テレビが「1インチ1万円」と言われた時代は過去の話。テレビの大型化は着実に進み、それとともに低価格化、そして高画質化が進んでいます。現在では50V型(インチ)を超える大型テレビでも10万円以下で購入できますし、高画質や高音質、ネット動画の視聴機能などで付加価値を付けた製品もたくさんあります。
そこで、ここではテレビの基本的な選び方とおすすめ製品をサイズ別に紹介します。
現在のテレビは、有機ELと液晶の大きくふたつに分けられます。ふたつを分けるのは発光方式の違い。詳細はともかく、とにかく画質がよいテレビを求めるならば有機EL、コストパフォーマンスを求めるならば液晶を選ぶとよいでしょう。
それぞれの特徴を簡単にまとめると図のとおり。有機ELテレビは画素単位での光のコントロールが可能で、画質と応答速度にすぐれています。いっぽうで価格は高くなりがちで、一般的には寿命についても液晶テレビよりも短めと言われています
有機ELテレビの特徴
・画素単位で光の制御をするため、画質がよい
・画面サイズが限定的
・価格は高い
有機ELテレビを選ぶデメリットとしては画面サイズ展開がやや限られていることもあげられます。現在購入できるのは42、48、55、65、77、83、97V型。中〜大型サイズに限られます。なお、有機ELは明るさを出しにくいデバイスではありますが、最新の高級モデルでは高輝度パネル(「MLA」や「QD-OLED」)を採用し、安価な液晶テレビを上回る明るい映像を表示できます
液晶テレビの特徴
・明るい映像を出しやすく、直接太陽光の当たるような環境にも強い
・幅広い画面サイズを選べる
・こなれた技術のため、比較的安価
液晶テレビは32V型などの小型、100V型などの超大型サイズも展開されています。また、明るい映像を出しやすいこともメリットのひとつ。リビングルームなどで画面に直接光が当たるような環境で使うならば、液晶テレビを選ぶのが無難でしょう
液晶でも高コントラストな「mini LED」
液晶テレビにも高コントラストを出せる技術が「mini LED」です。液晶テレビの光源(バックライト)であるLEDをとても細かくしてエリアごとに個別で制御するので、一般的なLEDバックライトよりも高いコントラストを得られます。有機ELのように画素単位とはいかないので、コントラスト再現性は有機ELには劣ります。再現性は有機ELと一般的な液晶テレビの間と考えればよいでしょう。
なお、mini LEDバックライトの定義は定まっていません。製品によってLEDの個数や分割エリアの個数は異なります。多ければよさそうなものですが、高コントラストを得るために最終的に重要なのは映像に合わせた個別制御(ローカルディミング)のうまさ。ここにメーカーの技術差が現れます。
シャープの「AQUOS XLED」シリーズはバックライトに「mini LED」を採用。細かなLEDバックライトを映像に合わせて駆動して、高コントラスト映像を映し出します
mini LED液晶テレビの特徴
・一般的な液晶テレビよりも高画質
・価格も高め
mini LEDはまだ若い技術なので、製品の価格は高め。高画質のテレビを選びたいけれど、有機ELは寿命が心配、あるいは画面に光の入るような環境で使いたい、という場合に検討するとよいでしょう
テレビのサイズはさまざまですが、製造上の理由もあり、メーカーが主力としているサイズは55V型や65V型。各メーカーの高級モデルはこのサイズに集中しています。そのため、画質を含めたコストパフォーマンスで言うならば断然55V型が有利です。
55V型では大きすぎるのではないかと心配されるかもしれませんが、最新テレビは額縁(ベゼル)が狭く、10年以上前のテレビよりもコンパクトになっています。55V型のテレビが置けるかどうか、一度設置場所の実サイズを測ってみるとよいでしょう。
場合によって、4Kテレビの最適視聴距離は画面高の1.5H(1.5倍の高さ)、と説明されることがありますが、あまり気にする必要はないでしょう。この基準は画素が見えないとされる数値だからです。
上記の計算を実際に適用すると、2mの視聴距離を取ろうとすると、画面の高さは約1.33m必要な計算です。これは100〜110V型(インチ)大画面に相当します。
実際に55V型の4Kテレビを画面にかなり近寄って見ても、基本的に画素が見えることはありません。圧迫感はあるかもしれませんが、視聴距離を気にする必要はさほどないのです。
価格.comのトレンドを参照すると、テレビのサイズは55インチ(V型)が27.33%でトップです(2025年6月27日時点現在)
画面の解像度(画素数)は画質に直結する要素ですが、最新テレビでは、42V型より大きいモデルのほとんどが4K(水平3,840×垂直2,160画素)です。つまり、42V型以上のサイズを検討するならば、実は解像度のことはあまり気にする必要はありません。4Kテレビであれば4K放送やAmazonプライム・ビデオ、Netflixなどの4Kコンテンツを、解像度を落とさずに楽しめます。
逆に、32V型などの小型テレビでは「HD」と呼ばれる1,366×768解像度のモデルがほとんど。32V型で画質にこだわるならば「フルHD」と呼ばれる1,920×1,080解像度のモデルを選ぶとよいでしょう。
解像度を面積で比較すると図のとおり。4Kは2Kの4倍高精細です。また、地デジ放送の視聴がメインという人でも、4Kテレビが不要というわけではありません。4Kテレビは基本的にすべての映像を4Kにして表示しますから、より高画質を期待できるのです
価格.comのトレンドで解像度別の割合を見ると、77.33%が4Kテレビ(4K液晶テレビと4K有機ELテレビの合計)です。42V型以上のテレビを検討するならば、あえてフルHD以下の解像度を選ぶ必要はありませんし、画質を優先するならば42V型以上を選ぶとよいと言えます
外付けHDDを追加する必要はありますが、最新テレビの多くは放送番組の録画に対応しています。録画機能を重視する場合は内蔵しているチューナーの数を確認するとよいでしょう。たとえば、地上デジタル放送のチューナーを2つ内蔵している場合、1番組を視聴しながら“裏”の番組を録画できることになります。
また、TVS REGZAの高級モデルには「タイムシフトマシン」と呼ばれる機能があります。これを使えば指定したチャンネルをまるごと録画できるすぐれもの。テレビ好きならば、ほかの要素を差し置いてでも「タイムシフトマシン」機能優先するという選び方もありえます。
TVS REGZAの「タイムシフトマシン」イメージ。この機能を使うと、地デジ放送を最大6チャンネル同時に録画できます。すると写真のように録画一覧を番組表として表示し、好きな番組を再生できるのです。外付けHDDを別途用意する必要があることに注意しましょう
テレビをゲームのための「モニター」として使いたい場合は、パネルが倍速仕様かどうか、ゲーム用の映像モード(「ゲームモード」など)を持っているかを確認するとよいでしょう。どちらもゲームのために必須ではありませんが、あればよりゲームに没入できる機能です。
まず、倍速仕様のパネルとは、パネルの駆動周波数が120Hzである(1秒につき120回の描画できる)ということ。最新のゲームには秒間120枚の描画を求める(120fpsの)タイトルがあるため、それを間引きなく表示するためには倍速以上(120Hzや240Hz)の駆動周波数が必要なのです。「倍速」や「リフレッシュレート120Hz」などと紹介されている製品を選びましょう。さらに4K/120fps入力に対応していれば、4K解像度の映像を秒間120枚入力、表示できます。
また、テレビによってはゲームに最適化された映像(再生)モードが用意されています。これは主に低遅延を目的とした機能で、タイミングがシビアなゲームのプレイ時に役立ちます。
TVS REGZAの倍速パネルモデルでは、120fpsの素材をそのまま表示できることを強く訴求しています
こちらはTVS REGZAの「オリジナルフレーム駆動」モードのイメージ。60fpsの素材を入力する場合、倍速パネルでは倍速の120Hzで駆動するのが一般的ですが、このモードではあえて等速で駆動し、遅延を低減します
LGエレクトロニクスのテレビでは、ゲームプレイ時にパネル駆動周波数の確認などの設定を簡単に行える「ゲームオプティマイザ」を利用できます
テレビを購入する際に、まずは予算を考えるという人は多いはず。まずは格安で購入できる中〜小型テレビを紹介します。操作性や動きのスムーズさもすぐれた製品ですから、あまり画質にはこだわらないという場合でも、積極的に選びたい製品たちです。
42V型以下のテレビの代表サイズは32V型ですが、そのほとんどのパネル解像度は1,366 ×768です。この「32A4N」はその中で数少ないフルHD(1,920×1,080)モデル。ネット動画などで当たり前に用意されるフルHD解像度のコンテンツをそのまま表示できます。ネット動画へのアクセスもリモコンのダイレクトボタンからスムーズに行えるほか、Bluetooth方式のリモコンや部屋の明るさに応じた自動での画質最適化など、機能的にもとても充実しています。
安価でも画質や操作性のよいテレビをと考えているならば、まず候補にすべきモデルと言えます。TVS REGZAと共同で開発した映像処理エンジンを搭載しており、ネット動画や地上デジタル放送など、あらゆるコンテンツの最適化をしてくれる頼りになる1台です。同サイズのテレビを発売する新興メーカーやチューナーレステレビもありますが、このコストパフォーマンスはなかなか超えられるものではないでしょう。
●パネルタイプ:液晶(等速)
●画面サイズ:32V型
●解像度:1,920×1,080
●録画機能:地上/BS/110度CSデジタルチューナー×2
●ゲームモード:○
●4K/120fps入力:×
“ネット動画も放送番組もシームレスに楽しむ”ためのテレビが「V35N」シリーズ。ネット動画の対応力や操作レスポンスのよさに注力したモデルで、上で紹介しているハイセンス「A4N」シリーズのTVS REGZA版と言えます。小型の低価格テレビはコストを抑えるために操作レスポンスなどが犠牲になりがち。サクサク動く小型テレビは「A4N」シリーズと合わせて実はレアな存在です。どちらも格安小型テレビ選びの最有力候補として検討したい製品でしょう。
40V型の「40V35N」はシリーズ中唯一のフルHD(1,920×1,080画素)解像度モデル。TVS REGZAならではの「おまかせ」画質(自動で最適化された画質)を味わうならば、こちらがおすすめです。「A4N」シリーズとの細かな違いは以下関連記事も参照ください。
●パネルタイプ:液晶(等速)
●画面サイズ:40V型
●解像度:1,920×1,080
●録画機能:地上/BS/110度CSデジタルチューナー×2
●ゲームモード:○
●4K/120fps入力:×
コストを優先して4Kテレビを探しているならば、注目したいのがハイセンスの「E6N」シリーズです。価格はチューナーレステレビ並みながら、TVS REGZAと共同開発した映像処理エンジンで実現する画質はとても安定して、品質の面では新興メーカーを寄せ付けません。等速(60Hz駆動)パネルの標準的なスペックですが、Amazonプライム・ビデオやNetflix、YouTubeなど主要ネット動画の再生にはしっかり対応するなど、機能的にも不足を感じさせません。43V型から85V型までサイズ展開も豊富です。
●パネルタイプ:液晶(等速)
●画面サイズ:43V型
●解像度:3,840×2,160
●録画機能:4Kチューナー×2、地上/BS/110度CSデジタルチューナー×2
●ゲームモード:○
●4K/120fps入力:×
格安テレビの中でも、特に画質に妥協したくない! という人にはハイセンスの「43U7N」がおすすめ。液晶テレビの最新トレンドのひとつ、量子ドット技術を搭載したテレビを手ごろな価格で購入できます。mini LEDバックライト搭載テレビとして人気の「U8N」と同じ映像処理エンジン「HI-VIEWエンジンII」を搭載した倍速パネルモデルで、量子ドット技術も採用して色の再現性を高めています。2024年モデルである「U7N」シリーズは、144Hz駆動にも対応。TVS REGZAと共同開発したエンジンで、放送番組、ネット動画、ゲームなど、コンテンツを選ばず高画質で楽しめる高コスパモデルです。
なお、2025年モデルとして「U7R」シリーズが発表されたばかりです。「U7N」の後継機としての位置づけと思われますが、「U7R」はmini LEDバックライトを搭載した製品で、実質のランクはひとつ上。リリース直後ということもあり、価格は高めですが、こちらの最安価格の推移も注視するとよいでしょう。
●パネルタイプ:液晶(倍速)
●画面サイズ:43V型
●解像度:3,840×2,160
●録画機能:4Kチューナー×2、地上/BS/110度CSデジタルチューナー×3
●ゲームモード:○
●4K/120fps入力:○
従来はテレビ放送を受信するためのチューナーを持ったディスプレイのことを「テレビ」と呼んでいましたが、この定義に収まらないチューナーを搭載しない「チューナーレステレビ」が登場しています。テレビ放送を受信できませんが、比較的安価であることがメリットです。Google TV OSなどを採用し、ネット動画へのアクセスを可能にしていることが多く、PCモニターとは異なる、あくまで「テレビ」として販売されています。
テレビ番組を受信するためのチューナーを搭載していないテレビは、チューナーレステレビと呼ばれます。テレビ番組の視聴や録画が重視される日本では少数派ですが、チューナーを省略することでコストを下げた製品が徐々に注目されています。ここで紹介するのは、中国Xiaomi(シャオミ)の4Kテレビ「Xiaomi TV A Pro 43 2025」。量子ドット技術を採用した4Kテレビながら、メーカー直販価格は39,800円(税込)。安さだけを追求するのではなく、スペック面での充実を図った製品です。
発売直後はキャンペーンとして29,800円(税込)で販売するなどの施策が話題となりました。その後も折に触れてセールが開催されていますから、価格.comで最安価格をチェックしておくとよいでしょう。操作感や画質についてはきちんと日本向けにローカライズされたハイセンス製品などに譲るところではあります。チューナーが入っていない以外にも一般的なテレビとは異なることには注意。
●パネルタイプ:液晶(等速)
●画面サイズ:43V型
●解像度:3,840×2,160
●録画機能:×
●ゲームモード:○
●4K/120fps入力:×
こちらもXiaomiのチューナーレステレビ「Xiaomi TV S Mini LED 55 2025」。型番のとおり、バックライトにmini LEDを搭載した液晶テレビです。人気のハイセンス「U8N」シリーズと比較してもさらに安価で、直販価格は84,800円(税込)。mini LEDバックライトを使った映像の明るさはさすがで、とにかく明るい液晶テレビを安く購入したい、という人にぴったりのモデルと言えます。
上で紹介している「Xiaomi TV A Pro 43 2025」と同じく時折セールを行っているので、気になる人は価格.comの最安価格をチェックしておくとよいでしょう。ただし、やはり一般的なテレビとは少し異なる製品であることは認識しておきましょう。画質を自動調整する特別な映像モードなども持っていません。
●パネルタイプ:液晶(倍速)
●画面サイズ:55V型
●解像度:3,840×2,160
●録画機能:×
●ゲームモード:○
●4K/120fps入力:○
液晶テレビよりも価格が高めの有機ELテレビに期待することは、やはり画質のよさでしょう。現在の有機ELテレビはどれも非常にハイレベルで、製品のグレードやメーカーを問わず、液晶テレビとは隔絶したコントラスト感を見せてくれます。
どの有機ELテレビを選ぶかは画質の“好み”や機能次第。以下記事では各社製品の比較動画をご覧いただけます。ぜひこちらも参考にしてください。各社が目指す画質の傾向がつかめるはずです。
とにかく画質・音質がよいテレビを選びたい、という人におすすめしたいのがパナソニックの2024年最上位モデル「Z95A」シリーズです。高輝度(MLA)有機ELパネルと独自設計で画質を追求し、広い視野角や液晶テレビに負けない映像の明るさを実現。テレビ番組は鮮やかに、映画は忠実に、それぞれに再現してくれます。また、画面下側に加えて、横、上側にもスピーカーを並べた「360立体音響サウンドシステム+」はDolby Atmosの臨場感あふれる立体音響再生にも対応します。
基本OSにFire TVを採用したことも大きなトピック。高画質に関わる機能はそのままに、Fire TVのスムーズさを身に付けました。操作性(とGUI)以外の機能は2023年モデル「MZ2500」シリーズと大差はないため、Fire TVがフィットしないと思う人は価格的にもこなれている「MZ2500」シリーズを選ぶという手もあります。
●パネルタイプ:有機EL(倍速)
●画面サイズ:55V型
●解像度:3,840×2,160
●録画機能:4Kチューナー×2、地上/BS/110度CSデジタルチューナー×3
●ゲームモード:○ 「等速駆動モード」対応
●4K/120fps入力:○
液晶テレビに負けない明るさの有機ELテレビなら、LGエレクトロニクスの「G4」シリーズがおすすめ。上のパナソニック「Z95A」シリーズと同じ高輝度有機ELパネルを搭載し、広い視野角や明るい映像を実現しています。2023年のモデル「G3」シリーズからの路線ですが、明るく、鮮やかに見せようという意図が前面に出たテレビ。そのため、画質モードを「標準」とすると明るさ、補正が過度に見えるかもしれません。基本的にとても映像が明るいので、画質にこだわる人ならば常時「FILMMAKER MODE」でも困らないほど。明るさという基礎体力の高い、懐の深い製品と言えます。
●パネルタイプ:有機EL(倍速)
●画面サイズ:65V型
●解像度:3,840×2,160
●録画機能:4Kチューナー×2、地上/BS/110度CSデジタルチューナー×3
●ゲームモード:○
●4K/120fps入力:○
REGZAならではの全録機能「タイムシフトマシン」に対応する2025年最新モデル。最新の高輝度有機ELパネルを搭載したこと。明るさや暗部の再現性を向上させています。また、AIとの対話でコンテンツ探しが可能という新機能「レグザAIボイスナビゲーター」を搭載。全録で録りためたコンテンツから、未知の番組との“出会い”もサポートしてくれます。突き詰めた高画質と“全録”どちらも欲しいというユーザーにぴったりの製品です。
●パネルタイプ:有機EL(倍速)
●画面サイズ:55V型
●解像度:3,840×2,160
●録画機能:4Kチューナー×2、地上デジタルチューナー×9、BS/110度CSデジタルチューナー×3
●ゲームモード:○ 「オリジナルフレーム駆動」対応
●4K/120fps入力:○
※写真は65V型「4T-C65GS1」
シャープの「GS1」シリーズは、量子ドット技術が盛り込まれた有機ELパネル「QD-OLED」を採用した高級モデル。「QD-OLED」を採用した有機ELテレビはソニーも発売していますが、「第3世代」と呼ばれる最新パネルを使うテレビを展開するのは、日本国内でシャープだけ。最新パネルならではの映像の明るさ、暗部の再現力、視野角の広さが特徴です。2023年モデル(「FS1」シリーズ)までの路線とは一味違うオリジナル忠実志向の画質と言えます。
●パネルタイプ:有機EL(倍速)
●画面サイズ: 55V型
●解像度:3,840×2,160
●録画機能:4Kチューナー×2、地上/BS/110度CSデジタルチューナー×2
●ゲームモード:○
●4K/120fps入力:○
すでに後継機種「OLED55C4PJA」が発売されていますが、価格で有利なのは「OLED55C3PJA」。新製品ではパネルや映像処理エンジンが更新され、画質が向上しているはずですが、本モデルのお買い得さは特筆すべき点でしょう。
一世代前の製品とはいえ、映像処理エンジン「α9 AI Processor 4K Gen6」は2023年の上位グレード「G3」シリーズにも搭載されていたもの。同じLGエレクトロニクスの「B3」(2023年モデル)や「B4」(2024年モデル)シリーズに対して優位性があります。
●パネルタイプ:有機EL(倍速)
●画面サイズ:55V型
●解像度:3,840×2,160
●録画機能:4Kチューナー×1、地上/BS/110度CSデジタルチューナー×2
●ゲームモード:○
●4K/120fps入力:○
「OLED42C3PJA」は2023年のモデルですが、注目すべきは価格.com最安価格です。10万円前後(2025年4月25日時点)で有機ELテレビが手に入るのですから、コスパの高さは言うまでもありません。タイミングによっては価格が上下することもありますが、これ以下の価格にグッと下がることは考えにくいでしょう。パネルは120Hzの倍速仕様で「ゲームオプティマイザ」などのゲーム関連機能も充実。多用途に使えるお買い得モデルです。
●パネルタイプ:有機EL(倍速)
●画面サイズ:42V型
●解像度:3,840×2,160
●録画機能:4Kチューナー×2、地上/BS/110度CSデジタルチューナー×3
●ゲームモード:○
●4K/120fps入力:○
液晶テレビのメリットは有機ELテレビよりも明るい映像を得やすいこと、サイズ展開が豊富なこと、価格が安いこと。有機ELテレビよりも使いやすく、選択の幅が広いのが液晶テレビだと言えます。リビングルームでいつもつけておくテレビが欲しい、予算は限られていても大型テレビが欲しい、という人は液晶テレビを検討するとよいでしょう。
ソニーの2024年モデルでは、mini LEDバックライトを搭載した液晶テレビがフラッグシップ(最上級)モデルとして位置づけられています。それが、この「BRAVIA 9」こと「XR90」シリーズです。画質・音質を調整するプロセッサー「XR」、ならびにバックライト制御技術「XR バックライト マスタードライブ」により、高コントラスト映像を再現することが最大の特徴。幅広い視野角を得られる「X-Wide Angle」や反射を利用して音の広がりを得る「ビームトゥイーター」の搭載など、フラッグシップモデルならではの豪華な仕様です。
●パネルタイプ:液晶(倍速)
●画面サイズ:65V型
●解像度:3,840×2,160
●録画機能:4Kチューナー×3、地上/BS/110度CSデジタルチューナー×3
●ゲームモード:○
●4K/120fps入力:○
ソニーの2024年モデルは、元々の価格設定が他メーカーよりもかなり高め。そのため、上で紹介した「K-65XR90」も有機ELテレビも含めたスタンダードな製品の中では飛び抜けて高価です。もう少し安価にソニーのmini LED液晶テレビを、ということであれば「BRAVIA 7」こと「XR70」シリーズが候補になるでしょう。こちらは55V型の設置しやすいサイズが展開されることも魅力です。
仕様からするとやはり高めの価格設定ではありますが、画質・音質調整プロセッサー「XR」とバックライト制御技術「XR バックライト マスタードライブ」によるローカルディミング(LEDバックライトの個別制御)はさすがの高精度。正面から見たときのコントラストが特筆されます。視野角を広げる「X-Wide Angle」は非搭載のため、横から見たときに色はシフトしがちであることには注意しましょう。
●パネルタイプ:液晶(倍速)
●画面サイズ:55V型
●解像度:3,840×2,160
●録画機能:4Kチューナー×3、地上/BS/110度CSデジタルチューナー×3
●ゲームモード:○
●4K/120fps入力:○
最新技術であるmini LEDバックライトを搭載した液晶テレビでも、比較的安価に購入できるモデルも登場しています。それがハイセンスの「U8N」シリーズです。mini LEDの小さなバックライトを制御するのは「HI-VIEWエンジン」。これはTVS REGZAと共同開発した映像エンジンで、REGZA譲りの映像処理技術で、放送番組だけでなくネット動画など、さまざまな映像を最適化してくれます。
なお、2025年モデルとして「U8N」シリーズの後継機「U8R」シリーズが発表されたばかりです。こちらは輝度を向上させたうえ、mini LEDのエリア分割数を劇的に増やした意欲作。スペック的には「U8N」シリーズのひとつ上と言える内容で、価格も少し高めです。こちらの価格推移も注視するとよいでしょう。
●パネルタイプ:液晶(倍速)
●画面サイズ:55V型
●解像度:3,840×2,160
●録画機能:4Kチューナー×2、地上/BS/110度CSデジタルチューナー×3
●ゲームモード:○
●4K/120fps入力:○
mini LEDバックライトを搭載し、明るさと色の鮮やかさを追求した液晶REGZAの最上位モデルです。最大6チャンネルの地デジ放送をまるごと録画できる「タイムシフトマシン」機能を使えることはもちろん、映像処理エンジンは「レグザエンジンZRα」という最新版を搭載。「AIシーン高画質PRO」などREGZAならではのさまざまな自動調整機能に対応します。録画から、普段のテレビ番組視聴、ネット動画視聴、映画鑑賞など、オールラウンドに使える1台を選ぶなら「65Z970N」がおすすめです。
●パネルタイプ:液晶(倍速)
●画面サイズ:65V型
●解像度:3,840×2,160
●録画機能:4Kチューナー×2、地上デジタルチューナー×9、BS/110度CSデジタルチューナー×3
●ゲームモード:○
●4K/120fps入力:○
「TH-55LX950」は、2022年のパナソニック液晶テレビの最上位モデルです。最新の2023年モデルも登場していますが、価格が落ち着いていますし、「IPS」パネルで大型でも使いやすい視野角の広さが確保されている(斜めから見ても色が変わりづらい)ので、お値打ち感があります。mini LEDバックライトではなくとも、独自構造・自社工場組み上げによる「プレミアム液晶ディスプレイ」で高コントラストを実現した1台です。
●パネルタイプ:液晶(倍速)
●画面サイズ:55V型
●解像度:3,840×2,160
●録画機能:4Kチューナー×2、地上/BS/110度CSデジタルチューナー×3
●ゲームモード:○
●4K/120fps入力:○
※写真は65V型
mini LEDなどの最新技術は盛り込まれていませんが、高コスパなソニーBRAVIAとして注目したいのが「XRJ-55X90L」です。独自の映像処理エンジン「XR」で直下型LEDバックライトを細かくコントロール(部分駆動)し、高コントラスト映像を表示できます。高画質志向ながら、2023年モデルのため価格が落ち着いているのがポイント。また、ソニーからは2024年モデルとして有機ELテレビやmini LEDバックライト搭載液晶テレビが発表されていますが、「X90L」は現行製品として継続されています。
●パネルタイプ:液晶(倍速)
●画面サイズ:55V型
●解像度:3,840×2,160
●録画機能:4Kチューナー×3、地上/BS/110度CSデジタルチューナー×3
●ゲームモード:○
●4K/120fps入力:○
REGZAの“全録”機能「タイムシフトマシン」をできるだけ安く買いたいならば「55Z870N」が有力候補になります。mini LEDバックライト搭載液晶テレビとして「スタンダードモデル」の位置づけですが、量子ドット技術を採用して広色域を志向しています。タイミングによっては1年前の「55Z870M」のほうが安い可能性がありますが、価格差は大きくありません。今選ぶならば、最新の映像処理エンジン「レグザエンジンZR」を搭載して、映像処理能力と明るさを増した「55Z870N」がおすすめです。
●パネルタイプ:液晶(倍速)
●画面サイズ:55V型
●解像度:3,840×2,160
●録画機能:4Kチューナー×2、地上デジタルチューナー×9、BS/110度CSデジタルチューナー×3
●ゲームモード:○
●4K/120fps入力:○
価格は抑えられていますが、REGZA共通の機能である映像の内容と周囲の明るさに合わせて常に映像を最適化する「おまかせ」モードが使える価値ある1台。地デジ放送からネット動画まで、過不足なく楽しめるエントリーモデルです。HDR映像は一般的なHDR10だけでなく、Dolby Visionに対応。画面サイズは43V型から75V型と充実しています。
●パネルタイプ:液晶(等速)
●画面サイズ:50V型
●解像度:3,840×2,160
●録画機能:4Kチューナー×1、地上/BS/110度CSデジタルチューナー×2
●ゲームモード:○
●4K/120fps入力:×
43〜49V型という大きさは、現在ではあまり選択肢が多くありません。しかし、ひとりでゲーム用にも使いたいというユーザーにはちょうどよいサイズでしょう。そこで注目したいのが、REGZAの倍速パネルモデル「Z570L」シリーズです。2022年モデルのため価格は手ごろで、倍速パネルや「レグザ重低音立体音響システム」、4K/120fps入力対応など、スペックが充実しています。
●パネルタイプ:液晶(倍速)
●画面サイズ:43V型
●解像度:3,840×2,160
●録画機能:4Kチューナー×2、地上/BS/110度CSデジタルチューナー×3
●ゲームモード:○
●4K/120fps入力:○
パナソニックの「TV-43W90A」は、直下型LEDバックライトを部分駆動(ローカルディミング)する高画質志向のモデルです。細かく分割したバックライトを部分ごとに制御するという発想はmini LEDと同様。分割数はひかえめですが、一般的なバックライトよりも高コントラストを望めます。4K/120fps(144fpsにも対応)信号の入力のほか、ゲームモードも充実。また、「W90A」シリーズをはじめとするパナソニックの2024年モデルでは、OSにアマゾンの「Fire TV」を採用しました。サクサクと動く操作性のよさも大きな特徴です。
●パネルタイプ:液晶(倍速)
●画面サイズ:43V型
●解像度:3,840×2,160
●録画機能:4Kチューナー×2、地上/BS/110度CSデジタルチューナー×3
●ゲームモード:○
●4K/120fps入力:○
価格.comには、最新の売れ筋製品がわかる「人気売れ筋ランキング」が製品カテゴリーごとに用意されています。
「液晶テレビ・有機ELテレビ」カテゴリーの人気売れ筋ランキングを見ると、最新の高級モデルよりも発売からしばらく経って価格が下がってきた製品や価格と画質のバランスが取れた製品が人気です。
姉妹ブランドであるTVS REGZAとハイセンスの製品に人気が集まっています。mini LEDバックライト+タイムシフトマシン(全録)の高機能を揃えた「55Z870N」、32V型ではレアなフルHDモデル「32A4N」、フルHDの40V型「40V35N」、mini LEDバックライト搭載機を手ごろな価格で購入できる「65U8N」「55U8N」と幅広いキャラクターのこれらは定番化していると言えるでしょう。
2025年の新製品が発売され始めたので、上記の製品も少しずつ入れ替わっていくことが予想されます。ランキングの5位に入った「55Z770R」がその一例。mini LEDバックライトを採用したスタンダードモデルで、対話形式で見たいコンテンツを探せる「レグザAIボイスナビゲーター」を搭載しています。
【Profile】AV専門誌「HiVi」の編集長を経て、カカクコムに入社。近年のAVで重要なのは高度な映像と音によるイマーシブ感(没入感)だと考えて、「4.1.6」スピーカーの自宅サラウンドシステムで日々音楽と映画に没頭している。フロントスピーカーだけはマルチアンプ派。
ここで紹介したおすすめ製品は基本的にサイズ別でシリーズ展開されています。気になる特徴の製品があれば、価格.comで違うサイズの製品もチェックしてみましょう。
「HDR」とはHigh Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)の略。これまでよりも映像の明暗の幅を広く表示できる技術のことです。HDRに対応したテレビでHDRの映像コンテンツを再生すると、より明暗差の大きいダイナミックな映像を楽しめます。
最も一般的な「HDR10」、4K放送などで使われる「HLG」、映像に応じたリアルタイムでの画質最適化を図る「Dolby Vision」「HDR10+」などの種類があります。すべてに対応しているに越したことはありませんが、それが高画質に直結するとは限りません。HDR映像を楽しみたい場合、「HDR10」と「HLG」に対応していれば困ることはありませんし、ほとんどの最新4Kテレビが「HDR10」と「HLG」に対応しています。
量子ドット技術の発見と実用化がノーベル化学賞を受賞したことを耳にした人も多いでしょう。この量子ドット技術はテレビなどディスプレイの広色域化に使われています。やはりこの技術の採用が必ず高画質につながるわけではありませんが、純度の高い色を取り出すために液晶テレビ、有機ELテレビ両方で採用例があります。
量子ドットのイメージ。ナノ(ミリの100万分の1)サイズの量子ドット(結晶)に光を当てると、サイズに応じた異なる波長の光を発するという仕組みです。つまり、量子ドットのサイズを調整することで、任意の色を取り出せるのです
上記のとおり、「最新テレビでは、42V型より大きいモデルのほとんどが4K(水平3,840×垂直2,160画素)」。その「ほとんど」に含まれない例外のひとつが8Kテレビです。水平7,680×4,320画素という4Kのさらに4倍の高精細な映像表示をできる、プレミアムテレビと言えるでしょう。
現在は60V型以上に限られるうえ、最新モデルは非常に高価です。8K放送をそのままで見たい人の指名買い以外は選択肢になりづらい存在です。
チューナーレステレビだけではなく、最新のテレビは動画配信サービス(ネット動画)の再生に対応したモデルが主流です。YouTubeなど無料で楽しめるものからAmazonプライム・ビデオやNetflixなど、本格的に映画を楽しめるものまで対応サービスは製品によってさまざま。ソフトウェアアップデートで対応サービスが増えることもあるので、詳細はメーカーホームページで確認しましょう。
なお、Amazon「Fire TV」シリーズなどのプレーヤーを使えば各種ネット動画へのアクセスは簡単にできますから、テレビ選びにおけるネット動画対応の優先度はそれほど高くする必要はありません。
付属リモコンに各種サービスへのダイレクトアクセスボタンが用意されている場合もあります。よく使うサービスのボタンがあればより使いやすいことは間違いありません。写真左はパナソニック、右はソニーの例です
液晶テレビを選ぶ際に、液晶パネルの説明として「VA」「IPS」「ADS」という表記がされていることがあります。これは液晶分子の駆動方式の違いを表しています。「VA」は正面コントラストにすぐれていますが、斜めから見ると色が変わってしまいがち。「IPS」と「ADS」の原理は同じ。コントラストを得づらい反面、斜めから見ても色が変わりづらいという特徴があります。
広い部屋で斜めからテレビを見ることが多い、という場合は「IPS」「ADS」を選ぶとよいでしょう。メーカーによっては「VA」であっても広い視野角を実現する独自技術を採用していることもありますから、あくまで要素のひとつとしてとらえましょう。
ハイセンスの「U8N」シリーズは「ADS」パネルを採用。一般的な「VA」パネルよりも視野角が広い(斜めから見ても色が変わりづらい)ことをアピールしています