2016年5月17日、ダイソンから“全面的にパワーアップ”したコードレス掃除機の新モデル「ダイソン V8」シリーズ(以下、V8)が発表された。最大のポイントは、「吸引力」そして「駆動時間」のアップ。それでいて、稼動音は50%低減されているという。今回の発表会ではこの進化の具合を、家庭を想定したさまざまな仕掛けの中で実際に使ってチェックすることができたので、詳細なスペックとともにレポート!
「V8シリーズ」開発責任者であるケビン・グラント氏により製品の進化ポイントなどが解説された
なお、ラインアップとしては、ヘッドや付属ツールが異なる「V8 アブソリュート」(96,800円)、「V8アニマルプロ」(86,800円)、「V8 フラフィ プラス」(86,800円)、「V8 フラフィ」(76,,800円)の4機種が用意され、5月27日より発売となる(価格はオープン/市場想定価格/税抜き)。
左から、「V8 フラフィ」「V8 フラフィ プラス」「V8アニマルプロ」「V8 アブソリュート」。本体サイズは250(幅)×224(高さ)×1244(奥行)mm(クリーナーヘッド、パイプ、バッテリー含む)。重量は、ソフトローラークリーナーヘッド装着時が2.61kg、ダイレクトドライブクリーナーヘッド装着時が2.55kg
付属の「コンビネーションノズル」を装着したスタイル
ダイソンの掃除機といえば高い吸引力で知られているが、V8では最大11万回転/分の「ダイソンデジタルモーターV8」が新搭載されさらにパワーアップ。前モデル「V6」に比べ吸引力が約15%アップしたという(最大級引力で100AWから115AWに向上)。その実力をアピールする実験も行われたのでケビン・グラント氏の解説とともに紹介しよう。
グラント氏が手にしているのが新開発の「ダイソンデジタルモーターV8」。制御するアルゴリズムを変更するなどしたことで、前モデルよりも1万回転/分多い最大11万回転/分を実現
サイズは非常にコンパクト。V6シリーズから基本的な機械的構造は変わっていないという(写真下はカットモデル)
V8と他社の掃除機(同クラスのコードレス、キャニスター型)の吸引力の違いをチェックする実験も行なわれた。幅1cm、深さ5mmの溝が彫ってある黒いアクリル板の上に、猫砂と重曹を撒き、それぞれ一番強い運転モードで吸引してみるというもの。結果は動画でご確認いただければ一目瞭然だが、V8ではほとんど残すことなく擬似ゴミを掃除できていることがわかる。
いずれも、擬似ゴミを撒いたアクリル板の上を1度通過するだけ(中央がV8)。V8のみ、溝の中の細かいゴミも掃除できていた
実験時はこのフワフワの「ソフトローラークリーナーヘッド」を装着(アニマルプロ以外は付属)。ナイロンフェルトにより大小のゴミを捕らえカーボンファーバーブラシ(黒い部分)により静電気を抑えるため、微細なゴミまで取り除けるのだという。ヘッドには専用モーターを搭載
さらに吸引力を強くできる「MAX」モードを新搭載。スライド式のボタンで切り替え可能だ
吸引力はアップしたが、稼動音は50%の低減を実現した(「MAX」モード時)。クリーナー内部の静音装備や風路を見直し再設計したことで、V6シリーズと比較して約50%の静音化に成功。さらに、音響工学の面からも見直し、フィルターを追加するなどして音質が改善されているのだという。
グラント氏がV8とV6の音量、音質を比較してみせた。確かに、運転音の大きさだけでなく、耳障りな甲高い音が減っているのがわかる
2層に配置された15個のサイクロン機構が強力な遠心力を生み、空気とゴミやホコリ確実に分離するという基本構造は変わらない。独自の高性能フィルターにより、排気が“部屋の空気よりもきれい”というのも魅力。0.3μmの微細な粒子も99.97%以上キャッチしてくれる
新モーターと、新しいリチウムイオンバッテリーにより、前モデルより駆動時間が倍になったこともポイントだ。バッテリーは、容量が2100mAhから2800mAhへアップしただけでなく、よりエネルギー密度の高いものを新採用。これにより、通常モード(ヘッドモーター不使用時)で最大40分の運転が可能になっているという。ちなみに、MAXモードでの連続運転時間は最大7分。充電時間は約5時間となる。
「日本の家庭内での掃除時間を調査したところ、99.5%が40分以内で終了するということがわかった」とグラント氏は解説
電池残量をチェックできるインジケーターランプも新装備された
これまでもワンタッチでゴミ捨て自体は行える構造だったが、実は、シュラウド(サイクロン構造下部の網目状フィルター)周りにまとわり付いたゴミが落ちないことがしばしばあった。そのあたりが、今回機構そのものを刷新することで解消されている。本体上部のゴミ捨て用レバーを引っ張ると、クリアビン(ダスト容器)の底が空いてゴミが排出されるだけでなく、シュラウド自体が上に引き上げられ、同時に、クリアビン上部のゴム製スクレイパーがシュラウドに付着したゴミをこそぎ落とすようになっているのだ。これで、本当に手を汚さずにゴミ捨てを行うことができる。すばらしい新機構だ。
ゴミ捨て用の赤いレバーを引くだけで、ゴミ捨てだけでなくシュラウドにまとわり付いたゴミまでこそぎ落としてくれる
なお、会場では、家庭を想定したセットが用意されV8を実際に使ってみることができた。“いろいろなか所のお掃除からごみ捨てまで”をチェックしてきたので、ぜひ、動画でご確認いただければと思う。
ヘッドがなめらかに動き、また案外フラットになり低い位置の掃除がラクに行えることがわかった
ヘッドの付け替えボタンが新仕様になり、よりすばやく交換可能に(動画でご確認いただきたい)
“芯径が大きくフェルトタイプのヘッドローラーなので、髪の毛が絡まない”ということをチェックできるコーナー(こちらも、動画でご確認いただきたい)
クールなものがあるとグラント氏が見せてくれた、スケルトンタイプのV8。もちろん非売品だ
お詫びと訂正:バッテリー容量に誤りがあったため、正しい情報に訂正いたしました。お詫び申し上げます。(2018年3月13日)
家電製品アドバイザー。家電製品を中心にレポート・レビュー記事を担当。趣味は、バイクとカメラと作業中の家電の働き具合を監視すること。特に洗濯機。