イベントレポート
4K・8K実用放送を盛り上げる2つのイベントをレポート

『新4K8K衛星放送』スタートまであと1年! 業界団体が普及に向けてついに動き出す

2018年の12月1日に”4K・8K実用放送開始”−−BS/CS放送を使った「新4K8K衛星放送」が開始されるちょうど1年前となる12月1日、都内では業界向けのセレモニーとなる「新4K8K衛星放送開始1年前セレモニー」が開催。一般ユーザー向けにもNHKによる「放送開始まであと1年!4K・8Kスーパーハイビジョンパーク」という来場自由のイベントが新宿パークタワーで12月1日から12月3日まで開催されるなど、業界団体が4K・8K実用放送の普及に向けてついに動き出した。

業界団体のA-PABが「新4K8K衛星放送開始1年前セレモニー」を開催

業界団体のA-PABが「新4K8K衛星放送開始1年前セレモニー」を開催

NHKによる「放送開始まであと1年! 4K・8Kスーパーハイビジョンパーク」 は新宿パークタワー3Fで12月1日から3日まで開催されていた

一般社団法人放送サービス高度化推進協会(以下、A-PAB)による「新4K8K衛星放送開始1年前セレモニー」には、総務大臣の野田聖子氏、NHK会長の上田氏、民放連会長の井上氏、JEITA会長の長榮氏、A-PAB理事長の福田氏といった政界、放送、家電業界のトップが集結。

新放送の正式名称『新4K8K衛星放送』も公式に発表され、セレモニーでは「4K8K推進キャラクター」として女優の深田恭子さんが任命された。野田聖子総務大臣から任命状が手渡されたほか、会場では全国の家電量販店やイベントで上映される深田恭子さん出演のPR動画、ディーン・フジオカ氏による応援メッセージも公開された。

放送業界関係者が揃った「新4K8K衛星放送開始1年前セレモニー」

放送業界関係者が揃った「新4K8K衛星放送開始1年前セレモニー」

「4K8K推進キャラクター」に任命された女優の深田恭子さんに、野田聖子総務大臣から任命状が手渡された。

「4K8K推進キャラクター」に任命された女優の深田恭子さんに、野田聖子総務大臣から任命状が手渡された。

司会を努めたフジテレビの秋元優里アナウンサーとミニトークも実施

司会を努めたフジテレビの秋元優里アナウンサーとミニトークも実施

深田恭子さんの出演する4K8KのPR動画も撮影済みの冒頭部分を公開

深田恭子さんの出演する4K8KのPR動画も撮影済みの冒頭部分を公開

セレモニーでは関連団体のトップが登壇。「テレビ放送は1953年にスタートして以来、技術革新の連続。その多くの分野で衛星放送が担ってきた」(A-PAB福田氏)と新放送への期待を語るとともに4Kの知名度は上がってきているが、受信機の対応はまだ330万台程度で、国民的なムーブメントにしていくため一層の支援が必要と課題も語られた。「動画配信、テレビ離れが語れる中でスタートする放送には、4K8Kならではの魅力的なコンテンツの制作が必要」(野田聖子総務大臣)と、放送と行政の立場から4K8K推進への期待が語られた。

A-PAB福田理事長

A-PAB福田理事長

野田聖子総務大臣

野田聖子総務大臣

NHKの上田会長は番組編成について「BS右旋の4Kチャネルは、ベストセレクションチャンネルとして衛星や地上波でよりすぐった番組を4K放送で提供し、週末はチャンネル独自の番組放送も実施する。8Kチャンネルは最高品質の映像と音声を楽しめるフラッグシップ番組という位置付け。来年は8K中継車をヨーロッパに長期派遣し、W杯サッカーや舞台などを撮影する」と番組内容に言及。民放連の井上氏は「4K8Kの放送には、事実上新しい放送局を始めるようなもので大変。高画質になると『見えすぎちゃって困る』という問題もあって、制作陣はどうするか今鋭意努力している途中」と開局に向けて準備を進めていることが語られた。

NHKの上田会長

NHKの上田会長

民放連の井上会長

民放連の井上会長

会場には日本のテレビセットメーカー各社のブースも出展され、12月1日に発売となったシャープの8Kテレビ「AQUOS LC-70X500」を始め、各社4Kテレビも展示されていた。セレモニーのなかでも改めて語られた内容だが、現在発売されている4K/8Kテレビでは受信できないが、来年半ば以降にチューナーの発売が予定されている。一部チャンネルは左旋に対応したアンテナも必要だが、こちらはすでにアンテナメーカーから発売中とのこと。来年12月1日というスケジュールの目標に向け、各社がまさに歩みを進めている段階と言えそうだ。

8K放送試作チューナーによる放送受信のデモンストレーション

8K放送試作チューナーによる放送受信のデモンストレーション

新BS試験放送による4K放送の受信デモンストレーションも行われていた

新BS試験放送による4K放送の受信デモンストレーションも行われていた

すでに発売中の左旋衛星に対応したアンテナも展示

すでに発売中の左旋衛星に対応したアンテナも展示

2018年12月1日にスタートする『新4K8K衛星放送』のチャンネル概要

2018年12月1日にスタートする『新4K8K衛星放送』のチャンネル概要

一般ユーザー人向けに8Kをアピールするイベントとして、NHKの「放送開始まであと1年! 4K・8Kスーパーハイビジョンパーク」も12月1日の14時から12月3日の日程で、東京・新宿のパークタワーホールでスタートしていた。コンパクトな会場内には、8Kの高画質デモンストレーションに加え、8Kの未来的な出展もズラリと並び、誰もが体験できる形となっていた。

パークタワーホールに設けられた「放送開始まであと1年!  4K・8Kスーパーハイビジョンパーク」 の会場

パークタワーホールに設けられた「放送開始まであと1年! 4K・8Kスーパーハイビジョンパーク」 の会場

会場入ってすぐに目に飛び込んでくるのが、「8Kリビングシアター」。近未来の“8Kのある暮らし”をテーマにシート型の110インチ8K有機ELディスプレイと22.2ch音響によるサウンドを体験できるようになっている。

上映コンテンツはNHK制作の8Kコンテンツで、ディーン・フジオカのミュージックビデオ『DoRemi』、『ルーブ 永遠の美』、サッカー『コンフィデ杯決勝 ドイツvsチリ』、『サカナクション・ライブ2017』(いずれも本来の番組からの抜粋)だ。

8K映像が未体験ならいずれも必見だ。個人的には今まで視聴する機会がなかったサカナクションのライブを8K・HDR、そして22.2chスピーカーの最高の環境で観られたのが大満足だった。8K・HDR撮影、そしてライブ会場の明暗は有機ELパネルで観ると映像作品として素晴らしく、半開放のリビング風の環境でも22.2chでライブ会場の臨場感あるサウンドを見事に作り上げていた。なお、ライブのフルバージョン(90分)は8Kスーパーハイビジョンシアターで上映しているが、残念ながら事前申込制ですでに締め切られている。

リビング風の空間に薄型有機ELパネル4枚による110インチと22.2chサウンドを再現

リビング風の空間に薄型有機ELパネル4枚による110インチと22.2chサウンドを再現

4本の8K/HDRコンテンツをダイジェストで上映

4本の8K/HDRコンテンツをダイジェストで上映

もうひとつ紹介したいのが、「8K:VRライド」。すでに国内外のいくつかのイベントで公開されており、半ドーム型スクリーンと8K映像、そして動くシートによるメガネを使わないVR体験とでも呼ぶべきものだ。本イベントでは、サザンオールスターズの同名の楽曲を題材にした「東京VICTORY」が上映中だった。音楽とライドの浮遊感による一体感が非常に素晴らしかった。

サザンオールスターズの「東京VICTORY」を体験

サザンオールスターズの「東京VICTORY」を体験

350インチの大型スクリーンを使用した8Kスーパーハイビジョンシアターでは、「紅白歌合戦ダイジェスト・DRUM TAO・リオ五輪ダイジェスト」(14分)が上映されていた。NHK放送技術研究所の技研公開などではお馴染みのコンテンツだが、実物大以上の巨大スクリーンと8Kの吸い込まれるような奥行き感はまさに圧倒的だった。なお、このほかの上映コンテンツとしては「サカナクション ライブ」 、「2017NHK杯フィギュア 男子・女子シングルフリー」 、 「8K生中継!デュトワ指揮N響演奏会〜ラヴェル没後80年〜」 などがラインアップされているが、こちらは事前申し込みが必要となっていた。

8Kスーパーハイビジョンシアターもイベント会場に設置されていた

8Kスーパーハイビジョンシアターもイベント会場に設置されていた

このほかにも、8Kインタラクティブ(双方向)展示や、タテ型の8Kデジタルサイネージによるディスプレイ展示が行われていたほか、「4K/HDRコンテンツ ショウケース」と題した展示コーナーでは、『ダーウィンが来た』や『忍たま乱太郎』といったNHKで放送中の番組の4K/HDRバージョンの上映も実施されていた。8Kつながりで13.3型の有機ELパネルも公開されるなど、まさに技研公開のミニバージョンといった感じだ。

8Kインタラクティブ(双方向)展示コーナーでは、説明員がその場で映像を拡大して解説するなど、8Kの解像感を実感できるようになっていた

8Kデジタルサイネージの紹介コーナーでは、縦型の8K映像のデモンストレーションが行われていた

8Kデジタルサイネージの紹介コーナーでは、縦型の8K映像のデモンストレーションが行われていた

『ダーウィンが来た』の4K/HDR制作バージョン

『ダーウィンが来た』の4K/HDR制作バージョン

4K/HDRの『忍たま乱太郎』。かなりレアな映像だ

4K/HDRの『忍たま乱太郎』。かなりレアな映像だ

8Kチャンネルの映像デモにはリオ五輪の映像も

8Kチャンネルの映像デモにはリオ五輪の映像も

8K解像度のど〜もくんを使った謎解きの出展も

8K解像度のど〜もくんを使った謎解きの出展も

13.3型の8K有機ELディスプレイ。ルーペで拡大してもドットが見えない超高解像度を実現

13.3型の8K有機ELディスプレイ。ルーペで拡大してもドットが見えない超高解像度を実現

1年後の2018年の12月1日より放送を開始する「新4K8K衛星放送」だが、消費者への浸透はまだまだというのが正直なところ。「4K8K推進キャラクター」として女優の深田恭子さんの任命、そしてNHKによる「放送開始まであと1年! 4K・8Kスーパーハイビジョンパーク」と、業界を挙げて一般への浸透を図る、そんな1年のスタートと言えよう。

折原一也

折原一也

PC系版元の編集職を経て2004年に独立。モノ雑誌やオーディオ・ビジュアルの専門誌をメインフィールドとし、4K・HDRのビジュアルとハイレゾ・ヘッドフォンのオーディオ全般を手がける。2009年より音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員。

紹介した製品の最新価格・クチコミをチェックする
関連記事
ページトップへ戻る