選び方・特集
窓や照明の位置にも配慮しよう

4Kテレビの適正インチ数と視聴距離を解説! 部屋に合わせたテレビ設置のコツ


2020年は、地上アナログ波から地上デジタル波(地デジ)への完全移行(2011年)を前にした地デジ特需からちょうど10年にあたる。そろそろテレビの買い換えを、と考えている人が多いのに加えて、五輪大会の開催も予定されており、「世紀のテレビ買い替え年」になる見込み……、だった。テレビメーカー各社は自信作を多数企画し、さらに中国大手メーカーの本格参入や新興メーカーの加勢で市場はヒートアップするはず……だった。

しかしながら周知の通り、五輪大会は開始目前で延期に。今やテレビは供給過剰気味だ。全く歓迎すべき事態ではないが、元々テレビの購入を予定していた人にとっては、多くのモデルが選び放題で値ごろ感も増し、買いどきが来ているとも言えるだろう。

そこで今回は、今買いどきのテレビを選ぶポイントとして、ホームシアターの専門家目線で提唱したい「部屋の広さに応じた画面サイズの選び方」をご紹介する。さらに、テレビでよりよい映像体験を実現するための設置位置や照明の整え方なども含めた「テレビ設置時のコツ」も解説しよう。室内によりよいテレビ設置場所を見つけ、そのスペースに合う1台を見つけることも大切だ。

最新の4Kテレビトレンド

というわけで、本題に入る前に最新の4Kテレビトレンドをざっと見ていこう。2020年夏市場での注目ポイントは大きく2つある。

▼トレンドその1:65〜75インチ液晶テレビの低価格化

まずは、75インチ液晶テレビの激安化。なんとソニー、東芝、LG、ハイセンスといった大手メーカーの製品が20万円台で手に入るようになっている。去年は、65インチまでが1インチ=3,000円程度の感覚だったが、それ以上になると一気に割高になっていた。しかしこの夏は、75インチでも製品を選べば1インチ=3,000円程度の計算が成立して割高感が解消。大画面派には朗報と言えるだろう。また、同時に65インチクラスの製品もモノによっては13万円台から購入可能になっており、買い得感が上がっている。

ハイセンスの75インチ4Kテレビ「75U8F」は、価格.com最安価格217,800円(税込。2020年6月19日時点)

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▼トレンドその2:48インチの有機ELテレビが登場

もうひとつは「有機ELテレビ」の小型化だ。元々、有機ELタイプは画質重視派に人気であったが、近年は一般認知度も高まってきた。黒が引き締まって高コントラストかつピュアなその発色は、平凡な風景を映しているだけのシーンであっても美しくて、思わず見入ってしまうことがある。しかし、今までは画面サイズが55インチ以上しか存在せず、この時点で選択肢から外さざるを得なかった人も多いことだろう。

ところがここにきて状況が一転。今年はLG、ソニー、東芝から48インチクラスの4K/HDR対応有機ELテレビが登場した。小型になった分、価格も手に届きやすくなっている。地デジ化の際に32〜40インチクラスの2Kテレビを購入したユーザーにとっては、48インチであればサイズ感や使用感の面でもギャップが少ないはずで、注目すべき選択肢になった。

LGエレクトロニクスの48インチ有機ELテレビ「OLED48CXPJA」。価格.com最安価格は198,000円(税込。2020年6月19日時点)

ホームシアターの専門家が断言する、本当の「適正画面サイズ」

さて、そんな「買いどき」のテレビを選ぶとき、まず考えるのは画面サイズをどうするかだろう。ここからは、部屋に合わせたテレビの適正画面サイズと視聴距離について解説したい。

メーカーや販売店では、「4Kテレビの最適視聴距離は、画面の高さの1.5倍」と表示しているケースが多い。これを75インチにあてはめると、画面の高さは約94cmなので、「視聴距離は1.4mあればOK」「おおっ、4畳半でもギリギリ置ける?」と思いがちだが、これは危険である。

「画面の高さの1.5倍」の根拠は、視力1.0のヒトが画素を認識できなくなるとされる最短距離。あながち嘘ではないのだが、あくまでも「最短」であることに注意が必要だ。

実際に1.4mの距離で75インチの映像を見ると、注意深く作り込まれた映画作品は没入感が得られて好都合なケースもあるが、放送番組ではカメラの動きや被写体の動きの激しさによって目が疲れることが多い。体質によっては乗り物酔いに似た「動画酔い」を引き起こす可能性もあり、決して「最適」とは言えない。

結論から言えば、「適正画面サイズ」は「視聴距離」から導き出されるべきだ。日本オーディオ協会が提案する「ホームシアター映像 調整・環境ガイドライン(PDF)」をもとに算出すると、画面サイズごとの推奨視聴距離(目安中心値)は、以下の通りとなる。

注)画面高は計算値です。実際の画面サイズは製品により多少異なります

注)画面高は計算値です。実際の画面サイズは製品により多少異なります

表を見るとおわかりいただけると思うが、画一的に「X倍」ではなく、画面サイズが大きくなるにしたがって数値が小さくなっている。この表では75インチが3.7倍と最も倍率が低いが、それでも「1.5倍」よりはかなり「長い視聴距離」が推奨されていることにご留意いただきたい。

イメージしやすいよう、部屋の広さと画面サイズの適正な関係を整理すると以下のようになる。なお、部屋のサイズと視聴距離は必ずしも一致しないので、あくまでも「目安」と考えてほしい。テレビを購入するなら、最終決定の前にまず実際の視聴距離を確認し、その後に適正画面サイズを選択することをおすすめしたい。

加えて、視界に占める最適な映像サイズは、個人差や好みも無視できない。たとえば上記を基準に、映画館で最前列に座る派なら大きめ、最後列派なら小さめと、各人にあった検討を加味し、後悔のない画面サイズ選びに役立てたい。

好みや個人差で、前後(3〜5倍)で視聴位置の検討を。映画など、視聴コンテンツに合わせて近接するといい

好みや個人差で、前後(3〜5倍)で視聴位置の検討を。映画など、視聴コンテンツに合わせて近接するといい

なお、大きめの画面サイズを選ぶときは、視聴ポイント後方に余裕を持ってスペースを確保しておくことが大切。いざ映像を見て「大き過ぎる」という場合、後ろに下がって視聴距離を長く取るためだ。

たとえば「画面の高さ×1.5倍」に従うと、4畳半間に75インチが置けてしまう計算だが、実際に設置して「大き過ぎる」と感じたとき、後ろが壁だと下がりようがない。大画面は魅力だが、こうした失敗はないよう、くれぐれもご注意を。

部屋の大きさ別・4K対応テレビの製品例

以下、「部屋の大きさ」に応じた4Kチューナー内蔵「最新4K対応テレビ」の製品例を紹介しよう。

<6畳縦/8畳(2.5m)の製品例>

▼40インチ シャープ「AQUOS 4T-C40CL1」

4K画像処理エンジン「Medalist S1」を装備した2020年6月発売の最新モデル。衛星4Kチューナー内蔵でお手軽価格

▼48インチ 東芝「REGZA 48X9400」

最新最上位ラインX9400の48インチ有機EL。「ダブルレグザエンジン Cloud PRO」を搭載し、あらゆる映像を高画質化。プレミアムコンパクト派にお勧め

<10畳(3.0m)の製品例>

▼55インチ ソニー「BRAVIA KJ-55A8H」

基礎画質性能の高さが自慢のBRAVIA最新有機EL。高画質で定評のある映像エンジンを搭載するほか、衛星4Kチューナーを2基内蔵し、外付けHDDを追加すれば裏番組の録画も可能と機能も充実

▼65インチ ハイセンス「65U8F」

日中でも明るく力強い大画面映像が楽しめる液晶モデル。東芝の映像技術を引き継ぐ高画質と、中国メーカーならではのコスト競争力を発揮し、コストパフォーマンスの高さは圧倒的

<12畳(3.6m)の製品例>

▼65インチ パナソニック「VIERA TH-65GZ2000」

独自のパネル構造で有機ELテレビ最高峰のピーク輝度を実現。高コントラストで煌めきを感じる映像美が魂を揺さぶる。豪華なスピーカーシステムを搭載し、立体的な表現が可能なDolby Atmosもより効果的に再現

▼75インチ ソニー「BRAVIA KJ-75X8000H」

ソニーブランドの最新75インチ液晶がお手頃価格で手に入る! もちろん衛星4Kチューナー内蔵で、各種ネット配信に対応するなど機能も充実

<12畳以上(4.0m以上)の製品例>

▼77インチ LGエレクトロニクス「OLED77W9PJA」

パネルが極薄という有機の特長を生かし、壁張り可能なユニークモデル。壁面に貼り付けると視聴距離を稼げるので、限られたスペースでより大画面を求める層にも適する

▼85インチ ソニー「BRAVIA KJ-85X9500G」

直下型LEDバックライトを搭載した高輝度液晶モデル。「X-Wide Angle(エックス ワイド アングル)」機能を搭載し、液晶テレビの弱点のひとつである「視野角特性」を大幅に改善。大画面の隅々まで鮮明で、斜めから見ても美しさの変わらない高画質モデル

▼88インチ LGエレクトロニクス「OLED88ZXPJA」

8K解像度の超高精細有機ELパネル搭載モデル。8Kチューナーは非搭載だが、最新のHDMI規格に対応し、ケーブル1本で外付けチューナーと接続が可能

テレビ設置レイアウトのコツ! 見やすくて疲れない高画質再生へ

続いては、実際にテレビを室内に設置するときのコツについて解説しよう。テレビの映像は光だ。映像の見え方は周囲の光に大きく左右される。室内のどこに設置するか、少しの工夫でテレビが見やすく、疲れにくく、また画質力をより引き出すことができるので、ぜひご参考いただきたい。設置位置によって、導入できるテレビの画面サイズが決まってしまうこともあるので、購入前の場所決めにも役立ててほしい。

▼コツ1:開口部を視聴者の背にしないように

日中、画面に外の風景や光が映り込むと、映像が見づらくなる。映り込みを避けるには、開口部に対してテレビが対面せず、直角になるのが望ましい。また、日中の明るい部屋で視聴する時間が長いなら、映像が明るい液晶タイプが有利だ。

テレビの向かい側に窓があると、映り込みしやすくなってしまう。テレビ画面に対して直角に窓がある配置がよい。テレビの背面側を窓とする配置もアリだが、昼間は視聴者の正面から光が入ってくることで画面のほうを向きづらくならないよう注意

▼コツ2:目線の高さが最適。視聴者が画面を見上げないように

画面が高い位置、あるいは視聴者の位置が低すぎると、天井照明が画面に映り込んでしまう。ちなみに、理想は画面の中央と目線が同じ高さになることで、ここから±10°以内に収まるのが望ましい。液晶タイプでは、表面に映り込みを低減するフィルターを備えたモデルも多い。

視聴者が画面を見上げないように、設置位置と視聴位置を工夫しよう

視聴者が画面を見上げないように、設置位置と視聴位置を工夫しよう

▼コツ3:視聴者の背後に照明を設置しない

視聴者の背後に照明があると、画面に映り込んでしまう。環境的に照明が必要な場合は、間接照明を利用して天井やテレビ後背の壁面を照らすようにするとよい。

テレビの真向かいに照明があると、映り込んでしまって画面が見えにくくなる。天井やテレビ背面の壁を照らすように間接照明を置くのもよい

なお、そうした用途に適したシーリングライトなどもあるので、こだわるのであれば、こうしたものを利用するのもいいだろう。

「AIR PANEL LED THE SOUND HH-XCF1203A」(パナソニック)を利用して、写真のようにパネル部分のみを発光させると、天井とテレビ側の壁面が照らされて視界が広がり、映り込みを抑えつつ、疲れにくく快適な視聴が可能に

さいごに

映像を観たときの感動は、画面の大きさと比例すると言っても過言ではない。好きな俳優やアーティストを、より大きく映し出したいのもファンの心情。この記事を参考に、「無理のない範囲」で、超大画面テレビ視聴にチャレンジしてほしい。スペースに余裕を持ったテレビ設置を心がけつつ、ここ1番は画面に近寄って「かぶりつき視聴」するというスタイルがおすすめ。4Kテレビ、さらに高精細な8Kテレビを活用して、より豊かな映像のある暮らしを楽しもう!

鴻池賢三

鴻池賢三

オーディオ・ビジュアル評論家として活躍する傍ら、スマート家電グランプリ(KGP)審査員、家電製品総合アドバイザーの肩書きを持ち、家電の賢い選び方&使いこなし術を発信中。

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