テレビでおなじみのTVS REGZAが同社初のレーザー光源プロジェクター「RLC-V7R MAX」「RLC-V7R」を発表した。
「RLC-V7R MAX」(左)と「RLC-V7R」(右)。明るさのスペックとサウンドシステムに差があるが、どちらも4K表示に対応するDLPプロジェクターだ
写真のとおりジンバルスタンド一体型で天井などへの投写が簡単にできる製品だ。RGB3色のレーザー光源を使ったこと、DLPによる4K表示対応製品という点も両製品共通。「日常を変える、もうひとつのレグザ」として売り出されるだけあって、画質の調整項目が充実していることがポイント。さらにレグザのテレビやレコーダーと連携して録画番組を楽しめるという。
冒頭のとおり、新製品はTVS REGZAとして初のレーザー光源プロジェクター。2024年のゲーミングモニター参入に続き、ディスプレイのトータルソリューションの一環としてプロジェクターを投入した格好だ。
TVS REGZA調べのグラフ。世帯で保有するテレビは1台だけ、という家庭が増えているという
TVS REGZAによれば、テレビの世帯保有台数が1台のみである家庭が増加傾向にあり、ディスプレイの多様化が進んでいるという。そこで投入されたのが、設置場所の自由度が高いプロジェクターというわけだ。ジンバル一体型のプロジェクター「RLC-V7R MAX」「RLC-V7R」は、当然にオートフォーカスや自動台形補正機能を搭載。電源さえあれば、投写した先が大画面になる。
このほか、RGB3色レーザー、Google TV搭載など、最新のプロジェクタートレンドをしっかりおさえた仕様と言える。
天井に映像を投写したい場合は本体を上に向けるだけ
斜めから投写しても、自動で台形補正をしてくれる
光源は寿命が長いレーザー。RGB3色のレーザーがモジュールになった日亜化学工業のパーツを採用した
左の「RLC-V7R MAX」は明るさ3,000ルーメン(ISO、最大)、光学ズーム対応、HDR10+対応などのスペックの優位性がある。右の「RLC-V7R」は明るさ2,000ルーメン(ISO、最大)の単焦点レンズ仕様。どちらもHDR10、HLG、Dolby Visionには対応する
ストーリーは理解できたとしても、急にここまで練り込まれた製品を企画できるものか? と思われるかもしれない。実は親会社であるハイセンスのラインアップにレーザープロジェクターがラインアップされているのだ。
ハイセンスのグローバルサイトを参照すると、「C2 ULTRA」というプロジェクターがあり、これが「RLC-V7R MAX」の“元”となった製品だと思われる。ただ既存製品のブランド名を変えただけではなく、「RLC-V7R MAX」および「RLC-V7R」にはしっかり“テレビのレグザ”チームが画質チューニングをしているというから、期待できそうだ。
映像モード(映像メニュー)には「映画」や「FILMMALER MODE」などが用意される
製品発表会で実機のメニューなどをチェックしたところ、映像モードを選べるだけでなく、レーザー光源の明るさ調整や「コンテンツタイプ自動検出」などの“レグザっぽい”メニューも確認できた。プロジェクターのレグザ独自のものかどうかはわからないが、ユーザーが調整できる幅が広いのは、マニアにとってありがたい仕様だ。
AIによる画質自動調整機能やノイズリダクションの効果を細かく調整可能
色に関わる設定も開放されていた
「RLC-V7R MAX」の脚部をよく見ると、スピーカーユニットが入っている。脚部が大きいのはサブウーハーが入っているから。「RLC-V7R」はパッシブラジエーター仕様のようだ
ブランド名の入った付属リモコンはボタンを押すと光る自照式。ヘアライン仕上げで高級感がある
そして、「これは!」と思ったのが、レグザのテレビやレコーダーと連携して「録画したコンテンツを楽しめる」ことだ。スペックを眺めながらさすがに「レグザリンク」には対応しないのか……と思っていたのだが、わざわざレグザの名前を使ってプロジェクターを作るのだから、そのあたりは抜かりないということか。
実際には「DiXiM Play」という有料アプリを使ってDLNA経由で録画番組を再生するという建て付けのようだが、これが明記されているというのはなかなか珍しい。世の中にはDLNAに対応しているプロジェクターもあるのだが、動きが緩慢なこともある。レグザではオフィシャルに「録画したコンテンツを楽しめる」としているのだから、かなり自信があるのだろう。
さらに、「RLC-V7R MAX」「RLC-V7R」を購入した後に商品登録とアンケートへの回答を行うと、「DiXiM Play」のアプリをプレゼントするというキャンペーンも実施される(2025年4月25日から)。こうした動きを見るに、両社が協業して動作確認などを実施していることは想像に難くない。日本ローカルの録画事情に沿った製品企画は、いかにもレグザらしい。
というわけで、レグザ初のレーザー光源プロジェクターは、親会社ハイセンスの資源をうまく活用した製品企画と言えそうだ。ハイセンスとレグザの協業がスムーズであることはテレビの分野で証明済み。プロジェクターの画質や仕様にも期待してよいのではないか。
筆者が気になるのは画質と録画連携のクオリティ。録画番組再生はどうしても外部アプリに依存した部分ではあるはずだが、これがスムーズならば特にレグザユーザーに“刺さる”プロジェクターになりそうだ。
価格.comの「プロジェクタ」カテゴリーではANKERやXGIMI、JMGOなどのメーカーが人気だが、映像調整の幅という意味では制限があったり、少し使いづらさがあったりと必ずしも完璧ではない。そうした不満をレグザのプロジェクターが補完してくれるかもしれない。