近年、健康志向の高まりを受け、リカバリーウェアが人気を集めている。特にコロナ禍以降は、リモートワークの推進により自宅で過ごす時間が長くなったビジネスパーソンも増え、需要が高まり、数多くの“リカバリー”をうたうプロダクトがリリースされた。
リカバリー力は加齢とともに低下すると言われている。若い時と比べて、疲れやすさや疲れの取れにくさを感じて、「リカバリー促進」や「疲労回復」をうたったウェアを手に取ったことがある人も多いのではないだろうか。
また昨今、夏がますます暑くなってきている。夏バテ対策の手段として、リカバリーウェアの存在が気になっている人もいるかもしれない。
トップスは「シックスパッド リカバリーウェア オーバーサイズTシャツ」の「ベージュ」。公式サイト価格は9,900円(税込)。パンツは「シックスパッド リカバリーウェア ハーフパンツ」。公式サイト価格は9,900円(税込)。写真の筆者(178cm/65kg)はLサイズを着用
上記のリカバリーウェアのレビュー記事でも書いてはいるのだが、リカバリーウェアのルールが2022年に整備されたことをおさらいしておきたい。
それまで、遠赤外線による血行促進作用を持つ家庭用製品に該当するものは、一般医療機器のカテゴリーはなかったため、複数の企業が「温熱用パック」として届け出を行い、医療機器として販売していた。しかし、「温熱用パック」は、医家(医者や医療機関)向け医療機器の名称で、家庭用ではなく、一般に向けた広告では認められていないものだ。
消費者の混乱を避けるため、2022年10月に厚生労働省が、医療機関での評価試験が必要な「一般医療機器・家庭用遠赤外線血行促進用衣」の新設を発表。42年ぶりに家庭用医療機器に新たなカテゴリーが誕生した。
物性試験に加え、臨床試験(加工品と未加工品を比較した臨床試験を行い、5%以上の血流量増加を確認する必要がある)が課されるため、一般医療機器対応を見送ったブランドもあったなか、MTGは速やかに臨床試験を行い、「一般医療機器・家庭用遠赤外線血行促進用衣」の基準をクリアした「シックスパッド リカバリーウェア」シリーズをリリース。多くのファン獲得に至っている。
さて、「一般医療機器・家庭用遠赤外線血行促進用衣」は以下のように定義されている。
「遠赤外線の血行促進作用により疲労や筋肉のこり等の症状改善を行うことを目的とした、衣類形状の器具をいう。生地に鉱物等による特殊な加工が施されており、一定程度の遠赤外線を輻射する。上半身用及び下半身用があり、それぞれ少なくとも上腕部および大腿部を被覆する」(厚生労働省「一般的名称『家庭用遠赤外線血行促進用衣』の新設に伴う既存品目等の取扱いについて」から一部を抜粋)
これを受け、「シックスパッド リカバリーウェア」シリーズは、天然鉱石を原料とした高純度セラミック(非金属)を練り込んだ独自の特殊繊維「メディキュレーション(Mediculation)」を採用。着用者から放出される遠赤外線(体温)を輻射(ふくしゃ)することで血行を促進する。
パッケージには「一般医療機器」と表記されている。血行促進や疲労回復といった効果効能がうたえるのは一般医療機器であるがゆえだ
生地は一般的なコットンTシャツと比較すると、厚手で上質感がある
ワンマイルウェアとしても活躍してくれそうなデザイン
ハーフパンツはバックポケットも備えているので普段使いしやすい
今回筆者が試したのは、春夏用モデルとして接触冷感機能をプラスした「オーバーサイズTシャツ」「ポロシャツ」「ハーフパンツ」の3点。接触冷感機能を備えているのはありがたいものの、気になるのはそれによって遠赤外線の輻射機能が低下しないかというところだ。
そこは体感で判断することが難しいと思われたので、MTGに問い合わせてみたところ、接触冷感機能を持たせたものと、通常タイプのものを比較したテストをし、両モデルにおいて「メディキュレーション」による遠赤外線の輻射効果が変わらないことを確認しているという。また、チップなどの練り込みではなく、生地に対する後加工で接触冷感機能を持たせているそうだ。
生地を手で触れると、接触冷感機能によるひんやり感が伝わってくる
生地については、接触冷感機能を持たせていない通常タイプと同様。目付量(織物およびニット生地の単位面積当たりの重さ)も同じく約310g/m2で、「シックスパッド リカバリーウェア」シリーズ特有の上質感を備えている。
通常タイプとも比較したが、手にとった瞬間、着用した瞬間に、これぞ接触冷感というひんやり感があって気持ちがいい。着用し続けていれば、もちろん体温などで温かくなるので、着ていて冷たいなんてことはないのだが、入浴後に身につけるときなどは特に、このひんやり感がありがたい。暑いシーズン、運動後や入浴後は上半身裸で過ごしているという人もいるかもしれないが、着る瞬間がひんやりと気持ちよく、かつリカバリーをうながしてくれるウェアなら着たくなるのではないだろうか。不必要な冷えからも身体を守ってくれるはずだ。
接触冷感機能を搭載した春夏タイプは、「ポロシャツ」がラインアップされている点も魅力。仕事着として襟付きが必須のビジネスパーソンはうれしいはずだ。出勤前にジムでのトレーニングを習慣にしている人や、暑い夏は早朝に走っているというランナーの場合、運動後、この「ポロシャツ」を着て仕事中にリカバリーをうながすといった使い方もできる。
同素材の「シックスパッド リカバリーウェア ポロシャツ」の「ホワイト」。9,900円(税込)
ポロシャツはビジネスシーンでも活躍してくれそうだ。写真の筆者(178cm/65kg)はLサイズを着用
「一般医療機器・家庭用遠赤外線血行促進用衣」は、遠赤外線の血行促進作用による効果・効能がうたえる。以下のようなことも期待できるのが最大の魅力だ。
・血行促進
・疲労回復
・筋肉のハリやコリの緩和
・疲労物質の蓄積抑制
・腰痛や肩こり、関節痛、炎症などの改善
・神経痛や筋肉痛の緩和
夏場はオフィスや電車、バス、カフェなどでクーラーが効きすぎていることがある。屋外と屋内の温度差で自律神経のバランスが乱れたり、長時間クーラーにあたることで体が冷えたりしてしまうことがあるが、遠赤外線の輻射による血行促進は、それらを予防する手段にもなってくれるのではないだろうか(あくまで主観ではあるが)。