たとえば「ガチのハイカーではないが、行楽シーズンには山歩きを楽しんでいる」とか、「友人に誘われて年に数回はキャンプに出かけている」、もしくは「健康目的で自宅近くの低山や河川敷、公園のオフロードを歩いている」など、山にどっぷりというわけでなくとも、定期的にアウトドアでのアクティビティを楽しんでいる人は多いだろう。
カジュアルにアウトドアを楽しむ人にとって、本格的な登山靴はオーバースペックだし、価格的にも手が出しにくい。とはいえ、安全面を考慮すると街用のスニーカーでは心許ない。アウトドアでのアクティビティを楽しむのに十分な機能を備えながら、普段使いもできるシューズが欲しい、と思っている人は案外多いのではないだろうか。
そんな人にぴったりと言えるシューズが、この夏に登場したばかりのTeva(テバ)の新作「トレイルワインダー ロー」だ。
まずはテバの歴史を少々。同ブランドが誕生したのは1984年、つまり2024年の今年で40周年を迎えたことになる。アメリカ・グランドキャニオンの谷底を流れるコロラド川のリバーガイドが、水辺でも脱げないようにビーチサンダルにアンクルストラップを付けたのがブランドの始まりで、スポーツサンダルの歴史はそこからスタートした。1987年には、「ユニバーサルストラップシステム」を開発し、特許を取得。テバはスポーツサンダルの先駆者であり、アクティブなライフスタイルを送る多くの人に愛されているブランドだ。今年6月に発売されたトレイルランニング用サンダル「アベントレイル」が話題になったのも記憶に新しい。
そんなテバが、気軽にアウトドアを楽しむためのシューズとして開発したのが「トレイルワインダー ロー」である。近年、アメリカでは若い世代を中心に、ライト&ファストハイク(Light & Fast Hike)と呼ばれるアクティビティがトレンドになっているという。スポーツジムに行くような気軽な感覚でハイキングに行き、身軽かつ短時間でテンポよく歩くのが特徴で、仲間たちと自然を満喫しながらエクササイズのようにハイキングをすることもあるのだとか。
「トレイルワインダー ロー」は、このライト&ファストハイクを楽しむ人たちのニーズに応えるべく開発されたシューズだ。自然の中で軽快な動きを楽しめるよう、テバが持つアウトドアアクティビティシューズに必要な機能やノウハウを結集。耐久性からトラクション性能、クッション性、軽量性、通気性までバランスよく備えたシューズが誕生した。
2024年7月に発売されたテバ「トレイルワインダー ロー」。カラーは、写真の「カドミウム グリーン/レイン ドラム」のほか、黒ベースの「ブラック/アンスラサイト」、オフホワイトを基調にした「マシュマロ/バーチ」がある。公式サイト価格は19,800円(税込)
何度か低山ハイキングで「トレイルワインダー ロー」を試してみたが、軽量でほどよい反発力があるため、サクサクと歩を進められた。難所と言われるような場所は歩いていないが、草地、砂利道、木道などを歩いている限り、グリップ力は申し分なし。安心して足を預けられた。
反発性を生んでいるのは、「ライトコンフ(LITE-COMF)」ミッドソール。適度なクッション性もあり、快適にトレイルを歩ける。アウトソールには、テバのサンダルでおなじみの「スパイダーラバー」を採用。濡れた路面でも確かなグリップ力を発揮し、耐摩耗性にもすぐれている。
階層型のラグも特徴的。さまざまな地形で高いトラクションを発揮するためのもので、アップダウンをテンポよく進む際も、スムーズに足を運べた。
ライト&ファストハイク用に開発されたというのも頷ける出来映えだ。
よく見るとアウトソールのラグが3層になっている。このラグによってさまざまな路面に対して高いグリップ力を発揮する
クッション性と反発性を両立したテバ独自の「ライトコンフ」ミッドソールを採用
エンジニアドニット製のアッパーは、通気性と速乾性が高く、シューズ内を涼しく快適にキープする。アッパーとシュータンが一体化した構造が採用されているため、足とシューズの一体感があるのも特徴。シューズ内で足がブレる、ハイキング中にシュータンがズレる、といったことが起こりにくいので、長時間の山歩きも快適だろう。ちなみに、アッパーは100%リサイクル素材。近年、アウトドア用のシューズは環境に配慮されたスペックのものが増えているが、そのあたりも時代にマッチしていると言える。
耐久性の向上と足の保護を目的としたトゥガードや、スムーズな脱ぎ履きをアシストするヒールタブを搭載するなど、細部にも気が配られている。
通気性にすぐれたアッパー。蒸し暑い日もシューズ内は快適
足とシューズのフィットを高める構造
公園や河川敷のオフロードを散歩するのにも「トレイルワインダー ロー」は適している。アウトソールのラグが草地、土、砂利の路面をしっかりととらえてくれる。オフロードに不向きなスニーカーで歩くとスリップのリスクが高そうな場所でも、不安なく歩ける。
足元が安心だと、より風景を楽しめるし、スピードを上げてウォーキングをすることも可能だ。
写真の草地+石畳のような路面も快適に歩ける
身軽にテンポよく山歩きをするライト&ファストハイクのために開発されたシューズだけあり、カジュアルにアウトドアを楽しむ際に適したシューズ。日帰りの低山ハイキング、秋の紅葉狩り、キャンプなどをするときに大活躍してくれるはずだ。本格登山となると話は別だが、ちょっとした山でのランニングを含め、ある程度の汎用性があるので、「トレイルワインダー ロー」があれば不意にアウトドアでの遊びに誘われた際、履いていくものに困る、ということもないだろう。
ひんぱんに山に行くわけではないという人ならば、近所の散策をするシューズとして兼用すれば、それほど高い買い物にはならないのではないだろうか。