レビュー
人気の自転車ブロガー・佐藤真吾さんが本気で実力をチェック!

パークでガチ試乗! ヤマハのMTBタイプの電動アシスト自転車「YPJ-XC」はガンガン遊べる本格派!!

近年、自転車業界では「e-Bike」と呼ばれる本格的なスポーツタイプの電動アシスト自転車のラインアップが急速に拡充している。なかでも筆者が特に気になっているのが、マウンテンバイクタイプのヤマハ「YPJ-XC」だ。ヤマハはすでにロードバイクとクロスバイクのe-Bikeをリリースしているが、マウンテンバイクタイプは初めて。しかも、普通のマウンテンバイクのようにオフロードで本気で遊べる仕上がりらしい。その性能を確かめてみた。

2018年7月18日発売予定の「YPJ-XC」をたっぷり乗り回してきた!

2018年7月18日発売予定の「YPJ-XC」をたっぷり乗り回してきた!

本格的なマウンテンバイクに匹敵すると言える理由

YPJ-XCが電動アシスト機能を搭載しないマウンテンバイク同様にアグレッシブに遊べると思われる要素はいくつかあるが、なによりもまず、車体の作りが本格的であることがあげられる。フロントのみにサスペンションを装備するハードテイルではあるものの、オフロードを走行するのに十分な120mmトラベルのサスペンションを採用。さらに、前後ホイールには現在のスタンダードである27.5インチを装備し、変速ギアにも昨今のトレンドである前1速×後11速を搭載している。また、凹凸のある下りで車体コントロールに大きな影響をおよぼすハンドル幅も740mmと、申し分ない。このほか、“ちょっといいマウンテンバイク”に装備されるシマノ製「SLX」というグレードのパーツを採用するなど、山をはじめとするフィールドで遊ぶ自転車としては上々の仕上がりとなっている。

S・M・Lサイズがラインアップされており、サイズ(S/M/L)は1,810/1,835/1,865(全長)×740(全幅)mmで、重量は21.2(S、M)/21.3(L)kg

フロントサスペンションはミドルクラスのMTBに採用されることが多いロックショックス製の「リーコン」を搭載。120mmトラベルで、動きをロックアウトできる機構も備える

前後とも27.5インチサイズのホイールに、2.25サイズのマキシス製「アーデント」というタイヤを履く。トレイルを走るライダーに選ばれる定番的なタイヤだ

ブレーキは前後とも油圧式のディスクを採用。シマノ製「SLX」グレードはタッチやコントロール性がよく、ファンも多い

昨今のMTBでは一般的になりつつある、前側に変速機を搭載しないリア11速のディレイラーを採用。前側のチェーンリングには、凸凹の路面を走ってもチェーンが落ちにくい、ナローワイドタイプを装備している

740mm幅のハンドルは、山道での高いコントロール性能が期待できる

740mm幅のハンドルは、山道での高いコントロール性能が期待できる

電動アシスト自転車は、自転車としての性能が高かったとしてもアシストユニットを装備しているため、どうしても普通の自転車とは操作性や乗り心地が違ってくる。そのような差を極力抑え、高いスポーツ性能を発揮できるようにe-Bikeのアシストユニットはコンパクトな設計とされているのだが、YPJ-XCに搭載される「PW-X」ユニットは、それらの中でもさらに軽量で小さい。しかも「PW-X」は、ペダルを踏んだ力に対するレスポンスを徹底的に追求しており、ペダルを踏む動きに反応してリニアにアシストがすばやく立ち上がる。

スポーツタイプのアシストユニットをさらに軽量化した最新の「PW-X」を搭載。ヤマハはいくつかのe-Bikeをリリースしているが、2018年5月30日時点で「PW-X」を装備しているのはYPJ-XCのみ

「PW-X」ユニットは幅も狭められたため、「Qファクター」と呼ばれる左右のペダル間の距離が通常のマウンテンバイクと同程度となった。これにより、乗り手はペダルを高速で回しやすくなる

36V/13.3Ahの大容量バッテリーを搭載しており、アシスト可能な距離は最大225kmで、アシストがもっとも強い「エクストラパワー」モードでも85kmアシストが持続可能。なお、バッテリー残量ゼロの状態から満充電まで約3.5時間かかる

モードや速度、アシスト可能な残り距離などを表示するディスプレイは、転倒してもぶつけにくい位置に装備。ケイデンス(ペダルを回す速さ)や発揮しているパワーも確認できる

マウンテンバイク専用コースで実力をガチ検証!

本格的なマウンテンバイクと遜色ない作りの車体に最新鋭のアシストユニットを搭載したYPJ-XCの実力を試すなら、本気で走行してみようと、激しい登り坂や下りのスラロームコースなどを備える「スマイルバイクパーク」(東京都稲城市)で試乗してみることに! さらに、マウンテンバイク歴20年以上、自転車関連のブロガーとしても知られる佐藤真吾さんにも試乗してもらった。

1990年代のマウンテンバイクブームの頃からさまざまな車種を乗り継いでいる経験豊富な佐藤真吾さん。心からマウンテンバイクを楽しんでいる佐藤さんは、YPJ-XCにどのような判定をくだすのだろうか

>> 佐藤真吾さんについては自身のブログをチェック!

・登りがラクラクだからノンストップで遊べる!

パーク内のコースは、基本的に上った分を下り、下ったら自力で登る設計なので、スタート直後からYPJ-XCの登坂性能が試される。数十メートル続く上り坂は後半になるほど斜度がきつくなり、電動アシストのないマウンテンバイクではあまり何度も往復したくはない気持ちになるが、YPJ-XCなら標準のアシストモード「STD」でもラクラク。さらに、パワーの強い「HIGH」モードにすれば、鼻歌まじりに登れてしまう。

マウンテンバイクタイプのe-Bikeに乗るのは初めてという佐藤さん。強力な電動アシストの効果に驚いている様子だった。ちなみに、写真の場所は距離も長く、きつめの斜度もある登り坂なので、普通のマウンテンバイクならだいぶ息が上がってしまうのだが、YPJ-XCでは息が乱れることもない

続いて、さらに急角度な登りにもチャレンジ。バンクのついたコーナーが連続する下りの先はスタート地点まで自力で登らねばいけないのだが、ここの坂がかなりの角度なため、ほとんどの人はマウンテンバイクから降りて手で押して登っている。しかも、その動作で疲れてしまうのか、登ったところで休憩を取る人が大半。そんな急勾配の登りも、YPJ-XCなら普通にペダルを漕ぐ感覚だけで簡単に制覇できた(下の動画参照)。登りきった先にある下りのスラロームまでノンストップで走行できるので、同じコースを同時間走った場合、普通のマウンテンバイクよりもYPJ-XCに乗っているほうがたくさんの本数をこなせることは間違いない。

多くのライダーが走行を諦める坂がこちら! 急斜面の直登もサドルに座ったまま涼しい顔で登り、連続して下りのコースも楽しんでいる様子は、ほかのライダーたちにうらやましそうに見られていた(笑)

佐藤さんによると、座ったまま登れることもすごいが、ペダルを回していればいいだけなので、自分の意識を前後のタイヤにかかる荷重に集中できるのがいいとのこと。普通のマウンテンバイクで立ち漕ぎをすると、後タイヤに荷重がかけられずすべることもあるのだが、YPJ-XCは常に安定している。電動アシストがあるので駆動力はYPJ-XCのほうが強いはずなのに、タイヤがすべらなかったのは前後輪に均等に荷重がかけられている証拠。なお、急勾配の坂を登っている写真のフォームは、オリンピックに出場するレベルの一流ライダーの姿勢と同じだそう。自身のようなアマチュアライダーでも、オリンピック選手と同じような登り方ができていることにも、佐藤さんは感動していた。

結構角度があるギャップも姿勢を崩さずに登れてしまうので、かなりおもしろいらしく、乗り回しまくる佐藤さん

・障害物のあるシーンで役立つ「エクストラパワー」モードが秀逸

ここまでは登りのラクさを紹介してきたが、YPJ-XCの魅力は別のシーンでも味わえた。そのひとつが、大きめの石がゴロゴロとある登りコース。このような路面では石を乗り越えたらハンドルを切り、石に引っかからないラインを選ぶという走り方が求められるが、そこで役立つのがもっともアシスト力が強い「エクストラパワー」モードだ。パワーが強いことがなぜ役立つのか?と思われるかもしれないが、「エクストラパワー」モードの真価はペダルを踏み込んだ瞬間にアシストがかかり、ペダルを止めると瞬時にアシストも抜けるレスポンスのよさにある。障害物を乗り越えた瞬間にラインを変える必要があるようなシーンでは、ペダルを止めたあとにアシストが残っているとハンドルを切ろうとしても勢いで次の石に乗り上げてしまうのだ。ペダルを止めた瞬間にアシストも止まる「エクストラパワー」モードがあるからこそ、理想的なラインをトレースできる。これは、今までの電動アシスト自転車ではできない芸当だ。

石を乗り越えながら、ラインを選ぶ。そんな走り方ができると、登りがラクなだけでなく、登り自体が楽しめるようになってくる

・マウンテンバイクの醍醐味“下り”もたっぷり堪能

YPJ-XCの登り性能が今までにないほどすぐれていることは、ここまでで十分に感じられた。では、下りの走行性能はどうなのだろうか? マウンテンバイクの1番の楽しさは下りにあると考える人は多い。いくら登りがおもしろくても下りが楽しくなくてはマウンテンバイクの魅力は半減してしまうと言ってもいいだろう。モーターやバッテリーなどで重量が増してしまうYPJ-XCは、普通のマウンテンバイク同様の操作性を実現できるのかが気になるところ。そこで、佐藤さんにスラロームコースを走行してもらい、取り回しやコーナリング性能をチェックしてもらった。

斜めのバンクに合わせてきれいに車体を倒し込む佐藤さん。普通のマウンテンバイクに比べると重さを感じるのは確かだが、それにより操作が遅れたり、加速度がついて走りにくくなるようなことはなかったとのこと

サスペンションやホイール、ブレーキなどにきちんとしたパーツが装備されており、重量バランスもいい設計なので、とても素直な取り回しができたと大満足だった

そんな佐藤さんの走りを見て、筆者もYPJ-XCに乗りたくてうずうず! スラロームコースは佐藤さんほど車体を寝かして速く走ることはできないものの、怖さを感じることなく走ることができた。このようなコースに慣れていないライダーがYPJ-XCに乗っても、問題なく走破することができるだろう。

また、このパークで1番スピードが乗る下り斜面も走ってみたが、かなり速度が出ていても不安を感じることはなかった。 サスペンションがよく動いて凹凸を吸収してくれるのと、押さえの効く幅広ハンドル、そしてコントロール性のよいブレーキが付いていることが安心感につながったのだろう。普通の自転車では出せないようなスピードを出して斜面を一気に下るのは実に爽快。思わず何度も往復して走ってしまったが、そうやって下った分を登る際にもアシストがあるとラクにこなすことができる。体力に自信がなくなってきた年齢層のライダーには、実にありがたい。

スピードの出る下りを走っても怖さがないので、だんだん調子に乗ってきてしまうのが注意点だ!

スピードの出る下りを走っても怖さがないので、だんだん調子に乗ってきてしまうのが注意点だ!

まとめ

軽さが重視されるロードバイクよりも、多少重くても登りがラクになることで恩恵が大きいマウンテンバイクのほうが電動アシストとの相性はよい、と以前から筆者は思っていたのだが、今回の試乗であらためてその気持ちを強くした。かなり激しいアップダウンのあるコースだったが、撮影をしながら3時間ほど走り回っても脚の疲れはほとんどない。これを普通のマウンテンバイクで同じように行ったら、疲れというよりも”ダメージ”が次の日まで残ってしまっていただろう。それでいて“走った!”という満足感は過ぎるほど味わえた。

これまで筆者は、マウンテンバイクタイプのe-Bikeは山道までのアプローチや登りでラクをして、下りを中心に楽しむものだと考えていたが、YPJ-XCくらいアシストのレスポンスがよいと登りも楽しくなってくる。これは新鮮な驚きだった。普通のマウンテンバイク同等どころではなく、電動アシストがあるからこその楽しさをプラスしてくるとは、さすが、ヤマハが本気で取り組んだe-Bikeだけのことはある。

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

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