机の下にうっすらたまったホコリ。その存在に気づいていながらも、今は掃除機をかけている時間がないと、見て見ぬふりをしてしまうことはありませんか?
そうなってしまうのは、掃除機をかけるという行為が面倒だから。わが家の場合、掃除機は収納棚から取り出し、重い掃除機を部屋まで運び、電源コードを差し込み・……、と、掃除機をかけるまでに非常に時間がかかります。だから、ちょっとしたホコリくらいで掃除をしようという気持ちになれないのです。
そんな筆者のようなズボラな方にぴったりなのが(笑)、コードレス掃除機です。以前、東芝「トルネオ ヴイ コードレス VC-CL100」という掃除機をレビューしたことがあります。そのときも、その使い勝手のよさに驚きましたが、今回はそのさらに進化バージョンである「トルネオ ヴイ コードレス VC-CL1200」(以下、VC-CL1200)が登場したというではありませんか! 早速、最新のコードレス掃除機を使ってみました!
箱を開けると、出てきたのは掃除機に必要ないくつかのパーツ。基本として使用する本体、延長管、床ブラシ、充電台はどれも驚くほど軽く、こんなので本当に掃除ができるのかなぁ〜と疑ってしまいます。本体と延長管、床ブラシをセットした合計重量量は、わずか1.9kg! これは「トルネオ ヴイ コードレス VC-CL100」(以下、VC-CL100)の合計重量2.3kgをさらに0.4kgも軽量化したことになります。軽さのヒミツは、素材の徹底的な軽量化。「VC-CL1200」では、本体、延長管、ヘッドに軽くて丈夫なグラスファイバーという素材を使っています。また、バッテリーとモーターの配置をハンドルの前後に分散し、重心の偏りを抑えて持ちやすくしているとか。「VC-CL100」は床掃除以外に、階段や高い所、車の中などハンディでも掃除ができるタイプなので、この“軽さ”はとても重要。まだ掃除をする前から、期待が高まります。
パッケージの主な中身は、本体、延長管、床ブラシ、充電台。本体カラーは、グランレッドとグランホワイトの2種類
応用付属品にホース、洋服布用ブラシ、ふとん用ブラシ、すき間ノズル、丸ブラシが。これらを1つにまとめて収納できるバッグもあります
では、早速掃除をしてみましょう。
……と、その前に忘れてはならないのが充電です。充電は、付属の充電台に本体をセットするだけ。「VC-CL100」の充電台は、全面黒のプラスチック素材でどこかチープな感じがありましたが、「VC-CL1200」では充電台も本体と同じ素材とカラーで統一感があり、床置きの“見せる収納”を意識しているな、と思いました。
充電時間は約5時間で、使用するモードによって運転時間も変わり、自動モードで約6〜20分、強モードで約6分、セーブモードで約20〜25分。日頃の掃除時間を考えると、十分とは言えないけれど、その間は電源コードを気にすることなく、どこでも好きなところを掃除できるというメリットはあります。
さて、充電が完了しました。まずは、基本のスタイルである延長管とヘッドを付けて、床を掃除してみます。運転をスタートするには、手元のスイッチボタンを操作。スイッチボタンは「自動/切」と「強/セーブ」の2種類のみと、非常にシンプル。掃除をする場所や状況に応じてセレクトします。
電源プラグをコンセントに差し込み、本体を充電台にセットします。充電時間は約5時間で、使用時間は自動モードで約6〜20分、強モードで約6分、セーブモードで約20〜25分です
充電を開始すると、ランプが赤色に点灯。完了すると、ランプが消灯します
本体に床ブラシ・延長管を取り付けます。カチッと音がしたらOK
操作は手元のスイッチのみ。「強/セーブ」または「自動/切」ボタンを押して、お掃除開始です。ゴミを検知すると、「ゴミセンサー」が点灯ししたり、充電状況や運転状況に合わせて、「お知らせランプ」が点灯・点滅したりします
とりあえず、自動モードでお掃除開始。すると、ウィ〜ン、ウィ〜ンと意外にも大きな音。自動モードでこの音なら強モードはもっとかな? と試すと、やはり音の大きさが気になりました。
気になる吸引力は、どうやら問題はなさそう。いや、むしろ、こんな小さなボディでよくこんなに吸い取ってくれるなと思うほど。その実力は、東芝独自の技術「バーティカルトルネードシステム(8気筒)」にあるようです。これはいわゆる「フィルターレスサイクロン方式」で、目詰まりしやすいサイクロン部のフィルターをなくすことで、吸引力が持続しやすいという効果が。具体的に説明すると、本体には2つの分離機能があり、上部で小型サイクロンが強力な遠心力を発生させ、吸引力低下の原因となる微細な塵や花粉までを細かく分離させ(ミクロトルネード分離)、下部で空気と一緒に吸い込んだゴミを「遠心分離ゾーン」と「圧縮集塵ゾーン」の2つのゾーンで分離しながら圧縮します(デュアルトルネード分離)。といっても、素人には“なんのこっちゃ?”って感じなのですが、とにかくその構造が考えに考え抜かれた技術というわけです。
掃除自体は、とにかく軽いのでやりやすい! あまりの軽さに、思わずつんのめりそうになるほどです。この軽さで、しかもコードレス式となれば、いつでもササッと掃除ができます。これは、冒頭で触れた「掃除=面倒くさい」というイメージを取り除くこと間違いなし。実際、階段の掃除などは非常に重宝します。
軽くてスイスイ! VC-CL1200のセールスポイントのひとつは、徹底的な軽量化。本体・延長管・床ブラシの合計質量がわずか1.9kgなので、片手でラクラクお掃除ができます
階段の掃除は付属品のホースを使うと便利。本体が軽いので、ハンディでお掃除ができます
ヘッドはモーター駆動方式の「計量パワーヘッド」。ハードブラシ(赤)、セミソフトブラシ(青)、ソフトブラシ(緑)の3種類のブラシで、1つのヘッドでさまざまな床に対応できます
東芝独自の技術「バーティカルトルネードシステム」で、どんなゴミも細かく分解・圧縮。透明のダストカップなので、ゴミの量が一目で分かるのもいい!
しかし、その反面でデメリットもあります。「VC-CL100」を使った時もそうでしたが、ヘッドの幅が約20cmしかないため、掃除がなかなか終わらないという点です。そうこうしているうちに、充電ランプが残量わずかのお知らせをしてきました。どうやら、家一軒まるごと気合いを入れて掃除をするぞ!という時には向かない掃除機のようです。
その一方で、大活躍する場所もあります。それは、日頃、掃除がしにくく見て見ぬふりをしていた細かい所や高い所、車の中の掃除です。そういう場所は、応用付属品のすき間ノズルや丸ブラシ、洋服布用ブラシなどを賢く使うといいでしょう。
例えば、高い所にあるエアコンの掃除なら、延長管にすき間ノズルをセットします。高い場所の掃除は、コード式だとやりにくいし、掃除機が重いと大変ですが、「VC-CL1200」なら問題なし。ハンディタイプで、しかも軽量なので、ラクラク掃除ができます。また、すき間ノズルの形も従来のものより先端が細長く、吸い口も小さくなっているので、今までできなかったところの掃除も可能にしてくれそう。
わが家で重宝したのは、障子の桟の掃除です。築88年の古民家には、今ではめずらしい洒落た雪見障子があり、この掃除が実は大変でした。布でいちいち拭くのは面倒だし、ホコリ取りではホコリが舞うだけで、また積もるしで、結局、“このホコリは見なかったことにする”と見て見ぬふりをして過ごしてきましたが、「VC-CL1200」なら解決! これだけのためにも欲しいくらいです。
また、車の掃除にも便利。強力な吸引力でシートのすき間に入ったゴミや食べ物のカスなどもしっかり掃除ができます。そのほか、寝具専用のふとん用ブラシと洋服やカーテンなど布専用の洋服布用ブラシもあり、お部屋の掃除のみならず、いろいろなものをキレイにしてくれます。
従来のすき間ノズルよりもさらに細く、狭いすき間や高い所の掃除に活躍しそうです
掃除がしにくく、日頃、見て見ぬふりをしていた障子の桟にホコリが……。そんな場所に重宝するのが、このすき間ノズル!
延長管を使えば、高い所の掃除も。エアコンのすき間の掃除などにも使えそう!
コードレスの良さを最も発揮してくれるのが、車の掃除。カーシートは洋服布用ブラシ、フロント部分は丸ブラシを使ってお掃除
布団などの寝具はふとん用ブラシを使用。このブラシは布団専用なので、絨毯や畳などには使えません
洋服やカーテンなどの布のお掃除には、洋服布用ブラシを使います。生地を傷めないよう「セーブ」モードで
では、吸い取ったゴミはどうようになっているのでしょうか? まず、ゴミを捨てる時は、本体からダストカップを外します。次にダストカップカバーを外します。すると、小さく圧縮されたゴミにびっくり! えっ!? たったこれだけしかないの?と驚いてしまいました。しかも、ホコリは舞い上がることなく、小さなゴミの固まりをゴミ箱にポイッと捨てるだけ。ゴミが溜まっても、紙パック式の掃除機のようにパックを取り替える必要もありません。また、ダストカップが透明なので、ゴミの量を確認しながら掃除ができるのもヨシ。
ゴミを捨てる時は、「ダストカップボタン」を押し、本体からダストカップを外します
「ゴミすてボタン」を押し、ダストカップカバーを外し、カップの中のゴミを捨てます
気になるお手入れは、普段はゴミを捨てる際に、付属のお手入れブラシでダストカップカバーのゴムパッキンやまわりのすき間、ネット部、カップのふちに付いたゴミを取り除く程度でOK。また時々、ダストカップや排気清浄フィルターなどを水洗いしておくと、吸引力の低下を防ぐことができます。
掃除が完了したら、充電をします。「VC-CL1200」の魅力は、いつでも気軽にササッと掃除ができるところ。でも、それができるのは、フル充電の状態でなければなりません。「VC-CL1200」は置き収納が基本です。充電台に本体をセットし、その横に延長管とヘッド、すき間ノズルと丸ブラシをかけて、メインとして使うものはひとつにまとめて収納できます。また、そのほかの応用付属品は専用のバッグが用意されているので、そこにまとめておくといいでしょう。
落ち着いたグランレッドの掃除機は、部屋の隅に置いても違和感がなく、部屋に溶け込みます。すぐ手に取れる場所にあるというのが、お掃除好きになる秘訣かもしれません。
ダストカップカバーのゴムパッキンやまわりのすき間、ネット部、カップのふちに付いたゴミは、付属のお手入れブラシで取り除きます
充電をしながら、部屋の隅に置き収納。床ブラシ、延長管は充電台横にあるホルダーに、すき間ノズル、丸ブラシはフックに収納できます。部屋に置いていても、それほど存在感が気になりません
そのほかの付属品は、応用付属品収納バッグに入れ、ひとまとめにしておくと、なくなる心配もなし!
東芝トルネオシリーズ「VC-CL100」に続き、「VC-CL1200」を使ってみました。前回使った「VC-CL100」も軽量化という点では十分満足でしたが、「VC-CL1200」はそれよりもさらに0.4kgも軽くなり、ますます掃除がしやすくなりました。しかし、その一方で約5時間の充電に対し、自動モードで6分〜20分と稼働時間は短く、またヘッドの幅は短いという点から、ファミリータイプの広めの家の掃除にはちょっとパワーが足りないという印象を受けました。けれども、ハンディ使用をメインとして使うのであれば、階段や家具、車の掃除などには大変使い勝手がよく、そのためだけにでも欲しいと思ってしまったほど。また、食べこぼしなどをササッと掃除したいときに、部屋の隅にいつも置いてあったらすぐに掃除ができていいなぁと思いました。スペース的な面からいえば、一人暮らしの家にはぴったりだと思います。ただ、意外と掃除音が大きかった点が気になりました。ま、あれだけのパワーなら、仕方がないのかな。