レビュー

テレビなしのプロジェクター生活2年半! 迫力の大画面からもう抜け出せない

筆者はマネーカテゴリーの編集者。普段はクレジットカードや投資といった記事の編集作業をしている。家電とは切っても切れない関係にある企業に勤めていながら、恥ずかしい話であるのだが、家電についての知識は非常に浅く、なおかつ機械音痴。基本的に何かの買い替えの際は、妻任せにしていた。

そんな筆者が、家庭内で起きたちょっとした“事件”をきっかけに、自宅にテレビを置くのをやめて、プロジェクターを導入した。それが約2年半前のこと。

結果は「超大満足」。

今ではリビングの白壁に映像を投影し、テレビ時代には考えられなかった大画面で、スポーツ中継や動画配信サービスを楽しんでいる。そこで、AV家電のずぶの素人である筆者が、どんなポイントに気を付けてプロジェクターを購入し、どんなメリットを感じているのかをご紹介したい。

2年半前に購入したプロジェクターのBenQ「TH671ST」。今では、大画面で動画配信を見るのが仕事終わりの最大の楽しみに

2年半前に購入したプロジェクターのBenQ「TH671ST」。今では、大画面で動画配信を見るのが仕事終わりの最大の楽しみに

プロジェクター導入のきっかけとなった“事件”

本題に入る前に、“事件”について軽く触れておきたい。それが起きたのは2021年3月下旬のこと。新型コロナウイルス感染拡大による2回目の緊急事態宣言(2021年1月8日〜3月21日)が明けて、友人と久しぶりに会っていたところ、妻からLINEが届いた。外出中に来る妻からの連絡は早期帰宅をうながすものなどが多く、吉報であることはレアだ。嫌な予感を持ちつつアプリを開くと、その内容は筆者の想像をはるかに超えたものだった。

「○○=長男、当時7歳=が『スプラトゥーン』で負けて、テレビを叩いて画面にひびが入った。テレビもう見られない」。

短い文面からあふれ出る妻の怒気におののきつつ、「マジか。。。帰ったら叱ります」とだけ短く返信するのが精一杯だった。

帰宅後すぐにリビングの40V型のテレビを見に行くと、長男が拳をたたきつけた画面右上部から中心にかけてひびが入っており、かろうじて映像は写るものの、とても見られる状態ではない。長男を呼びつけきつく叱りながら、「まだ買って3年ぐらいしかたっていないのに、買い替えるしかないな。痛い出費だな」とため息をついた。

テレビ画面の破損が、プロジェクター導入のきっかけとなった(画像はイメージ)

テレビ画面の破損が、プロジェクター導入のきっかけとなった(画像はイメージ)

普段、家電の買い替えの際に主体的に動くのは妻だが、今回は動きが鈍い。それもそのはず。彼女は基本的にテレビを見ないし、動画配信サービスの視聴もスマホで済ませてしまう。要するにテレビがなくても、まったく困らないのだ。しかし、筆者は違う。前年春から始まったコロナによる自粛生活をきっかけに、動画配信サービスにどっぷりとはまっており、なおかつスマホの小さな画面で長時間見るのには抵抗があった。今回ばかりは、自分が主体的に動くしかなさそうだ、と覚悟を決めた。

プロジェクターでもテレビ放送を見られることに、気がついた

当初は、再度テレビを購入することを考えていた。というより「プロジェクターを通じてテレビ放送を視聴する」という発想がそもそもなかった。そんなとき、同僚編集者があたかも筆者の窮状を察したかのようなタイミングでリリースした下記の記事が目に止まった。

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2021/03/30 07:00

「えっ、プロジェクターでテレビ放送がリアルタイムで見られるんだ!」

「テレビが見られるんだったら、Netflixなんかも見られるんじゃない!!」

「好きな韓国ドラマやプロ野球中継を大画面で見られるんだったら、災い転じて福となすだな!!!」

「それに、○○=長男=、この間は反省しているように見えたけど、また同じことやる可能性はゼロではないよな。プロジェクターなら目の前は壁だけだし、どれだけ叩いても壊れないよな!?」

こうした思惑が頭の中を巡り、プロジェクター導入に向けての検討が始まった

必要な機材と接続方法を確認

ただ、筆者にプロジェクターに関する知識は薄く、テレビ代わりに導入するにあたって、どんな設備・装置が必要かを調べる必要があった。

筆者の家庭でそれまで、テレビに求めてきた役割は以下の3つだ。
(1)ニュースやスポーツ中継などのテレビ視聴
(2)動画配信サービスの視聴
(3)子どものゲーム(「Nintendo Switch」)のプレイ

調べてみると、(1)についてはテレビ放送受信チューナー機器が必要とのことだが、自宅にはBDレコーダーに加え、接続するHDMIケーブルもあった。(2)はAmazon「Fire TV Stick」をそれまで接続していたテレビから、プロジェクターに移し替えればOK。(3)についても、「Nintendo Switch」とプロジェクターを接続すればできることがわかった。

テレビの代わりにプロジェクターを導入しても、それまでやれてきたことが問題なくできることがわかり、いよいよ次は商品選びのステップだ。

テレビと動画配信サービスの視聴、そしてゲームのプレイができることがわかり一安心

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商品選びで気を付けた3つのポイント

この段階でも、頼りにしたのは「価格.com プロジェクタの選び方」などのページだ。

これらのページを読んで、商品選びの際に自身がチェックするべきポイントになると感じたのが、以下の3つだ。
(1)焦点距離(映像の投影に必要な距離)
(2)明るさ
(3)HDMI端子の数

(1)に関しては、筆者宅のリビングでソファーと壁までの距離は約2メートル。プロジェクターをソファーのそばに置くとじゃまになるので、真ん中付近(壁から1メートル)に設置することを考えると短い距離でも投影できる「短焦点モデル」が条件になる。

2つ目に関しては、子どもがゲームをするのはもっぱら日中だし、筆者も昼にNetflixなどを見ることはあまりないが、ニュースはよく見る。電気をつけた部屋や日光が入る部屋でも、ある程度視聴可能な明るさ(BenQ「TH671ST」は3,000ルーメン)も条件とする必要があった。そして、筆者宅では前述のとおり3つの利用シーンがあり、「HDMI端子」につなぐ機器も3つ。HDMI端子を何度もつなぎ替えるのは、地味に面倒なことだと想像できたので「HDMI端子は2つ」という点も条件に加えた。

HDMI端子が2つあることも、BenQ「TH671ST」を選んだ決め手のひとつ

HDMI端子が2つあることも、BenQ「TH671ST」を選んだ決め手のひとつ

そして、予算。価格.comの「プロジェクタ」カテゴリーを見ると、20万円超の商品もあったが、筆者の場合、求めていたのは基本的にテレビの代替としてのプロジェクターで、そこまでの高スペック商品を求めていたわけではない。そこで、予算は壊れたテレビと同じくらいの「10万円程度」とした。

「短焦点」「2,000ルーメン以上」「HDMI端子2つ」「予算10万円程度」との条件で、価格.comで検索してみると希望にフィットしそうな商品はある程度絞られてきた。その中でとりわけ魅力的に見えたのが3,000ルーメンという明るさで「1.5mの短距離で約100型の大画面投映が可能」というBenQ「TH671ST」だった。

そして、価格も約78,000円と想定予算を大きく下回っていた(現在は値上がりしており、2023年9月25日時点の最安価格は127,500円)のも魅力的に感じ、価格.comのレビューやクチコミも確認し、購入することを決めた。数日後に商品が届き、それぞれの機器とプロジェクターをHDMIケーブルでつなぐだけで視聴可能となり、心配していた接続作業もスムーズに終えられた。

〈TH671STの主なスペック〉
明るさ:3000 ルーメン
アスペクト比:16:9
パネル画素数:1,920x1,080
スピーカー:搭載
HDMI端子:2つ
寸法:296(幅)×224(奥行)×120(高さ)mm
重量:2.7kg

テレビなしプロジェクター生活、はや2年半

それから約2年半、BenQ「TH671ST」をほぼ毎日使っている。その感想は「超大満足」というひと言に尽きる。

約77インチの大画面の迫力を満喫

まずはその大画面。筆者は壁から1メートルほど離れた距離から投影し、横170センチ、縦95センチの大きさ(77インチ程度)で映像を楽しんでいる。コロナの自粛生活をきっかけに韓国ドラマにはまったのだが、従来の40V型のインチのテレビ画面と比べると、約77インチの画面上で織りなすドラマは臨場感や迫力が全然違った。

また、購入前には解像度についてあまり意識することはなかったのだが、本製品のパネル画素数「1,920x1,080」についても、(4K表示ではなくとも)個人的に不満はない。コロナによる自粛生活の初期から今にいたるまで、仕事を終えた後は、リビングの部屋を薄暗くして、ハイボールを片手に韓国ドラマを見るのが日課となっているが、外出もままらないコロナ下の生活を潤してくれたのは、まぎれもなくBenQ「TH671ST」だった。

ハイボールを片手に動画配信サービスを見るのが、至福のひととき

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昼間の視聴も大きな問題なし

少し心配していた昼間の視聴だが、もちろん夜に比べると見えにくくなるのは間違いないが、画質にこだわらないニュースなどをサラッと見る分にはまったく問題ない。昼間にじっくりと映画を楽しみたいときは、カーテンを締めて、部屋を暗くすればほぼ夜と同様のクリアな映像を楽しめる。

日中、電気をつけて、厚手のドレープカーテンを開けた状態の映像。幾分ぼんやりとはするが、ニュースをチェックする程度なら気にならない

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日中でも、電気を消してカーテンを閉めれば、かなりはっきりとした映像を楽しめる

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低遅延のため、ゲームプレイもスムーズ

今回のプロジェクター導入のきっかけをつくった長男も、大画面でのゲームを楽しんでいる。ゲーム機からの信号がプロジェクターに受信されてから投影されるまでのギャップが生じるケースがあることのことだったが、購入したプロジェクターは比較的低遅延(16.67ms)の商品だったため、遅延が気になるケースは「ほとんどない」(長男)とのことだった。

なお、筆者宅ではプロジェクターをキャスター付きの台の上に載せ、普段は部屋の隅に置き、使うときに移動させている。画面の位置調整やフォーカス合わせが必要なときもあるが、大体同じ場所に置くようにしているためか、それらの調整作業もわずかの時間で済み「面倒」という印象はない。

部屋がスッキリとした印象。テレビ台の掃除もしやすく

「大画面での視聴」ということとは別に、もうひとつ感じたメリットは、部屋がスッキリとした印象になること。従来、テレビをリビングの真ん中に置いており、ぱっと見かなり圧迫感があった。だが、プロジェクター導入でそれがなくなったことで部屋の第一印象はかなり変わった。「以前はテレビの裏側にほこりがたまっても、掃除しづらいのがネックだったけど、今はずいぶん掃除がしやすくなった」と妻からも好評を得ている。

プロジェクターは利用しないときは隅に移動。そのためか、部屋がスッキリとするように感じる

プロジェクターは利用しないときは隅に移動。そのためか、部屋がスッキリとするように感じる

起動に時間がかかることや熱風など、気になる点も

プロジェクター導入に関し「大満足」とは前述のとおりだが、不満がまったくないと言えば、ウソになる。いくつかの気になっている点を挙げてみたい。

ひとつ目は起動に3、40秒の時間がかかること。ささいな時間と捉えることもできるが、リモコンを押せばすぐに映像が見られるテレビとの差は感じてしまう。とりわけ、筆者はプロ野球中継をよく見るのだが、「応援しているチームの得点機」を見たくて起動する際にはこの3、40秒が長く感じてしまう。

また、プロジェクターから発せられる熱風も意外と無視できない。今夏は、記録的な猛暑だったせいか筆者宅のリビングのエアコンが不調だった。これについてはBenQ「TH671ST」には何の罪もないのだが、冷房のききが悪い室内の気温が、排気口から出る熱風によってさらに1、2度上がっているような気もして、プロジェクターに冷たい視線を送ってしまうこともあった。

排気口に手を近づけると、ずっとかざしているのがつらくなるほどの熱風が出てくる

排気口に手を近づけると、ずっとかざしているのがつらくなるほどの熱風が出てくる

そして、これはプロジェクターに対する「不満」というとお門違いで、筆者の認識不足としか言いようがないが、「ランプに寿命があること」も後から知った。2023年1月のある日、いつものように起動すると突然「ランプを交換してください」という表示が出るようになった。当初は放っておこうと思ったが、大画面生活が突如、途切れるのは困る。調べてみると、ランプは一定時間以上使うと交換が必要なことがわかり、すぐに代えのランプを購入。交換作業も自分でスムーズにできたのだが、費用の約15,000円は予期せぬ出費となった。

「TH671ST」が使っている高圧水銀ランプは3,000時間程度、LEDやレーザーを光源とする製品は20,000時間程度が寿命の(明るさが半減する)目安だそうだ。

まとめ

以上、ひょんなことから、テレビを置くのを辞めて、2年半近くにわたって、プロジェクターでテレビ放送や動画配信サービスを視聴していて感じたメリットをお伝えしてきた。

記事中では気になる点に触れはしたが、プロジェクターは、デメリットを大きく上回るメリットを筆者の生活にもたらしたと感じている。大画面での視聴体験は一度経験すると非常にインパクトが強く、元の「40V型のテレビ」生活に戻るのは難しそうだ。もちろん、70 V型を超えるテレビを購入するという方法もあるのだろうが、価格.comで見るとそれらの商品は最低でも15万円超となっており、ハードルは高い。そうしたことを考えると、今のBenQ「TH671ST」が使えなくなったら、別のプロジェクターを購入することになりそうだ。

さらには、プロジェクター生活を満喫する筆者の耳元で、AV家電を専門とする同僚編集者は
「スクリーンをつけるともっと高画質になりますよ〜」
「サウンドバーがあれば、手軽にもっと迫力のあるサウンドを楽しめますよ〜」
とささやいてくる。この大変魅力的だが、出費を要するいざないにすぐ乗るべきか、ボーナス支給日まで一旦立ち止まるべきか、悩む日々が続きそうだ。

満園徹(編集部)
Writer / Editor
満園徹(編集部)
新聞社で企業や地方財政などを中心に幅広く取材。2018年から価格.comマネー編集部に在籍し、「価格.com マガジン」でクレジットカードや投資、節約などのマネー記事の編集、執筆を担当。FP2級を保有
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