パナソニックとベビー用品を開発・販売する「コンビ」が共同開発した子乗せタイプの電動アシスト「ギュット・クルーム」の第2弾「ギュット・クルームR」(2019年12月4日発売予定)が登場。発表会で見てきた詳細を紹介するとともに、試乗した所感もお伝えする。
2018年に発売された「ギュット・クルーム」の最大の特徴は、パナソニックがコンビとともに開発したチャイルドシートを採用したこと。そのチャイルドシートには、2mの高さから卵を落としても割れないほどの衝撃吸収力を持つ「エッグクッション」を内蔵したヘッドカバーを装備することで、子どもの安全性と快適性を高めている。今回発表された「ギュット・クルームR」は、チャイルドシートに特徴的な部分を継承しつつ、より使いやすいようにフレーム形状などを改良し、新たにラインアップに追加されるモデル。「ギュット・クルーム」が前側にチャイルドシートを装備していたのに対し、「ギュット・クルームR」は後ろ側配置となったほか、業界で初めてサンシェード(日よけ)が標準装備された。
子どもが寝てしまっても倒れにくいようにチャイルドシートの背もたれの角度は112.5°にしているという。今後は、フロント側チャイルドシートの「ギュット・クルーム」、リア側チャイルドシートの「ギュット・クルームR」という2ラインとなる
頭部を包み込むように配置されたヘッドカバーの中にあるのが、エッグショック。コンビのベビーカーにも採用されている衝撃吸収素材だ。ヘッドカバーは取り外せるので、汚れたら洗濯できる。なお、「ギュット・クルーム」に装着されている「シートクッション」は「ギュット・クルームR」にはないが、座面の素材自体に弾力があるのでお尻は痛くなりにくいだろう
自転車用チャイルドシートにはこれまで採用例のなかったサンシェードを標準装備。子どもの頭部を包み込むようにして日差しをさえぎってくれる
夏場にパナソニックが行った調査によると、日よけがないと、たった30分でヘッドカバー頭部付近の表面温度は75℃まで上昇。いっぽう、サンシェードを装備しておけば最高温度は56℃に抑えられたという
なお、2019年モデルの「ギュット・クルーム」にもサンシェードが標準装備される。
サンシェードが標準装備となった新型「ギュット・クルーム」は2019年12月4日発売。ラクイック機能(くわしくは後述)が搭載された「EX」グレード「BE-ELFE032」(メーカー希望小売価格165,800円/税別)と、非搭載の「DX」グレード「BE-ELFD032」(メーカー希望小売価格149,800円/税別)がラインアップ
そのほか、チャイルドシートに装備されているベルトやガードなどの機構は、「ギュット・クルーム」と同じ。子どもの乗せ降ろしをスムーズに行うために工夫が満載だ。
左右どちらからでも子どもを乗せやすいように、シート前側にあるガードは完全に開く仕様となっている(下の写真参照)。ちなみに、ガードはやわらかい素材でできているので、衝撃で子どもの体に当たっても痛くなりにくい
ベルトは安全性の高い5点式を採用。ホールド性を高めるチェストベルトも装備されている
ボタンを押すだけで、ベルトが外れる。もちろん、子どもが触っても外れないようにロック機構も完備
このベルトのすぐれた点のひとつが、このように立ち上がった状態がキープされること。子どもを乗せる際、ベルトが下敷きになって苦労することが多いのだが、これならスムーズに装着できる
子どもを乗せたあと、ベルトの閉まり具合を調整するのもカンタンなのがこのベルトのすごいところ。シート前方に出ているベルトを引っ張るだけだ。このすぐれた仕様で、子どもを乗せるのがラクになる様子は下の動画で確認してほしい
チャイルドシートをリアに配置するのに合わせて、細かい部分も改良されている。子どもを乗せ降ろしやすいようにキャリア前方を従来の同タイプ「ギュット・アニーズ・DX(BE-ELAD03)」より50mm低くするとともに、自転車を運転する人の乗りやすさを考慮し、またぐ部分のフレームが低くなるU字型とされた。
足が通る部分が深い設計となっているので、軽く足を上げるくらいの感覚でまたげる。また、ワイヤー類もフレーム内に通す構造とされた
子どもを乗せる際、子どもの足が当たりやすいキャリアの付け根部分も低い設計に
ちなみに、チャイルドシートをフロント/リアのどちらに装備するかで乗せられる子どもの年齢が違ってくる。前乗せタイプは1〜3歳、後ろ側タイプは1〜6歳となる。
「ギュット・クルームR」にも、「DX」と「EX」というグレードがラインアップ。用意される車体カラーも若干異なるが、大きく違うのは電子解錠システム「ラクイック機能」の有無で、上位グレード「EX」のみに搭載される。ラクイック機能とは、自動車などでは一般的になっているスマートキーと同じようなもの。子どもをチャイルドシートに乗せたあとに後輪のロックを解除し忘れたことに気付いた場合、普通ならハンドルから手を放してロックを解除しなければならないため自転車が不安定になるが、ラクイック機能があればそのような不安もない。
スマートキーを身に着けた状態で、ハンドルにある操作部の「電源」ボタンを押すと後輪のロックが解除できる
もちろん、物理キーで開閉も行える
「ギュット・クルームR・DX(BE-ELRD03)」には、マットチャコールブラック、マットオリーブ、フルーツパプリカ、マットキャメル、マットネイビー、ターコイズブルーの6カラーが用意される。メーカー希望小売価格は142,800円(税別)
上位グレード「ギュット・クルームR・EX(BE-ELRE03)」には、マットチャコールブラック、マットオリーブ、オレンジ×グレー、マットキャメル、マットネイビー、マットハニーの6カラーが用意される。メーカー希望小売価格は161,800円(税別)
車体サイズはDX/EXとも580(全幅)×1,880(全長)mmだが、重量はEXのほうが0.3kg重い33.4kgとなる。そのほか、バッテリー容量などの基本スペックは同じ。
バッテリー容量は16Ahで、残量ゼロの状態から満充電まで約4.5時間かかる。走行モードは「パワーモード」「オートマチックモード」「ロングモード」が用意されており、最大走行距離は約80km
アシストユニットは、2018年に発売された「ギュット・クルーム」と同じもの。出だしのパワーを抑えることで車体が進みすぎないアシスト制御が施されている
タイヤは太めの20インチ
前輪に装備されるスピードセンサーは、小型化されたうえ、自転車置場のレールに入れた際に接触しないように金属製のガードが付く
試乗してみて感じたのは、オートマチックモードの出だしの自然さ。発進時のアシストが適度に抑えられているため、加速し過ぎで驚くこともない。子どもを乗せていると発進時にふらつきやすくなるが、ほどよくアシストしてもらえる電動アシスト自転車は、子乗せにうってつけだ
チャイルドシートがリア側配置なので、前カゴが使えるのも大きな魅力。自転車で買い物に出かけることが多い人には欠かせない装備だろう