イベントレポート
トレンドはディスクブレーキ搭載とダートロードも走れる旅仕様

「サイクルモードインターナショナル2016」で見てきたロードバイクの最先端

国内外の自転車ブランドからサイクルグッズの輸入元まで多くの企業が出展する「サイクルモードインターナショナル2016」が、2016年11月4〜6日の期間で開催された。当イベントで圧倒的な数を占めていたのは、ロードバイク。その中でも盛り上がりをみせていたのは、ディスクブレーキを装備したモデルだ。近年、レースでディスクブレーキが解禁される動きもあり欧米を中心に一気に普及が拡大している。また、“旅”をイメージするようなモデルも増えてきている印象。旅向けのロードバイクは以前から存在するが、ディスクブレーキなど最新の装備を搭載し、新たな旅の形を提案している。そんな、ロードバイクの最先端をお届けしよう。

ディスクブレーキは通常のリムブレーキよりも制動力が高く、雨などの影響も受けにくい

ディスクブレーキは通常のリムブレーキよりも制動力が高く、雨などの影響も受けにくい

【cervelo】軽量なディスクブレーキモデルを実現

ディスクブレーキ化にとくに力を入れているように感じられたのは、展示車両のほとんどがディスクブレーキモデルだった「cervelo(サーヴェロ)」。ディスクブレーキはリムブレーキに比べ車体全体の重量が増す傾向にあることが課題であったが、2017年モデル「S3」はリムブレーキ車に比べて40gの軽量化を実現した。もはやディスクブレーキにデメリットはなくなったというのが同社の姿勢であり、トライアスロン用モデル「P5X」にもディスクブレーキを採用している。

いち早くディスクブレーキを搭載したエアロロード「S3」。価格はフレームセットが34万円で、ワイヤレス変速システム「SRAM RED e-Tap」を組み合わせた完成車は120万円となっている

シートポストは扁平化され空気抵抗を最小限に抑える構造。フレーム内部の剛性を最適化することで、ディスクブレーキでありながらリムブレーキモデルよりも軽量な仕上がりとなった

ハンドルも空力性能を高めたエアロロードらしい形状になっている。ケーブルはカーボン製フレームの内部を通す方式

上位グレードに先駆けてディスクブレーキ化された「R3」は、コンポーネントにアルテグラを採用。完成車は72万円となる

トライアスロン向け「P5X」は、さらにエアロ性能を高めた形状となっている。「SRAM RED e-Tap」を組み合わせた完成車で190万円

「P5X」のディスクブレーキシステムはキャリパー部まではワイヤー式となっており、キャリパーで油圧式に変換される

当イベントで世界同時情報解禁された「S5」も注目を集めていた。リムブレーキモデルではあるが、油圧ディスクブレーキへの互換性も持たされている。価格はフレームセットが58万円で、「SRAM RED e-Tap」を組み合わせた完成車は128万円

【SPECIALIZED】レース向けのユニークな振動吸収機構に注目

数多くのレースで輝かしい実績を残し、革新的な機構も積極的に採用する「SPECIALIZED(スペシャライズド)」もディスクブレーキ化に積極的。ブースにはディスクブレーキで制動力を高めるだけでなく、路面からの振動を積極的に吸収する機構を搭載した「S-WORKS ROUBAIX(ルーベ)」シリーズが目立つ位置に展示されていた。このシリーズは石畳を高速で駆け抜ける「パリ〜ルーベ」レース向けに開発されたモデルで、ネーミングもそのレースに由来する。ショックをやわらげるサスペンションのような機構が、フォーク部ではなくフレームとハンドルの間に装備されているのはユニークだ。

シリーズの中でもっともハイグレードな「S-WORKS ROUBAIX DISC」は、SRAM RED eTapコンポーネントを採用。価格は108万円となっている

ハンドル・ステムの付け根にある蛇腹の部分がショックを吸収するユニット。石畳のような凹凸の多い道で絶大な威力を発揮するという

シートポストのしなりで衝撃を最大限に吸収できるように、リアはシートポストをクランプする部分を通常よりかなり下に配置

シートの直下にも衝撃を吸収する素材を用いて、振動吸収性を高めている

シートの直下にも衝撃を吸収する素材を用いて、振動吸収性を高めている

【PINARELLO】幅広いグレードにディスクブレーキを採用

ツール・ド・フランスで最多優勝回数を誇るイタリアの名門メーカー「PINARELLO(ピナレロ)」のブースでも、ディスクブレーキ時代に備えていることを感じさせるラインアップが目立った。トップグレードである「DOGMA(ドグマ) F8」シリーズにはもちろん、サスペンション機構を搭載した「DOGMA K8-S」シリーズ、エントリーグレードである「GAN」シリーズにもディスクブレーキバージョンをラインアップし、多くのユーザーにディスクの恩恵が得られるようにしている。

最高峰のレースでも活躍する「DOGMA F8」シリーズの「DOGMA F8 DISC」は、ディスクブレーキの制動力に合わせてカーボンの積層を変えるなどして剛性を最適化している。フレームセットで61万5000円

ステムと一体となったエアロ形状のハンドルも目を引く。全体に空力と剛性を高めたフレーム設計となっている

ステムと一体となったエアロ形状のハンドルも目を引く。全体に空力と剛性を高めたフレーム設計となっている

完成車価格29万8000円(シマノ・105仕様)の「GAN DISC」にもディスクブレーキを展開する

完成車価格29万8000円(シマノ・105仕様)の「GAN DISC」にもディスクブレーキを展開する

【CANYON】最先端のディスクブレーキモデルもお披露目

店舗を介さずユーザーに直販する販売形態でも知られるドイツの先進メーカー「CANYON(キャニオン)」は、革新的な技術をいち早くとり入れるメーカーだけあり、やはりディスクブレーキ化にも積極的。最先端のレースシーンでテストしているディスクブレーキモデルも展示されていた。市販モデルでは長距離ライド向けの「ENDURACE(エンデュレース)」シリーズにディスクブレーキ装着モデルを展開するほか、エントリー向けのアルミフレームにもディスク対応モデルを用意する。

フレーム重量0.82kgの軽量な「ENDURACE CF SLX 9.9 SL」の完成車価格は77万2000円

フレーム重量0.82kgの軽量な「ENDURACE CF SLX 9.9 SL」の完成車価格は77万2000円

ディスクブレーキにはいくつか規格が存在するが、「ENDURACE CF SLX 9.9 SL」は主流となりつつあるシマノのフラットマウントを採用

レーシングチームの選手によってテストされているディスクブレーキのプロトタイプも参考出展されていた

レーシングチームの選手によってテストされているディスクブレーキのプロトタイプも参考出展されていた

【SPECIALIZED】伝統と新しさを融合させた旅モデル

ここからは、“旅”を全面に打ち出しているロードバイクを紹介する。この旅向けスタイルを提案する代表的な存在がSPECIALIZEDの「Sequoia(セコイア)」だ。フレーム素材には、長距離ライドでの疲労を軽減し、耐久性にもすぐれるため旅向けの自転車に伝統的に用いられてきた「クロモリ」を採用している。といっても、ただ伝統を回顧しただけのモデルではなく、カーボン製のフロントフォークやディスクブレーキ、太めのタイヤといった最新の規格も積極的に盛り込んでいるのがポイント。ディスクブレーキは荷物を積んで長い坂を下る際にも安定した制動力を発揮し、太いタイヤは荒れた道での走破性や衝撃吸収性を高めるなど、“よりラクに遠くまで走れる”ようになった。また、自転車だけでなく、近年世界的に流行しているバイクパッキング(車体に直接バッグなどを取り付けて旅に出ること)向けのバッグなどもラインアップ。

フレームとハンドル、シートピラーなどにバイクパッキング向けのバッグを装着した「sequoia」(本体価格:24万8400円)

クロモリ製のフレームは細身だが、フォークはカーボン製の最新規格で迫力のあるフォルムとなっている

クロモリ製のフレームは細身だが、フォークはカーボン製の最新規格で迫力のあるフォルムとなっている

700×42cという太いタイヤにディスクブレーキを組み合わせた設計は、荒れた道でも走破できる

700×42cという太いタイヤにディスクブレーキを組み合わせた設計は、荒れた道でも走破できる

【MASI】650Bロードプラスのタイヤで走りを自由に!

ユニークな旅スタイルのモデルを展開するのがイタリアブランド「MASI(マジィ)」。“旅向けの自転車”を意味する「ランドナー」という車名を採用したモデルは古典的なランドナーの文脈を踏まえつつ、最新規格のパーツを盛り込んで現代的な解釈を加えたモデルに仕上がっていた。フレームとフォークは細身なクロモリで、タイヤはロードバイクの700Cより直径が少し小さい650B。フェンダーも装着している点は古くからのランドナーのスタイルだが、ブレーキはディスクでタイヤもMTBのように太い「650Bロードプラス」を採用している。650Bロードプラスは直径が700Cと同等なうえに、エアボリュームを大きくすることで振動吸収性と走破性を高めていることからも長距離を走りやすい。また、同ブースには荒れたダートロードを長距離走れる「GIRAMONDO(ジラモンド)」も展示されていた。

クロモリフレームにフェンダーを装備した昔からの流儀沿ったシルエットに、最新規格のパーツを組み合わせた「RANDONNEUR(ランドナー)」(価格:14万9000円)

「650Bロードプラス」と呼ばれる最新規格のタイヤを採用。直径はロードバイクの700Cと同等だが、タイヤが太いため振動吸収性が高く、長旅でも疲れにくい

ブレーキは機械式のディスクで、マウントの規格はMTBなどと同じ方式となっている

ブレーキは機械式のディスクで、マウントの規格はMTBなどと同じ方式となっている

クロモリフレームに未舗装路を走れるタイヤとディスクブレーキを採用した「GIARAMONDO」(価格13万9000円)。「ランドナー」や上で紹介したSPECIALIZEDの「sequoia」よりもオフロードでの走破性を高めたタイヤとジオメトリーを採用している

増谷茂樹

増谷茂樹

カメラなどのデジタル・ガジェットと、クルマ・バイク・自転車などの乗り物を中心に、雑誌やWebで記事を執筆。EVなど電気で動く乗り物が好き。

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