近年の多雨や、花粉の付着、日中不在などを理由に、衣類を部屋干しする家庭が増えています。そこで今回注目したのは、シャープの衣類乾燥除湿機「CV-UH160」です。衣類乾燥性能の高さはもちろん、多彩な運転モードを搭載し、静音性が高く、移動や水捨てもしやすい。使ってみるとわかる何ともデキのよいモデルでした。
シャープ「CV-UH160」。乾燥性能が高く、使いやすさにこだわりを感じました
梅雨時に注目されがちな衣類乾燥除湿機ですが、活躍するのは梅雨時だけではありません。ゲリラ雷雨の多い真夏や長雨の秋にも重宝しますし、花粉や黄砂などの付着を避けたり、日中は共働きで家を空けていたりすることもあるでしょう。最近はさまざまな要因で洗濯物を部屋干しする家庭が増えています。
そんな家庭にぴったりだと感じたのが、シャープの「CV-UH160」です。
レビューを進める前に、除湿方式を確認しておくと、本機は「オールシーズン・ハイブリッド方式」を採用しています。夏場に強く、省エネないっぽう、室温が下がる冬場に能力が落ちやすいコンプレッサー式と、冬場でも能力を維持しやすい半面、消費電力が大きく、夏場に室温が上がりやすいデシカント式。この特性の異なる2つの方式を、シャープの特許技術となる独自レイアウトで組み合わせることでオールシーズン対応を実現しています。最大除湿能力は14/16L(50/60Hz)/日です。
論より証拠ということで、さっそく衣類乾燥を試してみました。カタログスペックを見ると、本機の衣類乾燥時間(2kg)は「速乾」運転で乾かした場合、梅雨時は約54分、低温の冬季は約70分とのこと。“速乾”をうたう衣類乾燥除湿機は数多くありますが、1時間を切るモデルはそうそうありません。「ホントに?」といぶかってしまいますが、実際のところはどうでしょうか。
約2kgの衣類(Tシャツ3枚、Yシャツ2枚、パジャマ1組、下着7枚、靴下2足、タオル3枚)を準備して乾燥させました
洗濯後に脱水した約2kgの衣類を、前後2段タイプのハンガーラックに吊るし、乾燥するまでの時間を計測してみます。「乾いたこと」は手で湿り具合を確認し、乾いたと感じたら衣類の重さを量ってチェックします。
部屋の環境:広さ約8畳、室温約23度、湿度約56%
衣類の種類:Tシャツ3枚、Yシャツ2枚、パジャマ1組、下着7枚、靴下2足、タオル3枚
運転モード:速乾
2〜3分おきに衣類の乾き具合を確認しましたが、ハンガーラックの前列に干した下着は約42分、靴下は約49分で完全に乾いていることが確認できました。前列とはいえ、予想以上に早く乾き、率直に驚きます。
乾燥風がよく当たる前列の下着や靴下は50分もかからずに乾燥終了。場所がいいとはいえ、予想以上の速さでした
真ん中に干したタオル3枚、後列に干したTシャツ3枚、Yシャツ2枚、パジャマ1組はどうでしょう。乾いた風がしっかりと届いていることは確認できますが、前列に比べて本体から距離がある分、乾くまでにもう少し時間が必要なようです。タオルは約55分、Tシャツとパジャマは約58分でした。最後に乾いたのはYシャツで約63分という結果でした。
乾燥検証の結果は、表のとおり。完全に乾くまでの時間に差はありましたが、袖や首元が湿っているといった乾きムラなく、衣類全体をしっかりと乾かせました
約54分というカタログスペックを上回る速さで乾いた衣類もあれば、そうでない衣類もあります。干す場所や、本体と衣類の距離、衣類の素材などによって乾燥時間は変わりますが、1時間ほどで洗濯物を乾かせるのは、衣類乾燥除湿機としては十分に高速でしょう。風を1か所に集中させて送る「スポット送風」を使えば、乾燥時間をもっと短縮できるはずなので、急いで衣類を乾かしたいときにも心強そうです。
心配していた衣類の乾きムラがなかったのは、風の吹き出し口に備わる「トリプルルーバー」によるところが大きいと思われます。上下左右に吹き分けられるのはもちろん、最大送風範囲が左右185cmと広いので、長めの物干し竿や幅の広いハンガーラックに干しても、衣類にしっかりと風を届けられます。一度に多くの衣類を乾かしたい家庭も安心だと思います。
安定した風を届け、乾きムラを抑える3枚の羽根の「トリプルルーバー」。送風方法として「真上干し」「ワイド2段干し」「スポット干し」の3モードを選択できるのも便利です
レビューしていて少し気になる点もありました。上下左右の送風モードや、1年中使えるよう、さまざまな機能が搭載されているため、操作ボタンやインジケーターが多く、操作のたびに、「この設定で合っているよな?」と確認しなければならないのです。重箱の隅をつつくような話ではありますが、操作体系がもう少しシンプルだとなおよかった、というのが筆者の正直な感想です。
多機能であるがゆえに、操作ボタンやインジケーターの数が多いのが気になりました。慣れてしまえば問題ないとは思いますし、設定を細かく調整できるのはメリットでもあるので、ここは使う人によって一長一短ある部分と言えそうです
衣類乾燥除湿機で部屋干しするのは、日中とは限りません。夜、寝る前に洗濯物を干し、衣類乾燥除湿機をセットして床に就く場合もありますよね。となると気になるのが運転音の大きさですが、「CV-UH160」は、衣類乾燥時約43dB、除湿時約41dBと静かです。「夜干し」運転モードを使えば、運転音を約38dBまで抑えることができます。
実際に使用してみると、「予想よりも静か」でした。ともすれば、「今、運転中?」と心配になるほどで、筆者が本機の作り込みのていねいさを感じたポイントです。検証中、運転音が気になる場面は一度もありませんでした。
ホルン機構や、ロングノズル、防音パネルなどの低騒音設計を取り入れ、ハイパワーと静かさを両立させているのだそう。筆者の家庭では夜、寝る前に洗濯をすることが多いのですが、夜間でも気兼ねなく衣類乾燥を行えました
安全性の面でも注目したい点があります。本機は、一般的なハイブリッド式の衣類乾燥除湿機に使用されることの多いニクロムヒーターではなく、PTCヒーターを採用しているため、過熱しにくく温度を安定的に保てます。外出時にも安心して稼働させられるのもいいところでしょう。
衣類乾燥除湿機は、空気から取り除いた湿気を冷却して水滴に変える構造上、本体内部のタンクに水が溜まります。ものぐさな筆者はこの水を捨てる作業が億劫に感じてしまうのですが、「CV-UH160」はその点もしっかり考えられていました。
タンクには持ち手になるハンドルが付くため、床に膝を「よいしょ」とついて取り出す必要はなく、立ったまま、ワンアクションで本体から取り出せます。タンクを傾けるだけで、水圧によってフタがパカッと開くのもよくできています。
本体から引き出してそのまま持ち手になるハンドル付きタンク。しゃがむことなく取り外せて、洗面台への移動もラクラクです
使いやすさに関して言えば、キャスターによって四方に動かせて、使いたい場所や収納したい場所に簡単に移動できることにも感心しました。ハンガーラックの前に寄せたり、部屋から部屋へと移動したり、衣類乾燥除湿機は意外と移動が多いのですが、そのたびに、約16.2kgの本体を持ち上げるのはなかなか大変です。その点「CV-UH160」は、キャスターによって四方にスーッと移動させられます。本体の向きを微調整するのも苦になりません。
移動時にコードがキャスターに引っかかり立ち往生する場面はよくある話ですが、「コードフック」が備わるので、そんなシーンとは無縁です。小さなストレスとはいえ、塵も積もれば山となるわけで、ユーザー目線の気の利いた設計に感じました
「CV-UH160」は、衣類乾燥除湿機の基本のキである乾燥性能には申し分がありません。筆者が高く評価したのはそれだけでなく、全方位でしっかりと作り込みがなされているからです。送風範囲が広いこと、風向の微調整ができること、ワンアクションで水タンクが取り出せること、キャスターで自在に動かせること、そしてコードフック。細やかな作り込みによって、きわめて弱点が少ないモデルに仕上がっています。
このように、「CV-UH160」はかなりデキがよいと感じたのですが、筆者が「100点満点」と言い切らないのは、操作体系の簡略化を含め、シャープなら、さらにブラッシュアップしてくれると信じているからです。オールシーズン使える、デキのよい衣類乾燥除湿機として、ぜひチェックしてみてください。