アイリスオーヤマが、かねてよりアナウンスしていたテレビ事業への本格参入を発表した。Wi-Fi環境がなくても音声操作リモコンに話しかけてコントロールできる4K対応液晶テレビ「LUCA」2シリーズ・合計7機種をラインアップし、2019年11月20日より順次発売を開始する。
ユーザーが既存の家電製品に対して抱えるニーズをくみ取った白物家電の開発で、独特の地位を築いてきたアイリスオーヤマだが、ここに来て黒物家電事業も本格的に手がけることとなった。
まずは、そのラインアップをざっとご紹介しよう。新製品はいずれも解像度3840×2160の4K液晶パネルを搭載し、放送受信チューナーは地上/BS/110°デジタルを2基ずつ内蔵する。4K受信チューナーを非搭載とし、機能をシンプル化することで、最大65型サイズでも10万円台(税別)という価格設定を実現した。なお、以下2シリーズの違いはベゼルデザインとスピーカーの設置向きのみで、そのほかの機能はほぼ共通している。
上段がフロントスピーカーモデルで、下段がベゼルレスモデル。そのほか、HDMI端子は3系統(うちひとつがARC対応)を装備し、HDRはHDR10に対応している
・「55UB28VC」(55型)参考価格134,800円(税別)
・「49UB28VC」(49型)参考価格124,800円(税別)
・「43UB28VC」(43型)参考価格104,800円(税別)
ディスプレイ下部にフロント向きのスピーカーを搭載し、迫力のある音声再現を図ったフロントスピーカーモデル。詳細は非公開だが、ユニット自体も新しいものを開発したという。出力は10W+10W。3サイズをラインアップ
・「65UB28VC」(65型)参考価格188,000円(税別)
・「55UB28VC」(55型)参考価格128,000円(税別)
・「49UB28VC」(49型)参考価格118,000円(税別)
・「43UB28VC」(43型)参考価格99,800円(税別)
約1mm幅のフレームを採用することで、すっきりとしたデザインを実現したベゼルレスモデル。こちらは65型から43型まで4サイズを揃える
以前より同社では、テレビ製品の開発自体は行っており、これまでホームセンター等でテスト販売を行ってきた。そこで得られた知見を元にブラッシュアップしたのが、上述の2シリーズとなる。
特徴的なのは、4K受信チューナーやWi-Fi機能を非搭載とするなど、スペックをシンプル化したこと。それでいて、特別な設定なしですぐに使える「音声操作リモコン」が付属しており、簡単な音声操作には対応している。
こちらが「音声操作リモコン」。写真の通り、電源は必要だが付属のブラケットを使って壁かけ設置もできるように工夫されている。通信範囲は約7mとのこと
白くてコンパクトなので、インテリアにもなじみやすい
この「音声操作リモコン」を室内の任意の場所に設置し、その電源を入れるだけで、テレビの音声操作が可能となる。起動ワードは「ねえ、るか」または「るか、てれび」。高性能の音声認識回路とマイクが内蔵されており、聞き取った指示内容を赤外線コードに変換して、その信号をテレビに送る仕組みとなる。音声操作ワードは、「おんりょうあっぷ」「いちちゃん」など、あらかじめ決められた27種類にのみ対応。ネットワーク接続しないので、機能のアップデート等は行われない。
いわゆる普通の赤外線リモコンと同じで、テレビとの通信設定なども不要となる。Wi-Fiやスマホなどから特別な設定をせず、すぐに使えるのがポイントだ。
こちらがあらかじめ設定された27種類の操作ワード。起床直後や酔っ払っているときなどの普段とは異なる声色や、少々のイントネーションの差などはカバーできるように開発されているという。起動ワードの「ねえ、るか」「るか、てれび」を聞き取ると自動でテレビの音量を下げる仕組みになっていて誤認識も防ぐ
以下は、実際にテレビを音声操作している動画。
近年、テレビは4Kが当たり前の時代になり、インターネットにもつながって高機能化が加速している。しかし一般ユーザーの中には、「4Kの大画面でテレビを見たいけれど、高価だし使いこなしが難しそう」と思う方も少なくないだろう。今回アイリスオーヤマが発表した新モデルは、そんな「4Kテレビは難しそう」と思う方にとってちょうどいいテレビと言えそうだ。使い始めの地域登録以外に特別なことをしなくてよいのは楽だし、65型でも10万円台(税別)で買えるコストパフォーマンスの高さも魅力と言える。なお、同社は2020年春に、4Kチューナー搭載のテレビ上位機を発売予定ともアナウンス。これからのテレビ事業展開にますます注目したい。