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2019年の映像機器は4K放送対応が一段落。プロジェクターは映像配信対応で一発逆転!?

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プロジェクターは「popIn Aladdin」と「Nebula」シリーズの大ブームにエプソンが反撃開始!?

2019年はプロジェクターの隠れた当たり年だった。なかでも頻繁に話題にあがったモデルが、照明用のシーリングに設置する「popIn Aladdin」(2018年11月発売)と、Ankerのモバイルプロジェクター「Nebula」シリーズ。最新モデルを例にあげると「Nebula Capsule II」(2019年5月発売)だ。

シーリングライトとプロジェクターが一体化した「popIn Aladdin」。通常の天井シーリングから電源を供給でき、プロジェクターの設置問題を解決する製品として人気を博した

世界初のAndroid TV搭載モバイルプロジェクターとして登場したAnkerの「Nebula Capsule II」。本体にバッテリーを内蔵しており、電源確保が難しい場所で使えるのもポイントだ

ブームはモバイルプロジェクター、という訳ではない。「popIn Aladdin」は天井設置なので、分類上はホームプロジェクター。重要なことは従来の分類でホームかモバイルかではなく、スマホ連携でもない。Wi-Fiを一体化し、NetflixやYouTubeをはじめとした映像配信をワンボディで視聴できるプロジェクターが、ものすごい勢いで存在感を高めている。

2019年を通して雑誌取材などで「popIn Aladdin」とAnker「Nebula」シリーズ(Nebulaは現行で5機種ある)を相当使ったが、画質はHDクラスでそこそこ(機種毎に明るさが違う)で、設置もラク。Wi-Fi接続すればすぐにNetflixやAmazonプライム・ビデオを視聴できるというのは本当に快適だった。設置やら再生ソース機器の接続やら設定やら面倒をまとめてすっ飛ばせるようになったことで、超大画面と非日常体験というプロジェクターの価値が広まり始めたのだろう。『Anker「Neblula」シリーズが小さな子供のいるママ友の間で話題』なんて話を今年に入って複数回耳にしているのだから、本当に今までにない層に響き始めたものだなと実感する。

いっぽう、高画質なホームシアタープロジェクターを手がけるメーカーも指をくえて見ていた訳ではない。エプソンが5月に発売した「EF-100」は老舗の本気を感じるモデル。スティック型端末(FireTV Stick、及びエプソン純正のAndrod TVスティック)を本体に取り付けたままケースを閉じられて、実質Wi-Fi内蔵で天井吊り設置もできてしまうという設計だ。同じくエプソンの「EH-LS500」(12月発売のはずだったが、発売延期)は4K/HDRで壁に近づけて設置できる超短焦点設計で、これもスティック端末を本体に内蔵し、壁に向かって100型クラスの大画面を手軽に投写できる。流行りを全部入れたイイトコ取りをしたモデルとして注目だ。

エプソン「EF-100」は、本体にFireTV Stickや純正のAndrod TVスティックといったスティック型端末を格納できるユニークなプロジェクター。縦置きにも対応し、天井投写を簡単にできるのもポイントだ

4K解像度に対応した超短焦点レーザープロジェクター「EH-LS500」。レーザー光源や開口率を広く確保したパネルの採用などにより、明るいリビングでも高画質な映像を楽しめる。30万円切りの価格も魅力的だ

ほかにも「スマートプロジェクター」と呼ばれるようなWi-Fi連携対応機種も多数登場した。注目ブランドはLGエレクトロニクスで、ホームシアター志向では「HF80LS」、超短焦点では「HF85LS」あたりに注目だ。また、BenQがスマートプロジェクターとして発表した「GV1」「EH600」「EW600」、超短焦点の「EW800ST」なども見逃せないモデルだ。ただし、これらは映像配信に直接アクセスする訳ではなく、スマホ・PCと連携してミラーリングをするためのアイテムという点は注意したい。

BenQのモバイルプロジェクター「GV1」。設置した後に投写角度を調整できる首振り機能も備える

BenQのモバイルプロジェクター「GV1」。設置した後に投写角度を調整できる首振り機能も備える

スタンダードな4K/HDR対応という高画質志向のホームプロジェクターでは、高コスパなBenQ「CinePrime HT3550」や、少し高価だが対抗モデル「EH-TW7100」などがヒットした。超ハイエンドでは1月にJVCから8Kプロジェクー「DLA-V9R」も登場しているが、ここは変らず愛好家の世界だ。

JVC「DLA-V9R」。世界初の民生用8Kプロジェクターというスペックはもちろん、200万円(税別)という価格でも大きな話題を呼んだ

映像配信が普及しても、スポーツはライブで見たい!

薄型テレビやレコーダーは、2019年振り返りという企画主旨だったので、4K放送の普及と4Kチューナー搭載をもっとも大きなトピックとしたが、裏のテーマはやはり映像配信の存在感の高まりだ。

2019年は、国内メーカー各社の薄型テレビのリモコンにNetflixボタン以外の映像配信アクセス専用のボタンが付いて映像配信の対応が本格化したし、テレビの新機種を購入しないという人も「FireTV Stick」は使っている、というケースも増えてきた。

テレビのリモコンに動画配信サービスのボタンが並ぶのは、もはや当たり前になりつつある

テレビのリモコンに動画配信サービスのボタンが並ぶのは、もはや当たり前になりつつある

映像配信サービスを見渡すと、Netflix、Amazonプライム・ビデオは絶好調だし、11月には「Apple TV+」もスタートと話題には事欠かない。映画や海外ドラマの多くはWi-Fi経由でアクセスする映像配信で済むようになり始め、DVD/BD/UltraHD Blu-rayといったディスクメディアの存在感はかなり薄らいできた。僕は高画質にこだわるし、結局手元に置きたい作品は今後ともUltraHD Blu-rayを購入するだろうが、より趣味のアイテムという意味合いを強めていくことになるだろう。

「Apple TV+」が日本で本格的なサービスを開始するなど、今年も動画配信サービス周りは非常に活発な動きが続いた

最後に、日本のテレビ放送について触れておこう。2019年はラグビーW杯が4Kで放送されて盛り上がったことはご存じの通り。“キラーコンテンツは4K”という放送局サイドの頑張りも感じられた。

2020年も大型スポーツイベントは控えており、ライブ中継はNHK・民放各局の放送メインなので、せっかくなら4K放送(できれば8K放送)の高画質で観戦しようというところに行き着く。スポーツを見るためにテレビを買い替えるなんて時代ではないかもしれないが、“10年前にエコポイント目当てで買った地デジテレビを新調する”くらいは検討してもいい頃合いなのかもしれない。

折原一也
Writer
折原一也
オーディオ&ビジュアルライター/AV評論家。「オリチャンネル」主催。IT系出版の編集者出身で、2004年に独立後はモノ雑誌やオーディオ・ビジュアル専門誌で活動。2009年より音元出版主催のVGP審査員。画質・音質にこだわるAV評論家ではあるが、ライフスタイルになじむ製品、コスパにすぐれた製品を評価する庶民派。2022年に立ち上げたYouTubeチャンネル「オリチャンネル」では、取材メディアの人間として一次情報の発信、検証と測定データに基づくレビューなど独自の発信も行っている。最近のマイブームはAI全般。
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遠山俊介(編集部)
Editor
遠山俊介(編集部)
2008年カカクコムに入社、AV家電とガジェット系の記事を主に担当。ポータブルオーディオ沼にはまり、家にあるイヤホン・ヘッドホンコレクションは100オーバーに。最近はゲーム好きが高じて、ゲーミングヘッドセットにも手を出している。家電製品総合アドバイザー資格所有。
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