ウェイトを使った筋トレは10年続くも、有酸素運動はまったく続かない自動車ライター、マリオ高野です。
有酸素運動が苦手な理由のひとつは、長年悩まされ続けた「腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)」でした。
「腸脛靭帯炎」とは、いわゆる「ランナー膝(ひざ)」と呼ばれるもののひとつで、ジョギングなど走る動作を一定時間以上行うと膝の外側が痛くなる症状が出ます。発症してひどくなると、階段を降りる動作でもひざの外側に激痛が出るようになるなど、なかなか厄介なものです。
特にケアをしないでいても痛みは3〜4日で引き、完治したと思える場合が多いものの、ジョギングを再開するとすぐにまた発症を繰り返します。
心肺機能向上のためにジョギングを始めようとする筆者。しかし、毎回ひざ痛を発症していました
筆者もたまには有酸素運動をしようと、意を決してジョギングを始めることがあるのですが、わずか3kmほど走るとひざの外側が痛くなり、そこで心が折れてギブアップ。
数年前に草野球を始めたと時も、練習の初日から腸脛靭帯炎を発症しました。外野の守備練習では球を後逸しまくるので、ジョギング以上によく走ることになり、練習の途中でジョギング時と同じようにひざの外側が痛くなるのです。練習後はMT車のクラッチを踏むのもつらいほどで、練習の初日から草野球の引退を覚悟したほどでした……。
運動する前にひざを意識したストレッチや屈伸を入念に行い、普段からひざまわりをていねいにマッサージするなどしても、いっこうに改善は見られません。
いつも決まってひざの外側の靭帯あたりが痛くなるので、痛みの出る部位をストレッチしたりマッサージしたりしていましたが、効果がありませんでした……
ジョギングはできずとも、子供の頃からずっとやりたかった草野球を引退したくはなかったので、なんとか解消法を探していると、どうやら自分の症状は「腸脛靭帯炎」ではないかと気が付きました。
これを解消するためには、痛みの患部であるひざではなく、太もも外側の筋肉のこわばりを広範囲にほぐすことが有効だと知りました。とある動画で紹介していたとおり、硬い筒状の物体、またはゴルフボールや野球の硬球などの「硬くて丸い物体」を太ももの外側に当て、やや強く押しながら転がし、広範囲にマッサージしてみると、鈍痛(場合によっては激痛)を感じる個所があることがわかります。
右足を外側から見た本図で、赤い部分が腸脛靱帯です。お尻の筋肉からつながるこの靱帯の柔軟性が失われることで、ジョギング時にひざの外側が痛むことがあります(ジョギング時のひざ痛みのすべてが腸脛靱帯に原因があるわけではありません)
筆者の場合は、太ももの外側の中央部分に、硬い物体で押すと鈍痛を感じる個所がありました。その痛みを感じる部分を中心に、痛みを我慢しながら硬い物体でほぐす動作を続けると、痛みが徐々にやわらいでいくのを実感。「筋膜リリース」と呼ばれるマッサージです。同時に、発症していたひざの外側の痛みも徐々に消えていくではありませんか!
一度発症すると治るまで3〜4日かかっていたのが、太もも外側の押して痛みを覚える個所をほぐすと、1日未満で治るようになりました。その後は1日に1〜2回、太ももの外側のマッサージを続けると、いくら走ってもひざの外側が痛まなくなったのです!(※個人の感想です。症状の緩和・治療にあたっては、必ず医師の診断を受けるようにしてください)
調べてみると、今回の筆者のひざの痛みは関節などに問題があったわけではなく、腰からひざまでつながる靭帯(腸脛靭帯)のこわばりが原因でひざの外側の神経を刺激してしまうとわかりました。太ももの外側に流れる腸脛靭帯をほぐせば、ひざの外側に痛みが生じなくなることを、身をもって実感したのです。
硬くて丸い物体を押した際に痛みを生じる部分がなくなってからは、走ることで生じるひざの外側の痛みは一切出なくなりました。
筆者の場合、最初は野球の硬球で実施していましたが、ちょっと硬すぎて新たな痛みが発症しそうになったので、もう少し弾力のある球体がよいと判断。筒状の「筋膜リリース」用グッズもありますが、より手ごろなボール状がよいと考え、見つけたのがこちら、KOOLSENマッサージボール。
色違いの2個とカバー付き。天然ゴム製なので、工業ゴム的なニオイやベトつきがなく、質感も上場。水洗いできるし、耐久性も問題ありません
これは野球のボールよりひとまわり小さいサイズ(小学生用軟球C球程度)で、密度の高いゴム球という感じ。多少強めに押し付けても怪我をするリスクは低いでしょう
高品質なゴムを高密度で成形したという感じの質感。基本は硬めながら弾力性に富み、身体のどこに当てても違和感を覚えにくいでしょう。
やや強めに押し当てて転がし、痛みを感じる部分があれば、そこを重点的にほぐすイメージです。ヨガマットなどを敷いた上に製品を置き、その上から身体を載せるようにして転がすやり方もありますが、筆者は座りながらできるマッサージだけで十分な効果が得られました
腸脛靭帯は太ももの外側全体に伸びているので、骨盤の下あたりから膝の横まで広範囲に転がしてマッサージ。太もものサイド部分を上下に何度も往復させるイメージで転がします。筆者の場合は「痛気持ちいい」程度に感じる部分が太ももの外側中央部にあり、押した時に感じる鈍痛がなくなると腸脛靭帯炎も完全に解消しました
マッサージをして太もものサイドの痛む個所にピンポイントで押し当て、グリグリするのも効果的。やりすぎると逆に炎症を起こしたり内出血したりするので注意してください。走ることで痛くなる患部、ひざの外側も軽くほぐしてみるとよいでしょう
太もものサイド部分に手で転がしやすいサイズと弾力感なので、個人的にはとても気に入りました。腸脛靭帯炎が解消後も、時々身体の各部を転がしてマッサージしていますが、全身の血行促進効果が得られる感覚もあります。
ジョギングするとひざの外側が痛くなる症状にお悩みの方、これを試してみてもいいのではないかと思います。
(※本稿は筆者の感覚に基づくもので、紹介した製品を使うことで痛みが確実に治ることを保証するものではありません。治療にあたっては、必ず医師の診断を受けるようにしてください)
1973年大阪生まれの自動車ライター。免許取得後に偶然買ったスバル車によりクルマの楽しさに目覚め、新車セールスマンや輸入車ディーラーでの車両回送員、自動車工場での期間工、自動車雑誌の編集部員などを経てフリーライターに。2台の愛車はいずれもスバル・インプレッサのMT車。