バイク野郎 増谷茂樹の二輪魂

国産初のMTB×電動アシスト自転車! 山で遊べて街乗りも快適なパナソニック「XM1」

このエントリーをはてなブックマークに追加

ロードバイク人気に牽引され、自転車ブームが続く昨今。電動アシスト自転車でもスポーツタイプが注目を集めており、ロードバイクタイプ「YPJ-R」(ヤマハ)をはじめ、クロスバイク仕様などラインアップが増えつつある。しかし、MTB(マウンテンバイク)タイプはほぼない状況。海外モデルを改良したものがわずかにある程度で、国産モデルは皆無だったのだが、ついにパナソニックがやってくれた! 国産初のMTBタイプの電動アシスト自転車が誕生したのだ。無類のMTB好きとしては、この「XM1 BE-EXM40」(以下、XM1)に試乗せずにはいられない! 街中からオフロードまで、たっぷり堪能したXM1の実力をお伝えしよう。

新開発のドライブユニット搭載! デザイン性にも配慮した車体設計

XM1の誕生まで国産モデルが存在しなかったMTBタイプの電動アシスト自転車だが、欧州を中心とした海外では人気が高く、多くのメーカーが参入している。過去にこの連載で紹介したMTBタイプ「TAGETE(タジェーテ)27.5」(Benelli)もイタリアンブランドで、海外モデルを日本の規格に適合するように改良し流通させたものだ。近年、日本ではスポーツタイプの自転車でサイクリングを楽しむ層が増えているものの、その中心はロードバイク。残念ながら日本におけるMTBの市場規模は縮小しており、MTBタイプの電動アシスト自転車の開発に着手する国内メーカーは少ない。そんな状況の中、リリースされた国産初のXM1にはいやがおうにも期待が募る。

そんな高まる期待を胸にXM1の車体に目を向けてみると、電動アシスト自転車とは思えないデザインが目に留まった。これは、バッテリーがフレームと一体化されている効果かもしれない。スポーツバイクらしいルックスが損なわれないのは、とても魅力的だ。そして、その他のパーツ類も100mmストロークでロック機構を搭載したフロントサスペンションや少ない力で強い制動力を発揮する油圧式のディスクブレーキ、27.5インチサイズのホイールなど、オフロードでの走行を意識したセレクトがされている。

サイズは590(幅)×1,835(長さ)mmで、重量は21.8kg

容量8Ah(36V)のバッテリーは、一般的な電動アシスト自転車に搭載される25.2Vに換算すると11.4Ah相当となる。バッテリー残量ゼロの状態から満充電まで約3時間かかり、「HIGH」モードで約42km、「AUTOモード」で約54km、「ECOモード」で約78km走行可能

サスペンションのヘッドチューブはテーパーとなっているので、より高いグレードのパーツに交換することも可能

タイヤとホイールは、26インチの旋回性と19インチの安定性のよいところ取りをした27.5インチを搭載

変速ギアやブレーキなどのパーツには信頼性の高いシマノ製「SLX」グレードを採用。リアの変速段数は10段で、フロントには変速機構は搭載していない

前後ともに油圧式のディスクブレーキを搭載。ディスク径は160mmとなっている

前後ともに油圧式のディスクブレーキを搭載。ディスク径は160mmとなっている

走行モードなどの切り替えは、左手側に搭載されたボタンで行う。一発で「HIGHモード」に切り替えられるスイッチも用意されている

右手側にはサスペンションの動きをロックするレバーを装備。グリップ下に見えるのは変速用のレバーだ

右手側にはサスペンションの動きをロックするレバーを装備。グリップ下に見えるのは変速用のレバーだ

バッテリー残量やアシスト力の強さ、スピードなどの情報はハンドルにマウントされた液晶ディスプレイに表示される

さらに、アシストの源となるドライブユニットには新開発の「スポーツドライブユニット」が採用されている。既存のシティサイクルタイプに搭載された2軸構造とは異なり、クランク(ペダルが付いているアームの部分)軸に直接アシスト力を加えるダイレクトドライブ機構となっているのが特徴だ。ダイレクトドライブ機構を採用したことにより、アシストを別の出力軸を使って伝えていた従来の構造に比べてスムーズな回転を実現。街中での停止と発進を繰り返す使い方を想定していた従来の機構に対して、時速20km前後での巡行や高いケイデンス(クランク軸の回転数)を維持して走るようなシーンでもスムーズなアシストができる。なお、XM1に装備されたドライブユニットは、パナソニックが欧州向けに輸出していたものを日本向けに作り直したものだ。

クランク軸に駆動力が直接伝わる1軸構造のスポーツドライブユニットも、目立ち過ぎないように処理されている

里山で試乗! 想像以上の安定感と効率のよいアシストに感動

MTBの遊び方のひとつ、山でのライディングでXM1の実力を調査してみた。

山で走る場合、自分でペダルを漕いで登りも下りも楽しみたい派には何も問題ないが、下りだけを味わいたい派にとっては自動車やリフトなど輪行する手段がないとそれがネックとなり、MTBに乗ることから足が遠のくことも少なくない。だが、XM1であればアシスト力で苦労する登りも楽に行える。下の動画のように荒れた路面の急坂でもペダルを軽く漕いでいるだけでスルスルと登れてしまう。

動画だとわかりづらいかもしれないが、結構な急坂なうえに木の根が出ている部分もあり、うまく避けないと引っかかって足をつくはめになりやすい。普通のMTBでこの坂を上ろうとすると2回に1回は失敗するような場所だ。しかも、撮影時は坂の途中からスタートするという悪条件だったが、乗っている本人もちょっとビックリするほどあっけなく登れてしまった。また、軽めのギアでペダルをクルクル回すように走った時に、スポーツドライブユニットの恩恵を実感。従来の街乗りにあわせたドライブユニットはアシスト力がペダルとは別の出力軸から伝わるため、高い回転数でペダルを回すような走り方をするとロスが大きくなってしまうが、スポーツドライブユニットを搭載したXM1では最適なアシストが得られた。

ペダルを強く踏み込んでもアシストのかかりかたが唐突でないので、後輪が空転してしまうこともなくスムーズ

ペダルを強く踏み込んでもアシストのかかりかたが唐突でないので、後輪が空転してしまうこともなくスムーズ

木の根っこや大きい石があっても、ライン取りさえしっかりしていれば簡単に乗り越えていける

登りでは運転モードを「HIGH」にしたが、平坦な所では「AUTO」で十分。抵抗の大きい砂利道でも「AUTO」で問題なく走行できた

いっぽうアシストを利用しない下りでは、本体の造りのよさを実感できた。車体が安定しているので、急勾配をスピードに乗って下っても不安感がない。油圧式ブレーキは効きがいいだけでなく、コントロール性にもすぐれており、これも安心感につながっていると思われる。ただ、ハンドル幅がMTBとしては狭い印象。下りの途中に段差があると、もう少し抑えが効けば……と感じることも。ハンドルは交換できるので、もの足りなさを感じたなら付け替えるといいだろう。

ホイールベースが長い車体は安定感があり、臆することなくスピードを乗せていける

ホイールベースが長い車体は安定感があり、臆することなくスピードを乗せていける

ハンドル幅は580mmとやや狭い。個人的にはあと100mmは幅の広いハンドルを取り付けたいところだ

ハンドル幅は580mmとやや狭い。個人的にはあと100mmは幅の広いハンドルを取り付けたいところだ

試乗を終えて

オフロードを走ることができるMTBタイプの電動アシスト自転車を選ぶとなると、日本の規格にあった正規ルートで手に入るモデルは現時点ではXM1と以前紹介した「TAGETE27.5」のみ。ゆえに、TAGETE27.5と比べた実力に触れておく必要がある。

XM1とTAGETE27.5はどちらもMTBタイプではあるが、もともとのコンセプトが別物。TAGETE27.5は山で遊ぶことを全面に打ち出したモデルで、XM1は自宅から山に行くまでの道程もスムーズに行える仕上げとなっている。ざっくり言ってしまうと、XM1のほうが街乗りの快適さにも配慮し、初心者にもやさしい作りになっているといった感じだ。試乗のところでもお伝えしたが、とにかくXM1は安心感がバツグン! ホイールベースを長くし、安定性を重視した車体設計のおかげであると考えられるが、この設計は登りでも効果を発揮してくれた。モーター出力は同じながらも、TAGETE27.5よりもXM1のほうがラクだったのだ。ただ、安定性を重視するため、クランク軸からリアホイールまでの距離がやや長くなっており、ハンドリングのクイックさはTAGETE27.5に歩がある印象だが、その分、MTBの操作に不慣れな人にも不安を感じることなく操作できるはず。

また、価格はXM1のほうが10万円ほど高い(市場想定価格は33万円)。大きな差に感じるかもしれないが、採用されているパーツのグレードや信頼性を加味すると妥当な線だろう。また、実際に乗ることを考えると故障などトラブルが起こった際にパーツが手に入りやすく、素早くサポートしてくれそうなパナソニック製のほうが長い目でみると安心かもしれない。

XM1は直進安定性が高いので、舗装路を長距離移動するのも快適! 街中でクロスバイク的に使ってもいい

走行シーン撮影:松川忍

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

紹介した製品の最新価格・クチコミをチェックする
このエントリーをはてなブックマークに追加
関連記事
連載最新記事
連載記事一覧
2017.11.21 更新
ページトップへ戻る