ノイズキャンセリング機能搭載完全ワイヤレスイヤホンをいち早く市場に投入したソニー。2023年4月現在、フラッグシップモデルの「WF-1000XM4」を筆頭に、常時装着を想定した新コンセプトの「LinkBuds S WF-LS900N」、重低音が特徴的なスポーツモデル「WF-SP800N」という3モデルのノイズキャンセリング機能搭載完全ワイヤレスイヤホンを展開しているが、新たに1万円台で購入できるエントリークラスの「WF-C700N」が追加された。
ソニー「WF-C700N」。ノイズキャンセリング機能を搭載した完全ワイヤレスイヤホンの最エントリーモデルだ
製品型番を見てピンときた人もいるかもしれないが、今回投入された「WF-C700N」は、2021年に完全ワイヤレスイヤホンの最エントリーモデルとして投入され大ヒットを記録した「WF-C500」と同じ「C(カジュアル)」シリーズのひとつして展開される。カラーバリエーションは、ラベンダー、セージグリーン、ホワイト、ブラックの全4色。発売は4月21日で、市場想定価格は18,000円前後だ。
トレンドのくすみカラーを取り入れたという全4色のカラーバリエーションをラインアップ
ノイズキャンセリング機能搭載完全ワイヤレスイヤホンのラインアップとしては「LinkBuds S WF-LS900N」よりも下、完全ワイヤレスイヤホン全体のラインアップとしては「WF-C500」よりも上位のモデルとして展開される「WF-C700N」。
目玉機能のひとつであるノイズキャンセリング機能は、1マイクのフィードフォワード方式のノイズキャンセリング機能という仕様で、「WF-1000XM4」や「LinkBuds S WF-LS900N」のように、ノイズキャンセリング処理に特化した統合プロセッサー「V1」や、フィードフォワードマイクとフィードバックマイクの2つのマイクを活用した「デュアルノイズセンサーテクノロジー」といった技術は搭載されていないものの、ノイズキャンセリング機能を得意とする同社らしく、同価格帯で展開する他社のノイズキャンセリング機能に負けない性能を実現したという。
実際、周囲に低域メインのノイズを再生した状態で「WF-C700N」のノイズキャンセリング機能を試してみたが、1マイクのノイズキャンセリング機能としてはかなり効果的にノイズを低減できていた。ノイズキャンセリング機能特有の圧迫感もほとんどなく、ノイズキャンセリング機能を常時オンにした状態でも運用できそうだ。
ソニー「WF-C700N」のイヤホン本体。マイク部分には風切り音を低減させるメッシュ加工を採用
また、ノイズキャンセリング機能の搭載に合わせ、「WF-C500」にはなかった外音取り込み機能も搭載。専用スマートフォンアプリ「Headphones Connect」との連携機能も用意されており、ユーザーの行動や場所に連動してノイズキャンセリング機能と外音取り込み機能を自動切り替えできる「アダプティブサウンドコントロール」や、人やアナウンス音のみを聴き取りやすくする「ボイスフォーカス」など、「WF-1000XM4」や「LinkBuds S WF-LS900N」と同等の機能性を利用できるのも「WF-C700N」の大きな特徴と言えるだろう。
専用スマートフォンアプリ「Headphones Connect」にも対応。「アダプティブサウンドコントロール」、360 Reality Audioの個人最適化などの機能もひと通り利用できる
イヤホン本体のデザインについては「LinkBuds S WF-LS900N」や「WF-C500」と共通する「エルゴノミック・サーフェース・デザイン」が継続となっているが、「WF-C700N」ではコンパクト設計をさらにブラッシュアップ。イヤホン本体の操作は「WF-C500」と同じ物理ボタンとなっているのだが、この物理ボタンとアンテナを一体化して耳からの飛び出しを抑制したり、バッテリー位置の見直しで体積をさらに圧縮するなどの工夫などにより、イヤホン本体の重さは「LinkBuds S WF-LS900N」の片耳4.8g、「WF-C500」の片耳5.4gよりもさらに軽い4.6g、体積は「WF-C500」比で15%減になったそうだ。ちなみに、イヤホン本体はIPX4相当の防滴仕様となっている。
イヤホン本体の操作インターフェイスは物理ボタン式。イヤーピースはSS/M/LLの3サイズが付属しており、いずれもイヤホン本体に合わせたカラーリングを採用している
イヤホン本体は非常に小さく、高さも抑えられているので耳からの出っ張りも少ない
写真左が「WF-C700N」、右が「WF-C500」。「WF-C500」もかなり小さかったが、「WF-C700N」はさらに小さくなっていることがおわかりいただけるだろう
また、イヤホン本体だけでなくバッテリー内蔵の充電ケースも「WF-C500」から軽量化を押し進めたそう。ケースのフタもマットなデザインに変更され、半透明素材を使用した「WF-C500」のポップなデザインからより落ち着いた雰囲気にシフトしている。初心者でも初期化を簡単にできるよう、リセットボタンを新たに搭載するなど、ユーザビリティが向上しているのもポイントだ。
「WF-C500」からさらなる軽量化を実現したという充電ケース。「WF-C500」で採用していたフタの半透明デザインをやめ、全体的に落ち着いたデザインとなった
バッテリー性能は、イヤホン単体で最大7.5時間(ノイズキャンセリング機能オンの場合、オフの場合は最大10時間)、充電ケース込みで最大15時間(ノイズキャンセリング機能オンの場合、オフの場合は最大20時間)。カジュアルユースのエントリーモデルということで、充電ケースの内臓バッテリーはイヤホンを1回満充電できる容量しか搭載されていないが、ノイズキャンセリング機能オンの場合のイヤホン単体のバッテリー性能は「LinkBuds S WF-LS900N」の最大6時間を上回る内容だ。10分の充電で約1時間の音楽再生が可能な急速充電機能も用意されており、ヘビーユースでもない限り、バッテリー周りで不満に思うことはなさそうだ。
音質周りでは、「LinkBuds S WF-LS900N」にも採用された自社開発のφ5mmダイナミック型ドライバーを採用。ハイコンプライアンス(柔軟性のある)な振動板を採用することで、小口径ドライバーユニットながら豊かな低音再生を実現したという。
なお、ソニーのイヤホン・ヘッドホンでおなじみとなっている独自のアップコンバート技術「DSEE」については「WF-C700N」にも搭載されているが、「LinkBuds S WF-LS900N」では圧縮音源をハイレゾ相当の音質に引き上げる「DSEE Extreme」となっていたのに対し、「WF-C700N」では「WF-C500」と同じCD音源相当まで引き上げる無印「DSEE」止まりとなっている。
このほか、Bluetoothのバージョンは5.2で、サポートコーデックはSBCとAAC。4月21日の発売日時点では対応しないものの、マルチポイントやイヤホン単体でのボリューム調整(4タップ)などは2023年夏ごろのファームウェアアップデートで対応予定とのことだ。
海外メーカーだけでなく、国内のオーディオメーカーからも1万円台で購入できる比較的お手ごろな価格のノイズキャンセリング機能搭載完全ワイヤレスイヤホンがいくつか登場している中、完全ワイヤレスイヤホンの黎明期からノイズキャンセリング機能搭載モデルを展開してきたソニーが満を持して投入する「WF-C700N」。圧迫感が少なく、効果もしっかりと感じ取れるノイズキャンセリング機能やコンパクトなサイズ感、アプリ対応やアップデートでのマルチポイント対応など、できるだけ価格を押さえつつも基本性能はしっかりと押さえた実用的なモデルに仕上がっていた。
発売開始から約1年が経過した「LinkBuds S WF-LS900N」が値下がってきたこともあり、「LinkBuds S WF-LS900N」の価格.com最安価格と「WF-C700N」の市場想定価格の差は少なく見えるが、家電量販店の店頭価格で比較してみると「WF-C700N」のほうが5,000円ほど安価だし、コンパクトさやイヤホン単体のバッテリー性能など、「LinkBuds S WF-LS900N」を上回る部分もある。
コンパクトさだけでなくノイズキャンセリング機能も重視したいという人なら「LinkBuds S WF-LS900N」が最有力候補になるだろうが、カジュアルユースでノイズキャンセリング機能も欲しいけどコスパも大事という人は、実用的な性能を備えた「WF-C700N」も十分選択肢に入ってくるはずだ。
PC・家電・カメラからゲーム・ホビー・サービスまで、興味のあることは自分自身で徹底的に調べないと気がすまないオタク系男子です。PC・家電・カメラからゲーム・ホビー・サービスまで、興味のあることは自分自身で徹底的に調べないと気がすまないオタク系男子です。最近はもっぱらカスタムIEMに散財してます。