ダイソンの新しいロボット掃除機「ダイソン Spot+Scrub Ai」
ダイソンの従来のロボット掃除機は、同社のイメージどおり、「ルートサイクロン」テクノロジーが組み込まれており、吸引清掃の力強さが前面に押し出されていました。
対して、今回登場した「ダイソン Spot+Scrub Ai」は、強力なAIがパワフルな吸引と水拭き清掃を制御しており、全体的に高度なところでバランスの取れたロボット掃除機、という印象です。
本体の見た目は、従来機の“ダイソンぽさ”が抜け、割と一般的なロボット掃除機寄りの印象。水拭き用の水タンクがクリア仕様なのがユニークです
まず、本体は見たとおり、「ルートサイクロン」は非搭載。その理由は、サイクロン部を組み込んでしまうと、どうしても本体高がアップしてしまい、最近のロボット掃除機らしい薄型ボディとはかけ離れてしまうからだと思われます。
本機の高さ11cmは極薄とは言えませんが、それでも一般的なソファやベッドの下に入り込んで清掃するには問題のないサイズ感。清掃カバー率を高めるために、あえて「サイクロン」にこだわらなかったのは、個人的には正しい判断だと感じました。
物体検知のセンサー「LiDAR」などはかさばりがちですが、本体内に内蔵して薄型化。このあたりもロボット掃除機の最新トレンドをきちんと踏まえてきたなという印象です
吸引力は最大18,000Paと間違いのないレベルなんですが、それ以上にスゴいと感じたのが、グリーンLED+AIカメラの組み合わせによる徹底的な清掃です。
まず、本体前面からグリーンLEDを照射することで、床面に散らばったゴミや目に見えないほど微細なホコリをくっきりと浮き上がらせてAIカメラで検知。さらに、ゴミの種類を認識し、それぞれに応じた掃除方法を採用します。
たとえば、ペット用トイレから飛び出したトイレ砂のような粒の大きいゴミの場合、サイドブラシの回転力を落とし、弾き飛ばさないようにやさしくメインブラシまで運ぶ、という感じ。
左右反転の動きで、メインブラシ(吸引口)へゴミを確実に運ぶWサイドブラシ
ほかにも、汚れがひどい場所の場合、一度通過した後、振り返って状況を再確認。最終的に汚れが取り除かれたと判断するまで、繰り返し(最大15回)掃除を続けます。
文章で読むと「へー」という感じですが、実際の清掃の様子を見てみると、そのていねいさと徹底振りに驚かされました。よい意味で、非常に“ねちっこい”。
回避能力も優等生。床に落ちている小物の近くでは、サイドブラシの回転を落とす器用さも見られました
また、AIカメラと「LiDAR」による障害物回避も上手。障害物のスレスレのところをすり抜ける感じで、なかなかに優秀だなと感じました。
ダイソンのロボット掃除機では初搭載となる水拭き清掃ですが、こちらは最新ハイエンド機のトレンドとも言える、常時洗浄式のウェットローラーモップを搭載。
円筒形のモップを回転させて床を拭き上げつつ、同時に本体内で清潔な浄水によってモップを洗浄することで、常に清潔なモップ面での水拭きを行う仕組みです。
もちろん、この水拭き掃除だって吸引掃除同様、汚れが落ちきるまでねちっこく繰り返します。
モップが最長4cmまで本体から伸び、壁際やコーナーをギリギリまで攻めます
液体汚れのタイプもAIが判断。きちんと拭ききるまでは、ねちっこく水拭きを繰り返します
この水拭き掃除でひとつユニークなのが、モップ洗浄用水に約60度の温水を使っている点。温水であれば当然、汚れは落ちやすく、床面の拭き上げ能力がアップします。
それでも拭き切れないような強い汚れがあった場合は、自律的な判断で一度ドックへ戻ってモップを本格的に洗浄し、再トライ。本体内の洗浄だけでは間に合わず、汚れを塗り広げてしまうような二次汚染トラブルが発生しにくいのも、本機導入の際の安心材料と言えるでしょう。
メンテナンスを担う全自動ドックは、ダイソンらしく、ゴミと空気を強力な遠心力で分離する「ルートサイクロン」を搭載したゴミ回収システムを採用しています。紙パック不要で最大100日分のゴミを溜められるとのことですが、これは他社製品と比べても割と長めのスパン。メンテナンスの手間を少しでも減らしたいという需要にマッチしています。
見ただけで「あ、ダイソンだ」と認識できる、おなじみの「ルートサイクロン」搭載のダストビン。ここにロボット掃除機が集めてきたゴミが集まります
ダストビンにゴミがいっぱいまで溜まったら、上部のハンドルをつかんでドックから分離。ゴミ箱の上でレバーを引くと底がパカッと開いてゴミが落ちるという、ダイソンの掃除機としてはおなじみの仕組みを採用しています。
ゴミ捨ては、ダストビンを全自動ドックから外し、ゴミ箱の上でレバーを引くだけ。ダストビン自体の汚れが気になる場合は分解洗浄も可能です
ただ、個体差なのかはわかりませんが、このレバーが割と硬くて操作しづらかったのは、少し気になるところでした。
全自動ドックでは、掃除後の水拭きモップの自動洗浄(60度温水)・乾燥(45度温風)も行います。ちなみに、ロボット掃除機本体側の洗浄用水もこの60度の温水を給水しているとのこと。
全自動ドック側のモップ洗浄ベースは、汚水やゴミが付着するため汚れやすいパーツですが、割と簡単に外して丸洗いできるのはありがたいポイントです。
簡単に取り外せて丸洗いOKの洗浄ベースは、今や標準装備といった感じ。ホコリも積もりやすいので、こまめに洗うのがおすすめです
実際に稼働しているところを見ての印象としては、やはりAIによる徹底した掃除が強いな、という感じ。
汚れを認識して繰り返し清掃する機能そのものは、もちろんすでに他社製品でも多くが導入している機能ですが、とにかくきれいになるまでしつこく清掃を繰り返す徹底振りは類を見ないレベル。この点は、さすが“掃除機のダイソン”ならではの信念のようなものを感じさせられました。
専用アプリからは、床に落ちている小物や、繰り返し掃除した“強汚れ”ポイントも表示してくれます。特に繰り返し清掃の履歴は「頑張ってくれたな!」という感じで、見えるとうれしいし、安心できるポイント
また、「ダイソン Spot+Scrub Ai」は全体を通して、「ここがとても新しい!」というポイントは少ないんですが、その分、後発の強みを生かして“今のロボット掃除機に求められているもの”がきちんと研究されたうえで搭載されている印象。本機を導入して不満を感じることはあまりなさそうです。
お値段はそれなりにお高めですが、ダイソンというブランドを信じて買うならアリかもしれません。