2019年4K液晶テレビのラインアップは、「SM9000P」「SM8600P」「SM8100P」「UM7500P」「UM7100P」の合計5シリーズ9機種。4K液晶モデルもすべての機種で新4K衛星放送チューナー×1と独自のAIプラットフォーム「LG ThinQ AI」を搭載している。
2019年の4K液晶テレビラインアップの概要
4K液晶テレビの中でも上位モデルに位置付けられるのが、「LG nanoCell TV AI」という名称を冠した「SM9000P」「SM8600P」「SM8100P」。1mmの極上粒子を超精密に敷き詰めたLGによる次世代型液晶パネル「Nano Cell Display」を採用したモデルとなる。通常のIPSパネル搭載機種との違いは色純度を向上させる「NanoColor」、直下型LEDバックライトで黒色の再現性を高める「Nano Black」(SM9000のみ)、視野角を広げる「Nano Accuracy」、4.8mmの極薄ベゼル「Nano Bezel」で、一般的なIPSパネルにさまざまな機能を付加した高画質シリーズとなっている。
4K液晶テレビの上位モデルは「LG nanoCell TV」を冠して展開
「LG nanoCell TV」を冠するモデルもシリーズごとに差が付けられており、直下型LED「NanoBlack」を搭載するのは「SM9000P」シリーズのみ、10bitパネル採用と4K/120pのハイフレームレート対応は「SM9000P」シリーズと「SM8600P」シリーズまでとなっている。
なお、高画質エンジンは共通で「α7 Gen2 Intelligent Processor」を搭載。搭載スピーカーは「SM9000P」シリーズと「SM8600P」シリーズがフルレンジ+ウーハーの総合40Wで、「SM8100P」シリーズはフルレンジの40W。いずれもDolbyAtmosの立体音響に対応している。
直下型LEDバックライト搭載の「SM9000P」シリーズ
75型の大画面モデルを展開する「SM8600P」シリーズ
高画質スタンダードモデルの「SM8100P」シリーズ
LG UHD TVで展開される「UM7500P」「UM7100P」は、いずれもIPS液晶パネルに直下型LEDバックライトを組み合わせたモデルだ。サイズ以外の機能的な差分は「UM7500P
」シリーズが2倍速相当の「TrueMotion120」に対応。高画質エンジンは「UM7500P」「UM7100P」ともに「α7 Gen2 Intelligent Processor」を搭載する。なお、搭載スピーカーはどちらもフルレンジによる20Wで、DolbyAtmosにも対応。4K液晶テレビのももっとも安価なシリーズまで立体音響対応は驚きの豪華仕様だ。
4K液晶テレビのスタンダードモデル「UM7500P」シリーズ
4K液晶テレビ入門モデルの「UM7100P」シリーズ
最後に、2019年の有機ELモデル、4K液晶テレビに共通する新機能を紹介していこう。
高画質エンジンとして紹介した「α9 Gen2 Intelligent Processor」「α7 Gen2 Intelligent Processor」を用いて実行される新機能が、AIのディープラーニングを用いた映像とサウンドの最適化だ。
「AI映像」「AI輝度」は、文字通りAIの機能を使って映像を最適化する機能。「AI映像」では、コンテンツのシーンを自動認識してシャープネスやコントラストを、「AI輝度」はコンテンツのシーンと視聴環境の明るさを自動認識して画面全体の輝度を最適化してくれるものだ。会場で行われていたデモンストレーションでは、周囲の明るさに応じて暗く潰れていた階調を引き上げてディテールを見せる、階調のバンディングノイズを消すという高画質処理が映像に応じて自動で働くことを確認できた。
映像シーンと視聴環境の明るさの両方を解析し、画面全体で見やすい輝度を実現する「AI輝度」
「AIサウンド」は、視聴している番組のジャンルを自動的に検出して、映像内容に最適化されたバーチャル5.1chサラウンドを適応する技術だ。AIがオリジナルサウンドの特性を認識して展開する形となっており、実機によるデモンストレーションでは、テレビの画面サイズを大きく超える音空間を展開していた。
映像ジャンルに応じてサラウンドを最適化する「AIサウンド」
音声アシスタントについても、会話形式の音声認識に対応する「LG ThinQ AI」側の機能に加え、出荷時から対応する「Googleアシスタント」、そしてソフトウェアアップデート対応による「Amazon Alexa」と3種類に対応。音声アシスタントの呼び出しはリモコンのマイクボタンを押す方式で、自然言語で話しかける内容をテレビに搭載されている「LG ThinQ AI」が自動解析し、内容に応じて最適な音声アシスタントの中から選択して回答される。
主にテレビ機能に関係する操作は「LG ThinQ AI」側の機能が担当。会話形式のため“スリープタイマーをかけて”と声をかけてメニューを開き、“30分に設定して”で時間設定、“やっぱりオフにして”といったキャンセルまで、会話の文脈を理解した上で設定できる。“映画モードに切り替えて”と声をかけると、映像モード、音声モードを一発で切り替えられるなど、メニューの深い位置にある操作のショートカットとして使えそうだ。いっぽう、“○○の番組を探して”というような番組、“天気予報を教えて”というような情報検索は、Googleアシスタントが立ち上がるようだ。
なお、アップデートで対応する「Amazon Alexa」の呼び出しについては独立して運用され、リモコンのAmazonプライム・ビデオボタン長押しの操作で利用する形になるそうだ。
「LG ThinQ AI」側の音声アシスタント機能では、テレビのメニュー奥にある機能も音声で呼び出せる
テレビのUIについてもAI機能が組み込まれており、AIによるテレビ番組の視聴履歴を活用するレコメンド機能を使えば、いつもサッカー中継を視聴しているユーザーには、サッカー試合のテレビ放送が始まるタイミングに自動メッセージで教えてくれるそうだ。
このほか、テレビの新画面として「ホームダッシュボード」を搭載。入力切り替えや、「OCF」(Open Connectivity Foundation)に準拠したIOT機器もテレビ画面上で管理できるようになる。
テレビのUIにもAIを活用した機能が多数組み込まれた
LGは昨年より世界的にAIプラットフォーム「LG ThinQ AI」を展開しているが、2019年の有機EL、4K液晶テレビは実用的な機能にまでAI機能が拡大していた。“令和”時代のテレビは、新4K衛星放送チューナー搭載とともに、“AIの活用”が本格的なテーマとなりそうだ。