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B&W初のDolby Atmosイネーブルドスピーカー搭載サウンドバー「Panorama 3」 登場

イギリスの高級スピーカーブランドであるBowers & Wilkins(以下、B&W)より、新製品のサウンドバー「Panorama 3」が発表された。発売は2022年5月下旬予定で、メーカー希望小売価格は159,500円(税込)。オーディオファンにおなじみの名門ブランドから登場したハイグレードラインのワンボディ型サウンドバーについて、その特徴を紹介していこう。

3代目で大きくブラッシュアップしたPanoramaシリーズ

B&Wと言えば、コンピューター解析によってユニットやパーツを研究開発し、スピーカー製造に生かしてきたブランド。オーソドックスなHi-Fi用のスピーカーはもちろん、ヘッドホン/イヤホンなどの開発も行っており、その製品ラインアップは多岐にわたる。2022年に入ってからも、アレクサ対応に進化したアクティブスピーカー「Zeppelin」や、ネットワーク対応のワイヤレススピーカー「Formation Suite」シリーズなどが発売されて話題になっている。

今回発表されたPanorama 3は、そんなB&Wが手がけるサウンドバー「Panorama」(パノラマ)シリーズの3代目となる製品。同時に、同社初のDolby Atmosイネーブルドスピーカー搭載サウンドバーとして開発された。

こちらがPanorama 3。本体サイズは1210(幅)×65(高さ)×140(奥行)mm

こちらがPanorama 3。本体サイズは1210(幅)×65(高さ)×140(奥行)mm

先にシリーズの流れを振り返ると、1代目の「Panorama 1」が登場したのは2009年で、当時の価格で22万円という高級モデルだった。また、日本での取り扱いはなかったが、2013年には2代目の「Panorama 2」が製品化されている。

つまり、シリーズとして新モデルが出るのがそもそも9年ぶりであり、さらに日本市場でのPanoramaシリーズという目線で見ると、実に13年ぶりに後継モデルが発売される形となる。「ワンボディ型のオールインワンサウンドバーで、迫力のシネマサウンドを実現する」という基本の製品思想は初代から継承。そのうえでPanorama 3は、2022年モデルとして仕様や機能性、そしてデザインまで大きくブラッシュアップしているのが特徴だ。

Panorama 1とPanorama 2は、ともにフロントサイドが流線型になっているフォルムが印象的だった。対して新モデルのPanorama 3は、直線的なデザインの薄型ボディに変更されている。本体エンクロージャーは、ファブリック、パンチングメタル、ガラス等のマテリアルを組み合わせてスタイリッシュに構成。ちなみにPanorama(パノラマ)というシリーズ名称は、映画のワイドスクリーン・フォーマットである「パナビジョン」と「シネラマ」を組み合わせたもの。映画産業の黄金時代を象徴する2種類のフォーマットへのリスペクトを表している

Panorama 1とPanorama 2は、ともにフロントサイドが流線型になっているフォルムが印象的だった。対して新モデルのPanorama 3は、直線的なデザインの薄型ボディに変更されている。本体エンクロージャーは、ファブリック、パンチングメタル、ガラス等のマテリアルを組み合わせてスタイリッシュに構成。ちなみにPanorama(パノラマ)というシリーズ名称は、映画のワイドスクリーン・フォーマットである「パナビジョン」と「シネラマ」を組み合わせたもの。映画産業の黄金時代を象徴する2種類のフォーマットへのリスペクトを表している

基本スペックをチェック! Dolby Atmos、Wi-Fi、Bluetoothに対応

それでは、Panorama 3のスペックをチェックしていこう。上述の通り、本機は本体にサブウーハーを内蔵するシンプルなワンボディ型のモデルとなる。なおHDMIポートは、eARC/ARC対応の出力1系統のみを搭載し、入力は非搭載。つまり、基本的にはテレビとシンプルに接続しての使用を想定しているのが特徴的だ。

eARC対応のHDMI出力ポートのほか、光デジタル入力も装備するので、外部入力がまったくないわけではない

eARC対応のHDMI出力ポートのほか、光デジタル入力も装備するので、外部入力がまったくないわけではない

対応する音声フォーマットは、Dolby Atmos/ドルビーTrueHD/Dolby Digital Plus/リニアPCM。立体音響やロスレスオーディオに対応する高品位仕様となっている。そのほか、Bluetooth経由での音声再生にも対応しており、コーデックはSBC/AACに加えてaptX Adaptive(最大48kHz/24bit)もサポートする。

また、Wi-Fi接続にも対応しており、アップルの「AirPlay 2」のほか、「Spotify Connect」や「Amazon Music(Alexa Cast)」にも準拠。「Deezer」「SoundCloud」「TuneIn」などの音楽配信サービスも利用可能だ。ネットワーク経由で、最大96kHz/24bitまでのハイレゾ再生も行える。ただ、発売時点で国内のハイレゾ対応配信サービスには非対応のため、配信で音楽再生する場合のフォーマットはDeezerの44.1kHz/16bitが最大となる。

Dolby Atmosイネーブルドスピーカー搭載! 13基ユニットの3.1.2ch構成

スピーカーユニットは、合計13基を内蔵する3.1.2ch構成としている。まず大きな特徴は、上向きにサウンドを放射するDolby Atmosイネーブルドスピーカーを備えていること。エンクロージャーの上部に2基の50mmドライブユニットが配置されている。

また、2基の50mmグラスファイバー・ミッドレンジ・ドライバー+1基の19mmチタンドームツイーターのセットを、センターおよびフロントL/Rそれぞれ(合計3か所)に搭載。さらに、左右に1基ずつ100mmサブウーハーを内蔵する。これらのユニットを、合計400W出力のクラスDアンプで駆動する設計だ。

一般的に、サウンドバーは薄型ボディで音圧を確保するために楕円形ユニットを搭載することが多いが、Panorama 3に搭載されるユニットはすべて真円型で早い信号が入力された際のピストンモーションにもしっかり対応する。ちなみにウーハー部は密閉型を採用。エンクロージャー容積の大部分を占める空気室を配置することで、内蔵サブウーハーで深く伸びやかな低音を実現する設計としている

一般的に、サウンドバーは薄型ボディで音圧を確保するために楕円形ユニットを搭載することが多いが、Panorama 3に搭載されるユニットはすべて真円型で早い信号が入力された際のピストンモーションにもしっかり対応する。ちなみにウーハー部は密閉型を採用。エンクロージャー容積の大部分を占める空気室を配置することで、内蔵サブウーハーで深く伸びやかな低音を実現する設計としている

本体を上から見ると、パンチングメタルごしにサブウーハーとDolby Atmosイネーブルドスピーカーが配置されているのがわかる

本体を上から見ると、パンチングメタルごしにサブウーハーとDolby Atmosイネーブルドスピーカーが配置されているのがわかる

各スピーカーユニットから放出される音のイメージ

各スピーカーユニットから放出される音のイメージ

ちなみに操作や本体の初期設定については、特に専用のリモコン等は付属せず、基本的にB&Wが提供するアプリ「Bowers & Wilkins Music」から行う形となる。このアプリから、上述のDeezerやSoundCloud、TuneInなどの音楽配信サービスをシームレスに利用可能。本アプリで利用可能なサービスは、順次追加されていく予定とのこと。

天面のガラスパネルに手をかざすと、静電型でふわっと操作パネルが現れるようになっており、一応こちらからも操作は可能。しかし、必要最低限のインターフェイス(再生、一時停止、音量調整)となっているため、基本はアプリからの操作が推奨される

天面のガラスパネルは静電型で、手をかざすとふわっと操作パネルが現れるようになっており、一応こちらからも操作は可能。しかし、必要最低限のインターフェイス(再生、一時停止、音量調整)となっているため、基本はアプリからの操作が推奨される

サウンドモード設定はなし! サウンドバーにお任せ再生

そしてPanorama 3で特徴的なのが、一般的なサウンドバーによくある「映画」「音楽」などのサウンドモードを一切搭載していないことだ。入力される音声信号に合わせて、B&Wのチューニングによる最適なサウンド再生を行う1台として開発されている。ルームチューニング機能等も特にない。つまりユーザーが使用する際は、Panorama 3をテレビとHDMI接続して電源を入れたら、アプリで入力切り替え操作を行うだけで、あとはすべてPanorama 3にお任せとなる。

60インチクラスのテレビと組み合わせてしっくり来るサイズ感

60インチクラスのテレビと組み合わせてしっくり来るサイズ感

高さ65mmのスリムなエンクロージャーで、テレビの前に設置しても画面を遮りにくい。テレビとの接続は、ARC/eARC対応のテレビとHDMIケーブルでつなぐだけ。もちろんHDMI-CECにも準拠しているので、テレビとPanorama 3の電源オン/オフや音量操作を連動させられる

高さ65mmのスリムなエンクロージャーで、テレビの前に設置しても画面を遮りにくい。テレビとの接続は、ARC/eARC対応のテレビとHDMIケーブルでつなぐだけ。もちろんHDMI-CECにも準拠しているので、テレビとPanorama 3の電源オン/オフや音量操作を連動させられる

なお、5.1chおよび7.1ch音声の入力時には、アップミックスされてDolby Atmosイネーブルドスピーカーも駆動したバーチャルの立体音響再生を行う。2chソースが入ってきた場合はアップミックスされず、Dolby Atmosイネーブルドスピーカー以外の11基のスピーカーユニットで、ステレオ再生をシミュレーションする形となる。

そのほか、時期は未定だが、発売後のアップデートによってマルチルーム再生機能も追加される予定となっている。ただ、同じB&WのFormationシリーズなどとPanorama 3を組み合わせることは不可能で、たとえば単体サブウーハーの「Formation Bass」と連携させて2.1chシステムを構成するといったことはできない。

まとめ

というわけで、若干駆け足になったが、B&Wから発表された新しいDolby Atmos対応のサウンドバー、Panorama 3を見てきた。Dolby Atmosイネーブルドスピーカーによる立体音響再生やネットワーク再生、Bluetooth再生など、昨今のサウンドバーに求められるトレンド機能はしっかり押さえつつ、実際の操作性はかなりシンプルな形を実現しているのはポイントだろう。加えて、シリーズ歴代モデルと比較して大きくブラッシュアップした、スタイリッシュなデザインも魅力。盛り上がりが続くサウンドバー市場の中で、新たな注目モデルとなりそうだ。

杉浦 みな子(編集部)

杉浦 みな子(編集部)

オーディオ&ビジュアル専門サイトの記者/編集を経て価格.comマガジンへ。私生活はJ-POP好きで朝ドラウォッチャー、愛読書は月刊ムーで時計はセイコー5……と、なかなか趣味が一貫しないミーハーです。

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